After Life

今年の庭はもうダメだ。
日照りが続きすぎた後に台風の影響で土砂降り。
どっぷり湿った後にまたカンカン照りでお花の根っこも葉っぱも茹でられてしまったようだ。
あまりにも蒸し暑い。庭に出るのが嫌になってしまってリビングに籠っている。

おじちゃんは雑草が伸びすぎたお向かいの庭が気になって、涼しい午前中に草刈をしてた。順子さんはもう来れないから。ほっておくと順子さんの大事なお庭がジャングルになってしまう。

“こんにちわ、うふふ、ミキさんお元気?”張りのある声ももう聴けないのだ。
ウチのみょうがは出たかしら?インパチェンスはもう咲いた?

みょうがは順子さんがお出でになれないうちに花が咲いちゃいましたよ。インパチェンスはトレニアに負けて出てこないですね。それより婿どののブルーベリーは3本もカミキリムシにやられてしまいました。それから、順子さんが教えてくれたタヌキですけど、。

お隣の敷地の草むらに巣があると順子さんが言っていたタヌキ。
あのタヌキがうちの床下でケンカしたみたいですよ。ネコのような犬のような悲鳴が夜中に床下から聞こえて、うちの猫たちはおびえてしまったんですが、次の日におじちゃんが頭を怪我したタヌキがお隣の敷地からヒョコヒョコとウチの敷地の端を登っていくのを見たんですって。次の日には、順子さんのおうちの玄関近くで、子タヌキが一匹キャアキャアお母さんを呼んでましたって。きっと順子さんが見てたタヌキの子孫ですよ。

それから2~3日後に、私もその子タヌキを見ました。
おじちゃんが急にオフィスから私をオイデしたので何かと思ったら、窓の下を指さすので、下を覗くと猫ほどの子タヌキが用水路のコンクリートの土手をとコトコト登ってきて上流に消えていきました。婿どののブルーベリーやおばちゃんの好きなキンカンを食べて育ってきたのかも。お母さんは怪我で死んじゃったかもしれませんが、タヌキの一家は綿々と生き延びていたんですね。

ところで、お庭の北側の斜面はどうすんですか?
不動産屋のKさんに階段をつけて段々の庭にするって言ったから、Kさんが適当に斜面をけずっちゃって土留もしてないから雨のたびに崩れますよ。斜面の一番下にクチナシを2本植えたでしょ?アレ、雑草と雑木に埋もれちゃいましたから。表の庭の芝生は芝より雑草が多くなっちゃいましたよ。ホントに斜面どうしたらいいんですか?それとクリスマスに山のレストランでコーラスをやりたいって言ってたでしょ。
まだやることがいっぱいあるのに、順子さん。聞いてます?

手術後1年

胆嚢がん 手術後1年4か月

胆嚢がん 1年4カ月 

テンの治療も終わりが見えてきた。
おばちゃんは、おなかが痛い。
3週間ほど前から、背中と右わき腹が痛い。微熱と下痢。
なんだろう?胆管炎だろうか?9月の検査まで待つのをやめて予約の前倒しをした。

おじちゃんにちょっと調子が悪いから明日は病院に行くと言うと、殴られた子犬のような眼をして黙ってテレビを見ていたが、しばらくすると眠ってしまった。

次の日、病院はお盆の直後で台風がやっと通過したばかりだったから患者が待っていた割には血液検査とCTは早めに済んだ。

血液検査の結果は、炎症はなし、CA-19 は6月より上がっているが正常値。CEAも正常値。内臓に怪しい影はない。背中が痛むのでと言うと主治医は背中を触診して、どこかで捻りましたか?と聞く。

胆管炎の可能性は?と聞くと、胆管炎は高熱が出ますが痛みはないと言う。
おばちゃんは何だろう?もしかしてアレかな?

バイトは立ち仕事だったからぎっくり腰予防に腰痛ベルトをしている。日本に帰国してきてから新しい腰痛ベルトを買ったのだが、その時たまたま商品のMサイズが売り切れていて、SとLしか残っていなかったので、Sサイズを買った。ちょっと短かった。

悔しいのでおばちゃんはふんっと息を吐いてからベルトを締めて仕事をしていたのだが、もしかしてそれが悪かったのだろうか?

見栄をはってSサイズのベルトをきつく締めたのが肝臓に悪かったですかね?と
タヌキ主治医に言うと、
いや、そういうことで痛むことはないですよ。
主治医はケケケと笑った。重くなりがちな診察室の空気を少し明るくしてあげた。

遺伝子パネル検査は結局この病院でできるのかどうか。`6月に主治医は調べると言っていたのに、宿題をしていなかったようである。もう一度調べてみると言った。

おばちゃんも調べものついでに、病院のウエブをチェックしたら胆のうガン患者数が掲載されていた。ここの消化器外科では年間十人だそうだ。意外と少ない。

おばちゃんが貴重な患者のデーターを増やして差し上げるから、主治医に少し興味を持ってもらえるといいのだが。


手術前の診察では、胆のうガン患者の術後の成績はどうなっていますかと質問をしたのだ。その時の主治医の返事は、「手術と外来で手一杯。患者の予後までとても追っかけて記録していられないのでわかりません。」とぬかした。

年間たった10人の胆のうガン患者の予後など記録をとるまでもあるまいが、。どうせ半々だから余計なことは言うまいとしたのだろう。ホント、大事なことは何も言わぬ主治医だ。

とりあえず痛みからくる不安はなくなったので、おじちゃんとスーパーに寄って帰ることにした。テンの投薬は来週が最後なので、終わった後はどこかに出かけたい。次の朝も暑かったが、おじちゃんとどこへ出かけるか考えていると、玄関のベルが鳴った。

ベルが鳴るのは宅急便くらいだが近頃何も買っていない。おじちゃんが玄関に出ると、家を買った時の不動産やさんKさんが居た。

Kさんが運んできたのは訃報だった。
お向かいの中野のおばちゃんが亡くなって明日告別式だと、、、?!

