平均的アメリカ人が一生に何回訴訟に関係するか

平均的アメリカ人が一生のうちで訴訟と関係するのは何回くらいだろう?ふと思った。
ドナルド・トランプが抱えている訴訟3500件 
彼の会社が訴えているのは1900件。 訴えられているのは1450件。 破産訴訟とかのその他150件、連邦法だと169件である。

アメリカで一年のうちにファイルされる訴訟の数も統計にあるが、一般的なアメリカ人が人生で何回訴訟に巻き込まれるか、は統計に出てこない。検索場所か、検索ワードが悪いのか。

アイ子ちゃんは、アメリカで暮らすなら身内に弁護士がいなけりゃ怖くて暮らせないじゃない。と言って、自分の旦那を弁護士にした人である。私が知っているだけで少なくとも交通事故の訴訟で2回、学校関係で1回やっていると思った。

〇谷さんの奥様は壁の塗り替えを日本人業者に頼んだ。そしたらアシスタントのメキシカンが家具を部屋の中央に集め、上から汚れ防止にビニールをかぶせ、(ここまでは良かった)そのビニールを紙テープで止め新品のカーペットの上からカッターで切った。新品のカーペットがカッターでズタズタ。

業者が言い訳ばっかり言うので「日本人だからってタカくくっているならなら訴えるわよ」日本人業者が焦って新品カーペットを保証した。これは訴訟にならなかったが、〇谷さんの会社が日本の特許を持っているアメリカの唯一の代理店なので、アメリカ人がチャレンジしてくる件が多かったそうだ。

アッコちゃんはマネージャーとしてスモールコートに証人として何回も出廷した。パートタイマーのアメリカ人がオーバータイムがついていないと一発でスモールコートに訴えてくるから。

〇子さんは、客に会社のサービスのネガティブなことをしゃべって、会社からワーニング・レターをもらい「もう一度このようなことがあれば解雇もありうる」という文言を脅迫だと訴訟をファイルするとか騒いでいた。

訴訟には被告と原告と双方の弁護士がいるが全員日本人だと、同じ場所でバッティングして気まずくなったことがある。日本人が集まる場所は限られているから、お互いこれはもう避けようがない。

一度も原告にならず被告にもならずに平和にアメリカで人生を全うできる人がいれば、きわめて幸運な人なのだろう。(集団訴訟は数にいれないとしての話。集団訴訟を数に入れると、たぶん一生訴訟に関係しない人はアメリカにいなくなってしまうから。)

訴訟にならないまでも、諸庁諸組織にcomplainをファイルした経験のある数ならもっと多いだろう。

渡米して3年目に救急車で救急病院に運ばれ、ERの担当ドクターに「肝臓の数値がすごいことになってる。なんで飲むんだ!」って怒鳴られたからおばちゃんもつい反応して「曰く言い難し」と怒鳴り返したら、カルテに反抗的って書かれた。

なんでそんなことを知っているかといえば、チャート(カルテは英語ではチャート)のmedical releaseをかけたから。ドクターが持っているすべてのレコードをコピーして取った。

このERのドクターKelvinにはチャートにその他ないことないこと書かれてしまい、のちに大変なことになったのでおばちゃんはCalifornia Medical Boardにコンプレインをファイルすることにまで発展した。

コンプレインは受理されなかったが意見書が返ってきて例えば事実が疑わしいものであってもドクターが信じるところをメディカル・チャートに記述した場合、訂正を求めることはボードとしてもできがたい。とボートの意見が述べられていた。

そうか、。渡米して3年目だったしおばちゃんもよく考えずにしゃべったことを記録されてしまったのであった。端的に無防備であった。
アイ子ちゃんも同じような経験をしていて、こちらは交通事故だったが、ぶつけられて同乗していた10代になるかどうかの子供が最初にポリスの事情聴取に応じて話したことが調書に載ってしまい、子供の勘違いを訂正しようにも弁護士の旦那の力でも、がんとして修正できなかった。
アメリカでは用心深くあらねばならぬ。おばちゃんは心に誓った。

次は、日系だというだけでかかりつけに登録したドクターは3分診療どころか1分診療。こちらの症状を話し終えたときにはドクターは処方箋を書いていて、受け取って顔を上げたらもういなかった。
ある時、おばちゃんは耳の調子が悪くて耳鼻科の専門医に診てもらいたかった。ところがこの時のHMOという管理健康保険は患者はまずかかりつけの内科医にかかることになっていた。

HMOは保険会社が医療費を抑えるためにできたシステムで、かかりつけ医が患者にジャンジャン検査をすると金がかかるので、できるだけ検査をしない。専門医にも回さないようにする。患者を専門医に回すとかかりつけ医のHMO内の評価がさがるっていう噂もあった。胃が痛い、じゃあ制酸薬を処方して様子を見ましょうね。胃がんが悪化して死亡なんてこともあった保険システム。

この内科医が専門医に回したほうがいいね、と紹介状をだして初めてHMO内の別の専門医に掛かれる。
この日系ドクターに耳の不調を訴えて耳鼻科で聴力テストを受けたいと言ったら、こいつは簡易聴力テストの器具をとりだしてポンポンと3回鳴らした。聞こえますか?そりゃ聞こえるわさ。じゃ、異常なし。なんだって?たった3回よ。

