日本語ついに崩壊す

アイ子ちゃんはまだ日本でスキーをやっている。3月いっぱいまでいるそうだ。
今年はカリフォルニアもまた異常気象で、南加に雨がザーザー降り、、3月にかぁ?
サンディエゴには雪がちらついた。まさか?子供はさぞかし喜んだろう。

アイ子ちゃんの属するスキークラブからは4月のマンモス・スキー場ツアーの募集お知らせがメールで来たという。マンモスが?4月に?カリフォルニアだぜ?
ところが今年マンモス・スキー場ではどかどか雪が降っているのだという。まさに異常。

おばちゃんは、ではいまLAの気温は何度なんだ?とアイフォンをタップしたら、
登録していたはずの都市LAが見当たらない、そうだった機種を変更したので新しい携帯にはLAは登録されていないんだ。

登録しようとして、「ロスアンジェルス」と打ち込んでも街頭の都市が見つかりません、という。
そんな馬鹿な?
Los Angelesはロス・アンジェルスだろう?二文字だったっけ?二文字で打つ。出てこない。
はて?しばらく考えてロス・アンゼルスか?該当なし。
わかんない。
ブラウザーに”Los Angeles日本語”と叩き込んだら、「ロサンジェルス」と返ってきた。そうだっけ?Losの sはどこへ行った?

かつて編集に携わったカリフォルニアの県人会会報で2世幹事のテリーさんの言葉がフラッシュバックする。
おばちゃんが「〇月x日のガレージ・セールは盛況で、、」とかの記事を書いていたら
それを読んだテリーさんが、
だから日本人の英語はダメなんだ。Garage はグァラージだろう、ちゃんとグァラージと書きなさい、、。

2世のテリーさんに日本の文部省、外来語の表記ルールを説明したところで納得していただけたと思わない。自分が発音している音と関係ない音の表記を書かれたら、そりゃ納得はできないだろう。ただ、文化的に定着してしまった表記というのはもう修正が効かないのだわ。歴史は変えられないから。

英語の日本語表記というのは音声的に正しくない時があるのに、日本語の間違った表記法を丸ごと覚えない限り日本語として通用しない。新しい言葉を日本語に紹介したその初動に誤表記を記憶されてしまったら修正が効かないのね。つまり、初動が大事

Costcoがどうしてコストコになった?
発音しない無声音“T”って中学校の授業でやったろ?
日本全国の英語教師は、Costcoという単語は、無清音“T”を学ぶまたとない機会だったのに。教師ですらコストコなんて言ってたら日本語がますますめちゃくちゃになるばっかり。

おばちゃん、日本に帰ってから道路の看板を読むのが異常に遅くなった。
もう、アルファベットを一文字一文字読んでいく感じである。カリフォルニアの道路を走っている時なら、道路標示も一瞥で読めたものが、日本のアルファベットの看板は異様に読むのに時間がかかる。そして読むのに疲れる。何故だ?

日本のテレビや街や看板の表示はアルファベット表示が多いのに、その半分は実は英語ではない。最後まで読むと日本語のなのだ。英語の看板だと思って読むと日本語だとわかる。最後の最後の文字まで読まないとわからない。だからものすごく時間がかかる。

たこ焼きをTakoyakiと書いたところでこじゃれた食べ物に変化するわけでなし。読むのがつらい、何とかしてほしい。


Ameplaってなに英語なの?LiBaeって?フレンチ?iDecoってアイ・デコとしか読めないし、DeNaはディーナ。英語でも日本語でもない単語が多すぎる
取り返しがつかなくなる前に日本語に規制をかけてくんないかしら。日本語は漢字表記にするとか、英語をいれるならすべて英語だけの表示にするとか。

美しい日本語を無理やり外来語風にアルファベットにする必要はないではないか。漢字なら視認性高く一目で読めるし文化と伝統の継承ができるし。
日本語のアルファベットと英語とカタカナが入り混じると、もう判読にストレスがかかりすぎよ。
もう一度、Costcoコ・ス・コよ!無声音の“T“よ

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英語の達人

アメリカで暮らしている間に英語の達人は何人も見た。
某、麺会社の支社長は機関銃みたいに英語を繰り出し、取引相手?か、白人のおっさんもタジタジ、社長は口も挟ませず相手にすきを与えない。