おばちゃんは中野の本宅を耐震構造に改築中で、山の家にそろそろ来るはずだった、台風も通過したことだし。おばちゃんは82歳だったけど、音大の声楽科で鍛えた声は語尾までよく通り朗らかで、死の影なんかどこにもなかった。
先月は心臓の動脈が細くなっていて動くと息が切れると自分では言っていたが、何せ声に張りがあるのでおしゃべりをしているといつも年齢を忘れるのだった。

おばちゃんが主催しているコーラスの生徒さんは、おばちゃんより年齢が上の人も多くて、本人はいつまでも生きるつもりだった。来月に心臓のステント手術の予定だと言っていたし、何しろ長生きするつもりだから、自宅の耐震工事もやっていたのだ。

山の家にやってきて、庭仕事が一段落すると、静岡のおいしいお茶とおばちゃんのお土産の東京の銘菓をいただきながら、おじちゃんが帰ってこいと電話があるまでおしゃべりを楽しんでいたのに。

中野のおばちゃんが居なくなったら、わたしは、誰とおしゃべりをしたらいいのか?
赤いおそろいの長靴を履いて、宿根草の手入れをするはずだったのに。
困るわ、順子さん。

テン・ジュニア FIP闘病記6

投薬はあと10日。
テンの体重は3.1キロに到達した。
ドクターから3薬の容量/kgは15㎎で3.3キロまでは変わらずと言われているので、あと10日足らずでこれ以上ウイルス薬モルヌピラビルの量が増えることも、お会計が増えることもないだろう。この薬は人間のコロナの治療薬で動物に使用する許可は下りていない。未認可。それでもMutianより安い。一週間の薬代はおじちゃんとおばちゃんのアルバイトの総シフトより高いので暑さだけでなく消耗する。

テンは3キロを超えたが抱き上げるとフワフワと軽い。
毎日うれしくて短く鳴きながらリビングを走り回っている。血液検査の結果も異常な数値は見当たらない。熱もなく痩せて小さなことを除けば、ほとんど普通の子猫と変わりがない。

FIPは特効薬がなければ回復が見込めない猫の難病だ。
特効薬さえ服薬させれば完治が見込める。
5月の末の診断ではFIPの初期と思われた。しかし発熱と後ろ足に神経症状がでていたことを考えると初期というより中期にかかる状態だと、総合的に判断された。

これまでの治療は、血液検査の結果を見ながら体重の増加に合わせてウイルス薬を投薬してきた。6月に入っても薬の効果がなかなか現れず、熱が高い状態が続いたのでやむえず消炎下解熱剤を使った。
ぐったりしたテンが消炎剤の効果で一時的に元気になる。ただ、消炎剤は肝臓に負担がかかるので、5日以上連投すると肝臓障害が起きるリスクがある。そのため、テンの様子を見ながら消炎剤の量を半分にしたりして投与をした。

ウイルス剤の投薬時間はきっちり守る。
おばちゃんたちは半ばリタイアした“ぷー”(年金生活者とも言うが)毎週の診察や投薬時間を守ることは比較的容易だった。

ただ、これが仕事をしている現役だったら、。
投薬後にテンが吐かないように見守ってから出勤する必要があっただろう。朝の投薬時間を早くすれば、夜の投薬時間も早くなる。朝が7時なら、夜は7時前に帰ってこなけれ間に合わず、誰かが代わりに薬を与えなければならない。

毎週の診察もかなりの負担になっただろう。
FIP闘病の山の猫友は一人暮らしだったので、朝にMutian(中国産純正ウイルス薬)の錠剤をのませ夕方帰宅すると、床に干からびたウイルス薬を発見したことがあったという。彼女の猫は中期で容量が多く、一回の薬が8000円だったから、その時のショックは想像できる。一人暮らしでは84日間の朝晩2回の投薬時間を守ることや、毎週隣県に診察に通うことは非常な負担になる。

クリニックについて

中国産Mutianで治療できるクリニックは限られているが、獣医から紹介を受けることもできるしネットでもクリニックのリストがあったと思う。毎回CT・MRIや血液の精密検査を求めてくるクリニックもあるようで、患者のネットワークなどから評判を聞いてから診察を求めるのがいいかもしれない。

治療費

Mutianの12週間84日間分の薬代のみで現在約100万円 
さらにCT・MRI・血液の精密検査などの追加費用が掛かる。ざっと新車1台分か。
もし、クリニックの経営者が利益の追求に熱心であれば、新車でも輸入車が1台。良心的なクリニックなら国産車1台分くらいの違いがあるかもしれない。

FIPは腹水がたまったりするウエットタイプと粘液が顕著でないドライタイプがあるが、ウエット・タイプなら、CTやMRIは診断に必要だろう。定期CTも致し方ない。一般にドライのほうが予後も良いという。

