移住への道

アイ子ちゃんから電話がかかってきた。

ねぇ、聞いて。
カリフォルニアで知り合いの夫婦が、早期退職して日本に2~3年住むつもりで移住してきたそうである。驚いたことには、このアイ子ちゃんの知り合いの女友達は日本のアパートがすぐ借りられると思って、ホテルは1週間しかとっていなかったそうだ。

旦那は日系の3世。アメリカ人だな。
ところが日本人である彼女と不動産屋を回っても、アパートが借りられなかった、ホテルは出ないといけないし、いったいどうしたらいいのかしら?――とアイ子ちゃんにお助けコールが来た。

20代で金貸しと不動産業を営んでいた越後屋・アイ子さんは、ホテルはもう2週間予約したら?日本に親せきが残っていたら、保証人になってもらえばいいね。とアドバイスしたそうだが、。

したらば知人は、日本に甥がいることはいるが彼に面倒はかけたくないと。

~~あはは、よくわかる心情でございます。自分の力で解決したいのですよね。おばちゃんもそうだ。

ではアイ子ちゃんは保証人協会を教えてあげたそうである。
保証人協会でもアメリカ人と日本にいなかった日本人では、信用度が無いのでたぶん保証人は必要だろうと思うが、。彼女たちがどこまで理解しているかどうかはよくわからない。

越後屋さんと二人で、彼らがこれから遭遇する困難をひとつづつリストした。日本で”あるある”を克服してこそ日本に定住できるのだし、突破することで達成感があがってリタイア生活も充実するかもしれないね。

しかしなぁ、生まれた国といえども、よその国に引っ越した時にはそれなりの定住手続きというものがあるのに、奥さんはアメリカに定住するときの面倒を忘れてしまったんかいのぅ?
とおばちゃんが言うと、アイ子ちゃんが、
ご主人が日系だから彼がやってしまったんじゃない?といった。なるほど、そうかもしれない。

日本人の勤め人が米国に移住するときには、一番大きな関所がビザ。
これは会社がやる。移動した後は、日本の企業の駐在の場合なら、会社の先輩がアパートの手配とユティリティ・サービスのスタートの電話、
SS OfficeでSSナンバーの申請、DMVで免許証の申請、、、なんかをいろいろ面倒見てくれるわけ。

おじちゃんの会社はスタートアップだったので、誰一人先住者や先輩がいなかったから現地のコーディネターのアドバイスで、自分で手続きをやった。
よその国に移住をするときは、定住のための勘所が必ずあるのである。

金をどれだけ持参したとしても金だけあったとしてもどうにもならないこともある。クレジットヒストリー・社会的信用が存在しないから。


おばちゃんの知り合いでは40年日本を留守にして、70前に日本に帰国してから、ローンで家を買おうとした老夫婦がいた。
無理だって!日本じゃ60過ぎにローンは組めません。クレジットカードが取れないとかETCが取れないって不満をもらしてました。銀行口座にはたっぷり預金があるのにね。おばちゃんが楽天とYahooならカードがすぐ取れますよと教えた。

日本でいえば、
日本の勘所は住民票。次に銀行口座。日本発行のクレジット・カード。日本の番号の携帯電話。これが重要だが、現役で収入のある保証人用の親族を一人。
このへんを抑えておけばいい。アメリカ発行のクレジット・カードを持ってきても、日本の携帯電話は契約できないのであるよ。

さらにいくら自分の力ですべてやってしまいたいと思っても、日本の医療施設では入院・手術には「保証人!保証人!」と非常にうるさいのである。

去年の胆のう切除の入院時には、誓約書に保証人欄があったので厄介だと思った。
保証人にサインをもらっておかないと、日本の病院は食い逃げならぬ、手術逃げがあるとか用心しているのであろうか?

帰国してから一度しか会っていないおじちゃんの甥の名前を借りるのがものすご~く嫌だった。たかが胆石で4~5日しか入院しないのに。

そこでおばちゃんは、病院のカウンター内で働く年齢が高いちょっと偉そうなおばさんを捕まえてダメもとで言ってみた。

私は胆石で切るだけだし、高額医療限度額証を持っているから、入院費用は片手で済むはず。保証人をつける必要があるんですかね?何なら、今この場で入院治療費を前払いをしてもいいですけど?

偉そうなおばちゃんは、ちらっと手術名をみて、そうね、いらないわね。と断言したので保証人欄は記入せずに済んだ。
ガンの拡大手術の場合は、何日で退院できるかわからなかったから甥の名前を貸してもらった。病院のシステムにチャレンジするのは時間の無駄だから。

アイ子ちゃんのキャッチフレーズは相手が変わるのを待つよりは自分を変えたほうが早い

アイ子ちゃんも私も多分どの国でも生きていけるかもしれない。

蛇足:
アイ子ちゃんが持っていた物件の入居審査の最低条件は、同じ企業に勤続最低5年だそうだ。不況の時などは条件を下げたんだっけ?
そう、家賃は周りの物件の金額を調べて2~3千円安くする。空き室が出るよりまし。大不況の時は生活保護を入居させた。
えっ~~~。越後屋さん、またずいぶん条件を下げましたな。
生活保護費の出る次の日に家賃の引き落設定して取りはぐれのないようにしてた。
越後屋さん、まいりました。

