テン・ジュニア FIP闘病記9      バイアグラ秘話

10‣2日
体重は3240gで先週と変わらず。熱は平熱38.5度。
自宅のキッチン用・秤ではテンが暴れるので体重計測が不可能になった。私が抱いてタニタのに乗り、テンをおろしてからもう一度体重を計って差し引きする。一瞬3500gになった日もあったったんだが。

テンはこの1週間活発でよく動き食欲もある。投薬を再開してから3週間とちょっと。体重4キロはやはり無理な目標だったか。高栄養食も食べているのにアバラが触れる。テンにはなかなか筋肉と脂肪がついてくれない。せめて3.5キロは越えてほしいなぁ。

今日は採血をしたが、ウイルス薬の影響でFIPの所見は血液に出てこないだろう。だから薬剤の影響で肝臓・腎臓などに障害が出ていないのを確認するための検査だった。

見かけ上は正常に見えるがFIPが駆逐されたかどうかは、わからない。CTでも血液検査でも所見が出ないだろうから。
先月のように「12週が終わった、寛解です」と治療を終了して一気にウイルスが勢いを取り戻したような愚は繰り返せない。

テンの体重増加が治療の終了目安なのだが、その頼みの体重が停滞しているので止め時がわからない。
ドクターが提案したのは、薬量を今の20㎎から15㎎に減らしてみて様子を見る。もし元気がなくなればウイルスがまた勢いを盛り返してきた証拠かもしれない。
それはそうだ。それが唯一の判定方法か。難しいなぁ。ロシアンルーレットみたいだ。

先生、ほかのウイルス治療薬で併用できそうなのはありませんかねぇ?
まぁ、ウイルスのタイプが違えば効果があるかどうかはわからないので。う~ん、もう一つは、薬をMutainにしてみる手もあるかもしれません。

Mutainは特効薬の本尊である。
今使っているウイルス剤のモルヌピラビルは後発薬で薬の値段はMutainの半額だ。猫のFIPの治療薬はすべて政府から認定が降りていないので、本尊のMutainも後続薬もすべて中国からの個人輸入になる。

Mutainを持っていてFIPの治療にあたっている動物病院は限られている。
治療には薬代、検査料、診察料で軽く新車1台分を超える費用が必要だ。それでもFIPの寛解率は100%ではない。この治療費の高さと専門のクリニックの少なさ、が敷居となって猫FIPの治療は難しいものになっている。

テンのFIPのトドメを刺すために紹介状をもらって専門クリニックに行きMutainを処方してもらう。という手もあるとうちのドクターは言っているのだ。

標準の12週間投薬の必要はないかもしれない。
だが、専門クリニックで血液の精密検査、エコー、CTをすべてやり直し、カルテのデーター・コピーを出してMutainを処方してもらうことを考えると踏ん切りがつかない。ここまで快癒したんだから。8合目まで来たから。それにペット保険の限度額はすでに使い切った。

Mutainを持っているクリニックから、うちのドクターが薬を購入することはできない。薬事法違反でどちらの獣医も獣医師免許が取り消しになってしまう。

そうするとMutainの輸入代理店の情報がわかれば、私が個人輸入をするか、あるいはドクターがMutainの個人輸入をするか。いったい代理店はどこか?

その辺の情報は漏れてこないんですよね。
同業者なのに?
ん~~、同業者でMutainを持っている人で、聞けるような人がXXXにいますから一遍
その辺を聞いてみようかな。

おう!?先生、ぜひ聞いて。
教えてくれるか教えてくれないか、あるいは代理店に頼んでもテンの治療に間に合うかどうかわからないけれど。
とりあえずまた1週間はモルヌ20mgを処方してもらった。

―――ここから昔ばなしである。―――――――
今から30年ほど前、まだおばちゃんがアホウブだったころ。
アメリカのローカルの知り合いに石を投げれば、日本との輸出入の仕事をしていた誰かにあたった。

アメリカの工場から流出したナイキのシューズを日本に送る。
サーファー御用達しの人気Tシャツを日本に送る。
日本の物をアメリカに輸入する。
仕事のメインか小遣いかの規模の違いはあったが、誰もが輸出入を手掛けていたような時代だった。今、日本では何がブームか?

そこにバイアグラがでた。
アメリカでバイアグラが普及した時、日本ではまだ未認可で夢の薬だった。
ただ、未認可の薬でも個人輸入は自由だ。一般日本人は夢の薬!へぇ~~と思うだけだったのだが、勇気と〇欲に目がくらんだ日本人はアメリカ在住の誰かれの伝手を探す。
どうにかして輸入できないか、と。

この情勢を感じて抜け目ないわが同胞・在米日本人(誉め言葉)はさっそくバイアグラの輸出を開始した。一錠5ドルがいくらに化けたか?おおぴらに言わないが誰かが濡れ手に粟でボロもうけをしているらしいと噂があった。

輸出入と縁がなかった私にも、日本向けにバイアグラ輸入代理店のウエブ・ページを作ってくれないだろうかと相談が持ち込まれた。その当時はオンラインの代金決済が簡単でなくセキュリティ上の決済プログラムは私の手には負えないので断った。

代金の受け取りを日本親族にしておけばできるかもしれないけど、XXXさん、それはそうと一体バイアグラはどこで仕入れるの?処方箋薬じゃない?
へへっ、XXXcityの○○薬局ならあるんだよ。
私が輸出入のビジネスとはまったく無縁だったからポロっと口が滑って教えてくれた。
ここで終わっていればウラミを受けることはなかったかもしれない。

そのあと別な知人Aさんに会った時、案の定、彼も輸出入を手掛けていて、いま日本では何が当たるかなぁ?バイアグラだったら絶対当たるのに、。XXとか○○とか、バイアグラで当たっているらしいから。一体バイアグラはどこで手に入るんだろうな?

