モグラ激辛の戦い

思いもかけず絢爛に咲いたカンパニュラが終わって、あちこちに気になる土のふくらみが現れた。
まさか。

去年の秋、ついにおばちゃんは堪忍袋が切れて、昭和の駄菓子屋さんでフーセンガムをひと箱おとな買いし、敵地に絨毯爆撃ならぬ絨毯地雷を埋伏してやった。

地下に埋め込んだフーセンガムを食べたのか、それとも風船ガムの匂いの土地が嫌になったのかメインストリートと登り口の花壇からトンネルが増えることはなくなった。

ざまミロと思うつかの間、日陰で花を植えてない南側のシダとコケ庭に異変が起こった。
苔とシダの地面があちこちでぼこぼこになった。穴が開くほどではない。この日当たりの悪い土地は土も痩せていて粘土質で花を植えてもほとんど根つかず黄金シダば~かりはびこる。
シダが少し浮いたところでへでもない。

おばちゃんの作戦が効いてる!効いてる!モグラは苦し紛れにシダ庭を走り回って息絶えた!のかもしれないとおばちゃんはひそかに胸がすく思いだったのだ。

が、梅雨も終わりカンパニュラが終わってこれから夏の庭に~~~というときに、高いペンステモンやジキタリスや珍しくてオンラインで取り寄せた青いアノマテカの株が真っ黄色になって土からかしいで枯れかけている!
モグラだ!

いったいどれだけの元手をかけたと思ってやがるんだ、この野郎!とすぐさまホームセンターでナフタリン系忌避剤を買ってトンネルに落とし込んだ。次の日も花柄を切る時に地面から浮き上がったジキタリスを抑え土盛りをたたきつぶす。ああぁ、株が死んで来年咲かなくなっちゃう。
おばちゃんは本気で泣きたくなった。

音や振動の撃退機、ナフタリン忌避剤、マリーゴールド、風船ガム、埋め込み罠、ことごとく失敗してきた。今さら手があるのか検索をかけると、唐辛子、カプサイシン、来ん棒と、、。

なになに?モグラは鼻が敏感である。そうだ。
ピリピリする辛いのも苦手。

なるほど!この製品は唐辛子の辛み成分をしみこませた細い杭でモグラの通路に打ち込めとある。なるほど。買おう。
筒形の捕獲機もまだ試してない。これも買おう。

来ん棒」が届いた。
黒いプラスチック製である。パッケージを開けると猫が寄ってきたので、袋の中身を嗅がせてやる。驚いたことに、わがバカ猫は鼻をパッケージに接してクンクンしている。嫌がる様子も敬遠する様子もない。なんだか嫌な気がする。猫の鼻でも平気なカプサイシンかな?

とりあえず50本はモグラの通り道に打ち込んだ。
そうしたらおじちゃんがハバネロ液ならあるぞと言う。

夫婦で辛い物は全くダメ。唐辛子1本で半年は用が足りるというのに、園芸店でハバネロの苗を見つけてしまい面白がって2本育てたら立派に何十個もハバネロが取れてしまった。
手袋をはめてハバネロを刻んでもまな板に素手で触れると痛いという激辛のハバネロを、おじちゃんは水煮にして液体をペットボトルに保存していた。


野菜畑の周りにナメクジや小動物を寄せないためにスプレーしていたのだという。虫よけに野菜の葉に直接かけると葉が枯れる。その液体凶器がペットボトルにまだ2本ある。

どうしようかと思った。
小さなスコップでモグラのトンネルの土の端っこを持ちあげて、トンネルに直接スプレーする。
500mlのペットボトルの上部を切って、割り箸をぎっしり突っ込みハバネロ激辛水を注ぎしみこませて、ツンツンする割り箸をモグラトンネルに槍ブスマのごとく突き刺していく。


おばちゃんの仁義なき激辛の戦いが始まる。

追記
午後4時過ぎて猛暑が過ぎたころ庭にでた。スープの中を泳いでいるようである。
おじちゃんがハバネロ液を真っ赤なスプレーボトルに移してくれた。見るからに極悪?
めぼしいモグラ穴にスプレーするとプンプンと唐辛子の匂いが立つ。

あっという間に汗でずぶぬれになった。鼻がかゆいので右の手の甲でうっかりぬぐってしまったら!鼻が!鼻が!

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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