FIP寛解後

今年の冬は羽毛布団は無しね。
おじちゃんは消臭スプレーと雑巾で黙々とベッドルームを掃除していた。

テンのスプレーはますます快調。
いつどこでマーキングされるかわからないので、とてもじゃないが羽毛布団は使えない。
一昨日も寝具一式をコインランドリーに担いでいったばかりだ。敷く毛布1,掛ける毛布が3枚、キルトのベッドスプレッド。
ウチの東芝ザブーンでやると仮定すると、朝洗濯を始め乾燥ができるのは夜の11時頃になる計算。とてもやってられないので山のふもとのコインランドリーまで遠征した。

山の冬の最低温度はマイナス1度。
今は5度くらいだろうが羽毛布団にオシッコされることを考えたら叫びだしたくなるから、毛布で頑張る。

おじちゃんの枕元が一番被害にあうので特大のペットシーツを引いてしまった。
おじちゃんは被害に気が付くと黙々と掃除シーツの交換をしている。

紫音のベッドも被害にある。
ベッドとモフモフ毛布の上にやられるので、何回もハイターをぶち込んで洗濯をしてきたのだが、猫の鼻では匂いが残っているのだろうと思う。何度もやられる。モフモフ敷物の下にペットシーツを引きたいが、紫音がペットシーツの縁を嚙み食べてしまうので、モフモフは洗濯のし過ぎでよれてきた。

おじちゃんは目ざとい。
真夜中でも朝方の5時でもテンが騒いでスプレーをすると起きて掃除をしている。
この前SHIENからワンピースが届いて思ったより生地が薄くて冬は着られないわねととりあえずベッドの上に置いたところに、見慣れない物・匂いだからあっという間にスプレーをされた。お気に入りの黄色のセーターもたっぷり液体がしみ込んだ。

おじちゃんは風呂場の専用バケツにもっていき洗い流してからワイドハイターと逆性せっけん液に付け込んだ。
一度も着ていないのに、おばちゃんは泣泣。今度やったらオムツの刑!と悔しくて言った。

おじちゃんは、獣医さんがオムツは膀胱炎になりやすいしオムツ自体が臭くなってそこらに匂いが付きますよ。って言ってたじゃないか。オムツは着けたら可哀そうだろう。洗濯と掃除を黙ってしてる。

3日前は寒すぎたのかテンがあまり動かず猫タワーで熟睡しているので、おじちゃんとおばちゃんは心配になって、息をしているかどうか時々テンをゆすって確かめてみる。

年末のテンの診察は異常がなかったら来なくていいと言われていたのだが、連れて行こうか迷っていたらクリニックから電話が来て猫の風邪が流行っているのであえて来なくてもよいと言われた。

猫の流行り風邪!?
FIPあがりのうちのテンをリスクにさらせないので行かないことにした。

今朝は腹を空かせていたテンが急いでカリカリを食べその後吐いたので、おじちゃんは大丈夫か、大丈夫かとテンを目で追っている。

年明けにはYahooのクーポンが使えるのでペット専用の体重計を買うつもりだ。
今使っている人間用のタニタでは10g単位が正確にでないのでペット専用が欲しいのだ。たまたまYahooの宝くじをクリックしたらお買物券が1500円当たり、その有効期限が1月1日からなのだ。

3日前に屋根の葺き替えは終わった。
同じ色のトーンの合板が家外壁の色ぴったり合って満足だ。玄関まわりの掃除をして正月飾りを飾った。新しい年を迎えられる。
皆様もよいお年を。

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テンJR.がFIP

テン・ジュニア FIP闘病記4 そっちか!

ついにFIP寛解

テンはFIPから逃げ切れたようである。
今日の診察では体重が3720gに増え熱も神経症状も観察されなかった。

「薬を切って1週間症状がみられなかったら寛解と言っていいでしょう。」獣医さんの宣言であった。

長かった。
追加の9週間をいれてFIPの治療は5月の末から約半年。よくぞ逃げ切ってくれた。生後2か月で真菌だらけで家に来て、先生からは無事に育つかどうかは半々と言われた発育不良の猫だったから。

ありがたい。長生きをしてほしい。若く熱意のある獣医さんに恵まれて幸運だった。
とうれしさを噛みしめるおじちゃんとおばちゃんであった。

うわぁぁぁ~~!
なんだよ、急に大声を出すなよ。シオンちゃんの尻尾が広がっちゃったじゃねぇか!
バカたれ。

そんなこと言ったって、驚くなよ。
楽天から10月分のクレジット請求額お知らせだ!
その額、なんと46万!
おじちゃんは、息をのんで押し黙っちゃった。あとは知らんと言いたいのだ。

いやぁ~、これで4Kテレビの請求はまだ入ってないから。
あっ、忘れてたわ。Thinkpadを買ったんだった。郵便局のへそくりで買うつもりが結局オンラインで買ったからカード支払いになった。46万には生活費も入っているけどテンの治療費とThinkpadが、、。