ペット保険
FIPは子猫に発症することが多い。
子猫を求めたときペット保険に加入できることが多いが、FIPの治療薬は保険対象外の場合がある。ただ、診察料、検査料はカバーできるので治療費の軽減が期待できる。

生体譲渡の契約書では、大抵FIP条項がありFIPが発覚した場合は「お取替えします」と書いてある。「お取替えします」って?!不良品かよ?!ウチに来たらうちの子!
相手方はFIPの治療費は負担しないしまして購入代の返還もない。

総費用

おばちゃんがかかった費用総額は:
先代猫からのかかりつけ、若き熱血獣医がウイルス薬を持っていて治療意欲が高かったので治療をお願いした。モヌルピラビル薬と検査・診察料の総額はおよそ50万ほどになると思う。

予後

FIPの元であるコロナ・ウイルスは猫の半数が体内に持っているらしい。
特効薬で治療の後に、ストレスなどで薬で駆逐しきれなかったFIPウイルスが再度活性化し始める可能性や、免疫が落ちた時にコロナ・ウイルスから再度FIPに変異する可能性もある。

そういう意味では「完治」というより「寛解」と言ったほうがいいかもしれない。
終わりが見えてきておばちゃんはホッとしている。

One down, another to go.
今度はおばちゃんに火がついているかもしれないから。

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テン・ジュニア FIP闘病記4 そっちか!

テン・ジュニア FIP闘病記5

ガンのある人生

ガンは慣れる。

ガン患部を切れば無罪放免となるわけではない。
ガン細胞がどの程度体の中に散っているかドクターにも100%確証はないので、5年後にも生きていたら寛解宣言ということになっている。その時に晴れて無罪放免。
それまでは執行猶予中や。

観察中に怪しい影やガン・マーカーの値が急上昇すれば、病院に逆戻り。収監されるわけやね。


3か月ごとの血液検査とCTスキャンで体の中に何が起こってるか要観察。
胆嚢ガン ステージ2の5年生存率は30%を切り、毎年 胆嚢ガン発症が2万2千人で死亡が1万7千人。膵臓癌の次に医者がなりたくないのが胆嚢ガン。

血液検査の結果を聞かされる診察日は誠に嫌な気分だ。
あみだくじの“アタリ“を引くか“ハズレ”で逃げられるか?
自分の人生すごろくが目の前で転がるわけよ。年4回5年で20回、ハズレを引き続けないと逃げきれないわけね。

診察が終わったらホームセンターとスーパーに寄って帰る予定が、どこにも寄らないで一直線に帰宅と変更になるかもしれない。暫定―リタイヤ人生から、人生の終活期間に突入するかもしれない。毎回スリリング。

スリルというのはある程度慣れるわけよ、繰り返されると。
明日は何をしようと考えると同時に、再発した時の終末手続きもシュミレーションをする日常。ここんとこ右背中が痛いから夏物の洋服をこれ以上買うのはやめようとか。来年はもう着られないかもしれないから。

血液検査がアタリに出た時は、必要な衣料は何シーズンくらいで最低残しておく必要なものはどのくらいだろう。と考えねばならない。

クローゼットとタンスは2つあって、両方大きいほうをおばちゃんが使っているが、おばちゃんの衣料を整理してコンパクトにまとめたら、小さいほうのクローゼットに全部収納できるだろう。

おじちゃんにとって衣料とは暑くなればタンスに半袖があって、涼しくなると長袖に代わり、寝具は自然に変わっていくものである。蓋のついた箱に仕舞まわれて見えなくなれば存在しない物。おじちゃん一人なら、二つのタンスに衣料をすべて収納してしまえば、春でも冬でも必要な服は自分で取り出せるだろう。くじがアタリの場合は早々に実行だ。

庭に出たらおじちゃんに言うにしている。
あと5年たつと70歳を超え、その時足場が悪いと転ぶし、樹木は絶対手に負える高さにしないといけないね。70歳を超えて脚立を使って高い枝の剪定など自殺行為よ。(脚立を支える人がいないから)おじちゃんは深く考えたとは思えないが、言われたもんだから細すぎる小道は幅を広げて、百日紅もヤマボウシも切った。木というものは思いもかけず早く伸びるものだね。

80歳を超えた老人が来年は来るのかどうか、を思うのとさほど変わりはないかもしれない。深く考えることもなく、ガンと言う病気にに慣れてしまった。ガンという言葉もなじんでしまった。

ふたりに1人がガンになる時代。1家に1人のガン患者。
先日の統計では新しい表現に出くわしたね。

日本人が生涯で1回ガンにかかる確率
男性63%、女性48%。ちょっと斬新な表現ではないか。
ガンにかからない確率のほうが少ないわけね。

昨日、親しい同級生からLineが入って
そういえば、去年入院した病気って何だったの?と聞かれた。
もはや慣れてしまったから感慨もなく、ガンだったよ、と答えを返したら、
うちのお父さん(彼女の夫ね)去年胃の3分の2を切ったよ、と返信があった。

だから1家に1人はガン患者。ステージが若ければ治癒するし。さまざまなガンがあるし。
ガンは慣れるよ。

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五臓五腑になる入院記

再入院

告知

さよならジョイス

テン・ジュニア FIP闘病記 5

猫の半数はコロナウイルスを体内に持っているという。
コロナウイルスは病変性に変異しない限り無害だが、変異の引き金を引かれてしまうとFIPとして増殖し発症することになる。