この日系ドクターはウナギのようにすばしっこくアッという間に診察室をでて次の患者に向かっているのだ。おばちゃんはナースを捕まえて、話は終わってないと抗議するのだったが「ケエレ」と言われて切れた。

かかりつけ医に登録した後に、この日系医のうわさでいいものは何もなかった。どうもボンクラでアメリカのメディカル・スクールでやっていけなかったからフィリピンの医学校を出たとか。患者に心電図の大きな装置をしょわせて何日か検査させてたのにスイッチを入れるのを忘れていたとか、誰さんが手遅れでなくなったとか、。

登録したかかりつけを変えるには手続きと時間がかかる。
ましな医者に代わる前に言いたいことは言ってやろうと、HMO保険にcomplainをファイルした。
このドクターに苦情を寄せるのはおばちゃんが初めてではなかったのかもしれない。割と早く保険会社からhearingを開くからと通知が来た。そのころには別の医者に登録をして耳の検査も済ませていたから、怒りのエネルギーもしぼんでいた。

Hearingを開くってHMOもかなり本気で受け取ってるよ、どうするやる?ってテリーさんから聞いて、あの医者の評判も随分落ちただろうからもういいやって、そこで手じまいにした。

家を買った後は、住人とアソシエーションがビルダーを訴えていてセトルした後だった。壁が設計図より薄いとか、断熱材が入っていないとかバスタブに穴が開きやすいとか様々な手抜き工事が明らかになって、ビルダーが無償で補修工事を行うことで決着していた。

先人の日本人おば様によれば、このごろはビルダーは家を建てた後は会社を解散して家を買った住人が訴えようとしてもも会社が無くなてってできないことが多いのだと。ウチの家のビルダーは逃げ足の遅い奴だったので住民に捕まったのだった。ラッキー。

EDD(Employment Development Department)の裁判はインナー裁判だった。永住権を取った後、イミグレがおじちゃんのステータスをビザから永住権に書き換えるのを忘れたので、失業保険が下りなかった。もぅ、アホみたいなイミグレのミステークで裁判をやった。

ライセンスを持っていないエステティシャンにレーザー治療を受けて色素沈着しちゃったときは、おばちゃん自分で裁判をファイルした。自分訴訟というやつ。
相手は金を持っていないとわかっていたから少額裁判にした。自分でできるセルフ裁判な~んてウエブがあったので、おばちゃんはお昼寝をする代わりにせっせとページを読んで手順を踏み自分で裁判をファイルした。裁判の当日にコート外で和解したけど全額分捕った。勝負には勝った。

アメリカでずっと死ぬまで暮らしていたらあと何回裁判に関係しただろう?被告には一度もなっていないが、その後も訴えられずに一生を全うできただろうか?商売を続けていれば難しかったのではないか。

ちょっとのきっかけで訴えてくる社会は社会としておかしいではないかと、正論を言ったところで、自分がまっとうに生きていても訴訟は降りかかってくるものだと覚悟したほうがいい。訴えられて何もしなかったら確実に負けるのだから応戦するしかない。

おばちゃんのカンでは平均的アメリカ人は訴えたり訴えられたり、3回~5回くらい?人によってはもうちょっと多いかな。

集団訴訟は通知が回ってくるからこれは数のうちに入らない。
口座がある銀行だとか、物を買ってユーザー登録をした人だとか、サービスのアカウントがあるからとか、。弁護士団が勝手に住所を調べてくれて、こちらにお知らせを送ってくるからサインをして送り返すだけ。あとは弁護士団が和解金を分捕って分配してくれる。もちろん自分たちもたっぷり懐に入れる。

日本に帰国してからも一件、銀行の「和解金の小切手」が追っかけて届いた「125ドル」転送住所をあっちこっちさまよっていたので、伊豆に届いたときは有効期限が切れていた、。かなし~い。
おばちゃんが参加している集団訴訟で係争中がまだ一つある。いくら配ってくれるか楽しみ。


クリスマスの奇跡

少額裁判 外伝 秘書を突破する方法

さてコンピュータースキルはおばちゃんをすごく助けてくれた。

例のエステティシャンのせいでコートに行くことになってしまったが、彼女の違法行為を立証するのはなかなか難しかった。密室で第三者がいなかったのね。幸いと言うかおばちゃんはエステで施術を受ける2時間前に整形外科にボトックスを射ちに行ってた。クーポンを配ってて安かったんだよ。

ドクターが注射を打つ前におばちゃんの眉間(マイクロソフトのおかげで皺が深くなった)を撮影し、注射を打った後にまた写真を撮った。
そうだ!あの整形外科のカルテ・コピーがあれば、少なくとも同日2時間前の顔にレーザーの跡はなかったことが証明できる。

おばちゃんは早速整形外科に電話し秘書に要件を伝えたが、断られた。この国では患者にMedical Releaseの権利がある。自分のカルテをコピーしてもらう権利がある。それなのにこのドクターも秘書も外国人で患者の権利に疎いらしい。困ったわ。

おばちゃんは手紙を書いてカルテのコピーが欲しい。コピーなどの事務費は払いますとクリニックに送った。秘書から返事がきてドクターはこのような要求を受けません。患者の権利を知らないらしいクリニックにホントに困ってしまった。

弁護士を使えば確実にMedicalReleaseはとれるけど、証拠固めの段階でコスパが悪すぎ。おばちゃんはどうしたらドクターKに直接こちらの要求を伝えられるか考えた。電話では秘書の壁が突破できないから郵便を使うしかない。