来月は4Kテレビが入ってくるがテンの治療費がないから。バンザ~~イ。

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海外から猫を連れて帰国する 届け出書 

ロングビーチのキャット・ショー 1

猫に粉薬を飲ませるには

無味無臭と言いながら、粉薬を混ぜるとウエットフードも食べない。
薬が嫌いな猫にどうやって飲ませるか、おばちゃんの方法を伝授する。

FIPの猫に6か月間毎日治療薬をやり続けるには工夫が必要だった。猫さんに薬を飲ませるのに困っている方に参考になるかもしれない。

クリニックではウイルス薬の「錠剤」を仕入れていた。
FIPの症状を見ながら体重によって毎週薬の量を調節する。だから薬はいったん錠剤をつぶして粉にし、今週の処方g単位で再度個別包装される。

薬の味を嫌がらない猫なら、ウエットフードやチュールに混ぜてやればいい。
しかしドライフードしか食べないとか、味やにおいがないはずの薬の味を嫌がる猫に粉薬を飲ませるにはどうしたらいいか。

まず、薬を飲ませるタイミング
ご飯の前。
ただし、あまりおなかをへらし過ぎていると薬の後にドカ食いして吐くことがあるので、満腹にならない程度の軽食をさせてから、薬を飲ませる。薬を飲ませてから10分程度時間をおいておなかが落ち着いたころ、いつもの食事を与える。

チュール作戦
ウイルス薬の粉薬は味も匂いもないはずだったが、チュールに混ぜてなめてくれたのは最初の1月半くらい。味がないと言われてもやはり何かおいしくない味があるのだろう。
症状が改善し体重が増えると処方のグラム数も増える。毎週増えていく薬をチュール1本に混ぜると途中で味を嫌がって逃げてしまうことが増えた。

そこでチュールのフレーバーを変えてみた。
チキン味からツナ味へとチュールを変えてみても途中で薬の味に気が付くともう食べない。エネジー・チュールと子猫用チュールは嫌がって最初から食べなかった。薬とチュールのフレーバーが合わないらしい。
全部舐めてくれないと残りを指で掬い口に押し込むことになるので、別の手段を考えることにした。

薬用チーズ
ペットショップでは薬を仕込んで食べさせるようにマカロニのように真ん中に穴が開いた猫の薬用チーズが売っていたので買ってみた。
まず、大きすぎ。そのままの大きさでは口に入れても大きすぎて噛むしかないが中の薬が口にこぼれると吐き出されることになる。
いったん封を切ると冷蔵庫で保存するのだが、乾いてくるから飲み込むのがますます難しくなる。捨てた。

丸薬にする作戦。
後半3か月は毎回丸薬を作って飲ませた。
粉薬をもう一度丸薬に丸める。

用意するもの
市販のシフォンケーキや蒸しパン。
つまようじと10センチ四方に切ったサランラップ

ヤマザキの「チーズ蒸しパン」や「」のきめ細かいしっとり系のシフォン生地がいい。セブンの「たまご蒸しパン」も好き。
ケーキ、菓子パン、蒸しパンなどが丸薬にしやすい。

まず、つまようじでケーキの生地を軽くひっかいて小指の先っちょ1/3ほどのほぐれた生地を10センチ角のサランラップの上に落とす。
粉薬をこの生地の上にパラパラと振りかける。

サランラップの一方の端をもって、生地と薬が乗った個所を中心になるように折り曲げる。
そして指の腹で薬とシフォン生地をサランラップの上からつぶす
サランラップをはがすと、生地と薬はペッチャンコになっているはず。つまようじでこの生地の端っこを持ち上げて二つ折りする。
またサランラップの一方の端をもって生地を二つ折りして指で押す。

つまり、サランラップの間に薬と生地を挟んで、何重にも折りたたんだパイ生地を作るつもりで繰り返す。程よく生地と薬が混じった練生地が出来上がったら、指で5~6ミリほどの大きさに丸める。
わりとねっちりとした粘土状になっているはず。ぽろぽろ崩れるようなら生地に水分が足りない。


テンをおじちゃんにだっこしてもらい猫の口を開けて人差し指で丸薬をのどの奥に落とし込む。口の横っちょから注射器で水を5ccほど注いでやる。猫は唾液が少ないので飲みやすくするため。

一回に必要なシフォン生地はごく微量なので、3日か4日は同じ菓子パンが使える。パンが乾いたらまとまりが悪くなる。そしたら食べちゃえ。

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テンJR.がFIP

テン・ジュニア FIP闘病記7

テンジュニア FIP闘病記12

テン・ジュニア FIP闘病記11 しんどい

獣医さんの説明通り、ステロイドの投与が始まってからはテンの元気が少しなくなった。次の週に血液検査をすると、肝臓の数値は平常値のままで全く上がっていなかった。

あれ~、テンちゃん、肝臓が丈夫なのかなぁ?普通はステロイドで上がるはずなんだけど。限界の量まで使ってるし。
えっ?下痢もしない?ふ~ん。
食欲は増進したと。体重は微減。このへんは予想されてた通りですね。