おばちゃんが懸念していたのはこのFIPウイルスはインフルエンザ・タイプ(ウイルス駆逐して快癒)か水ぼうそう=帯状疱疹タイプ(快癒しても長年体に潜伏)なのか。悲しいことに後者の帯状疱疹=ヘルペスタイプだそうだ。

ウイルス剤でFIPウイルスをたたいて緩解に持っていけたとしても、体内のコロナウイルス(悪さをしないほう)がなくなったわけではない。症状が出ないほどFIPウイルスが少なくなっても、ストレスなどからくる免疫が低下したときにFIPが再び増殖する可能性があること。つまり再発。

もう一つのセオリーとしてはFIPウイルスを駆逐して、無害なコロナウイルスだけになったとするも、免疫が落ちた時にコロナが再びFIPに変異・再発する場合が考えられるーーということらしい。

ドクターが診断した別の生後4か月の猫は、特効薬Mutianを持っている横浜のクリニックで治療緩解にもっていけた。緩解後は彼女の免疫体系にストレスを与えないために、定期ワクチン接種も控えているという。単独飼い+完全室内飼いなので猫エイズや伝染性疾患に触れる機会が少ない。普段の検診は地元のこのドクターなので状態を理解したうえでワクチン接種なしでも診察をしてくれている。

もう一つは去勢の問題。
ワクチン接種も控える状態で去勢手術の侵襲は非常にリスキーだ。
彼女の飼い主は2年間発情期に耐えたのだが、それ以上は無理ということで生後2年で去勢手術をした。メス猫の場合は普通は開腹手術なので一晩クリニックで泊りのはずが、彼女の場合は日帰り手術!にしたのだという。

テンの血液検査の結果はドクターが驚くほど好転し体重が増えている。体重も増えているがタマタマも増大しているのだ。先々代の雄猫には十年以上スプレー問題に悩まされとうとう解決せず亡くなるまで十年耐えた。前面のFIP後面の去勢問題とおばちゃんの猫生活は穏やかでない。

投薬も問題がある。
モヌルディラビルは無味無臭というのでチュールに混ぜて食べさせていた。
最初は喜んで、えぇ~僕 朝晩チュールを食べられて幸せ~!と楽勝だったのだが、最近はなめている最中に、ん~、なんか僕もういいや とプイとそっぽ向いて歩き去ってしまうことが増え、これはイカンとチュールを足し足しになることがあった。

朝ごはんを食べた後などには、足しチュールもそっぽ向かれることがあるのだ。その場合は残りの薬入りチュールを指でぬぐい取ってテンのお口に強制摂取となる。

朝ごはんを食べさせず空腹で薬をやったらどうだ?と
9時の薬の時間までカリカリ以外ご飯なしを実行していたのだが、昨日は別の問題が発生した。

お皿の底のチュールを嫌々食べて、そのあとの朝ごはん猫缶をがっついて食べて10分後にすべて吐いた。
おばちゃんは薬~と叫んで再度チュール+薬を用意した。


空腹すぎても朝ご飯を急いで詰め込みすぎるのでよくない。9時に投薬したあと、すぐに外出をするのも控えたほうがいい。食後、最低30分は用観察である。

投薬9週目に入ってあと一息である。

テン・ジュニア FIP闘病記4 そっちか!

治療薬の投薬は8週目に入った。
熱は39度を割り、ついに平熱レンジに下がった。
体重は2900gを超え回復期に加え成長期にあたったようで毎日のように増加しつつある。来週はまた薬の増量があるかもしれない。

体調は好調。
テンは生後2か月半の真菌付きでうちに来た。真菌は人畜感染の危険があるから一月ほど隔離生活だった。病気が治って紫音と遊べるようになったのに5月の初めくらいから昼寝が多くなっていた気がする。生まれついての発育不良でドクターから育つかどうかは半々といわれたテン。FIPもしょっていることが分かったのが5月の末。

投薬を開始してから8週目だがモルヌデラビルのおかげで回復してきたテンは子猫時代をもう一度楽しんでいる。熱もなく気分も悪くなくて歩き回るテンは幸せそうだ。

詩音とじゃれあいピンポン玉を追っかける。
一番好きなのは夜歩き。
みんなが寝静まったあとにリビングをひそひそ歩く。おばちゃんがトイレに起きるとリビングのキャットタワーの根元に小さな影があり、するすると猫トイレの影に隠れごみ箱に回り込んでこちらをうかがっている。楽しくてたまらないのだろう。

おじちゃんとおばちゃんは頻繁に猫たちのごはんを買いに行くのだが、ついつい生体ペットコーナーを覗いてしまう。テンと比べるためだ。
ケージの中にいるのはほとんど3か月前後の子猫たちだが、子猫の誕生日とか大きさとか運動能力とかをチェックしてしまう。ほとんどの子猫はテンよりエネルギッシュで活動的だ。悔しい。

それでもテンは体調がよくなって尻尾をまっすぐ上げ、ぴんぴん揺らして上機嫌でリビングを歩く。肛門とタマタマが丸見え。5月のころにタマタマが目立つようになってドクターに近頃発達してきましたが、、と言うと。