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アイ子ちゃんはまだ日本でスキーをやっている。3月いっぱいまでいるそうだ。
今年はカリフォルニアもまた異常気象で、南加に雨がザーザー降り、、3月にかぁ?
サンディエゴには雪がちらついた。まさか?子供はさぞかし喜んだろう。

アイ子ちゃんの属するスキークラブからは4月のマンモス・スキー場ツアーの募集お知らせがメールで来たという。マンモスが?4月に?カリフォルニアだぜ?
ところが今年マンモス・スキー場ではどかどか雪が降っているのだという。まさに異常。

おばちゃんは、ではいまLAの気温は何度なんだ?とアイフォンをタップしたら、
登録していたはずの都市LAが見当たらない、そうだった機種を変更したので新しい携帯にはLAは登録されていないんだ。

登録しようとして、「ロスアンジェルス」と打ち込んでも街頭の都市が見つかりません、という。
そんな馬鹿な?
Los Angelesはロス・アンジェルスだろう?二文字だったっけ?二文字で打つ。出てこない。
はて?しばらく考えてロス・アンゼルスか?該当なし。
わかんない。
ブラウザーに”Los Angeles日本語”と叩き込んだら、「ロサンジェルス」と返ってきた。そうだっけ?Losの sはどこへ行った?

かつて編集に携わったカリフォルニアの県人会会報で2世幹事のテリーさんの言葉がフラッシュバックする。
おばちゃんが「〇月x日のガレージ・セールは盛況で、、」とかの記事を書いていたら
それを読んだテリーさんが、
だから日本人の英語はダメなんだ。Garage はグァラージだろう、ちゃんとグァラージと書きなさい、、。

2世のテリーさんに日本の文部省、外来語の表記ルールを説明したところで納得していただけたと思わない。自分が発音している音と関係ない音の表記を書かれたら、そりゃ納得はできないだろう。ただ、文化的に定着してしまった表記というのはもう修正が効かないのだわ。歴史は変えられないから。

英語の日本語表記というのは音声的に正しくない時があるのに、日本語の間違った表記法を丸ごと覚えない限り日本語として通用しない。新しい言葉を日本語に紹介したその初動に誤表記を記憶されてしまったら修正が効かないのね。つまり、初動が大事

Costcoがどうしてコストコになった?
発音しない無声音“T”って中学校の授業でやったろ?
日本全国の英語教師は、Costcoという単語は、無清音“T”を学ぶまたとない機会だったのに。教師ですらコストコなんて言ってたら日本語がますますめちゃくちゃになるばっかり。

おばちゃん、日本に帰ってから道路の看板を読むのが異常に遅くなった。
もう、アルファベットを一文字一文字読んでいく感じである。カリフォルニアの道路を走っている時なら、道路標示も一瞥で読めたものが、日本のアルファベットの看板は異様に読むのに時間がかかる。そして読むのに疲れる。何故だ?

日本のテレビや街や看板の表示はアルファベット表示が多いのに、その半分は実は英語ではない。最後まで読むと日本語のなのだ。英語の看板だと思って読むと日本語だとわかる。最後の最後の文字まで読まないとわからない。だからものすごく時間がかかる。

たこ焼きをTakoyakiと書いたところでこじゃれた食べ物に変化するわけでなし。読むのがつらい、何とかしてほしい。


Ameplaってなに英語なの?LiBaeって?フレンチ?iDecoってアイ・デコとしか読めないし、DeNaはディーナ。英語でも日本語でもない単語が多すぎる
取り返しがつかなくなる前に日本語に規制をかけてくんないかしら。日本語は漢字表記にするとか、英語をいれるならすべて英語だけの表示にするとか。

美しい日本語を無理やり外来語風にアルファベットにする必要はないではないか。漢字なら視認性高く一目で読めるし文化と伝統の継承ができるし。
日本語のアルファベットと英語とカタカナが入り混じると、もう判読にストレスがかかりすぎよ。
もう一度、Costcoコ・ス・コよ!無声音の“T“よ

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2月はローザンヌ

税金やら確定申告でころっと忘れていた。2月はローザンヌの季節であった。

ローザンヌといえばバレーである。毎年Utubeでファイナルを見るのが楽しみ。日本人は技術が高いので常に出場しているが、今年はあっと驚くことが起こった。

まさか、まさか、おばちゃんは目の錯覚かと思って巻き戻して見てしまった。
見間違いではなく、しっかり転んでいた。素早く立ち上がり最後まで踊り切ったのでオーディエンスの拍手は応援するようにかえって大きかった。彼女は下手な子ではなかったので残念だったが。