さかりがついた?
布団と毛布にスプレーしちゃったのか。経験上、一番丁寧なクリーニングでも匂いは完全に落ちませんね。

ウイルスの封じ込めにステロイド作戦は効いたのか確かめる方法は全くないが、テンのあっちのほうは元気になって、日々戦々恐々である。
もぞもぞと匂いを嗅ぐ動作があればすかさずトイレに連れていく。前もって膀胱を空っぽにする作戦である。

たっぷりスプレーされた安物の布ソファは臭い消しも使えないのでとりあえず特大のペットシーツで覆ってある。去勢手術が済まないうちに買い替えられないから。ステロイドは段階的に減らして今週は元気が回復した。シオンにまとわりつく行動はますます盛んである。

お前、治ったん違うか?し〇んベン太郎。お漏らし小僧。
獣医さんは特効薬のMutianを仕入れる手筈をつけたのだけど中国の国慶節のバタバタで業者と連絡が取れないらしい。

先生、それはしょうがないですよ。春の春節と、国慶節と11月11日の独身の日は日本の盆か正月か成人式みたいに国を挙げててんてこ舞いになりますから、落ち着いたら業者も連絡がつきますよ。


おばちゃんは、先日FIP治療のクリニックについて調べものをしていて Mutianの有効期限が2年だということを知ってしまった。
未認可薬なので手に入れるには個人輸入しかない。2年以内に治療を求める患猫・飼主が現れなければ、有効期限が切れた薬は捨てるしかないのである、百万単位のオーダーで。

 

おばちゃんは猫バカだからモルヌピラビルでの治療をGoした。
ペット保険限度額を使い切り、すでに中古軽自動車分の薬・検査費用・治療費が出て行った。かつまだ治療中である。

ここは人口4万人足らずの地方で、おばちゃんの感触だが、猫の飼主でワクチンを打つ方は半分?くらい。完全室内飼いは極ごく小数派ではあるまいか。
FIPの知識のある方がまず少なく、治療費にMutianなら薬代だけで100万、モルヌピラビルなら半分、プラス検査費用と診察料と聞かされると、お願いしますと即答できる飼い主はどのくらいいるのだろう。

費用だけではなく、経過観察のため週一の診察は不可避である。
おばちゃんとおじちゃんは5月末から欠かさず週一で予約を取ってきた。半リタイアした年金生活だからできたようなものである。これが現役で仕事がある場合は時間をとれるかどうか気が遠くなりそうだ。

おばちゃんも小売業をしてきたから、見込みで仕入れたものが売れずに不良在庫とか経費損のリスクはよくわかるのだ。獣医さんが研究熱心で治療に積極的だからついそそのかしのようなことをしてしまったが、患者がでなかったら申し訳ない。もし、住まいの別荘地でFIPの猫がでたら大いにうちの獣医さんを勧めなければ。

来週はステロイドが終わりウイルス薬の量も半分にする予定。
半分になってテンの体調が悪くならなければ寛解かな? そのあとに去勢手術があって、手術の侵襲で再発が誘発されないかどうか、期を見て細心の注意をはらって手術の必要がある。
あ~~~~っ、しんどい。

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テン・ジュニア FIP闘病記10 あっちのほう

診察から帰ってきた月曜日、ドクターから夜8時に電話があった。
Mutainで治療を行っている懇意の同業者に聞いてみたら、あっさり薬の輸入情報を教えてくれたそうである。

言ってはみるもんである。
後発のモルヌピラビルで投薬の15周目を過ぎ、完治まであとどのくらいなのか、あるいは完治を目指せるのか不安がある。FIPウイルスのトドメを指すために最後の2週間ほど特効薬中の特効薬Mutianを使えるならなぁ、とドクターに言ってみたんだが。

おばちゃんがそそのかしたドクターはMutianを持ってるクリニックの先生と入手法や治療の話をしてみたところ、第一案:Mutianに変えるなら追加で6週間と言われたそうである。

規定の12週間の半分?長すぎやしないか?
モルヌピラビルでは追加もいれてすでに15週間を治療中である。
薬を変えてさらに6週間というのは絶句。都合15+6で21週 都合5か月ではないか。

おばちゃんの思惑を感じ取ったか、ドクターは次にこんな提案をした。
第二案である。
FIPの専門家がいうにはモルヌピラビルで15週間治療中なら、ステロイドを併用してはどうか。
テンの右後脚に巣くっているかもしれないウイルスを叩くために、まず神経症状や炎症をステロイドで抑え、モルヌの効きをよくする。ステロイドはウイルスをたたくわけではないが、ステロイドで神経系の炎症を抑えてその分ウイルス薬が十分効果を発揮できるようにしてやる。
なるほど。

対症療法ではなく、ステロイドをウイルス剤のブースターとして使うのか。
でも薬の量が重要ではないか?
どのくらいの量のステロイドが炎症や神経症状を抑えて、ウイルス薬の効き目を最大限に引き出せるのか?