ドクターが、いやいや、テンちゃんは今年いっぱいは去勢手術の心配はないですよ~、ひょっとしたら一生。との診断だったのだが。

腰から後ろ足にかけては肉がついておらず華奢なんだが、リビングを歩く後ろ姿でタマだけは存在感がある。

生育不良の猫でもFIPでも、生物として子孫を残そうという本能はあるわけで、なまじ病弱だから、生命力を全力で生殖能力に振り向けたのかもしれない。8か月だし。

健康な猫なら8か月で去勢手術は遅くないからなぁ。
おばちゃんは嫌な予感がする。

投薬は12週間目が節目でそれは8月の終わりになる。
投薬が終わったイコール寛解というわけではない。
FIPの抗体値が正常値に下がってタンパク分布や血液検査の分析が正常値になるなら、一応寛解と見ていいかもしれない。


ただ、FIPの抗体値は一生下がらないらしい。
つまり一度発症してしまうと感染したという抗体値が常に検査値に出てしまう。FIPの数値は寛解の目安にならんのだ。おばちゃんのガンと一緒で経過観察で見ていくしかないのだろう。

猫のコロナウイルスがどんなタイプのウイルスなのかそれも心配。
水ぼうそうは発症して治ったとしてもウイルスが人体のどこかに潜み、免疫が衰えた数十年後の老年に帯状疱疹として再発したりする。今は、帯状疱疹ならワクチンを接種すれば発症がおさえられるのだが、猫のFIPは治療薬でさえ認可されてないから。

困ったなぁ。
8月過ぎでもテンの体にメスの侵襲はちょっと恐ろしい。どんなリアクションがあるか、。
今は困る。

しかしながらオス猫の去勢は非常に重要なのだよ。
オス猫を飼ったことがある人ならわかると思うが、タマタマが発達してくるとオスの縄張り意識としてスプレー行動が起きてくる。オス猫のオシッコで家一軒ダメになることもある。メスと一緒なら求愛行動もある。詩音は去勢してしまったので、求愛行動は迷惑でしかない。うまくいっている二匹の関係がおかしくなるリスクもある。ああ、困った。

ドクターは1週間ごとに好転してきたテンの症状に感激している。ドクターが手掛けた最初のFIP治療の猫でもあるし、順調によくなってきて嬉しいのだ。

先日の診察で、何か質問とか気が付いたことはありますかと聞かれ、
実は、、と切り出すと
えぇ~っ、そっちかぁ?!

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テンJR.がFIP

ジュニアFIP モルヌピラビル 5週目

ジュニアFIP闘病記3

テン・ジュニア FIP闘病記3

5月の末にモルヌビラデルの投薬を開始してから7週間。

現在の症状は、しつこい熱が下がった。
39度後半から40度を超えていた熱が39度1分。猫の平熱は38度ほどというから正常に近づきつつある。

腰のへたりを起こしていた神経症状はほとんど見られない。しかし高いジャンプは踏切りで躊躇するみたいだ。テンは生後8か月になろうとしているが正常なアメショーより後ろ足と腰はかなり華奢で細い。頭はでかいが、下半身が華奢なアメショーに育だちそうだ。

トイレの砂はオカラの砂に変えてしまったのでかじることはなくなった。
砂を食べることはなくなったが、時たま無機質の金属などを一心不乱に舐めていることがある。
ファンストーブの表面とか、キッチンのコンセントとかフローリングの床だとか。家のふき掃除はアルカリ水を使い最後は水で拭いてからから拭きをするようにしている。

前週の血液検査の結果を受け取ったのだが、蛋白分布はかなり正常に近づいていた。5月初めの検査に見られたFIP特有のM字グラフはなだらかな波のように見える。

熱が下がったのでテンは8か月の子猫に戻った。
紫音と追っかけっこをしソファーに飛び上がり猫じゃらしで遊ぶ。おじちゃんがキッチンにいるときに椅子からおじちゃんの背中に飛び乗り、それからキッチンのカウンターに飛び降りた。

3か月ぶりだった。
キッチンカウンターは子猫のテンにはジャンプが届かず、ず~と紫音だけの天下だった。唯一カウンターに飛び乗れるチャンスはキッチンでおじちゃんがかがんでいる時を狙うしかなかった。じつに3か月ぶりにテンはキッチンカウンターに飛び乗った。明け方の運動会も再開した。

夜半に起きると、テンはおじちゃんのベッドにいない。
トイレに向かうとリビングの足元で黒い影がするすると走る。キャットタワーを降りて猫タンスに向かい猫トイレの陰に身を沈めておばちゃんの動向をうかがう。楽しそうだ。
体重は2700gで停滞しているのだがこの夜遊びの運動量が多いのかもしれない。

モルヌビラデルは無味無臭(ドクターが言った)で何かに混ぜて飲ませて大丈夫ということだったので、皿にチュール小さじほど絞って薬を混ぜた。テンは朝晩今生の幸せ!と喜んでなめていたのだが、3,4日前から薬の粒が多そうな皿の中心に来ると、なめるのを止めてしまうようになった。チュールを皿に追加してもチュールだけ舐めるので、おじちゃんにテンを抱いてもらい皿に残った薬+チュールを指でこそげてテンの口を開け強制摂取になった。

薬が苦い?のかまずいのか気が付いてしまったのか?
子ネコ用チキンチュールなのだが、フレーバーを変えてみた。総合栄養チキンというのがあったがこのチュール自体が嫌いみたいで、皿によりつくこともしなかったから、またおじちゃんに抱きかかえられて強制摂取になった。

大人用マグロもあまり食いつきがよくない。大人用チキンだとチュールを追加しながらごまかしてなめさせることができた。チュールでごまかせなくなったらどうするか、まだあと5週間もあるのだ。ヤマザキのチーズ蒸しパンを買ってきた。