そのあと今度は男子が滑った。着地でスパンと滑って立ち上がったものの、前者の彼女とは違って顔は引きつっていた。まさか日本人演者が二人も滑るなんて。

最後はスウェーデンの男の子が転んで3人目。彼の後半はジャンプもおざなりでメタメタであった。気の毒に。

こんなことがあるのかしら、一つの大会で3人も滑るってのは初めて見た。
今年の大会は女子より男子のほうが見ごたえがあったように思う。

ポルトガル?Pedro君とかは力強くスピードよく海と真珠?をセクシーに踊ったし、ジゼルのを踊ったニュージーランドのアルバート王子は踊りが柔らかかった。どこにも力が入っていないように見えるのに、ふんわりと宙にジャンプしふんわりと優雅に旋回する。何かの賞をとってもよかったはず。

反対に、グラン・パ・クラッシックを踊った米国の娘は、見せ場のデベロップの後半は回転が追い付かず、曲に遅れそうで大変なのがまるわかりだったのに賞を取った。コンテンポラリー部門の出来が良かったのだろうか?おばちゃんは買わないなあ。

和田アキ子みたいなおっさんが中に住んでいるワタシが、何故バレーなんか好きなのかというと、一つは幼稚園の時にお習いしたのだ。

発表会に白のチュチュと白のタイツをはかされて、いたく衣装が気に入ってしまったおばちゃんは脱ぎたくないと一晩泣いたのである。衣装は好きだったのにどうして続けられなかったかというと、体がガンダムのように硬かったから。

足を開こうが閉じていようがおばちゃんの体はどの方向にも曲がらず、固すぎて練習の段階で嫌になったのだった。

忘れてしまっていた チュチュへの思いは、昭和のバレー漫画のブームで息を吹き返し、アメリカでバレー公演を見られて復活した。我々の定休日は平日で週末に休みが取れなかったから、見られる公演は年末のナッツ・クラッカーだった。


12月のうす暗闇の中、カジュアル一遍なカリフォルニアで、見るからに良家の子女がおしゃれをしてシアターに集まってくる。客席で案内からプログラムを受け取り静かな会話がさざめく中、幕が上がる。

頭が小さく金髪をお団子にした足の長~いバレリーナが、透き通るシアーをかさねてレースやおリボンもついた衣装を身にまとって、ピルエットでくるくる旋回する。シアーのスカートがふんわりと広がってサラサラと重なる。 嫌がっていたおじちゃんもバレーの魔術にとらわれてしまってうっとりとする。

しか~し、チケットは高い!
ロシアンバレーなんか、ラスベガスの超人気ショウより高い。Utubeに公式ローザンヌの動画が上がるようになって、おばちゃんは喜んだ。もともとものぐさで出不精だったから。
いい時代になった。

すべては春から始まる

バイトの事業所は来週にプレオープンらしい。

らしい?って言うのは、人手不足のうえに事業所のリノベーションで新規開店と同じ状況だから。マネージャーやらがてんてこ舞いで、それなのに会社上部はオープニングセレモニィを勝手に予定して現場が間に合わないので、細かい予定をパートまで知らせる余裕がとことん無いせい~。

おじちゃんもおばちゃんも初出社がいつかまだわからない~~。とにかく人手を確保するのがまず第一で、年齢もへったくれもあるもんか、既往症があっても生きてるなら働いて!というスタンスなので、おばちゃんも経過観察の割には首尾よくカムバックである。週一だし。
とりあえず週一はおじちゃんが居ないところで働ける。新鮮でうれしい。

気温は下がったり上がったり。円ドルみたいだ。
庭に黒い土が見えると落ち着かない。もっとお花を~~!
その辺の園芸店をさらにせっせと回りまた5ケースほど仕入れてきた。デルフィニウムは涼しい気候なら宿根草らしいのだが、現在の日本では夏が熱すぎて年が越せない。残念だが毎年毎年植えねばならない。
宿根ネメシアも5株に2株くらいしか根を下ろしてくれず、だから毎年しつこく宿根ネメシアを植える。

今年は種も蒔いた。
おばちゃんは初心者であったから園芸店で種を買っては裏の蒔き方もよく読まず、土を掘っては適当にバラまき、強い種ならきっと生えて咲くはず、私は間違ってない。と思ってた。
大いに間違いであった。

蒔いた種はほとんど生えてこず、根性なしが、、とひ弱な種を馬鹿にしていたのであったが、あまりにも生えてこないので、ある時、袋の後ろをよく読んでみた。

今まで思ってもいなかった種の蒔き方が書いてあった。
何やら種を蒔いた容器ごと水に浸せ、土はかぶせるな、と不思議なことが書いてあてあった。たまたま園芸店で2重底になった種まき容器を見つけて買い込み、試しに園芸土を入れてみてまず土にびっくりした。

容器が小さいので、土をいれたら小枝やら繊維やらが山ほど混じっており、なんじゃぁこれは!これではいかん、と土ふるいで土をふるったら、3分の1は枝やら茎やら小石だった。今までおばちゃんはこんな園芸土を袋から寄せ植え用のポットや段々庭に補充していたのか、、、!ショックである。