我がドクターはステロイドならすぐ処方できます。何なら明日にでも取りに来られたら、などと提案された。
おばちゃんは電話では決断したくなかった。来週の月曜日に2案の詳細をさらに詰めたい。ステロイドはそれからでも遅くないのではないかと思った。

何故かというと、テンはめっちゃ元気なのである。
それもあっち方面が、、。
先週は詩音のお姫様ソファにオシッコをかけられて、カバーとクッションをおじちゃんが洗濯をしたあと、またやられた。匂いが完全に抜けていなかったのだね。

テンはもう11か月である。華奢な後ろ足に似合わずタマタマはますます充実してきた。ぷっくりと可愛い、スプレーをしなければ。
次にやられたのは、おばちゃんのジャケット。
急に涼しくなって夜卓球にウインドブレーカーを着て帰ってきてソファの上に置いた。

テンが見慣れないジャケットを珍しがってソファに上りしきりに匂いをかいでいたのを見ていたが、妙に下半身がモゾモゾするのでおかしいと思ってチェックしたら見事にやられた。

次の日も同じソファのクッションにやられた。ウインドブレーカーにした時の臭いがクッションについていたのかもしれない。
お気に入りのクッションだったのに!中身のワタは捨てた。ソファ自体にも3か所シミがついてた。ソファは洗えないので捨てるしかない。それまでは防水シートをソファにかけ、
特大版のペットシーツで覆った。

保護猫でアメリカに連れて行ったニャアニャン(去勢済み)は心理ショックでスプレー行動が復活し、カリフォルニアで猫専門の有名医からいろんな薬の処方とカウンセリングを受けたが、亡くなるまでの10年間とうとうスプレーはやまなかった。

彼のためにカウチを2つ捨て、アパートの敷金は洗浄費用で戻らなかった。家を買ってアパートから引っ越すときに、引越屋の白人のチーフがカウチを運ぶときにニャアニャンのオシッコがついたところが顔に当たったと激怒した。

わざとやったわけではないのよ。おばちゃんが謝って洗濯代にしてねと彼のシャツのポケットに20ドル札を入れた。100ドルにしたほうがよかったのだろうがもったいなかったのだ。猫のオシッコのせいで危うく引っ越しが中止になるところだった。

オス猫のオシッコはあまりにも臭いので家一軒がダメになると言われたりする。
ニャアニャン10年間の悪夢がよみがえってきておばちゃんの心は深く沈んだ。

おいコラ、テン! ション〇ン太郎、お漏らし小僧。おまえ、FIPはもう治ったん違うか?

FIPが完治したとしてもテンの免疫系統にダメージを与えないためには、最低2か月避妊手術はできない。その間、元気でスプレー行動が定着してしまうと、去勢手術をしてもスプレー行動だけ習慣で残ってしまう恐れがある。

フライパンから脱出するとそこは火の上、というか。
おばちゃんは頭がくちゃくちゃに乱れている。
ステロイドを併用したら完治するかもしれない。薄氷を渡るようにテンの体調を見張りながら去勢手術をして、時期を図りそこなうとFIP復活してテンは死ぬかもしれないし、治っても家はスプレーでダメになるかも、。

ロシアン・ルーレットでんな。
おばちゃんの人生はこんなんばっか。

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ニャ―にゃん 6 ぬいぐるみになる

テン・ジュニア FIP闘病記6

投薬はあと10日。
テンの体重は3.1キロに到達した。
ドクターから3薬の容量/kgは15㎎で3.3キロまでは変わらずと言われているので、あと10日足らずでこれ以上ウイルス薬モルヌピラビルの量が増えることも、お会計が増えることもないだろう。この薬は人間のコロナの治療薬で動物に使用する許可は下りていない。未認可。それでもMutianより安い。一週間の薬代はおじちゃんとおばちゃんのアルバイトの総シフトより高いので暑さだけでなく消耗する。

テンは3キロを超えたが抱き上げるとフワフワと軽い。
毎日うれしくて短く鳴きながらリビングを走り回っている。血液検査の結果も異常な数値は見当たらない。熱もなく痩せて小さなことを除けば、ほとんど普通の子猫と変わりがない。

FIPは特効薬がなければ回復が見込めない猫の難病だ。
特効薬さえ服薬させれば完治が見込める。
5月の末の診断ではFIPの初期と思われた。しかし発熱と後ろ足に神経症状がでていたことを考えると初期というより中期にかかる状態だと、総合的に判断された。

これまでの治療は、血液検査の結果を見ながら体重の増加に合わせてウイルス薬を投薬してきた。6月に入っても薬の効果がなかなか現れず、熱が高い状態が続いたのでやむえず消炎下解熱剤を使った。
ぐったりしたテンが消炎剤の効果で一時的に元気になる。ただ、消炎剤は肝臓に負担がかかるので、5日以上連投すると肝臓障害が起きるリスクがある。そのため、テンの様子を見ながら消炎剤の量を半分にしたりして投与をした。

ウイルス剤の投薬時間はきっちり守る。
おばちゃんたちは半ばリタイアした“ぷー”(年金生活者とも言うが)毎週の診察や投薬時間を守ることは比較的容易だった。

ただ、これが仕事をしている現役だったら、。
投薬後にテンが吐かないように見守ってから出勤する必要があっただろう。朝の投薬時間を早くすれば、夜の投薬時間も早くなる。朝が7時なら、夜は7時前に帰ってこなけれ間に合わず、誰かが代わりに薬を与えなければならない。