で、私はポロっとXXXcityの○○薬局だそうよ。と漏らしてしまった。
その後、別の関係者から、場が荒れるだろうが!と
グレたデューク・東郷みたいなおっさんから凄まれたのであった。
その後、在米者で手が出せるものは我もと手を出し、相場は崩れ日本でバイアグラの認可が下りた後はビジネスチャンスは消滅したのであった。
ウブで間抜けなおばちゃんでした、すいません。

ここで念を押しておくが、FIPの治療薬に関しては日本の個人輸入のクリニックではほとんど薬代マージンを取っていない。
これは確か。

アメリカでもファイスブックにFIPの治療グループがあって、FIP症状や治療法について情報公開をしているが、Mutainの値段に関しては為替を考えずに日本もアメリカも薬値はほとんど変わりがない。

山の猫友がFIPの治療をした時もMutain輸入時の値段と処方された時の請求書を見比べて計算したら「利」はほとんど乗っておらず、輸入した薬値と変わりがなかったと言っていた。日本の獣医さんは良心的で「治療薬」では欲をだしていない。立派である。

まぁ、バイアグラを欲しがる男から多少の利をとっても後ろめたさはあまりなかったかもしれない。当時の在米日本人を擁護しておく。

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獣医は3日前の血液検査の結果をひらひらさせて、
「何もないんですがねぇ。」と思い切り悪く言った。
しかし診察テーブルで計ったテンの体重は3キロ。
投薬終了宣言をしてからわずか7日で200g落ちた。
3200gしかなかったテンにとって200gの体重は大変なロスだ。しかも熱は39度5分ある。
「待合室でずいぶん待たせましたからぁ」と言い訳がましく獣医が言ったが、猛暑の外と違って待合室はキンキンに冷えていた。

諦めが悪い。
獣医は初めてのFIPの治療は見事成功!と夢にしがみつきたかったらしかった。ここで見切り発車してもねぇと、まだ名残惜しそうだ。

そこでおばちゃんは、確かに見切り発車かもしれないが、いま薬を再開しないとさらに症状は右肩下がりになって治療は難しくなる。テンは死ぬと思います。見切り発車でいいので今投薬を再開してください。投薬をしても害はないじゃないですか?

「ですかねぇ。
それでは16mgで薬を3日分出します。3日後にまた診察をいれて様子を見ましょう。」

その晩からウイルス薬を再開し、獣医から勧められた高栄養食をテンに与えた。Hills のadとういう栄養食は犬猫兼用で、小さなお試しサイズが無かった。幸いテンの好きなチキンフレーバーだったので普通食に追加して2日で1缶を食べさせた。3日目の診察では50gだけだが体重が増え熱は38.5分に下がった。

やっぱり。
虚弱で体力のないテンは体力をつけ薬の効果をブーストする必要があったのだ。
次の診察では薬の容量を18mg/体重に上げることにした。5日分の処方だ。
4日目に体重は3100gに戻ったので、次の週の処方量は20㎎で1週間分。
Adの栄養食とウイルス薬のおかげでテンはまた活発になり、毎晩紫音と運動会を繰り広げるようになった。薬が20㎎に増えてから2日目には体重が3300gに到達した。

テンの父はクリーム・タビーの大きなボスで、母はオカメ・タビーの胴の長い毛並みのつやつやした子だった。テンは発育不良でFIPを発症したが、遺伝子的には小柄な猫ではないのだ。

テンの体長は9か月で紫音とほぼ同じ、ただ、背骨と肋骨が浮いて見えるやせた体だった。高栄養食を食べさせ紫音と遊んで運動をして、投薬を再開してから2週間。体重はついに3400gを超えた。

うれしい。
薬はウイルスを抑えているようだ。
FIPを抑え込んで駆逐してウイルスから逃げ切るためには体重4キロを目指そう。しっかり発達した筋肉と脂肪を蓄えた基礎体力のある猫に育てればきっとFIPから逃げ切れる。

9・19 今日は再診で、体重を確認した獣医は驚いた。
FIP の猫は子猫が多くて3キロ後半を超えるような子はほとんどいないのだという。
FIP症例では体重3.8キロがモルヌピラビルの処方上限体重として載っているらしく、それ以上の体重のFIPの子を想定していないみたいだった。

FIPの発症が子猫に多くて、またFIPは発育不良を誘発するのでそもそも大きな猫に育ちにくいという理屈があるのではあったが、。

私としては症例にかかわらず、療養食とケアでテンを4キロ半に育てるのも夢ではないと思う。大きくして見せる。FIPを克服して丈夫な男の子に育てるのだ。

体重が増加するにつれて薬の処方量gと薬の料金が上がっていく。
今日でペット保険の使用上限に達した。来週から自費になる。

体重が4キロを超えると多分一日の薬代+高栄養食で4500円以上なる。2週間ごとの血液検査も簡易検査と精密検査では倍の違いがある。

ワッハッハ。
おじちゃんとおばちゃんのバイト代を足しても半月分に追っつかない。幸い為替はここ最近147円台に張り付いているので誠にありがたい。
年内はこのレートでいっていただきたいものだ。