それから細かくふるった軽やかな春の雪のような土を種まき用容器に満たして、さあ、ここに種をまきましょう。種の中には土で覆われたらイヤンという種があるのである。植物のくせに正気かぁ?
ペンステモンとか、リナリアとか。風が吹いたらどうすんねん?
だから容器には蓋がついているのであった。

こんな手順で種を蒔いてみると、花の種とはいかにデリケートなものか。
小学校の時に理科の観察で蒔いた朝顔とか、食べた後にぶん投げておくと芽が出てくるアボカドとかとは違って、デリケートなお花には、デリケートな土と容器と播種が必要なのであった。

容器はそれほどたくさん買わなかったので、カーペット・ビオラという種が残った。容器もなくなったし、カーペットというくらいなので直播をしてみよう。去年土を入れ替えた段々の一番下に蒔いてみた。袋をガーデンピックとして土に立てておく。それが2週間前。

今日の午後からは集めた苗の植え付け。今日は18度もあったのである。
デルフィニウムを植えて、ジキタリスとカンパニュラを植え終わって、球根類のカバーであるバコパを植えようと段々庭の一番下に行ったらば、そこでもそもそと動いていたおじちゃん。

あんた、また皇帝ダリアを掘り返したのか?
だって、ここ水はけが悪いから、イモ類が腐っちゃうから。

んで、一つ200円でセールだったユリと売れ残りのダリアが植わっていたのだが、カーペット・ビオラの袋がごみとしてぶん投げてある。

あんた、なんでこのビオラの袋を捨てんのよ。
なんでって?ここの土を入れ替えたから。
そばに園芸土の袋が捨ててある。

入れ替えた~? ビオラの種をまいてあったのに?!
ビオラ?そんなものはなかった。
ないはずがない。蒔いたんだから。
何もなかったよ。
っったく。いつもこれだ。

花が咲いてない限り、おじちゃんはみんな雑草にしか見えない。
2本の沈丁花は満開である。2年前に植えた姫こぶしもお隣より早く咲いた。
おじちゃんが百日紅の下に移してしまったエニシダはまだつぼみも緑だ。もしおばちゃんのガンが再発して死んだら、骨は粉骨にして役所には内緒で百日紅の下深くに埋めてほしいなぁ。庭の真ん中で日当たりがいいから。

クロッカスは終わりかけである。エリゲロンはこれから伸びる。うちの子になったリナリアはまだ5センチ。
はよ、大きくなれ。せっかちなおばちゃんは4月が待ち遠しくてならない。

米国年金生活者のリタイア生活

懐がちょっと暖かくなったら猫の紫音がまた調子を崩した。
テン・ジュニアをワクチン接種につれていったら、一人で留守番をさせられた紫音がショックだったみたいでその日からひどい下痢。

次の日には紫音をクリニックに連れて行き、腸内に悪玉菌が繁殖してるそうであった。ストレスが原因らしい。下痢止めと整腸剤を処方されてヤレヤレと思ったら、今度はテンが下痢をし始めた。またクリニックである。用心のために詩音をお留守番させず別のキャリアで連れて行った。

獣医さんは、テンちゃんに移りましたかね?と言ってテンにも整腸剤を処方された。ここ1か月クリニックの常連さんである。検便、点滴、注射、薬に時間外診察料で何枚も飛んで行った。

おじちゃんは毎月振り込まれる米国年金にやっと心を許したか、ATMで頻繁にキャッシュを下す。カードより現金のほうが使用感が嬉しいらしい。

テンは4か月を迎えてやっと1.4kg ここのところの下痢続きで体重増加が停滞している。サイズは普通の猫の2か月サイズ。大きく元気に育ってくれるかしらん。

就職のための健康診断は自費だった。これって普通なの?
心電図まで入ってて夫婦二人分。次の日は車検でまたごそっと出て行った。

寒さが緩んで灯油代は少なくなったが、今年は去年の倍ほど暖房費がかかっている。参考までに灯油代はリッター100円前後で12月1月はそれぞれ3.5万ほど。5日に一度2缶から3缶を補給する感じ。山地は冷えるんだ。子猫に寒い思いをさせられないからね。

そのうえ、テンの毛布やマットの熱湯消毒や洗濯でまた盛大にガスと電気を使った。楽天カードの3月の支払いは平常の2倍だ!2倍! これから暖かくなっていくのがうれしい。

庭に植え付けるお花は春先が一番費用が掛かる。
苗、種、肥料、園芸土、DIY用素材にペイント。家の前を散歩するご近所さんのために寄せ植えを植え替える。楽しんでいただけると嬉しい。

リタイヤ後に全く予定が入っていないと曜日を忘れてしまうのよ。これはホント。
まいにち日曜日だから。
何かに追われることもなければ、せかされているわけでもない日々は穏やかである。幸せだと思う。

9時20分に出勤して確実に利益を出して従業員に給料を払い、税金を払い、ローンを払うプレッシャーを二度と味わなくてよくて幸せ。

声を出しても隣のうちに聞こえる距離でない山で、自家製の大根とブロッコリーを収穫して、気が付いたらできているシイタケを薄切りに汁にいれる幸せ。
2匹の猫が家じゅう追っかけっこをして平和に日向ぼっこしながらお互いを舐めあう。
リタイアして田舎暮らしの夢がかなって幸せ。