秘書が封筒を開けずにドクターに渡すようにするにはどうしたらよいか?
この国で暮らしていてビジネスをやっていて一番緊張する郵便物はガバメント系である。

白の横長サイズ10封筒で左端に州のロゴが付き、差出人の役所フォントはHelveticaだ。税金の未払いとか、ライセンスの更新とか、クレームの通告とか、。秘書にはさわってほしくない封筒であったりする。

そこでPhotoshopの出番である。まず同心円を書きフリー画像でギリシャの女神像を拾い女神の背景にリンゴの木かなんかを配置する。オレンジの木だと詐欺罪に問われるのも嫌だからね。

パイナップルでもよかったかも。同心円の間にネットで拾ったラテン語を円のカーブに沿わせて配置する。

確か「税金は払ったか」だったような気がする。ロゴの下にはこれまたラテン語で「鉄は熱いうちに打て」を配置した。
そのロゴをサイズ10の封筒の左端に印刷し宛名は無論ドクター本人宛てである。

中の手紙にはMedicalReleaseは患者の権利であるので私のカルテのコピーと顔の写真を送ってくださいとお願いした。事務費として10ドルの小切手と返信用封筒を同封した。返事が来た。チャンとカルテのコピーが入っていた。小切手はそのまま返されてきた。


カバーレターがあってドクターKは何故かすごく怒っていたみたい。おばちゃんはOCに住んでるから封筒に住所OCと書くのは不思議じゃないし自作のロゴはメディカル・ボードや州政府とは似ても似つかないから、おばちゃんは何も間違ったことをしていない。

United フライト3411

April 9, 2017 
ユナイテッド航空機からアジア系のきゃしゃな乗客がシカゴの警察官によって飛行機から引きずり出される映像が世界中に流れた。
おじちゃんとおばちゃんは映像を見た瞬間、お互い目を見合わせこれぞ千載一遇の瞬間!と同じことを思った。アメリカ生活が長すぎたんである。

このベトナム系のDaoというおじさんは生涯もう金に困ることはない、ユナイテッドが大しくじりをしたんである。
男性が67歳ベトナム系アメリカ人のドクターで、きゃしゃでまったく抵抗せず警官が彼を座席から引きずりだすときに鼻の骨を折り、歯を2本なくし裂傷を負い、血を流す動画が撮影されてしまった。被害者としてのプロフィールは100%完璧。

彼の入院した病院には全米から弁護士の電話が殺到したであろう。彼の自宅にも弁護士が押し掛けたであろう。 Contingency成功報酬でやります!ぜひうちの事務所へ!誰もが同じことを思った。

これだけ完璧な動画という証拠があると、ユナイテッドのレギュレーションなど吹っ飛ぶ威力がある。ユナイテッドのCEOはOscar Munozが次の日「オーバーブッキングによる乗客の退去の手順に従っただけ。乗客は反抗的で好戦的だった」声明を発表して世論に火を注いだ。

ユナイテッドの株価は0.2%落ち、2日後にユナイテッドは許されることではなかった。と謝罪した。大統領のトランプさえユナイティッドを批判した。

事件からたった半月で2017年4月27日ユナイテッドとベトナム人ドクターDaoはamicable settlement 友好的和解をしている。和解額は不明だ。

これほど完璧な被害者=原告もないし:もし、被害者が何か瑕瑾がありそうな人物だったらユナイテッドがまず徹底的に洗っただろう。そして若いころの逮捕歴とか麻薬の使用歴とか穿り出して、世論に対抗しようとしたかもしれない。
でも、このDaoはドクターで、華奢、無抵抗でこれ以上ないという理想的な被害者でPlaintiffなんだわ。ユナイテッドのような一流企業は弁護士も超一流がついている。ちょっとした事故では市中の弁護士などユナイテッドに歯が立たない。

この時は、アメリカの成人人口の2億6千万くらいが「やったな!」と思い
120万人くらいが、「チクショウ!どこの弁護士が取ったんだ?こんな美味しい案件」と悔しがり
3千人くらいのユナイティッドとシカゴ警察関係者が、早くSettleしてくんないかな?と頭をすくめていたと思う。

長引けば長引くほど動画が繰り返し人の目に触れ、陪審員裁判になったら、懲罰的賠償金額がどんだけ吊り上がるからユナイテッドの関係者と弁護士は気が気でなかっただろう。二桁くらいかなぁ?

アメリカに行ってすぐ覚える日本の教科書に出ない英語第一。
「SUE」「スー」この上なく覚えやすく脱力するような優しい響きだ。
スー なんだか抜けてた発音ね?と言っている間はアメリカになじんでない。

I sue you と言われたら So, do Iとでも返せるようになってThen, see you in the court.で一人前。間違ってもテニスなんかやらないよ。

アメリカのお役所と戦う

日本は物事がするする運んでスペースシャトルを打ち上げるアメリカが、なんでトラブルばっかりだったんだろう。役所のミスも多かった。

友達はDMV(免許車両登録局?)で免許試験をパスし、1月経っても免許が届かないのでアメリカ人の夫とDMVに問い合わせに行った。
窓口のおばちゃんは「アンタは試験に落ちてる」と言うのである。彼女はテストに受かった時にくれる引換証を見せても、とにかくDMVのコンピューター・システムには彼女がパスしたというレコードがない。
でもここにパスした引換証があるじゃない!と言ってもとにかくシステムがそうなんだからどうしようもない。