菓子パンやスポンンジの柔らかい生地で粉薬をまとめて丸にする。それを抱きかかえてもらった猫の口にポイして素早く注射器の水を飲ませる。猫の食道はデリケートなので飲み込みやすいように水分を補給してやるのだ。紫音に虫下しを飲ませるときに使った手だが、モルヌデラビルは何せ1mgいくら?という高い高い薬だから、取りこぼしなく飲んでもらわないと困る。いや足らなければFIPが治らない。

一服分の薬包に入った粉薬は、ワックスでコーティングされた薬包の四隅にまんべんなくへばりついているので、中指で薬包をピンとはじき、袋のボトムに粉を落としてから天辺をハサミで切る。慎重に皿にあけるのだが、薬包の内側には落ちなかったナノミリグラムの薬が落ち切らずに残っているのではないか?毎度気が気ではない。

テンの体重1gにつき15㎎なのだから1㎎でも減らしたらテンの命は終わるかもしれない。
くっそ~、丸薬ならよかったのに。毎回、数ナノミリgを袋に残している気がして精神状態がよくない。
あと5週間。

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テンJr.がFIP

ジュニアFIP モルヌピラビル 5週目

ジュニアFIP 闘病記 5週目

ひと月ぶり記事の更新です。

テン・ジュニアがFIPと診断され治療を開始してから5週間。
7か月の成長期なので、病気でも体重は徐々に増え2600gから2700gを超えた。体長は紫音と同じくらいになりつつある。

朝晩に投薬をし体重を計る。
動物用の体温計は先端がフレキシブルで曲がるのだが、嫌がるテンが暴れて肛門が切れてしまうことがあったので手のひらで頭の熱さを測る。
いつもじんわりと熱い。


1週間に一回の診察では体温が39.5分を切ったことがない。腰が砕けるという神経系の症状はウイルス治療薬(モルヌピラビル)3週間ほどでほとんど見られなくなったのだが、熱は下がらない。

涼しい朝型と夜は若干活発で、日中は寝ていることが多い。
食欲はあるのが幸い。先日は3回目の血液検査でたんぱく質の分布カーブは好転していた。ドクターの7週間の治療というのは、“最短ならと“いう意味で、完治を目指すにはやはり12週の投薬は必須だという。
まだ、やっと3分の1.

同じFIPの治療をした猫友に聞けば、彼女の猫はFIP中期で診断がついてから治療を開始したので、Mutian(中国製の特効薬)での投薬は4か月どころか半年以上続きCTスキャンは10日ごとにやったという。

余談:
FIP治療中のCTスキャンは本当に10日ごとに必要なのかと考えてしまう。彼女の猫はドライタイプのFIP中期で腎臓の腫れがあったが、10日でCTスキャンの所見はそれほど変わるとは思えないのだが、。

治療薬

さて、治療薬は猫の体重1gにつき計算されるので、症状が回復に向かい体重が増えてきた後半には、1回の服薬量も増え、一錠8000円、朝晩2錠で16,000円。10日分の治療薬が16万。
だったという。そのほかの診察料・検査代で軽く外車一台分かかったと泣いていた。

テンが服用しているのは国産のモルヌピラビル剤。これは中国製のムティアン(Mutian)の薬代の約半額。成猫のアメリカン・ショートヘアは4キロから5キロなので、テンの治療最終段階には、一錠4000円くらいになるのだろう。
おじちゃんと私はバイトのシフトを増やし治療代の足しにしてる。

発育不良で真菌がついていたテンはおばちゃんたちが引き取らなかったら、たぶんブリーダーで真菌症のために死んでいたと思う。チューブ入りの塗り薬を塗るだけで、薬はなめちゃうんですよね~といい、真菌治療薬も飲ませていなかった。体力があれば生き残るだろうと思っていたのではないか。獣医の診察を受けていたようにも思えなかったし。

そのブリーダーは知り合いから飼いきれなくなったFIPのシャムを引き取って看取りをしたと言っていたから、無論テンがブリーダーのもとでFIPを発症しても治療はしてもらえず看取ってもらうだけだったろう。

おじちゃんとおばちゃんは、テンに向かって言う。
発育不良でも高かったお前を引き取って、真菌症のケアをして治療費を払い、FIPの薬代のためにあんまり入れたくもないシフトを全部入れて稼いでいるのだから、頑張って元気になれ。元気になって心配しているお姉ちゃんの紫音と遊べるようになれ。

おじちゃんがいない時、おばちゃんはこっそりテンに言う。
もしもおばちゃんがいなくなったら、おじちゃんと紫音をかまってやれるのはお前だから。紫音は一人でいられないさみしがり屋のシャムだから猫兄弟がいるんだよ。おじちゃんは2匹の猫を面倒を見なければいけないなら気がまぎれるだろう。元気になれ。

おばちゃんは老眼でかすむ目で、高っかい粉薬を1ナノグラムでもこぼすまいと慎重にチュールの上に振りまいてテンがすべてなめきるように見守っている。
あと7週間。

余談:
FIPの診断がつく前に、テンは異食をするようになった。
壁やフローリングをぺろぺろ舐める。それはいいが、トイレの砂を食べる。

止めても止めても食べる。科学的に固まる砂であるから健康にいいはずがない。ドクターに相談したのだが、原因はたぶん口が気持ち悪いのではないか、ということだった。
FIPは消化器系にも炎症があるので気分の悪さを別の味で紛らわせたかったのかもしれない。ゼオライト系の砂は病気のテンには食べさせたくないので、紙でできたトイレ砂に変えることにした。