お庭を宿根草が咲き乱れるお庭にしたいのよ。
ガウラをメインストリートの両側に茂らせ、ピンクのダーラがレンガの上に咲きこぼれる。ブルーセクションはデルフィニュームとペンステモンを咲かせたい。雨が降ったらブログを書いて、プログラミングの勉強を始めたい。

2週間前の血液検査はがんマーカーはCEAとCA-19ともに陰性だった。
ビルビリンの値も正常。コレステロールも正常値に下がったのを確認したら、主治医がもう一枚の検査コピーを出してきた。

Dupan  
Span と書いてある。
この二つのがんマーカーは結果が出るのに時間がかかるので、前回3か月前のものです。
ほ~ん?!
二つとも数値は正常値に収まっているようである。消化器系のがんマーカーによく使われるCEAとCA-19は100%確実ではなく、陰性でも再発例があるようだ。
こんな隠し玉がまだあったのか。毎回がんマーカーを4つもチェックするのか?!胆のうがん、油断がならんのう。

おばちゃんも少しは欲が出てきた。
年金は振り込みされるようになった。ガウラの小道はまだ完成していない。テンもまだ小さい。おじちゃんの血糖値も高めなのでいい病院を見つけねばならない。幸せな生活をもう少し楽しみたいと、人差し指と中指をそっと重ねるのだった。

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おかげさまで米国年金は順調に振り込まれている。

3月の為替レートは135円後半だったのでcitybankがいくら手数料を抜いているか知らないが、2月よりドルが5円上がり、値上がり分で猫たちのチュールが買える。

そういえば、おばちゃんは65歳になるので日本年金機構から申請手続きが来るはず、、、が全然お目にかからない。高校の同級生は誕生月の3か月前に受け取ったよ?と言われてうむ~とうなった。年金事務所から忘れられているのかもしれない。

老齢基礎年金はもともとほとんどないのだ、日本での勤めよりアメリカのほうが長かったので。それでも赴任した最初の3年間は年一回、夫婦二人分の国民年金を日本の銀行に送金していたのだ。7年目に永住権が取れた後は送金をやめた。

ところが母が気をまわしてさらに何年か支払っていたようである。アメリカで永住するという宣言を本気にしていなかったのかもしれない。あるいは払っていれば帰ってくると思ったのかもしれないが。
母がどう思っていたのかはもうわからない。もし返事ができるなら、きっと金を返せと言いそうな気がする。ごめんよ~。でも相続は放棄したから。

シリコン・バレーの銀行が破綻して、バイデンが素早く預金者を保護すると声明を出した。英断だった。円ドル・レートは一時期激しく動き、132円まで進んだ。

あ~らまぁ。年金の振り込み日じゃなくてよかったわ。
おばちゃんが生きている限り、人生上がったり下がったりが不可避のようだ。日銀新総裁の交代が近づいているので、またひとしきり動くのだろう。

そうしたら日本の年金事務所から年金申請用紙が届いたので返送した。金魚の餌代くらい呉れるかもしれない。

冬の間はカレンダーが真っ白だったのに、今週は予定が4日も詰まっている。おじちゃんがカレンダーを見てなんだか面倒くさくなったなという。

なぜなら、たった週1のバイトなのに、履歴書を提出して面接して、会社のフォームで健康診断を取れ。オリエンテーションで会社には今週の金曜に出社などと予定が並んでしまった。

たかが週一。おばちゃんが去年までバイトしてた会社なのに、入社手続きを再度せよってか。
健康診断に行って(自費おまけに夫婦二人分)次の日は車検で、さらに次の日は眼底検診の予定があって、金曜日が会社の研修だ。いや~ん。

遊びに行く日がない。
リタイヤ生活に慣れすぎたのかもしれない。
カリフォルニアの東洋美術は非常に限られたものだったので、おばちゃんたちは帰国したら上野の東洋美術館に行きたいねと言い合っていた。
いい焼き物が見たい。美術館の静かな空間は豊かな時間だ。来週は上野の桜が見ごろかもしれない。

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秘境のコメリ

コメリの店舗は秘境にある。
少なくとも伊豆に関しては正しいと思ってる、おばちゃんだけかも知れんが。

伊豆で最初に行ったコメリは、天城峠を越えて地獄の七滝(ななだる)のループを降り、険しい崖路を延々と下って、人家もなければ施設といえば道路標識だけ。目に入るのは山と谷と2車線の道路だけ。

まだ下るのか、いつになったら“どこ“に着くんだろうと心細くなるころに、気持ち穏やかになった道が最後のカーブを抜けると、そこにコメリ河津店が穏やかな伊豆の光をあびて出迎えてくれる。あんな嬉しかったことはなかった。嬉しさついでに河津桜の苗を買ってしまった。6年前だ。庭に植えた桜はまだ咲いたことがない。