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FIPは甘くなかった。

これで84日、12週が終わりました。治療完了ですねと、獣医が宣言したのが先週の月曜日だった。
天が薬を吐いた時用に予備でもらっておいたウイルス剤がまだ2日分残っており、何せ高い薬を捨ててしまうわけにもいかず、獣医が言うには2日分くらい飲ませても差し支えはないだろうというので水曜日の夜まで飲ませた。

これで本当におしまいなのか、何か気が抜けるような気がしたが子猫に返ったテンは「アン、アン」と上機嫌で鳴きながら紫音と走り回っていた。

木曜日も本当に治療はこれで終わったのか、テンのはしゃぐ姿をずっと目で追っていた。
金曜日は運動会のあとスイッチが切れるのが早く、土曜日の夜はお気に入りの場所の猫タンスの上に飛び乗ろうとして右後ろ脚が滑ってよろけた。

日曜日は昼寝が長く、夕方も昼寝してご飯を食べるときは起き上がるが、座っている後ろ右足がかすかにふるえていた。体重は3.1Kに減った。寝ているテンの頭に手をやると熱いようだ。寝てばっかりいて一緒に遊ばないテンに不満な紫苑が、人間に向かって遊べとヒステリーを起こす。FIPが発覚する前の5月と同じ状況がよみがえってきた。

次の月曜日に診察。
熱があるかもしれないこと。体重が減ったこと。昼寝が増えたこと。元気がないこと。足が震えること。獣医に説明してもう一度血液検査をしてもらった。総蛋白とアルブミンのバランスがわずかだが下がっていた。

獣医はこの数値の下がり方ではまだ再発とも言えません。さらに血液検査を外注の精密検査に回してもらう。投薬が終わったのはわずか5日前だ。数字に出てくるだけの違いはないかもしれない。
獣医が再発と考えたくない気持ちはわかる。

私は再発ではないと思う。これは再発ではなくてFIPウイルスを完全にたたききれなかった完治していない状態なのだろうと思う。完治してはいなかった。

考えてみれば、テンは2か月の時に600グラム足らずでうちにひき取ってきた。手だけに真菌があるというブリーダーの説明とは裏腹に体中に真菌にまみれていた。獣医の診断では発育不良で無事に育つかは半々と言われた子。

おじちゃんと二人がかりで薬を塗り毎日マットを消毒して4月でやっと2キロを超えた。隔離を解いて紫音とやっと遊べるようになったテンは標準体重の子猫にはとても追いついていなかった。5月には寝るのが多くなり膀胱炎になりそのあと高い熱を出した。
この子は健康で体力がある時期がほとんどなかったのだ。

FIPの診断が出た後、発覚が割と早かったし若いから治療のチャンスがあることに賭けた。
モルヌピラビルは効いた。ただ、FIPも甘くなかったのだ

猫の死病FIPは食欲不振、貧血、嘔吐、神経症状、発熱、臓器の炎症、腹水などと様々な症状となって現れる。腫瘍を切除して寛解というわけにいかない病気なのだ。ウイルスが神経あるいは臓器のどこかに潜伏していても現在でも検査の方法がない。テンのように腹水がたまらないドライタイプでは臓器の所見も異常がなければ判断が難しいのだろう。
FIPはそれだけ一筋縄ではいかないとらえどころのない病気だ。

念のためにエコーを取ったのだがやはりエコーでは異常が見当たらなかった。テンの神経症状が一番ひどく表れているのは右後ろ脚である。再び現れた右足の弱りはウイルス以外では考えられない。

私の思うに薬を再投与しなければテンは助からないだろう。
投薬再開に一番のリスクは肝臓障害。渡された血液検査の結果には肝臓数値は平常値より若干高い74で「H」がついていた。
この肝臓の限界数値はどのくらいイケますか?と質問すると、猫の場合は意外と耐えられて200くらいでも平気です。と。

神経系統に巣くっているウイルスを撲滅するために、もっと効果的なウイルス薬の投薬方法として注射や点滴はないだろうかと聞くと、人間コロナ用のレムデシベルはあるという。ただ、人間用で入手が困難だし恐ろしく高価につくだろうと。

獣医は投薬を再開とは言わず、もう少し様子を見させてくださいというのでさらに4日後に診察の予約を取った。

毎日、テンの昼寝時間は長くなってきた。
お気に入りの猫タンスにはもう登る気配を見せない。ソファには踏み台を上がってやっと登る。詩音との運動会は発作的に起きるが、ジャンプはしない。後ろ脚が踏み切れないからだ。食欲はあるが、体重は3キロに落ちた。

発育不良で体力のないテンがFIPを打ち負かすにはウイルス薬のほかに何かいる。薬の効果をブーストする体力とエネルギーの塊の何かがいると思う。高栄養の療養食とかビタミンやサプリ。テンの体力を強化する何かがいる。

明日獣医に聞いてみよう。

After Life

今年の庭はもうダメだ。
日照りが続きすぎた後に台風の影響で土砂降り。
どっぷり湿った後にまたカンカン照りでお花の根っこも葉っぱも茹でられてしまったようだ。
あまりにも蒸し暑い。庭に出るのが嫌になってしまってリビングに籠っている。

おじちゃんは雑草が伸びすぎたお向かいの庭が気になって、涼しい午前中に草刈をしてた。順子さんはもう来れないから。ほっておくと順子さんの大事なお庭がジャングルになってしまう。

“こんにちわ、うふふ、ミキさんお元気?”張りのある声ももう聴けないのだ。
ウチのみょうがは出たかしら?インパチェンスはもう咲いた?