そんなのおかしいわ。彼女は窓口で激高して、だが旦那はあきらめた。6フィートのスカンジナビア系の旦那に襟をつかまれてズルズル窓口から引き離されて、その間中、彼女は:I hate America. I hate Americaと叫び続けたという。

結局彼女は、DMVがテストに落ちたと主張する日には日本にいたという証拠のパスポートを提出して無事免許証を手にした。

私が何回目かの免許更新の時、写真撮影のラインに並んでいたら隣のカウンターに80歳くらいのよろよろしたじい様が、紙切れを持ってカウンターの女の子に差しだした。アジア系の女の子は受け取って、ポンポンハンコを押しテストに合格したから、これは本免許が届くまでの臨時のレシートよ、と2枚つづりの一枚をじい様に差しだそうとしたときには、じい様すでに踵をかえして出口に向かおうとしていた。

女の子はヘイ!グランパ、と呼びかけたのだがじい様は止まらなかった。耳が遠かったのだ。女の子はハンコを押した紙をなんと、Whatever!ひらッとその辺にほかしたのだ!

移民局には書類を無くされた。プロセスの最後の健康診断をパスして、書き留めで移民局に送り無事配達のレシートも届いている。それなのに移民局からの通告書には健康診断書が提出されていない。
提出せねば移民申請を取り消すなどと高圧的な通知を送ってきた。移民局と争っても無駄だから健康診断書をもう一度送んなさいとアドバイスされた。

おじちゃんの場合はもっとひどかった。グリーンカードも受け取っていたのに、移民局はビザから永住権にレコードを書き換えるのを忘れた。おじちゃんは知らない間に、ビザ切れで違法状態になっていたのである。


それが分かったのは、おじちゃんの働いていた会社が日本に撤収し失業保険を申請したときだった。EDD(労働局?)は何度移民局に照会してもおじちゃんの永住権ナンバーはなくて、ビザは失効しているからケースはクローズすると。そんな馬鹿な。

事情を確認するためにはまず移民局に行かねばならない。移民局の予約を取るのは大変だった。予約を取るだけのためにオフィスの玄関にある予約システムで予約を取って、当日にまた来てやっと建物に入れる。おばちゃんは、永住権を申請していた3年間の移民局とやり取りした書類をすべて持参して窓口に辿り着いた。

窓口の女は、コンピューターを検索しておじちゃんのレコードは永住権が取れたときにビザから永住権に書き換えるのを忘れていたようだと言った。
そうか、おじちゃんはもう一度EDDに失業保険を申請するので、移民局がステイタスのアップデートを忘れたというステートメントを書いてくれと職員に言った。
やらない、と職員は言った。
では、移民局が間違えたのだという証拠を出してくれと言った。
ありません、と言った。

ねぇあんた、移民局が間違えたのは確かで、おじちゃんはEDDに失業保険を再申請するためには移民局のミステイクだと証明しなくちゃいけないのよ。分かる?

すると、窓口は移民局はいかなるステートメントも書かないし出しません。と言い切った。
じゃあ、どうすんだよ。あんたたちが間違えたんじゃん。職員はさすがに可哀そうだと思ったのか、ガバメントはいかなるステートメントも書かないけど、この窓口の私XXXという名前の職員が、レコ―ドのアップデートを忘れたようだと言っている。
と、アンタが自分でステートメントを書け。と言った。

おばちゃんはふざけるなと思ったのだが、じゃあ、おじちゃんのステータスはアクティブな永住権であると証明をしてくれと言った。そうしたら、レコードはすでにアップデートされている。証明も出す気がないのだった。

EDDの失業保険の再申請を認められるためには、最終的に裁判をするしかなかった。

EDDを訴える

EDD(労働局?)を訴える以外失業保険の再申請が出来ないと分かったので、おじちゃんは裁判をファイルした。大事な裁判だし、ここは通訳を頼んだ方がいいだろう。ガバメントのインナー裁判なので言語サポートとして料金は無料だった。

おじちゃんとおばちゃんはジャケットを着て、指定されたガバメントのビルの一室に辿り着いたのだが、そこは、、、、、。

チェックのシャツを着て袖をまくりあげてジーンズを穿き、ぶっといベルトをしたどこから見ても建設作業員みたいなおっさん達がうろうろしていた。誰もジャケットを着ていない。ここは本当に裁判室なのか?

時間になると別室に呼ばれて、そこには太った白人の裁判官?がいた。紺色の幼稚園児が着るようなフロックを着ている。普通のオフィスのようでデスクが一つ部屋の真ん中にあり、イスが向かい合わせに置いてあった。

通訳はどこだろう?後から来るのかな。裁判官はおじちゃんのファイルを取り出すと、氏名を確認した。おばちゃんは通訳を頼んだのですがと言うと、
そうだね、ではとデスクの上の電話の受話器を取り上げた。
えぇ?電話?!
ああ、君が予定の通訳かな?スタンバイしてくれ。では始めよう。
と電話の3ウエイボタンを押した。

裁判官は私たちに向き合ってこう言ったのである。
Well, appellant 何が起こったか説明してください」
それから電話のスピーカーがたどたどしい日本語で
お客さん、今日はジャッジが聞きたがってあります。しゃべるあります」