2店目のコメリは、伊豆半島一周を思いっ立ったおばちゃんが、沼津スタートで西伊豆から下田、熱海へ逆回り一周することにしたが、走れども走れども17号線は山の中。ナビは一本線が写っているだけ。蝮の頭のあごの先にも抜けられず、今日中に熱海まで回れるのかどうか。

どうも伊豆半島はおばちゃんが考えたより大きいらしい?ということがしみじみわかって土肥温泉につく頃にはへとへとになってしまった。

せめて恋人岬あたりにたどり着かないと、伊豆半島5分の1も回れてないのがくやしくて、でも、山と崖と一本道はもう嫌。暗くなってから同じ山の夜道を引き返すのはもっと嫌。早めに一周計画を中止して遭遇したのが懐かしきコメリ土肥店舗。

3店目は中伊豆
おじちゃんと園芸店やホームセンターをそこら中探検して、街中のホームセンターはお花の値段もそれなりに、、人の懐を狙った値段。チェンソーや草刈り機も庭のお手入れで華奢でオサレなモデルが中心。


おじちゃんはガーデニングよりもっとがっつり農作業よりの機械や道具が欲しい。そういえば、コメリは農家御用達しであったのぅ。崖や峠を越えて西伊豆に向かうのは心底イヤであったが、検索すると中伊豆にも一店舗ある。

行ってみようというわけで、峠を越えて修善寺を斜めに横切って地元民が走る山道を抜けると、山と山の間にぽっかりと隙間があってそこにコメリ中伊豆店があった。
おばちゃんが狂喜したのは、街では600円以上する宿根草がここでは1ポット348円で買える。アマリリスのおっきな球根が300円などという値段で転がっている。おじちゃんは園芸土を25L 320円でホクホク。

帰り道ではおじちゃんの知り合いが“流された”というワイナリー・リゾートがあった。なんでも妻子がありながらパートのシングル・マザーに手を出して、情実人事で職場の顰蹙を食らい、さらに本部にばれて、辞めるか中伊豆に行くかどちらか選べ!といわれて中伊豆を選んで毎日片道2時間通勤にかかるそうである。元気でいるだろうか?

源頼朝が流された「韮山」なんてまだ交通の便が良いところである。中伊豆は山の谷あいの道をひたすら走らないとたどり着けない。
帰る前に手洗いに寄ったら驚くべきものがあった。

トイレに座ると真向いの壁に求人広告が貼ってある。むろんコメリの求人募集である。
給与は月額2十数万。年齢などの条件があって、その他条件に自宅から25キロ以内にコメリの店舗が少なくとも3店舗あること!と書いてあった。

伊豆にはあと西伊豆店と南伊豆店があるのだが、西伊豆店は日本のマチュピチュといわれる松崎町の近く。南伊豆は海岸から遥かに山中に入った集落の中である。

おばちゃんは思わず吹き出してしまって、伊豆3店舗に25キロで行ける自宅ってどこだ?!婆沙羅峠か?天城峠か?コメリの本部も正気なのかどうか、なかなか人を食った募集広告だと思う。

春~よ 新しい長靴!

2月末で山のおばちゃんチも気温は2桁になったので、あっちこっちの園芸店・ホームセンター(無論 コメリも)を回って春植えのお花を3ケースくらい買いだめた。

植えた次の日に雪が降って買ってきた花に雪が積もりゼラニュームは凍ったのでおばちゃんのキモも凍った。おばちゃんの頭はもう「春」がインプットされてブレーキが効かないので、地面の雪は無視して植え付けを敢行した。
雪の残る地面にデルフィニュームとかネモフィラを植えたのは初めてである。

残りのコメリ西伊豆と南伊豆店へ行ってみるかいって?
ぜっていヤダ。誰が行くかあんな地の果て。

蛇足------------
3月に入ってチューリップの芽は出てきたが、庭にはまだ咲いている花がない。もっとお花を!というわけで、中伊豆は行ってしまったから蒲原店を攻めてみることにした。

コメリ蒲原は富士川を渡った海辺にあるようである。
街中のコメリでこじゃれた宿根草が安くあるかもしれない。国道1号線を延々走るか、それとも東名を走るか。東名は遠回りだが1時間4分という。1国だと一本道だがもっと時間がかかるかもしれない。行きは東名の富士川インターETCで降り、住宅地の中をチマチマ走るとショッピングモールの中にコメリがあった。

伊豆のコメリより数段大きい。宿根草が安い。おじちゃんの大好きなチューリップとユリの球根が40%引きである。また1枚半買ってしまった。
南海トラフ地震が起きたら津波で跡形もなくなる場所である。標高1M。

今度はトイレには寄らなかった。最寄りのコメリ店舗は富士川を遡った山の中である。3店舗目は伊豆半島か箱根の山ん中である。3店舗に行ける条件で求人は難しいと思う。

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日本の生涯学習

おばちゃんは商工会議所のコンピューター無料体験クラスに行ってきたのだが、体験クラスという看板を掲げた入会説明会だったわ。
困ったもんよね。

スクラッチは子供用のプログラミングだとはわかってはいるけど、おおよそプログラミングのコンピュータークラスが探してもないのよ。

コミュニティ・カレッジのナイトクラスとかアダルトクラスが恋しいわ。
アメリカなら何歳になっても習いたいことがあれば、ちょっとカレッジに戻って好きなクラスを取れるのに79~80ドルくらいで。