みょうがは順子さんがお出でになれないうちに花が咲いちゃいましたよ。インパチェンスはトレニアに負けて出てこないですね。それより婿どののブルーベリーは3本もカミキリムシにやられてしまいました。それから、順子さんが教えてくれたタヌキですけど、。

お隣の敷地の草むらに巣があると順子さんが言っていたタヌキ。
あのタヌキがうちの床下でケンカしたみたいですよ。ネコのような犬のような悲鳴が夜中に床下から聞こえて、うちの猫たちはおびえてしまったんですが、次の日におじちゃんが頭を怪我したタヌキがお隣の敷地からヒョコヒョコとウチの敷地の端を登っていくのを見たんですって。次の日には、順子さんのおうちの玄関近くで、子タヌキが一匹キャアキャアお母さんを呼んでましたって。きっと順子さんが見てたタヌキの子孫ですよ。

それから2~3日後に、私もその子タヌキを見ました。
おじちゃんが急にオフィスから私をオイデしたので何かと思ったら、窓の下を指さすので、下を覗くと猫ほどの子タヌキが用水路のコンクリートの土手をとコトコト登ってきて上流に消えていきました。婿どののブルーベリーやおばちゃんの好きなキンカンを食べて育ってきたのかも。お母さんは怪我で死んじゃったかもしれませんが、タヌキの一家は綿々と生き延びていたんですね。

ところで、お庭の北側の斜面はどうすんですか?
不動産屋のKさんに階段をつけて段々の庭にするって言ったから、Kさんが適当に斜面をけずっちゃって土留もしてないから雨のたびに崩れますよ。斜面の一番下にクチナシを2本植えたでしょ?アレ、雑草と雑木に埋もれちゃいましたから。表の庭の芝生は芝より雑草が多くなっちゃいましたよ。ホントに斜面どうしたらいいんですか?それとクリスマスに山のレストランでコーラスをやりたいって言ってたでしょ。
まだやることがいっぱいあるのに、順子さん。聞いてます?

手術後1年

胆嚢がん 手術後1年4か月

胆嚢がん 1年4カ月 

テンの治療も終わりが見えてきた。
おばちゃんは、おなかが痛い。
3週間ほど前から、背中と右わき腹が痛い。微熱と下痢。
なんだろう?胆管炎だろうか?9月の検査まで待つのをやめて予約の前倒しをした。

おじちゃんにちょっと調子が悪いから明日は病院に行くと言うと、殴られた子犬のような眼をして黙ってテレビを見ていたが、しばらくすると眠ってしまった。

次の日、病院はお盆の直後で台風がやっと通過したばかりだったから患者が待っていた割には血液検査とCTは早めに済んだ。

血液検査の結果は、炎症はなし、CA-19 は6月より上がっているが正常値。CEAも正常値。内臓に怪しい影はない。背中が痛むのでと言うと主治医は背中を触診して、どこかで捻りましたか?と聞く。

胆管炎の可能性は?と聞くと、胆管炎は高熱が出ますが痛みはないと言う。
おばちゃんは何だろう?もしかしてアレかな?

バイトは立ち仕事だったからぎっくり腰予防に腰痛ベルトをしている。日本に帰国してきてから新しい腰痛ベルトを買ったのだが、その時たまたま商品のMサイズが売り切れていて、SとLしか残っていなかったので、Sサイズを買った。ちょっと短かった。

悔しいのでおばちゃんはふんっと息を吐いてからベルトを締めて仕事をしていたのだが、もしかしてそれが悪かったのだろうか?

見栄をはってSサイズのベルトをきつく締めたのが肝臓に悪かったですかね?と
タヌキ主治医に言うと、
いや、そういうことで痛むことはないですよ。
主治医はケケケと笑った。重くなりがちな診察室の空気を少し明るくしてあげた。

遺伝子パネル検査は結局この病院でできるのかどうか。`6月に主治医は調べると言っていたのに、宿題をしていなかったようである。もう一度調べてみると言った。

おばちゃんも調べものついでに、病院のウエブをチェックしたら胆のうガン患者数が掲載されていた。ここの消化器外科では年間十人だそうだ。意外と少ない。

おばちゃんが貴重な患者のデーターを増やして差し上げるから、主治医に少し興味を持ってもらえるといいのだが。


手術前の診察では、胆のうガン患者の術後の成績はどうなっていますかと質問をしたのだ。その時の主治医の返事は、「手術と外来で手一杯。患者の予後までとても追っかけて記録していられないのでわかりません。」とぬかした。

年間たった10人の胆のうガン患者の予後など記録をとるまでもあるまいが、。どうせ半々だから余計なことは言うまいとしたのだろう。ホント、大事なことは何も言わぬ主治医だ。

とりあえず痛みからくる不安はなくなったので、おじちゃんとスーパーに寄って帰ることにした。テンの投薬は来週が最後なので、終わった後はどこかに出かけたい。次の朝も暑かったが、おじちゃんとどこへ出かけるか考えていると、玄関のベルが鳴った。

ベルが鳴るのは宅急便くらいだが近頃何も買っていない。おじちゃんが玄関に出ると、家を買った時の不動産やさんKさんが居た。

Kさんが運んできたのは訃報だった。
お向かいの中野のおばちゃんが亡くなって明日告別式だと、、、?!