毎週の診察もかなりの負担になっただろう。
FIP闘病の山の猫友は一人暮らしだったので、朝にMutian(中国産純正ウイルス薬)の錠剤をのませ夕方帰宅すると、床に干からびたウイルス薬を発見したことがあったという。彼女の猫は中期で容量が多く、一回の薬が8000円だったから、その時のショックは想像できる。一人暮らしでは84日間の朝晩2回の投薬時間を守ることや、毎週隣県に診察に通うことは非常な負担になる。

クリニックについて

中国産Mutianで治療できるクリニックは限られているが、獣医から紹介を受けることもできるしネットでもクリニックのリストがあったと思う。毎回CT・MRIや血液の精密検査を求めてくるクリニックもあるようで、患者のネットワークなどから評判を聞いてから診察を求めるのがいいかもしれない。

治療費

Mutianの12週間84日間分の薬代のみで現在約100万円 
さらにCT・MRI・血液の精密検査などの追加費用が掛かる。ざっと新車1台分か。
もし、クリニックの経営者が利益の追求に熱心であれば、新車でも輸入車が1台。良心的なクリニックなら国産車1台分くらいの違いがあるかもしれない。

FIPは腹水がたまったりするウエットタイプと粘液が顕著でないドライタイプがあるが、ウエット・タイプなら、CTやMRIは診断に必要だろう。定期CTも致し方ない。一般にドライのほうが予後も良いという。

ペット保険
FIPは子猫に発症することが多い。
子猫を求めたときペット保険に加入できることが多いが、FIPの治療薬は保険対象外の場合がある。ただ、診察料、検査料はカバーできるので治療費の軽減が期待できる。

生体譲渡の契約書では、大抵FIP条項がありFIPが発覚した場合は「お取替えします」と書いてある。「お取替えします」って?!不良品かよ?!ウチに来たらうちの子!
相手方はFIPの治療費は負担しないしまして購入代の返還もない。

総費用

おばちゃんがかかった費用総額は:
先代猫からのかかりつけ、若き熱血獣医がウイルス薬を持っていて治療意欲が高かったので治療をお願いした。モヌルピラビル薬と検査・診察料の総額はおよそ50万ほどになると思う。

予後

FIPの元であるコロナ・ウイルスは猫の半数が体内に持っているらしい。
特効薬で治療の後に、ストレスなどで薬で駆逐しきれなかったFIPウイルスが再度活性化し始める可能性や、免疫が落ちた時にコロナ・ウイルスから再度FIPに変異する可能性もある。

そういう意味では「完治」というより「寛解」と言ったほうがいいかもしれない。
終わりが見えてきておばちゃんはホッとしている。

One down, another to go.
今度はおばちゃんに火がついているかもしれないから。

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テン・ジュニア FIP闘病記5

テン・ジュニア FIP闘病記 5

猫の半数はコロナウイルスを体内に持っているという。
コロナウイルスは病変性に変異しない限り無害だが、変異の引き金を引かれてしまうとFIPとして増殖し発症することになる。

おばちゃんが懸念していたのはこのFIPウイルスはインフルエンザ・タイプ(ウイルス駆逐して快癒)か水ぼうそう=帯状疱疹タイプ(快癒しても長年体に潜伏)なのか。悲しいことに後者の帯状疱疹=ヘルペスタイプだそうだ。

ウイルス剤でFIPウイルスをたたいて緩解に持っていけたとしても、体内のコロナウイルス(悪さをしないほう)がなくなったわけではない。症状が出ないほどFIPウイルスが少なくなっても、ストレスなどからくる免疫が低下したときにFIPが再び増殖する可能性があること。つまり再発。

もう一つのセオリーとしてはFIPウイルスを駆逐して、無害なコロナウイルスだけになったとするも、免疫が落ちた時にコロナが再びFIPに変異・再発する場合が考えられるーーということらしい。

ドクターが診断した別の生後4か月の猫は、特効薬Mutianを持っている横浜のクリニックで治療緩解にもっていけた。緩解後は彼女の免疫体系にストレスを与えないために、定期ワクチン接種も控えているという。単独飼い+完全室内飼いなので猫エイズや伝染性疾患に触れる機会が少ない。普段の検診は地元のこのドクターなので状態を理解したうえでワクチン接種なしでも診察をしてくれている。

もう一つは去勢の問題。
ワクチン接種も控える状態で去勢手術の侵襲は非常にリスキーだ。
彼女の飼い主は2年間発情期に耐えたのだが、それ以上は無理ということで生後2年で去勢手術をした。メス猫の場合は普通は開腹手術なので一晩クリニックで泊りのはずが、彼女の場合は日帰り手術!にしたのだという。

テンの血液検査の結果はドクターが驚くほど好転し体重が増えている。体重も増えているがタマタマも増大しているのだ。先々代の雄猫には十年以上スプレー問題に悩まされとうとう解決せず亡くなるまで十年耐えた。前面のFIP後面の去勢問題とおばちゃんの猫生活は穏やかでない。

