投薬はあと10日。
テンの体重は3.1キロに到達した。
ドクターから3薬の容量/kgは15㎎で3.3キロまでは変わらずと言われているので、あと10日足らずでこれ以上ウイルス薬モルヌピラビルの量が増えることも、お会計が増えることもないだろう。国産の後続薬でも一週間の薬代がおじちゃんとおばちゃんのアルバイトの総シフトより高いので暑さだけでなく消耗する。
テンは3キロを超えたが抱き上げるとフワフワと軽い。
毎日うれしくて短く鳴きながらリビングを走り回っている。血液検査の結果も異常な数値は見当たらない。熱もなく痩せて小さなことを除けば、ほとんど普通の子猫と変わりがない。
FIPは特効薬がなければ回復が見込めない猫の難病だ。
特効薬さえ服薬させれば完治が見込める。
5月の末の診断ではFIPの初期と思われた。しかし発熱と後ろ足に神経症状がでていたことを考えると初期というより中期にかかる状態だと、総合的に判断された。
これまでの治療は、血液検査の結果を見ながら体重の増加に合わせてウイルス薬を投薬してきた。6月に入っても薬の効果がなかなか現れず、熱が高い状態が続いたのでやむえず消炎下解熱剤を使った。
ぐったりしたテンが消炎剤の効果で一時的に元気になる。ただ、消炎剤は肝臓に負担がかかるので、5日以上連投すると肝臓障害が起きるリスクがある。そのため、テンの様子を見ながら消炎剤の量を半分にしたりして投与をした。
ウイルス剤の投薬時間はきっちり守る。
おばちゃんたちは半ばリタイアした“ぷー”(年金生活者とも言うが)毎週の診察や投薬時間を守ることは比較的容易だった。
ただ、これが仕事をしている現役だったら、。
投薬後にテンが吐かないように見守ってから出勤する必要があっただろう。朝の投薬時間を早くすれば、夜の投薬時間も早くなる。朝が7時なら、夜は7時前に帰ってこなけれ間に合わず、誰かが代わりに薬を与えなければならない。
毎週の診察もかなりの負担になっただろう。
FIP闘病の山の猫友は一人暮らしだったので、朝にMutain(中国産純正ウイルス薬)の錠剤をのませ夕方帰宅すると、床に干からびたウイルス薬を発見したことがあったという。彼女の猫は中期で容量が多く、一回の薬が8000円だったから、その時のショックは想像できる。一人暮らしでは84日間の朝晩2回の投薬時間を守ることや、毎週隣県に診察に通うことは非常な負担になる。
クリニックについて
中国産Mutainで治療できるクリニックは限られているが、獣医から紹介を受けることもできるしネットでもクリニックのリストがあったと思う。毎回CT・MRIや血液の精密検査を求めてくるクリニックもあるようで、患者のネットワークなどから評判を聞いてから診察を求めるのがいいかもしれない。
治療費
Mutainの12週間84日間分の薬代のみで現在約100万円
さらにCT・MRI・血液の精密検査などの追加費用が掛かる。ざっと新車1台分か。
もし、クリニックの経営者が利益の追求に熱心であれば、新車でも輸入車が1台。良心的なクリニックなら国産車1台分くらいの違いがあるかもしれない。
FIPは腹水がたまったりするウエットタイプと粘液が顕著でないドライタイプがあるが、ウエット・タイプなら、CTやMRIは診断に必要だろう。定期CTも致し方ない。一般にドライのほうが予後も良いという。
ペット保険
FIPは子猫に発症することが多い。
子猫を求めたときペット保険に加入できることが多いが、FIPの治療薬は保険対象外の場合がある。ただ、診察料、検査料はカバーできるので治療費の軽減が期待できる。
生体譲渡の契約書では、大抵FIP条項がありFIPが発覚した場合は「お取替えします」と書いてある。「お取替えします」って?!不良品かよ?!ウチに来たらうちの子!
相手方はFIPの治療費は負担しないしまして購入代の返還もない。
総費用
おばちゃんがかかった費用総額は:
先代猫からのかかりつけ、若き熱血獣医が国産薬を持っていて治療意欲が高かったので治療をお願いした。モヌルピラビル薬と検査・診察料の総額はおよそ50万ほどになると思う。
予後
FIPの元であるコロナ・ウイルスは猫の半数が体内に持っているらしい。
特効薬で治療の後に、ストレスなどで薬で駆逐しきれなかったFIPウイルスが再度活性化し始める可能性や、免疫が落ちた時にコロナ・ウイルスから再度FIPに変異する可能性もある。
そういう意味では「完治」というより「寛解」と言ったほうがいいかもしれない。
終わりが見えてきておばちゃんはホッとしている。
One down, another to go.
今度はおばちゃんに火がついているかもしれないから。
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