おばちゃんは中野の本宅を耐震構造に改築中で、山の家にそろそろ来るはずだった、台風も通過したことだし。おばちゃんは82歳だったけど、音大の声楽科で鍛えた声は語尾までよく通り朗らかで、死の影なんかどこにもなかった。
先月は心臓の動脈が細くなっていて動くと息が切れると自分では言っていたが、何せ声に張りがあるのでおしゃべりをしているといつも年齢を忘れるのだった。

おばちゃんが主催しているコーラスの生徒さんは、おばちゃんより年齢が上の人も多くて、本人はいつまでも生きるつもりだった。来月に心臓のステント手術の予定だと言っていたし、何しろ長生きするつもりだから、自宅の耐震工事もやっていたのだ。

山の家にやってきて、庭仕事が一段落すると、静岡のおいしいお茶とおばちゃんのお土産の東京の銘菓をいただきながら、おじちゃんが帰ってこいと電話があるまでおしゃべりを楽しんでいたのに。

中野のおばちゃんが居なくなったら、わたしは、誰とおしゃべりをしたらいいのか?
赤いおそろいの長靴を履いて、宿根草の手入れをするはずだったのに。
困るわ、順子さん。

テン・ジュニア FIP闘病記6

投薬はあと10日。
テンの体重は3.1キロに到達した。
ドクターから3薬の容量/kgは15㎎で3.3キロまでは変わらずと言われているので、あと10日足らずでこれ以上ウイルス薬モルヌピラビルの量が増えることも、お会計が増えることもないだろう。国産の後続薬でも一週間の薬代がおじちゃんとおばちゃんのアルバイトの総シフトより高いので暑さだけでなく消耗する。

テンは3キロを超えたが抱き上げるとフワフワと軽い。
毎日うれしくて短く鳴きながらリビングを走り回っている。血液検査の結果も異常な数値は見当たらない。熱もなく痩せて小さなことを除けば、ほとんど普通の子猫と変わりがない。

FIPは特効薬がなければ回復が見込めない猫の難病だ。
特効薬さえ服薬させれば完治が見込める。
5月の末の診断ではFIPの初期と思われた。しかし発熱と後ろ足に神経症状がでていたことを考えると初期というより中期にかかる状態だと、総合的に判断された。

これまでの治療は、血液検査の結果を見ながら体重の増加に合わせてウイルス薬を投薬してきた。6月に入っても薬の効果がなかなか現れず、熱が高い状態が続いたのでやむえず消炎下解熱剤を使った。
ぐったりしたテンが消炎剤の効果で一時的に元気になる。ただ、消炎剤は肝臓に負担がかかるので、5日以上連投すると肝臓障害が起きるリスクがある。そのため、テンの様子を見ながら消炎剤の量を半分にしたりして投与をした。

ウイルス剤の投薬時間はきっちり守る。
おばちゃんたちは半ばリタイアした“ぷー”(年金生活者とも言うが)毎週の診察や投薬時間を守ることは比較的容易だった。

ただ、これが仕事をしている現役だったら、。
投薬後にテンが吐かないように見守ってから出勤する必要があっただろう。朝の投薬時間を早くすれば、夜の投薬時間も早くなる。朝が7時なら、夜は7時前に帰ってこなけれ間に合わず、誰かが代わりに薬を与えなければならない。

毎週の診察もかなりの負担になっただろう。
FIP闘病の山の猫友は一人暮らしだったので、朝にMutain(中国産純正ウイルス薬)の錠剤をのませ夕方帰宅すると、床に干からびたウイルス薬を発見したことがあったという。彼女の猫は中期で容量が多く、一回の薬が8000円だったから、その時のショックは想像できる。一人暮らしでは84日間の朝晩2回の投薬時間を守ることや、毎週隣県に診察に通うことは非常な負担になる。

クリニックについて

中国産Mutainで治療できるクリニックは限られているが、獣医から紹介を受けることもできるしネットでもクリニックのリストがあったと思う。毎回CT・MRIや血液の精密検査を求めてくるクリニックもあるようで、患者のネットワークなどから評判を聞いてから診察を求めるのがいいかもしれない。

治療費

Mutainの12週間84日間分の薬代のみで現在約100万円 
さらにCT・MRI・血液の精密検査などの追加費用が掛かる。ざっと新車1台分か。
もし、クリニックの経営者が利益の追求に熱心であれば、新車でも輸入車が1台。良心的なクリニックなら国産車1台分くらいの違いがあるかもしれない。

FIPは腹水がたまったりするウエットタイプと粘液が顕著でないドライタイプがあるが、ウエット・タイプなら、CTやMRIは診断に必要だろう。定期CTも致し方ない。一般にドライのほうが予後も良いという。

ペット保険
FIPは子猫に発症することが多い。
子猫を求めたときペット保険に加入できることが多いが、FIPの治療薬は保険対象外の場合がある。ただ、診察料、検査料はカバーできるので治療費の軽減が期待できる。

生体譲渡の契約書では、大抵FIP条項がありFIPが発覚した場合は「お取替えします」と書いてある。「お取替えします」って?!不良品かよ?!ウチに来たらうちの子!
相手方はFIPの治療費は負担しないしまして購入代の返還もない。

総費用

おばちゃんがかかった費用総額は:
先代猫からのかかりつけ、若き熱血獣医が国産薬を持っていて治療意欲が高かったので治療をお願いした。モヌルピラビル薬と検査・診察料の総額はおよそ50万ほどになると思う。