某宗教の現地大学の教師も、切れ目がないほど喋りまくる。社会学の教師で話すのが商売なのだから話さないと話にならない。
もう一人の彼女も教師だった。目をじっと見て、あらゆるレトリックとロジックを使って、相手を導き、自分のもつ結論に導いていく。

そういう達人の人たちの英語は、仕事や生活を通じて獲得した能力の一つで、自分の目的を達成するためにある力だった。英語が身を立てるためのゴールではなくて、ゴールを達成するために英語は必要条件なだけ。
判断力、交渉能力、場を読む力は語学に関係ないのであった。

ある時、日本人コミュニティに新顔が増えた。
駐在員家族ではない。いかなる会社も関係していない。アラサー夫婦に小学生が2人。全員留学生ビザと帯同者ビザだという?コミュニティの日本人が頭をひねる、何故?

家族全員で英語を取得するためだという。アラサーの大人が語学学校に3年いたとしてABCニュースを50%理解できてそれでどうなんだ。どの国で生きるつもりなのか。

小学生を数年現地の学校にやって、ぺらぺらと日常会話ができるようになるのは確かだが、それで日本に帰国して、実際どの程度実生活に役に立つかは疑問だ。

さらに、おとうちゃんは学生で収入がないのに一家全員アメリカに移住できるとか、どんな家なのだろう?

アメリカで食って生活している周りの日本人は皆同じ事を思っていたはず。
アメリカで英語ができるのは当たり前、その他の能力がないとここでは生きていけないのに。だから看護学校に進学する。金融・ビジネスを学ぶ。アメリカでは薬剤師が信頼される職業の上位だから、教育費をバイトで必死に貯める。だからみんな、なんだかなぁ、とぬるくその一家族を見守っていた

日本で会社内の公用語を英語にした会社があるそうだ。
例のブログの大家さんの駐在員はToeicの点数だけで選ばれたのだろうか?
実をいうと、おばちゃんはこの耳で、ブログの大家さんの駐在員が現地雇いのローカルの英語がうまいとか、ヘタとか、一緒に赴任した同僚だかの”英語の棚卸”をしているを聞いた。
あほ、じゃないかと思った。

英語ができるだけで仕事ができると思ったのか?


さらに、日本の有名大企業のあのCMを聞くたびにおばちゃんんは苦痛でならない。Inspire the next, , , , ,  と言うやつ。

Next what? 
何をInspireしたいのさ?とイライラしてしまう。Nextの次に来る単語が一番重要です。
だから何を言いたいのかよくわからない。英語スピーカーはみんな同じことを思っていると思う。
日本人のいいたことよくわからない。

1)Future/Lifeーーー inspire the next futureこれが一番しっくりくるけど
  平凡で訴える力が弱いよね。へぇ~それで?ていう。
2)Generation/Technologyー これも同じよね。具体的なビジョンが見えてこない
3)Peopleーーー inspire the next people
これだとCMを作る人の意図が違ってくるよね。
  ものを作ってる会社だし。
Inspire the next Chronosome おう、人類に貢献しそう
Inspire the next Ibaraki 地元貢献は大事
Inspire the next US president アハハ
何か言いたいことを考えてみよう!

おばちゃんも書いたフライヤーの文章がおかしいとか、ネイティブから指摘されて直したよ。
英語としておかしいんだから正しい英語に直せば?と思う。開き直って、ウチの会社のスローガンなんだよ。日本風の表現なんだよ。禅なんだよ。ってか。これは調べたら結構有名らしい。
素直に直しゃいいのに。

ローカルテレビなのかな、おばちゃんがよく見せられるCMがある。
Try the next.
だから何をTryしたいのさ?
これは大学のCMなの。大学・・・!笑える。何を教えるんだろう? わっはっは!