投薬も問題がある。
モヌルディラビルは無味無臭というのでチュールに混ぜて食べさせていた。
最初は喜んで、えぇ~僕 朝晩チュールを食べられて幸せ~!と楽勝だったのだが、最近はなめている最中に、ん~、なんか僕もういいや とプイとそっぽ向いて歩き去ってしまうことが増え、これはイカンとチュールを足し足しになることがあった。

朝ごはんを食べた後などには、足しチュールもそっぽ向かれることがあるのだ。その場合は残りの薬入りチュールを指でぬぐい取ってテンのお口に強制摂取となる。

朝ごはんを食べさせず空腹で薬をやったらどうだ?と
9時の薬の時間までカリカリ以外ご飯なしを実行していたのだが、昨日は別の問題が発生した。

お皿の底のチュールを嫌々食べて、そのあとの朝ごはん猫缶をがっついて食べて10分後にすべて吐いた。
おばちゃんは薬~と叫んで再度チュール+薬を用意した。


空腹すぎても朝ご飯を急いで詰め込みすぎるのでよくない。9時に投薬したあと、すぐに外出をするのも控えたほうがいい。食後、最低30分は用観察である。

投薬9週目に入ってあと一息である。

テン・ジュニア FIP闘病記3

5月の末にモルヌビラデルの投薬を開始してから7週間。

現在の症状は、しつこい熱が下がった。
39度後半から40度を超えていた熱が39度1分。猫の平熱は38度ほどというから正常に近づきつつある。

腰のへたりを起こしていた神経症状はほとんど見られない。しかし高いジャンプは踏切りで躊躇するみたいだ。テンは生後8か月になろうとしているが正常なアメショーより後ろ足と腰はかなり華奢で細い。頭はでかいが、下半身が華奢なアメショーに育だちそうだ。

トイレの砂はオカラの砂に変えてしまったのでかじることはなくなった。
砂を食べることはなくなったが、時たま無機質の金属などを一心不乱に舐めていることがある。
ファンストーブの表面とか、キッチンのコンセントとかフローリングの床だとか。家のふき掃除はアルカリ水を使い最後は水で拭いてからから拭きをするようにしている。

前週の血液検査の結果を受け取ったのだが、蛋白分布はかなり正常に近づいていた。5月初めの検査に見られたFIP特有のM字グラフはなだらかな波のように見える。

熱が下がったのでテンは8か月の子猫に戻った。
紫音と追っかけっこをしソファーに飛び上がり猫じゃらしで遊ぶ。おじちゃんがキッチンにいるときに椅子からおじちゃんの背中に飛び乗り、それからキッチンのカウンターに飛び降りた。

3か月ぶりだった。
キッチンカウンターは子猫のテンにはジャンプが届かず、ず~と紫音だけの天下だった。唯一カウンターに飛び乗れるチャンスはキッチンでおじちゃんがかがんでいる時を狙うしかなかった。じつに3か月ぶりにテンはキッチンカウンターに飛び乗った。明け方の運動会も再開した。

夜半に起きると、テンはおじちゃんのベッドにいない。
トイレに向かうとリビングの足元で黒い影がするすると走る。キャットタワーを降りて猫タンスに向かい猫トイレの陰に身を沈めておばちゃんの動向をうかがう。楽しそうだ。
体重は2700gで停滞しているのだがこの夜遊びの運動量が多いのかもしれない。

モルヌビラデルは無味無臭(ドクターが言った)で何かに混ぜて飲ませて大丈夫ということだったので、皿にチュール小さじほど絞って薬を混ぜた。テンは朝晩今生の幸せ!と喜んでなめていたのだが、3,4日前から薬の粒が多そうな皿の中心に来ると、なめるのを止めてしまうようになった。チュールを皿に追加してもチュールだけ舐めるので、おじちゃんにテンを抱いてもらい皿に残った薬+チュールを指でこそげてテンの口を開け強制摂取になった。

薬が苦い?のかまずいのか気が付いてしまったのか?
子ネコ用チキンチュールなのだが、フレーバーを変えてみた。総合栄養チキンというのがあったがこのチュール自体が嫌いみたいで、皿によりつくこともしなかったから、またおじちゃんに抱きかかえられて強制摂取になった。

大人用マグロもあまり食いつきがよくない。大人用チキンだとチュールを追加しながらごまかしてなめさせることができた。チュールでごまかせなくなったらどうするか、まだあと5週間もあるのだ。ヤマザキのチーズ蒸しパンを買ってきた。

菓子パンやスポンンジの柔らかい生地で粉薬をまとめて丸にする。それを抱きかかえてもらった猫の口にポイして素早く注射器の水を飲ませる。猫の食道はデリケートなので飲み込みやすいように水分を補給してやるのだ。紫音に虫下しを飲ませるときに使った手だが、モルヌデラビルは何せ1mgいくら?という高い高い薬だから、取りこぼしなく飲んでもらわないと困る。いや足らなければFIPが治らない。