予後

FIPの元であるコロナ・ウイルスは猫の半数が体内に持っているらしい。
特効薬で治療の後に、ストレスなどで薬で駆逐しきれなかったFIPウイルスが再度活性化し始める可能性や、免疫が落ちた時にコロナ・ウイルスから再度FIPに変異する可能性もある。

そういう意味では「完治」というより「寛解」と言ったほうがいいかもしれない。
終わりが見えてきておばちゃんはホッとしている。

One down, another to go.
今度はおばちゃんに火がついているかもしれないから。

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ガンのある人生

ガンは慣れる。

ガン患部を切れば無罪放免となるわけではない。
ガン細胞がどの程度体の中に散っているかドクターにも100%確証はないので、5年後にも生きていたら寛解宣言ということになっている。その時に晴れて無罪放免。
それまでは執行猶予中や。

観察中に怪しい影やガン・マーカーの値が急上昇すれば、病院に逆戻り。収監されるわけやね。


3か月ごとの血液検査とCTスキャンで体の中に何が起こってるか要観察。
胆嚢ガン ステージ2の5年生存率は30%を切り、毎年 胆嚢ガン発症が2万2千人で死亡が1万7千人。膵臓癌の次に医者がなりたくないのが胆嚢ガン。

血液検査の結果を聞かされる診察日は誠に嫌な気分だ。
あみだくじの“アタリ“を引くか“ハズレ”で逃げられるか?
自分の人生すごろくが目の前で転がるわけよ。年4回5年で20回、ハズレを引き続けないと逃げきれないわけね。

診察が終わったらホームセンターとスーパーに寄って帰る予定が、どこにも寄らないで一直線に帰宅と変更になるかもしれない。暫定―リタイヤ人生から、人生の終活期間に突入するかもしれない。毎回スリリング。

スリルというのはある程度慣れるわけよ、繰り返されると。
明日は何をしようと考えると同時に、再発した時の終末手続きもシュミレーションをする日常。ここんとこ右背中が痛いから夏物の洋服をこれ以上買うのはやめようとか。来年はもう着られないかもしれないから。

血液検査がアタリに出た時は、必要な衣料は何シーズンくらいで最低残しておく必要なものはどのくらいだろう。と考えねばならない。

クローゼットとタンスは2つあって、両方大きいほうをおばちゃんが使っているが、おばちゃんの衣料を整理してコンパクトにまとめたら、小さいほうのクローゼットに全部収納できるだろう。

おじちゃんにとって衣料とは暑くなればタンスに半袖があって、涼しくなると長袖に代わり、寝具は自然に変わっていくものである。蓋のついた箱に仕舞まわれて見えなくなれば存在しない物。おじちゃん一人なら、二つのタンスに衣料をすべて収納してしまえば、春でも冬でも必要な服は自分で取り出せるだろう。くじがアタリの場合は早々に実行だ。

庭に出たらおじちゃんに言うにしている。
あと5年たつと70歳を超え、その時足場が悪いと転ぶし、樹木は絶対手に負える高さにしないといけないね。70歳を超えて脚立を使って高い枝の剪定など自殺行為よ。(脚立を支える人がいないから)おじちゃんは深く考えたとは思えないが、言われたもんだから細すぎる小道は幅を広げて、百日紅もヤマボウシも切った。木というものは思いもかけず早く伸びるものだね。

80歳を超えた老人が来年は来るのかどうか、を思うのとさほど変わりはないかもしれない。深く考えることもなく、ガンと言う病気にに慣れてしまった。ガンという言葉もなじんでしまった。

ふたりに1人がガンになる時代。1家に1人のガン患者。
先日の統計では新しい表現に出くわしたね。

日本人が生涯で1回ガンにかかる確率
男性63%、女性48%。ちょっと斬新な表現ではないか。
ガンにかからない確率のほうが少ないわけね。

昨日、親しい同級生からLineが入って
そういえば、去年入院した病気って何だったの?と聞かれた。
もはや慣れてしまったから感慨もなく、ガンだったよ、と答えを返したら、
うちのお父さん(彼女の夫ね)去年胃の3分の2を切ったよ、と返信があった。

だから1家に1人はガン患者。ステージが若ければ治癒するし。さまざまなガンがあるし。
ガンは慣れるよ。

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五臓五腑になる入院記

再入院

告知

さよならジョイス

テン・ジュニア FIP闘病記 5

猫の半数はコロナウイルスを体内に持っているという。
コロナウイルスは病変性に変異しない限り無害だが、変異の引き金を引かれてしまうとFIPとして増殖し発症することになる。

おばちゃんが懸念していたのはこのFIPウイルスはインフルエンザ・タイプ(ウイルス駆逐して快癒)か水ぼうそう=帯状疱疹タイプ(快癒しても長年体に潜伏)なのか。悲しいことに後者の帯状疱疹=ヘルペスタイプだそうだ。

ウイルス剤でFIPウイルスをたたいて緩解に持っていけたとしても、体内のコロナウイルス(悪さをしないほう)がなくなったわけではない。症状が出ないほどFIPウイルスが少なくなっても、ストレスなどからくる免疫が低下したときにFIPが再び増殖する可能性があること。つまり再発。

もう一つのセオリーとしてはFIPウイルスを駆逐して、無害なコロナウイルスだけになったとするも、免疫が落ちた時にコロナが再びFIPに変異・再発する場合が考えられるーーということらしい。