おばちゃん、椅子から転げ落ちそうなほどびっくりした。原告・訴人Appellant が“お客さん”!?法廷通訳が法廷用語を知らずにどうして、通訳ができるのだ?こんな通訳に任せたら勝てるものも負ける。
真っ青になった。

それでジャッジに、私はこの通訳がしゃべっている日本語が分からない。この人の日本語より私の英語の方がましだから、私が英語で話します。すると、ジャッジはあなたはすでに通訳を選んだのだから、認められない。と

しかし、ジャッジの質問ひとつ毎に通訳からはファニエスト外語学院みたいな日本語が電話から流れてきて、おばちゃんはおじちゃんと顔を見合わせ、ジャッジに英語で何を言っているのか分からない、ジャッジに直接英語で質問に答えた。

EDDは主人の永住権ナンバーがないと言っているのですが、主人は永住権を持っていてこれがグリーンカードです。移民局で確認したところグリーンカードに切り替える時ステイタスのアップデートを忘れたのです。

EDDの間違いではなく、移民局がミステイクをしたのです。
その頃にはジャッジは電話から聞こえる通訳の英語を無視して、何だと、グリーンカードがあるのに失業保険を拒否しただと!
話にならん。馬鹿げてる!木槌をバンと叩いておじちゃんのケースは決着した。

アメリカで訴える1

弁護士のフジツボ村
それはビジネスが安定し始めて、3年ぶりくらいに半日休んで友達の集まりに出たのであった。自分にご褒美を上げるつもりで。そこで、友達の顔におかしな斑点があるのに気が付いた。勘のいいひとはお分かりだろうが、レーザーである。

日本人は頬・かん骨部分にシミができやすい。美白クリームを試すより、レーザーで焼くのが手っ取り早い。ただ、おばちゃんはその時初見でなんだろうと思ったのである。まずいくらか値段を聞いた。友人は顔全体で$350。カサブタが取れれば赤ちゃんのようなピンクの肌に戻るの!私は早速電話番号を控えた。

次の週に紹介されたエステで施術を受けた。ところが、カサブタがとれたにも関わらず、ピンクの皮膚でもなく薄茶色の肌が見えるばかりである。ダウンタイムがあるから、しばらく待たねばならいそうだが、。結論から言うと、シミはとったがその痕がレーザー焼けで色素が沈着してしまったのである。
Pigmentationという。

おばちゃんはいろんな薬や美容液を試したがついにUCLAの皮膚科の専門医に行った。大損害だわ。調査して分かったのは、カリフォルニア州でレーザー器具を操作できるのは医師だけである。

つまり、施術者のエステティシャンは、もぐりでレーザー治療していたのだ。おばちゃんはエステティシャンの監督庁California Board of Barbering and Cosmetologyにクレームをファイルしたのであったが、はかばかしい返事が来なかった。

CBBCはほっておいて、おばちゃんは弁護士を探し始めた。Medical Malpractice専門の弁護士である。
例によって、友人の弁護士に聞くと一人紹介してくれた。地図のプリントアウトを頼りに探すのだが、該当の番地の枝番がない。

おかしいなぁ、間違ったかな?おばちゃんは何度も弁護士事務所に行ったことがある。どこも、高層ビルか高級テナントに入っていた。
通りは住宅街で目に入る限り、玄関に芝生1階か2階建ての民家。どこにもビルがない。ぐるぐる回ると商業用ビルが見つかった。駐車場に止めて、とりあえず番地を聞いてみようとした。

クリニックのような作りだ。古い。ドアを入ると、驚くべきことにそこは本当にむかし歯医者かなんかクリニックだったようで、まさに昭和のお医者さんのようにすりガラスのちっちゃな引き戸の窓があり、まぎれもなくAttorney At Aawと書いてあって。超混乱しながら引き戸を開け、誰かいませんか?と呼ぶと白人のおばちゃんがハァ~イと出てきた。

おばちゃんにこの住所を探していると尋ねると、該当の場所を教えてくれた。指示通り車を走らせると、そこには。通りの両側は突き当りまでず~と、先ほどと変わらぬ住宅街である。

さっきは気が付かなかったが、それぞれの家のフロントの芝生には全部看板が立っているのだった。
Attorney ,, Law Office, Lawyer, Leagal Servies,,,,見渡す限りの民家はすべて弁護士オフィスであった。ひええっ!

時間が迫っていたので、家?(オフィス)に入るとリビングにテーブルが一つ電話が一つ。白人の秘書がいた。あなたの予約はスーザンだから右のドアを入ってね。もとはクローゼットだったのではないかと思うちっちゃなオフィスにはスーザンがいて私があれこれ事情を説明していると、

天井でゴンゴン足音がする。二階の弁護士。
スーザンは始終キリッっと背筋を伸ばして話を聞いてくれたが、残念だけど、ウチはそもそも1万ドル以下のケースは扱わないから。1万ドル以上のケースに沢山恵まれているようには見えなかった。

二階のベッドルームは2つか3つ。3人から4人の弁護士が一軒家をシェアし秘書を共同で雇って玄関に看板を出しているのか?
一歩家(オフィス)を出ると、見渡す限り道路の緑の芝生の両側には似たような民家が通りのはしまで並んでおり、おばちゃんはそれらの白い家が、岩にへばりついているフジツボのように見えたのであった。