夜の7時に始まるナイトクラスには白髪頭のおじさんやおばさんがゴロゴロいたもんだった。先生のほうが若かったし。学生の頃にあるいは仕事や子育てに忙しいころに学びたくても学べなかった分野の知識をリタイアしてから学びなおすなんて、教育の醍醐味じゃない。これぞ生涯教育

日本の教育システムは一度卒業するとそれでおしまい。興味を覚えても学校に戻って授業を受けるチャンスがないのが貧しい。これで先進国か?!
専門学校で入学諸費用を払い18万円!年間86万円のコンピューター・プログラミング・コースとか、職業訓練学校のコンピューター・サイエンスコースって?おばちゃん、楽しみのために純粋に勉強したいのに。

今度はジ〇ティーまで検索を広げて、コンピューター・サークルでもないかと探したわよ。はぁ~。コンピュータークラスを探すとちょっと遠めだけどPHPクラスがあった!とりあえず問い合わせを送ってみる。


おばちゃんのブログはWordPressだからPHPはちょうどぴったりかも知れないけど、ウエブだけじゃなくて他の言語に応用が利くかどうかが問題。
おばちゃんのゴールはPOSのクラックだし。Java, C?
何言語がいいのかしら?

それでホイ!と思いついたのがChat GPT
それで聞いてみたら返事がこれ。すごいね。
納得するわ。腰が低いし。

でもPythonなんてどこで教えてるのさ?
また独学でやれってか?
おばちゃん加齢のせいか、集中して読んで理解して、自分でやってみるーーつうのがなかなか辛くなってきたから、誰かがしゃべってくれて、わかんなくなったらその場で質問してその場で答えを聞けるといいのよ。Utubeの動画を辛抱強く聞くのがつらいのよ。どうでもいい能書きとか出だしとか、だから学校がいいんだけどな。

Hello! It’s great to hear that you’re interested in learning programming. There are many programming languages to choose from, but I would recommend starting with a language that is beginner-friendly and widely used, such as Python.

中略

There are many online resources available for learning Python, including interactive tutorials, video courses, and books. Here are a few popular resources to get you started:

Codecademy (https://www.codecademy.com/learn/learn-python)
Learn Python the Hard Way (https://learnpythonthehardway.org/)
Python for Everybody (https://www.py4e.com/)
I hope this helps you get started on your programming journey!

really? how about PHP?
because I’m writing a blog by WordPress. PHP may work when I write the blog.

Yes, PHP is definitely a good language to learn if you’re interested in working with WordPress or other web development projects. PHP is a server-side scripting language that is specifically designed for creating dynamic web pages and web applications.

As you mentioned, WordPress is built using PHP, and understanding the language can be helpful in customizing your WordPress blog or developing your own WordPress plugins or
themes. PHP is also used by many other popular web applications, such as Facebook, Wikipedia, and Etsy.

If you’re interested in learning PHP, there are many online resources available. Here are a few popular resources to get you started:

PHP.net (https://www.php.net/manual/en/)
W3Schools PHP Tutorial (https://www.w3schools.com/php/)
PHP for the Web: Visual QuickStart Guide (book by Larry Ullman)
Keep in mind that PHP is a more specialized language than Python, so your choice of language will depend on your specific interests and goals. Good luck with your learning journey!

町医者とワクチン

先週コロナ・ワクチンの5回目に行ってきたんだが、相変わらず町の会場はどうでもいいような整理要員を大量に配置していて、また一本予算をつぎ込んだのだろうと思われた。
問診表も同じ形式で、日本語の構造を利用して官僚がひっかけ問診質問を用意している。

・アナフィラキシーを起こしたような重篤なアレルギーがありますか?


ないわ~、医療機関でこんな質問はあり得ないわ~。
ポイントが「アレルギー」か「重篤」か「アナフィラキシー」かよく誤解するように書いてあるよね。

おばちゃんはいつも、重篤の文字を線で消して、持っているアレルギーをリストで書く、これも意味ないね、と思いながら。

考えてもみなはれ。
過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人は、第一回目のアナフィラキシーが起きるまで、アナフィラキシーは起きたことがなかった人。ドクターであろうが本人であろうが、アナフィラキシーはいつ起きるか、起きてから初めてわかること。
誰もがアナフィラキシー予備軍かも知れない。

すでにアレルギーを持っている人は、アナフィラキシーを起こすリスクが高いかもしれないから、おばちゃんはアレルギーのリストをいつも書くのである。

私はリスク持ちですからと「告知」してワクチンを受ける意思を示している。問診票を確認したドクターはリスクのあることを見て、読んで、知って、その上で接種をしてよいと自分の名を書くわけだ。

先週のドクターは80歳すぎであろうかと思える総白髪で、アレルギーリストを指さしながら、「こういうのは違うんでね。いいね?」と無知で愚かな一般人を諭すように問診票にサインした。