トリスタンとミコ

うちのビジネスにはトリスタンというメキシカンがいて、物静かでよく働いてくれた。

ビジネスを始めたあと、思ったより忙しく手が足りなくなったのでスペイン語と英語で求人広告を書いて、メキシカンが多く住むアパートの近くに張ったりした。問い合わせがあるのだが、どうも採用までたどり着かない。
おじちゃんもおばちゃんも休みが取れず疲れ切ってしまって、
どうしてもフルタイムがもう一人必要だった。

するとトリスタンのほうから飛び込んできた。いきなりドアを開けて「仕事無いけぇ~?」おばちゃんは、これは神のお導き!と気づき
「ようおこし。まぁ、こっちゃへどうぞ」とトリスタンを導き入れ捕まえた。
「いつから働ける?」
「週末だけなら」
「さよか、ほな来週待ってるでぇ!」

平日は他のビジネスで働いているので、週末だけ働くという。しばらく働きを観察していて、おじちゃんに使えるかどうか聞くと、何とかなるだろうとの返事。頃をみて、
「なぁ、トリスタン。あんた別のところでいくらもらってるねん?」
「2000/月で毎年$50ドルずつ昇給する約束アルヨ」
「ほう、さよか。ほなうちもおんなじだけ給料をあげるし、+αでフルタイムで週末まで、どや?」
「シ、セニーョラ、ムチャスグラシアス Si señora. Muchísimas gracias!」契約成立である。

トリスタンは無口なメキシカンだった。どういうことかというと泣かない赤んぼくらい珍しい存在なのだ。メキシカンといえばヒバリかスズメかというくらいにぎやかで囀りまくりあっという間に中国語も韓国語も覚えてしまい、謝謝とかXXハセヨとか黙れと言っても喋りまくる語学の達人か!くらいな人たちだったのに、ウチのトリスタンは静かだった。

「あー、マーム俺、シンコデマヨは来れないである。LAでデモあるヨ」
当時の大統領スモール・ブッシュが移民政策を強化して、怒ったメキシカンがLAでデモを計画していたから。
「さよか。シ、Ok」てな感じで日本語は無理でも英語は覚えるだろうと思っていたら、無口なぶん語学は苦手なのか5センテンス以上の英語は何年たってもなかなかしゃべれないのだった。

トリスタンも自分の語学下手を知っているのか、仕事場にスペイン語/英語辞書を持ち込んでいて暇なときに勉強をしていた。ある時、昼休みに休憩に行っていいよとというとトリスタンは辞書を忘れていった。

おばちゃんは何気なく辞書を見てみると、ペンが挟んであった。
何を勉強していたのかしらん?とペンのあるページをパタリと開くと下線を引いた単語が目に入った。
[rise]
おばちゃん、おう!思いましたね。
給料を上げてほしいんかい?
おばちゃんは、辞書をそっと閉じた。

ミコちゃん

ウチにはミコちゃんという子もいてこのミコちゃんもまた逸話の持ち主だった。面接のときにハキハキと返事をするので採用した。最初のシフトで自らメモ用紙を取り出し、おばちゃんのいうことをせっせとメモを取るので、これは仕事が期待できるな、と勘違いしたのだった。

ミコちゃんは生れた時から2本ぐらいネジがついてなくて、母親からはうるさいほど「お前は不注意」だからといわれて育ったという。新しいことを3つ聞くと最初の1つを忘れるので、メモ用紙は彼女の人生に必須なのだった。

くるくる動くのだが何故か空回りしていることが多い。黙って立ってろというと、頭の中の音楽を聴いているように膝や足が何かのリズムをとっていて、突然雀が飛び立つように動く。

メモ用紙や電卓やペンも頻繁に落とす。客からの預かり物を落として割る。掃除機を引っ張りすぎて壊す。製品を間違える。キャッシャーを打ち間違える。金額も間違える。釣銭も間違える。ありとあらゆる間違いをして、おばちゃんはこんな間違い方もあったのか?という目も覚める奇想天外な間違いを起こしてくれるので、そのしりぬぐいをする。

再び失敗をすることがないように操作マニュアルと業務システムを修正(ミコちゃん仕様)する。とにかくミコちゃんが直感的にすんなり業務ができたら、それは誰でも使える優秀なシステムで普通の新人なら楽勝だった。

ミコちゃんが意図してやっているのではないということはわかっているし、人手が少なかったからすぐ首にはできなかった。ガチャンと音がするとスイマセン!という謝罪が聞こえてミコちゃんなのだった。