一服分の薬包に入った粉薬は、ワックスでコーティングされた薬包の四隅にまんべんなくへばりついているので、中指で薬包をピンとはじき、袋のボトムに粉を落としてから天辺をハサミで切る。慎重に皿にあけるのだが、薬包の内側には落ちなかったナノミリグラムの薬が落ち切らずに残っているのではないか?毎度気が気ではない。

テンの体重1gにつき15㎎なのだから1㎎でも減らしたらテンの命は終わるかもしれない。
くっそ~、丸薬ならよかったのに。毎回、数ナノミリgを袋に残している気がして精神状態がよくない。
あと5週間。

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ジュニアFIP モルヌピラビル 5週目

ジュニアFIP 闘病記 5週目

ひと月ぶり記事の更新です。

テン・ジュニアがFIPと診断され治療を開始してから5週間。
7か月の成長期なので、病気でも体重は徐々に増え2600gから2700gを超えた。体長は紫音と同じくらいになりつつある。

朝晩に投薬をし体重を計る。
動物用の体温計は先端がフレキシブルで曲がるのだが、嫌がるテンが暴れて肛門が切れてしまうことがあったので手のひらで頭の熱さを測る。
いつもじんわりと熱い。


1週間に一回の診察では体温が39.5分を切ったことがない。腰が砕けるという神経系の症状はウイルス治療薬(モルヌピラビル)3週間ほどでほとんど見られなくなったのだが、熱は下がらない。

涼しい朝型と夜は若干活発で、日中は寝ていることが多い。
食欲はあるのが幸い。先日は3回目の血液検査でたんぱく質の分布カーブは好転していた。ドクターの7週間の治療というのは、“最短ならと“いう意味で、完治を目指すにはやはり12週の投薬は必須だという。
まだ、やっと3分の1.

同じFIPの治療をした猫友に聞けば、彼女の猫はFIP中期で診断がついてから治療を開始したので、Mutian(中国製の特効薬)での投薬は4か月どころか半年以上続きCTスキャンは10日ごとにやったという。

余談:
FIP治療中のCTスキャンは本当に10日ごとに必要なのかと考えてしまう。彼女の猫はドライタイプのFIP中期で腎臓の腫れがあったが、10日でCTスキャンの所見はそれほど変わるとは思えないのだが、。

治療薬

さて、治療薬は猫の体重1gにつき計算されるので、症状が回復に向かい体重が増えてきた後半には、1回の服薬量も増え、一錠8000円、朝晩2錠で16,000円。10日分の治療薬が16万。
だったという。そのほかの診察料・検査代で軽く外車一台分かかったと泣いていた。

テンが服用しているのは国産のモルヌピラビル剤。これは中国製のムティアン(Mutian)の薬代の約半額。成猫のアメリカン・ショートヘアは4キロから5キロなので、テンの治療最終段階には、一錠4000円くらいになるのだろう。
おじちゃんと私はバイトのシフトを増やし治療代の足しにしてる。

発育不良で真菌がついていたテンはおばちゃんたちが引き取らなかったら、たぶんブリーダーで真菌症のために死んでいたと思う。チューブ入りの塗り薬を塗るだけで、薬はなめちゃうんですよね~といい、真菌治療薬も飲ませていなかった。体力があれば生き残るだろうと思っていたのではないか。獣医の診察を受けていたようにも思えなかったし。

そのブリーダーは知り合いから飼いきれなくなったFIPのシャムを引き取って看取りをしたと言っていたから、無論テンがブリーダーのもとでFIPを発症しても治療はしてもらえず看取ってもらうだけだったろう。

おじちゃんとおばちゃんは、テンに向かって言う。
発育不良でも高かったお前を引き取って、真菌症のケアをして治療費を払い、FIPの薬代のためにあんまり入れたくもないシフトを全部入れて稼いでいるのだから、頑張って元気になれ。元気になって心配しているお姉ちゃんの紫音と遊べるようになれ。

おじちゃんがいない時、おばちゃんはこっそりテンに言う。
もしもおばちゃんがいなくなったら、おじちゃんと紫音をかまってやれるのはお前だから。紫音は一人でいられないさみしがり屋のシャムだから猫兄弟がいるんだよ。おじちゃんは2匹の猫を面倒を見なければいけないなら気がまぎれるだろう。元気になれ。

おばちゃんは老眼でかすむ目で、高っかい粉薬を1ナノグラムでもこぼすまいと慎重にチュールの上に振りまいてテンがすべてなめきるように見守っている。
あと7週間。

余談:
FIPの診断がつく前に、テンは異食をするようになった。
壁やフローリングをぺろぺろ舐める。それはいいが、トイレの砂を食べる。

止めても止めても食べる。科学的に固まる砂であるから健康にいいはずがない。ドクターに相談したのだが、原因はたぶん口が気持ち悪いのではないか、ということだった。
FIPは消化器系にも炎症があるので気分の悪さを別の味で紛らわせたかったのかもしれない。ゼオライト系の砂は病気のテンには食べさせたくないので、紙でできたトイレ砂に変えることにした。