おばちゃんはいつだか、求人サイトをチェックしていて、役場が接種期前に1時間1000円で求人をしているのを見つけてしまったが、接種場に一日座っているこのドクターの日当はいくらであろうか?と考えた。

医者というのは激務であって、日曜・祭日に休まないときつい。ワクチン接種場の問診医などは小遣いが稼げても、バリバリ現役の医師は応募しないに決まっている。しからば、第一線を退いた引退間近の内科医か、どうしても教育費を稼ぎたい子供がいる40代50代の勤務医か?
おばちゃんは前者の医者と見た。


今回も接種を済ませてアナフィラキシーも起こさず生きているわけだが、夕べ寝る前に“あっ”と思った。

実は、さかのぼるちょうど1年前の1月におばちゃんは町のクリニックを受診した。
クリスマス・イブに雪苺娘を食べて悶絶して、きっと胆石だから切ろうと決意した。切腹せずに腹腔鏡で切るために’専門医を探したら、3つの病院が上がってきた。外科の評判などを読んで、総合病院に予約の電話を掛けた。

ところが、予約ができない。
紹介状がある患者しか診ませんという。おばちゃんは縁もゆかりもない地に引っ越してきたので、地元の医療事情など皆目わからない。日本の医療状況もよく知らんかったが。

それで予約電話の事務に、私はXX町に住んでいるのだが、あなたの腹部外科のドクターはどこの紹介状なら受け付けるの?とダメもとで聞いてみた。
XX町ならXXXXクリニックです。

なるほど、XXXXクリニックで紹介状を取ればよいのか。おばちゃんはさっそくXXXXに電話した。年内はもう押し詰まっていたので、新年早々に予約を取ったが、クリニックでは「いつでもいいのよ。なんなら今日来てはどう」などと人恋しそうだった。


正月のお飾りが取れる前に、XXXXクリニックを訪れると、広い駐車場に割と立派な3階建てのビル。田舎によくある住居兼用の町医者ビルであった。

駐車場はガラガラ、待合室も人がいない。後から入ってきた後期高齢者のお爺は町からのワクチン接種はがきをヒラヒラさせて、窓口の白衣のおばさんと話していた。
その他の患者は誰もいない。

すぐ診察室に呼ばれ、頭が真っ白な大柄の医者がいた。
椅子に座ってもなぜか医者の視線はおばちゃんの右肩の後ろあたりに据えられていた。
「おなかが痛くなりまして。特にとんかつとか、生クリームとか、脂分、コレステロールが高いものを食べると、30分ほどしてみぞおちが痛むんです。痛み止めを飲むと若干和らぎます」

おばちゃんが症状を説明すると、爺医者は左のデスクに置いたカルテに覆いかぶさりながら顔だけ振り向いて、ただし、視線は絶対合わせることなく、
「あなたの症状は聞いていると、糖尿か、すい臓か、胆のうだと思われるけど、ここには検査機械がないのでわからない。私は何もできんのよ。」と言うのである。
「機械がないからね。」
この間、さっき窓口にいた白衣の看護師は50年連れ添った古女房のように、爺から一歩下がって後ろで爺の言葉にひとつずつ頷きながら控えていたのだった。

おばちゃんは聴診器一つ取り出さない爺にあきれたが、爺には紹介状をもらうつもりなので、
「ぇ?それは困ったわ。私はどうしたらいいですか?」すると
「ここじゃ、検査できないんでね。検査をしないといけないんだが、xx総合病院とかXXXセンターとかだとやってくれるから。」

おばちゃんはXX総合病院の名前が出てきたので、シメタと思い
「そうなんですか。検査をしないといけないんですね。でもどうしたらいいんでしょう?」と重ねて言うと爺が
「では、紹介状を書いてあげましょう」おばちゃんは感激した体で「あ、紹介状ですか?ありがとうございます。ではXX総合病院でお願いします。」

紹介状のあて名はすばらしく達筆。XX総合病院 腹部外科XXX先生 とボールペンなのに墨痕淋漓と言いたいほど立派だった。
診察料込みで1610円。

患者と目を合わせられない医者とは何だろう。先代の父医師の時代は多分、町の先生様で名士だったのかもしれない。患者がない待合室をすぎて、いったいどうやって食っているのだろうと頭をかしげながら、そういえば町の広報や高齢者検診、その他ワクチン接種プログラムには必ずクリニックの名前があるのを思い出した。なるほどねぇ。

で、コロナ・ワクチン接種の時にいた白髪のドクターはもしやXXXクリニックのあの人ではなかったか?と思い当たった!

覚えていないのか?
と聞かれれば、実はおばちゃん人の顔を覚えるのは苦手である。
客商売をやってたんだろう?と言われれば、いや~、すんまへん。
どっちかと言えば、おばちゃんはコンピューター・オタクで、患者と目を合わせられない先生寄りの人間である。つけ刃の笑顔で無理やり十数年小売業をやった。生活がかかってないと人の顔が覚えられない。町で次に出会ったらわかるかなぁ?多分、覚えていない。

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