ドクターが診断した別の生後4か月の猫は、特効薬Mutainを持っている横浜のクリニックで治療緩解にもっていけた。緩解後は彼女の免疫体系にストレスを与えないために、定期ワクチン接種も控えているという。単独飼い+完全室内飼いなので猫エイズや伝染性疾患に触れる機会が少ない。普段の検診は地元のこのドクターなので状態を理解したうえでワクチン接種なしでも診察をしてくれている。

もう一つは去勢の問題。
ワクチン接種も控える状態で去勢手術の侵襲は非常にリスキーだ。
彼女の飼い主は2年間発情期に耐えたのだが、それ以上は無理ということで生後2年で去勢手術をした。メス猫の場合は普通は開腹手術なので一晩クリニックで泊りのはずが、彼女の場合は日帰り手術!にしたのだという。

テンの血液検査の結果はドクターが驚くほど好転し体重が増えている。体重も増えているがタマタマも増大しているのだ。先々代の雄猫には十年以上スプレー問題に悩まされとうとう解決せず亡くなるまで十年耐えた。前面のFIP後面の去勢問題とおばちゃんの猫生活は穏やかでない。

投薬も問題がある。
モヌルディラビルは無味無臭というのでチュールに混ぜて食べさせていた。
最初は喜んで、えぇ~僕 朝晩チュールを食べられて幸せ~!と楽勝だったのだが、最近はなめている最中に、ん~、なんか僕もういいや とプイとそっぽ向いて歩き去ってしまうことが増え、これはイカンとチュールを足し足しになることがあった。

朝ごはんを食べた後などには、足しチュールもそっぽ向かれることがあるのだ。その場合は残りの薬入りチュールを指でぬぐい取ってテンのお口に強制摂取となる。

朝ごはんを食べさせず空腹で薬をやったらどうだ?と
9時の薬の時間までカリカリ以外ご飯なしを実行していたのだが、昨日は別の問題が発生した。

お皿の底のチュールを嫌々食べて、そのあとの朝ごはん猫缶をがっついて食べて10分後にすべて吐いた。
おばちゃんは薬~と叫んで再度チュール+薬を用意した。


空腹すぎても朝ご飯を急いで詰め込みすぎるのでよくない。9時に投薬したあと、すぐに外出をするのも控えたほうがいい。食後、最低30分は用観察である。

投薬9週目に入ってあと一息である。

テン・ジュニア FIP闘病記4 そっちか!

治療薬の投薬は8週目に入った。
熱は39度を割り、ついに平熱レンジに下がった。
体重は2900gを超え回復期に加え成長期にあたったようで毎日のように増加しつつある。来週はまた薬の増量があるかもしれない。

体調は好調。
テンは生後2か月半の真菌付きでうちに来た。真菌は人畜感染の危険があるから一月ほど隔離生活だった。病気が治って紫音と遊べるようになったのに5月の初めくらいから昼寝が多くなっていた気がする。生まれついての発育不良でドクターから育つかどうかは半々といわれたテン。FIPもしょっていることが分かったのが5月の末。

投薬を開始してから8週目だがモルヌデラビルのおかげで回復してきたテンは子猫時代をもう一度楽しんでいる。熱もなく気分も悪くなくて歩き回るテンは幸せそうだ。

詩音とじゃれあいピンポン玉を追っかける。
一番好きなのは夜歩き。
みんなが寝静まったあとにリビングをひそひそ歩く。おばちゃんがトイレに起きるとリビングのキャットタワーの根元に小さな影があり、するすると猫トイレの影に隠れごみ箱に回り込んでこちらをうかがっている。楽しくてたまらないのだろう。

おじちゃんとおばちゃんは頻繁に猫たちのごはんを買いに行くのだが、ついつい生体ペットコーナーを覗いてしまう。テンと比べるためだ。
ケージの中にいるのはほとんど3か月前後の子猫たちだが、子猫の誕生日とか大きさとか運動能力とかをチェックしてしまう。ほとんどの子猫はテンよりエネルギッシュで活動的だ。悔しい。

それでもテンは体調がよくなって尻尾をまっすぐ上げ、ぴんぴん揺らして上機嫌でリビングを歩く。肛門とタマタマが丸見え。5月のころにタマタマが目立つようになってドクターに近頃発達してきましたが、、と言うと。

ドクターが、いやいや、テンちゃんは今年いっぱいは去勢手術の心配はないですよ~、ひょっとしたら一生。との診断だったのだが。

腰から後ろ足にかけては肉がついておらず華奢なんだが、リビングを歩く後ろ姿でタマだけは存在感がある。

生育不良の猫でもFIPでも、生物として子孫を残そうという本能はあるわけで、なまじ病弱だから、生命力を全力で生殖能力に振り向けたのかもしれない。8か月だし。

健康な猫なら8か月で去勢手術は遅くないからなぁ。
おばちゃんは嫌な予感がする。

投薬は12週間目が節目でそれは8月の終わりになる。
投薬が終わったイコール寛解というわけではない。
FIPの抗体値が正常値に下がってタンパク分布や血液検査の分析が正常値になるなら、一応寛解と見ていいかもしれない。


ただ、FIPの抗体値は一生下がらないらしい。
つまり一度発症してしまうと感染したという抗体値が常に検査値に出てしまう。FIPの数値は寛解の目安にならんのだ。おばちゃんのガンと一緒で経過観察で見ていくしかないのだろう。

猫のコロナウイルスがどんなタイプのウイルスなのかそれも心配。
水ぼうそうは発症して治ったとしてもウイルスが人体のどこかに潜み、免疫が衰えた数十年後の老年に帯状疱疹として再発したりする。今は、帯状疱疹ならワクチンを接種すれば発症がおさえられるのだが、猫のFIPは治療薬でさえ認可されてないから。