ところが、紙砂でも齧る。
再度相談すると、ドクターの猫はオカラからできた砂を使っているという。少し値段が高いがテンの健康のためオカラ砂にしてみた。さらに口の気持ち悪さを軽減するために猫草をトイレの前に置いてみた。
テンは猫草をちょいとなめそれからトイレに行くようになってオカラ砂は今のところ齧ってない。

胆嚢ガン ステージ2 術後1年2か月

昨日は血液検査とCTスキャンの検査日だった。胆嚢ガン拡大手術後1年と2か月になる。
おじちゃんには家で病気のテンを見ていてほしいと言ったのだが、おじちゃんは返事をせず一緒に病院に来た。

血液検査は40人待ちで、CTスキャンは予約時間を1時間オーバーしても呼び出しはなかった。一番長いのが主治医の診察までの待ち時間。血液検査の結果が出てさらにCTの解像を終えてから患者が呼び出されるのだ。おじちゃんが、ここんとこ俺たちはず~と病院で待ってるな。2週間のあいだ動物病院でも待って人間の病院でも待って。

経過観察の3か月ごとに、おばちゃんの近未来計画はリセットされる。
1か月か2か月先の近々未来はおおむね計画立案が可能。3か月目の血液検査でどうひっくり返るかわからない。

4種類のガン・マーカーは陰性だった。
CT画像でも肝臓やリンパの異常は見られなかった。

おばちゃんは主治医にこの病院で遺伝子パネル検査を受けられないか聞いた。切除した胆嚢ガン組織を持っているのはこの病院だけだし、公立だからパネル検査可能の病院かもしれない。

あれ~、うちの病院できたっけか?
タヌキ主治医は驚いた。


遺伝子パネル検査をやってくれという患者は私が初めてなのか?これは驚き。地域では肝胆膵の専門なんだが?

静岡県の人口は357万人 日本の人口1億2450万人 比率では0.286
胆道ガンの患者総数は発症22,159 (死亡17,773 実に8割が死ぬ)人口10万人当たりの罹患率は17.6人とする
すると静岡県の胆道ガン患者は628人となる。
さらに静岡市と浜松で県人口の4割を占める。これは東部の病院には来ない。

するとあとは大体半分の患者300人で、近くに有名ながんセンターがあるからそちらに6割流れるとすると、かかりつけのこの病院には年間180人くらい?

手術できない患者は腫瘍内科に回るから、実質 肝胆膵外科に回ってくる胆道ガン患者は100人くらいでここは専門が3人いるから、タヌキ主治医が診るのは年間12人から20人くらいか?
それでも遺伝子パネル検査を要求する患者が一人もいなかったのか?ネットの時代なのに?

遺伝子パネル検査をやれば胆嚢ガンの遺伝子異常の有無がわかる。
去年認可になった胆嚢ガン分子標的治療薬はFGFR融合遺伝子に変異がある患者に治療が見込めるという。ただこの遺伝子変異の可能性は胆道ガン患者の13~17%くらいらしい。遺伝子変異がある患者に対して分子標的治療薬が効くのだ。

分子標的薬が使えるかどうか知りたいというより、おばちゃんの狙いは好奇心と費用である。今年から来年4月まではおばちゃんの国民健康保険料と高額医療限度額は制度上の最低額である。遺伝子パネル検査が保険適応になった以上、次の定期検査の9月にパネル検査をすれば月の費用はすべて3万9千円ほどで済んでしまう。安い!

おばちゃんはどうしてこう言う風に頭が回ってしまうのだろうか?
再発した場合、医者は立場上抗がん剤を進めるだろう。おじちゃんはきっと縋り付くだろう。おじちゃんのために効きもしない抗がん剤を次々3種類試すのは御免である。

去年認可された分子標的治療薬の話も出るかもしれない。しかし分子標的治療薬は遺伝子変異があると効く。その遺伝子変異があるかどうかは遺伝子パネル検査で判明する。だから検査だけを安い時にやっておけば効率がいい。効きもしない選択肢を最初からつぶしておく狙いもある。

もう一つは好奇心。
おばちゃんは両親と姉妹の6人家族だった。
父と母と長女は胆石を手術した。家族6人のうち胆石にかからなかったのは(もしかしてかかっているかもしれないが、聞かされていない)次女と3女だけ。6人のうち4人が胆石持ちというのは遺伝子的に興味深くないか?