ある日、ミコちゃんがシフトでないのに通りすがりで子供を連れて寄ってくれた。子供は5歳でミコちゃんよりしっかりしているように見えた。
ミコちゃんは横浜で高校を卒業して日本人の男性と結婚・離婚して、同じく離婚したお母さんと一緒にアメリカに来た。どういうことかというと、アメリカ人と結婚した知り合いの中国人が、日本にいたお母さんの写真を見せたらアメリカ男が乗り気になって呼び寄せ結婚したという。

中国人のお母さんはと結婚相手とは結婚するまであったことがなく(戦前ではないです21世紀の話)写真結婚みたいなの。そこにミコちゃんと娘がオマケでくっついてきた。

ミコちゃんの色彩センス/美的センスは割とよくて、キレイ目の色の服をスリムな体に合わせて着ていた。ある時は、レギンズとヘソ見せのホルターだけだったので、ミコちゃんこれからジムでも行くの?と聞いたら
いいえ、これは私の普段着です。

中国人の母の血のせいか、ミコちゃんの足はすんなりと伸びてまっすぐだ。
脂肪も全くついていないので、シャムネコのようにしなやかでエキゾチックである。この姿であちこち歩いたら男がよく釣れるだろう。中国人の母はそれを期待しててそのままにしているのかな?

ネイルなどの綺麗な作業は好き!といっていたから、美容系の仕事についたら才能が発揮できたかもしれない。本人はハーバードに入学してジャーナリストになりたいとか、保母さんになりたいとか言っていたが、、、。
ハーバードがどんな大学か知っているとは思えないので論外として、
娘が5歳まで生き延びられたのは、
①娘が丈夫、で
②ミコちゃんの娘で耐性があった、からだと思えるので、
生き物を預かる系とか病院系はやめてほしい。

そんなミコちゃんはトリスタンとシフトが被ることが多かった。

トリスタンを雇ってすぐにトリスタンの最初の子供が生まれて、洗礼とお祝いで一日休みが欲しいというので、おばちゃんは隣のパン屋にケーキをオーダーしてトリスタンに贈った。
その時はたしか25・6歳だと思ったが、その後カトリックのトリスタンは順調に子供を増やし、3人くらいになっていたかもしれない。

トリスタンは文句も言わず、相変わらず真面目に働いていたが、おばちゃんとおじちゃんの目の届かないところでは、他の従業員に割と偉そうな口をきいていたかもしれない。自分がナンバー3だと思っていた節がある。


おばちゃんとしては、よく働いてくれるし感謝していたのだが、ある日ミコちゃんから話があるといわれた。
ミコちゃんは、何度も何度も同じ仕事を繰り返すと、やっと仕事のパターンが体にしみこむようで、一旦そうなると決められたことはこなせるようになっていた。せっかく使えるようになったというのに、
ああ、嫌よこのパターン。辞めるの?

ミコちゃんから聞かされたのは思いもかけない話だった。私、トリスタンからストーカーされているんです。
はぁ!?
トリスタンが好きだって言ってきてスト―レージで抱きしめられてキスされそうになったんです?はぁ!? ウチのスト―レージでか?

それにうちの母と義理のお父さんと一緒に日曜の朝に教会に行くと、出てきたところでトリスタンが待ってるんです。おばちゃん、いったいどうしたらいいですか?

う~んう~ん。
色恋の話はおばちゃんに一番縁遠い話だ。正直、知らんがな。と言いたいが何か事故が起こっても困る。

ミコちゃんは独身だけど、トリスタンはカミさんがいて子供も3人いるし、オペラのような悲劇は起こりそうでもないが。とりあえず、ミコちゃん来週のシフトはお休みして。その間に考える。

考えたところで、
トリスタンの色恋を覚ます方法はおばちゃん知らんし、シャムネコみたいなミコちゃんに風呂敷をかぶしておくわけにいかんし。知り合いのビジネスオーナーに話して、そっちでミコちゃんのシフトを増やしてもらい、
うちはエマージェンシー以外入れないことにした。

ず~っと後になってそのオーナーから聞けば、ミコちゃんはそっちでもなんかやったらしい。何も着ていないようなしなやかな肢体を見せびらかして、誰かがへっついてきたみたい。
どうやらミコちゃんは、メキシカン・ホイホイだったようだ

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