困ったなぁ。
8月過ぎでもテンの体にメスの侵襲はちょっと恐ろしい。どんなリアクションがあるか、。
今は困る。

しかしながらオス猫の去勢は非常に重要なのだよ。
オス猫を飼ったことがある人ならわかると思うが、タマタマが発達してくるとオスの縄張り意識としてスプレー行動が起きてくる。オス猫のオシッコで家一軒ダメになることもある。メスと一緒なら求愛行動もある。詩音は去勢してしまったので、求愛行動は迷惑でしかない。うまくいっている二匹の関係がおかしくなるリスクもある。ああ、困った。

ドクターは1週間ごとに好転してきたテンの症状に感激している。ドクターが手掛けた最初のFIP治療の猫でもあるし、順調によくなってきて嬉しいのだ。

先日の診察で、何か質問とか気が付いたことはありますかと聞かれ、
実は、、と切り出すと
えぇ~っ、そっちかぁ?!

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ジュニアFIP モルヌピラビル 5週目

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5月の末にモルヌビラデルの投薬を開始してから7週間。

現在の症状は、しつこい熱が下がった。
39度後半から40度を超えていた熱が39度1分。猫の平熱は38度ほどというから正常に近づきつつある。

腰のへたりを起こしていた神経症状はほとんど見られない。しかし高いジャンプは踏切りで躊躇するみたいだ。テンは生後8か月になろうとしているが正常なアメショーより後ろ足と腰はかなり華奢で細い。頭はでかいが、下半身が華奢なアメショーに育だちそうだ。

トイレの砂はオカラの砂に変えてしまったのでかじることはなくなった。
砂を食べることはなくなったが、時たま無機質の金属などを一心不乱に舐めていることがある。
ファンストーブの表面とか、キッチンのコンセントとかフローリングの床だとか。家のふき掃除はアルカリ水を使い最後は水で拭いてからから拭きをするようにしている。

前週の血液検査の結果を受け取ったのだが、蛋白分布はかなり正常に近づいていた。5月初めの検査に見られたFIP特有のM字グラフはなだらかな波のように見える。

熱が下がったのでテンは8か月の子猫に戻った。
紫音と追っかけっこをしソファーに飛び上がり猫じゃらしで遊ぶ。おじちゃんがキッチンにいるときに椅子からおじちゃんの背中に飛び乗り、それからキッチンのカウンターに飛び降りた。

3か月ぶりだった。
キッチンカウンターは子猫のテンにはジャンプが届かず、ず~と紫音だけの天下だった。唯一カウンターに飛び乗れるチャンスはキッチンでおじちゃんがかがんでいる時を狙うしかなかった。じつに3か月ぶりにテンはキッチンカウンターに飛び乗った。明け方の運動会も再開した。

夜半に起きると、テンはおじちゃんのベッドにいない。
トイレに向かうとリビングの足元で黒い影がするすると走る。キャットタワーを降りて猫タンスに向かい猫トイレの陰に身を沈めておばちゃんの動向をうかがう。楽しそうだ。
体重は2700gで停滞しているのだがこの夜遊びの運動量が多いのかもしれない。

モルヌビラデルは無味無臭(ドクターが言った)で何かに混ぜて飲ませて大丈夫ということだったので、皿にチュール小さじほど絞って薬を混ぜた。テンは朝晩今生の幸せ!と喜んでなめていたのだが、3,4日前から薬の粒が多そうな皿の中心に来ると、なめるのを止めてしまうようになった。チュールを皿に追加してもチュールだけ舐めるので、おじちゃんにテンを抱いてもらい皿に残った薬+チュールを指でこそげてテンの口を開け強制摂取になった。

薬が苦い?のかまずいのか気が付いてしまったのか?
子ネコ用チキンチュールなのだが、フレーバーを変えてみた。総合栄養チキンというのがあったがこのチュール自体が嫌いみたいで、皿によりつくこともしなかったから、またおじちゃんに抱きかかえられて強制摂取になった。

大人用マグロもあまり食いつきがよくない。大人用チキンだとチュールを追加しながらごまかしてなめさせることができた。チュールでごまかせなくなったらどうするか、まだあと5週間もあるのだ。ヤマザキのチーズ蒸しパンを買ってきた。

菓子パンやスポンンジの柔らかい生地で粉薬をまとめて丸にする。それを抱きかかえてもらった猫の口にポイして素早く注射器の水を飲ませる。猫の食道はデリケートなので飲み込みやすいように水分を補給してやるのだ。紫音に虫下しを飲ませるときに使った手だが、モルヌデラビルは何せ1mgいくら?という高い高い薬だから、取りこぼしなく飲んでもらわないと困る。いや足らなければFIPが治らない。

一服分の薬包に入った粉薬は、ワックスでコーティングされた薬包の四隅にまんべんなくへばりついているので、中指で薬包をピンとはじき、袋のボトムに粉を落としてから天辺をハサミで切る。慎重に皿にあけるのだが、薬包の内側には落ちなかったナノミリグラムの薬が落ち切らずに残っているのではないか?毎度気が気ではない。

テンの体重1gにつき15㎎なのだから1㎎でも減らしたらテンの命は終わるかもしれない。
くっそ~、丸薬ならよかったのに。毎回、数ナノミリgを袋に残している気がして精神状態がよくない。
あと5週間。

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