弁護士あるある

弁護士資格を持っていれば一生食っていける優秀な人、でもなければ、すべての弁護士が高収入でベンツに乗っているわけでもない。それは弁護士でも優秀な上位5%の話である。

アメリカの弁護士でオフィスは間借り、車はトヨタ。、いや仕事がなくてタクシー運転手をしているなどの下位もいるのである。

弁護士!と叫ぶ。
契約書を読んでも自分の立場が分からないと、まず弁護士に相談することから始まる。

ある会社は、日本の習慣だった住宅手当をそのまま持ち込んでIRSからそれは給料だろうと突っ込まれて、どうなんでしょうと弁護士に詣でる。

ある人はビザのトラブルで、LAの有名な弁護士TXXXHIを訪れると、デスクの上には本物の砂時計があり、TXXXHIは話を聞く前に砂時計をひっくり返した。この砂時計は私も見た!

斜め向かいはGoogleのビルという超お高いオフィスでOCの弁護士協会BarAssociationから選んだ弁護士は、私がプロボノのクライアントなので、わかったようでよくわからない回答をして、早く切り上げたいのが見え見えだった。プロボノでなかったら10倍の料金が取れるから。

友人はある日曜の朝突然、自宅に引っ越し屋が現れて寝ぼけている顔に奥さんから”私、離婚したいの”と言われた。あれよという間に3人の子供と家具家財が目の前でどんどん運ばれ思考が停止した。次の日、離婚弁護士に電話を掛けて7時間も話を聞いてもらい、1週間後に電話相談の$20,000の請求書を受け取って、さらに呆然とした。

おばちゃんが怪我で入院中の知り合いを見舞って、地下のカフェテリアに寄るとジャケットを着た男が、いろんなテーブルに止まって立ち話し、何かをテーブルに置いて次のテーブルに向っていた。
弁護士である。

入院するほどの怪我だと、車の保険とか相手方とかディープ・ポケットが狙えるのである。

law

ひどい弁護士になると、莫大な弁護士請求書の明細にランチや朝食のドーナツ代などが含まれていて、なんだぁランチまでぇ?弁護士はシレっと、問題を解決するために自分の時間を費やしているのだから当然だと開き直る。

シャークだのスクルージだのぼろくそに言われ嫌われるのも弁護士である。血管をたててアメリカをダメにしたのは、弁護しだ!と真顔で力説するアメリカ人のおじちゃん。
ところが、身内家族が弁護士になると、ころっと評価は変わって、息子よ、よくやった!と父ちゃん喜ぶ。弁護士あるあるである。ウチも息子にほしい。

弁護士の敵は弁護士である。やわで経験が浅い弁護士が クライアント客に書いた婚前契約/プリナップ(Prenuptial Agreement)をカミさん方のタフな弁護士に破られてクライアントはカンカン。”あんたはこの契約書で大丈夫だと言っただろ。みろ、彼女に半分財産を持ってかれたじゃないか!”

カミさんが雇った弁護士費用もダンナが払うのである。泣くしかない。
ウチ(法律事務所)が書いたプリナップは破られません!最強です。
プリナップならXXX法律事務所へ。 
弁護士広告である。

知り合いは知らずに入居した家の大家が弁護士だった。トラブルが発生したとき、知人弁護士に相談した。ところが、通常の賃貸契約に見えた契約書はよく読むと、大家側が何でも好きなようにできると書いてある。

ムリ!都合7人の弁護士が契約書を読んだが、みんなサジを投げた。大家は現役LAの弁護士で、彼女の父は大きな不動産を経営するしかも引退したLAの判事だった。ムリ。彼女らの経験の粋を凝らして作成した契約書は鉄壁だった。

おばちゃんも何度弁護士!と叫んだことか。どこのナニ専門の弁護士か?
強ければ料金は高い。専門が広くてなるべく自分で払えそうな弁護士を探すのだ。

自分でやろう少額裁判  アメリカで裁判をする2

さて、違法レーザー治療で色素沈着が起こってしまって弁護士も一万ドル以下では動いてくれそうもないと思い知らされたおばちゃんはどうなったか?

お肌のダメージは、UCLAの皮膚科専門ですごいクリームを処方され、レーザー焼けはすっぱり治ったばかりか、顔はつるつるピカピカ、皆にどうしたの?と聞かれるほどだった。
そのドクター処方の漂白クリームはめっちゃ高かったし、日本から取り寄せた化粧品やサプリも笑って忘れられる金額ではない。

そのころ、エステティシャンを紹介してくれた知り合いの噂が聞こえてきた。彼女のシミも焼いたあと色素沈着したので当のエステティシャンに戻って相談したら、フォローアップとしてもう一度焼きましょうと提案されもう一度レーザーで焼いたそう。

おばちゃんは、色素沈着はレーザー焼けというものであること。メラニン色素が多いアジア系でしかも年齢が高くなると、色素沈着の確率は70%まで上がる報告があること。
そのそもカリフォルニアでレーザー治療を許されているのはドクターだけで、エステティシャンの行為は違法。皮膚科の治療を受けたほうがいいよとメールで連絡したのだが、遅かったみたい。