もし遺伝子変異があったとして、再発したときには分子標的薬だけの費用ですむ。確か加入している医療保険には先進治療の治療費カバーがあった気がするなぁ?また、給付金でプラスになるかもしれない。

テンJr.がFIP

テンが3週間前に膀胱炎を発症して、それは抗生物質と消炎剤で収まったのだが、私はどうしても疑問をぬぐい切れなかった。この子はどこかおかしい。何かが内臓に隠れているような気がする。
子猫ってこんなに動かないものだったろうか?
おじちゃんは、ちゃんとご飯は食べるよ。夜中に起きてカリカリを食べていたよ。というのだが。

紫音が午後四時にうるさく鳴いて遊べという。
キッチンカウンターに登って暴れまわる。テンと遊びなさい。テンは寝ていた。子猫にしては寝すぎではないか?土曜日の4時だった。胸騒ぎがするがこの時間に病院に連れて行っても予約がいっぱいだろう。

日曜日の朝、テンに呼び掛けても反応がなかった。
頭をもたげることもしんどそうだ。痩せて発育不良の体は冷たくて頭だけ熱い気がする。おじちゃんを呼んで体温を計ったら39度を超えていた。

もともと体力がある子ではないので、このままにしていたらきっと持たないだろう。病院の診察時間前で電話も保留だったが、連れて行ってドアが開いていたので診察をお願いした。血液検査をお願いします。二日なにもしなかったらこの子は死にますから。

血液検査の結果は数日かかるので、応急手当として抗生剤と消炎剤と点滴を入れた。
帰宅して午後にはテンは走り出してソファーに飛び乗った?!なんと!

おかしい。抗生物質だけの場合はこんなに回復が著しくはない。消炎剤を入れたときに劇的回復を見せるのだ。ただ、腰が砕けて時々歩行がヨれる。血液検査の時に暴れたから血管や健を傷つけたのかもしれない。

次の日も朝一で診察をしてもらい同じ抗生物質と消炎剤を入れた。自宅に帰れば紫音と駆け回った。おかしい、あれほど消耗していたのに。

月曜日に血液検査結果がでてFIPと。
FIPにはドライとウエットタイプがあって、腹水やリンパに液が溜まるウエットタイプのFIPは貯留した体液からウイルスが検出されればFIP同定できる。ドライのタイプはどこにウイルスが潜んでいるかわからず検出が難しいが血液検査の蛋白分布から暫定FIPだと。発育不全はFIPの症状の一つでもあるんですと。

FIPか!?

猫のFIPは不治のエイズ診断と同じようなものだ、中国製の治療薬が輸入される前は。
治療薬が手に入るようになった今でも、薬を持っているクリニックの数は限られ、近いところでは横浜までいかねばならない。

なぜ知っているかというと、山の猫友のノルウエージャンがFIPを発症したからだった。
猫友にシッターを頼まれて世話をしに行ったら、あちこちに粘液を吐いた跡がありバスタブのふちにぶるぶる震えているノルウエージャンがいた。猫友にこの子はおかしいよと報告すると旅行を1日切り上げて帰宅した。それが彼女のFIPの始まりだった。

FIPの治療の問題は治療できるクリニックが限られているということだけではなく、治療薬の高さだった。国の認可薬がない。

猫友の場合は2年前なので84日間の治療薬だけで80万、診察料・検査・通院などでさらに倍かかる。FacebookでもアメリカのFIP治療のサイトがあって、7000ドル以上の薬をどうやって工面するかという問題が焦点だった。

インフレで値上がりして今年ではMutian薬だけで100万円。ペット保険はFIP薬は免責、ペットの売買契約でも、FIPの場合は免責事項が設けられているのが普通だ。FIP なら猫をお取替えします、と。

かかりつけのクリニックの獣医さんは若いが優秀だった。
Mutianでの治療を望むなら横浜の病院を紹介しますが、Mutianではないけどウイルス薬は持っています。人間用のコロナ治療薬を流用したものです。Mutianは84日間の連続投与が必要なのだが、後発薬なら7週間で費用は安くできます。

猫友が横浜のクリニックまで治療に通った苦労は聞いていた。
テンは発見が早かったから後発薬でもチャンスがあるのではないだろうか。6か月の子猫だから早く薬でたたけば治癒が望めるのではないか?

後発薬で治療をお願いした。
何よりも近場で急変があったときにすぐに見てもらえる。猫友によればFIPの治療には薬の匙加減がモノを言うという。猫の体重と体調を見ながら量を増減するのが重要。それならば、毎日でも通える地元のかかりつけなら体重を計りながら薬の微調整が可能だ。

テンが真菌症の治療を始めた時からテンの育成日記をつけていたので、表に手をいれてさらに書き続けることにした。腰が砕けて右足をひきずるようになったのは、血液検査の後からであった。
血管か腱を傷つけたのかと思ったが、先生によれば「左足」から血液を採ったという。FIPの症状の一つには神経系統に巣くって障害を起こす場合がありますと。腰のふらつきはFIPウイルスだったか?

月曜日に処方してもらって抗ウイルスの投薬を始めた。
同時に注射をしてもらった消炎剤の効果が切れ始めると、テンはまた動きが鈍くなってツグラで横になっていた。消炎剤は5日以上連続投与すると腎臓障害を起こすので、熱が高く炎症がひどそうな時に使い、後は抗ウイルスが効いてくるのを祈るしかなかった。

木曜日あたりから食欲が出てきて腰がふらつきながらご飯を食べる。
投薬時間は厳密に守らなければならない。
猫友の主治医は投薬時間の45分までの違いは許容内だが、それ以上の時間の狂いがないようにと指導があったと言っていた。

最初の投薬は朝10時だった、だから夜の投薬も10時。
しかし、私の通院のときに朝10時ではどうしても遅い。それで8日間かけて最大15分ごと投薬時間を早めていき朝9時―夜9時にセットした。

5日目の金曜日には腰のふらつきがよくなり消炎剤なしでも食欲があって元気が出てきた。診察した先生は体調を聞いて薬を増量した。9日目には体重が微増して2450グラムを超えた。

あと6週間。
今月末のジョイスのメモリアル・ランチには行けない。

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