私の他に知り合いを何人も紹介していたようで、悪い報告があっちこっちからあり、彼女はノイローゼ状態になってしまった。彼女に専門家医やクリームの情報を送ってエステェティシャンの監督官庁California Board of Barbering and Cosmetologyにクレームをファイルしたことも知らせておいた。信じられないことに、件のエステティシャンはまだこっそり営業を続けているようだった。

CBBCはエステシシャンの免許監督官庁でクレームが認められたところでCBBCがおばちゃんに被害額を補填するわけではない。おばちゃんは強盗でもなければゆすりでもないからレザー治療の費用と回復にかかった実費を本人から返還して欲しいだけだ。
よほどの大事件でもない限り、「慰謝料」と言うものはカリフォルニアでは認められないので、実費だけ。ん~ん、そうするとやはり損害額としては少額裁判に訴えるしかなさそう。

お昼寝をあきらめる Do It My Self

おばちゃんはとにかく勤務時間が長い。自由になる時間がお昼過ぎの2時間くらいしかない。お昼寝をあきらめて、おばちゃんは少額裁判を自分でファイルすることにした。DIYのお国柄、自分裁判のヘルプページは沢山あった。おばちゃんは昼寝の代わりにそれらのページを順番に研究し、しかるべき手順を踏んでいくのである。

第一段階Demand Letter
おばちゃんはセルフヘルプにかかれている通りエステティシャンに実費の返還をリクエストする手紙を送った。レーザー治療によって、色素沈着になったこと。専門家医の診断と治療を受けたことを述べて、レーザー施術の費用と回復にかかった実費を求めた。

3―4日あと電話がかかってきて”色素沈着になったなら、私がもう一度施術をしたのに!”と、違法行為の本人が反省のかけらもなく、さらには専門家の診断は本当か?診断書を見せろと言ってきた。
診断書はもちろん取ってあったが、弁護士の要求でもないので見せる必要はない。手紙にドクターの情報を書いてあるのだから、自分でコピーを取れと言った。取れるはずはないのだが、。

次の日の同じ時間に、また電話がかかってきてカルテのコピーが取れないじゃないか!彼の国の言葉と金切り声でもう何を言っているか分からないのであった。

赤の他人がカルテの開示を要求できるはずはないのに、どうして知らないのだろう?違法施術といい個人情報守秘のルールなどの欠如といい、基本的な法治国家の知識に欠けているようで、おばちゃんは頭をかしげた。バカなんだろうか?取り合えずは第一段階修了である。

第2段階 請求書

時系列に沿って支払った費用と明細を記入しすべてのレシートのコピーも同封した。カバーレターには2週間後を期限として支払いがなければリーガルアクションを取ると締めくくった。

10日後くらいに大き目の封筒が届いた。彼女の弁護士からだった。Kimナンとか事務所だった。弁護士のオッファーは、彼女の施術料の返還と専門家医の治療費だけだった。話にならない。

おばちゃんは専門家医に辿り着く前に、原状回復費用は倍かかっているのである。違法行為がばれればエステティシャンの免許は当然取り消し、カリフォルニアではもビジネスができないのである。
なめられているのだろうか?

紹介者の知人は2回も効果のないレーザーを受けその他の知り合いは色素沈着を人に言えず密かに泣いている。ここでセトルしてはこいつはきっと違法行為を続けるだろう。おばちゃんはオッファーを蹴った。

第3段階裁判のファイル
少額裁判所はすごく近かった。昼寝をする代わりに、ちょっと出てくるとおじちゃんに断っておばちゃんは裁判所に着いた。短い行列があって、前のアメリカ人おばちゃんはノースリーブのシャツに短パンでサンダルを履いていた。

窓口からあなたは何日が都合がいいの?あの日はだめだから、この日にして、と旅行のフライトでも取るような調子で裁判の日を決めていた。列の中でおばさんやおっさんはあなたはどんなトラブルなの?と世間話を交わしていた。

どの人も不幸そうであった。おばちゃんは水曜日の午前中が空けられるので水曜日を指定し裁判費用は確か25ドル?を払った。訴状のコピーと送達者のリストを受け取ったて、
何食わぬ顔をして帰った。おばちゃんは一安心して大きな間違いを犯してしまうのである。

送達
次の週の水曜日、おばちゃんは電話を受けて裁判の送達がされていないというのである。しまった~。そうだった。送達をしない限り裁判は開かれない。電話の主は送達サービスで、後2時間のうちに送達を行えば裁判ファイルリングは完了すると言った。時速80マイルくらいで送達サービス・オフィスに行きポリス送達を選んだ。35ドルくらいだったかなぁ?

制服のポリスが、彼女のエステを直接訪れ目の前で彼女の名を確認して裁判の収監状を渡すのである。送達はぎりぎり間に合って、後は待つばかりだった。


開廷
少額裁判には弁護士を連れていけない。ただし、通訳は別である。
おばちゃんは2世のトオル君を選び半日拘束100ドルで雇った。水曜日の午前中、おじちゃんにちょっと出てくると言ってでた。

コートの廊下には開廷を待つ人々が椅子に座って時間をつぶしていた。トオル君とその列の前を通ると中ほどに見たことがあるようなアジア系がおりよく見ると日焼けしてすごくブスになったエステティシャンだった。傍らの同じく若いアジア系男と何かひそひそと話をしていた。英語がほとんどしゃべれなかったから、こちらも通訳だろう。

映画で見るようなコートである。法廷吏が開廷を宣言して、次に呼ぶ氏名は送達がなされていないので、コートを出るように言った。40人ほど着席していたベンチシートから3人ばかり立ち上がった。一人の婆ちゃんは唇を突き出し、この上なく不満そうであった。送達を忘れなくてよかった!とおばちゃんは胸をなでおろした。

和解
裁判長が話す。
裁判と言うのは国の税金を使って行われるものである。(そうだ。そうだ)いまこの場で、セトルできるならそれに越したことはなく法廷外でセトルを望むものは別室があるのでそちらで協議し、決裂したなら裁判に進む。

何人かの名前が呼ばれ、立ち上がってコートを出ていくパーティがいた。
驚いたことに、おばちゃんの名前が呼ばれた!ビックリしているとトオル君がどうします?Mediateしますか?する。あいつらが何をオッファーするか聞いてから裁判に進んでもおかしくないから。

別室には小さなヨレヨレのじい様がテーブルの端に座り、我々とエステティシャンと若い弁護士それとも通訳?(たぶん弁護士事務所の関係者?)が向かい合わせに座った。

仲裁役のじい様にレーザー治療でダメージを被って原状回復を求めていると述べると、相手の通訳?があきれたことに美容レーザー機器のパンフレットを取り出して、じい様に見せこの機械は誰でも買えるし(当たり前だ、買うだけでは違法ではない)いかに安全かと力説した。

もう絶句である。
ギロチンの歯に自分で頭を突っ込んでいるじゃないか?バカなの?じい様にレーザー治療はドクターにしか許されていない。このカリフォルニアでは、。きょとんとするじい様に”違法なの!”

すると、通訳?が依頼人は誠実な人柄だが(どこが!)金がなくて要求された金額は払えないと泣き落としにかかった。知らんね。支払いができないなら、和解(Mediate)はなしで裁判に行くわ。裁判になったらおばちゃんはレーザー機械の現物押さえていないし、密室の施術だったので証人がいないので、違法行為の立証にかなり苦労する。

すると、弁護士は全額一括払いでは無理だから分割払いでどうだろう?と、例えば20回払いとか?おばちゃんは20回払い?アホかいな。と一蹴りしようと思って、しか~し彼女が毎月くやし涙にくれながら小切手に私の名前を書く。20回!も

それを想像すると、うっとりとなってそれもいいかな。トオル君がいいんですか?と驚くほどすんなりといいよ。と言った。

仲裁役はそれではセトルメントの書類を作成して双方のサインをしてもらう。法廷外の決着であったとしてもケースは公的に7年?保存されるのである。おばちゃんはショッピングモールに帰ると、おじちゃんに「裁判に行ってきた。勝負には勝ったわ、全額分捕ったよ!」と報告した。
おじちゃんは何が?と狐につままれていた。

OCコートに和解案がファイルされると、CBBC(California Board of Barbering and Cosmetology)がコンタクトをしてきた。裁判の結果を教えてくれと言うのである。

私がCBBCにクレームをファイルしたときは、ほとんど何もアクションを取らなかったくせに。彼女に対してクレームが他からもファイルされたから、だと。

おばちゃんがクレームをファイルしたときに、CBBCが素早くアクションを取っていれば、レーザーの犠牲者は増えなかったのだ。おばちゃんは原状回復の費用はすべて回収することで合意した。それがどういう意味か分かるでしょう?とセトルメントのナンバーを教えた。

TV Series Judge JUdy

ジャッジ・ジュディ
訴訟の送達が終わってから裁判日を待つ間に、実はとんでもない手紙が舞い込んできた。テレビ番組のJudge Judy(ジャッジ・ジュディ)のプロデューサーから。
興味のあるケースなので番組で放映させてもらえないだろうか?というオッファーだった。OKなら取材チームを送ると。

おばちゃんはジャッジ・ジュディは番組のジャッジの中では一番好きだったし、少額で争っているアホみたいなアメリカ人が、しょうもない論理を振り回してジュディーに木っ端みじんにされてふてくされてコートを出てゆく番組を腹を抱えて笑っていたから、手紙を受け取ってから動転してしまった。

おばちゃんのケースもアメリカのリビングで腹を抱えて笑われるほど滑稽なのだろうか?他人事は面白いが、自分が笑われるのはまっぴらであった。オッファーの返事はしなかった。

おばちゃんは誰にも裁判のことを話していなかったから、裁判の当日、開廷を待つ間に同じく待っていた気さくそうな裁判関係者に思い切って番組オッファーの話を明かしてしてみた。

ジャッジ・ジュディからオッファーの手紙が来たんだけど。
あ~、ジャッジ・ジュディ?
あの番組はものすごい数のオッファーを訴人に送るんだよ。
珍しくないよ。
そうなの!?よかった!特別笑われるようなケースじゃなかったんだ。

ランダムで送って、オッファーを受けたケースを番組にするんだ。
でも、例えば私がオッファーを受けたとしても相手方がNoと言えば番組にはならないよね?エステティシャンは違法レーザーがバレれば、免許がなくなるから間違ってもオッファーにOkするわけがない。おばちゃんは疑問が解けて、ひとまず安心した。

おばちゃんはこの事件以来日本のあるお菓子が苦手だ。お菓子の名前がエステティシャンと同じなので、目にするたびに記憶がよみがえってくる。
やりたくてやったわけではないし。

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