ところが、紙砂でも齧る。
再度相談すると、ドクターの猫はオカラからできた砂を使っているという。少し値段が高いがテンの健康のためオカラ砂にしてみた。さらに口の気持ち悪さを軽減するために猫草をトイレの前に置いてみた。
テンは猫草をちょいとなめそれからトイレに行くようになってオカラ砂は今のところ齧ってない。

テンJr.がFIP

テンが3週間前に膀胱炎を発症して、それは抗生物質と消炎剤で収まったのだが、私はどうしても疑問をぬぐい切れなかった。この子はどこかおかしい。何かが内臓に隠れているような気がする。
子猫ってこんなに動かないものだったろうか?
おじちゃんは、ちゃんとご飯は食べるよ。夜中に起きてカリカリを食べていたよ。というのだが。

紫音が午後四時にうるさく鳴いて遊べという。
キッチンカウンターに登って暴れまわる。テンと遊びなさい。テンは寝ていた。子猫にしては寝すぎではないか?土曜日の4時だった。胸騒ぎがするがこの時間に病院に連れて行っても予約がいっぱいだろう。

日曜日の朝、テンに呼び掛けても反応がなかった。
頭をもたげることもしんどそうだ。痩せて発育不良の体は冷たくて頭だけ熱い気がする。おじちゃんを呼んで体温を計ったら39度を超えていた。

もともと体力がある子ではないので、このままにしていたらきっと持たないだろう。病院の診察時間前で電話も保留だったが、連れて行ってドアが開いていたので診察をお願いした。血液検査をお願いします。二日なにもしなかったらこの子は死にますから。

血液検査の結果は数日かかるので、応急手当として抗生剤と消炎剤と点滴を入れた。
帰宅して午後にはテンは走り出してソファーに飛び乗った?!なんと!

おかしい。抗生物質だけの場合はこんなに回復が著しくはない。消炎剤を入れたときに劇的回復を見せるのだ。ただ、腰が砕けて時々歩行がヨれる。血液検査の時に暴れたから血管や健を傷つけたのかもしれない。

次の日も朝一で診察をしてもらい同じ抗生物質と消炎剤を入れた。自宅に帰れば紫音と駆け回った。おかしい、あれほど消耗していたのに。

月曜日に血液検査結果がでてFIPと。
FIPにはドライとウエットタイプがあって、腹水やリンパに液が溜まるウエットタイプのFIPは貯留した体液からウイルスが検出されればFIP同定できる。ドライのタイプはどこにウイルスが潜んでいるかわからず検出が難しいが血液検査の蛋白分布から暫定FIPだと。発育不全はFIPの症状の一つでもあるんですと。

FIPか!?

猫のFIPは不治のエイズ診断と同じようなものだ、中国製の治療薬が輸入される前は。
治療薬が手に入るようになった今でも、薬を持っているクリニックの数は限られ、近いところでは横浜までいかねばならない。

なぜ知っているかというと、山の猫友のノルウエージャンがFIPを発症したからだった。
猫友にシッターを頼まれて世話をしに行ったら、あちこちに粘液を吐いた跡がありバスタブのふちにぶるぶる震えているノルウエージャンがいた。猫友にこの子はおかしいよと報告すると旅行を1日切り上げて帰宅した。それが彼女のFIPの始まりだった。

FIPの治療の問題は治療できるクリニックが限られているということだけではなく、治療薬の高さだった。国の認可薬がない。

猫友の場合は2年前なので84日間の治療薬だけで80万、診察料・検査・通院などでさらに倍かかる。FacebookでもアメリカのFIP治療のサイトがあって、7000ドル以上の薬をどうやって工面するかという問題が焦点だった。

インフレで値上がりして今年ではMutian薬だけで100万円。ペット保険はFIP薬は免責、ペットの売買契約でも、FIPの場合は免責事項が設けられているのが普通だ。FIP なら猫をお取替えします、と。

かかりつけのクリニックの獣医さんは若いが優秀だった。
Mutianでの治療を望むなら横浜の病院を紹介しますが、Mutianではないけどウイルス薬は持っています。人間用のコロナ治療薬を流用したものです。Mutianは84日間の連続投与が必要なのだが、後発薬なら7週間で費用は安くできます。

猫友が横浜のクリニックまで治療に通った苦労は聞いていた。
テンは発見が早かったから後発薬でもチャンスがあるのではないだろうか。6か月の子猫だから早く薬でたたけば治癒が望めるのではないか?

後発薬で治療をお願いした。
何よりも近場で急変があったときにすぐに見てもらえる。猫友によればFIPの治療には薬の匙加減がモノを言うという。猫の体重と体調を見ながら量を増減するのが重要。それならば、毎日でも通える地元のかかりつけなら体重を計りながら薬の微調整が可能だ。

テンが真菌症の治療を始めた時からテンの育成日記をつけていたので、表に手をいれてさらに書き続けることにした。腰が砕けて右足をひきずるようになったのは、血液検査の後からであった。
血管か腱を傷つけたのかと思ったが、先生によれば「左足」から血液を採ったという。FIPの症状の一つには神経系統に巣くって障害を起こす場合がありますと。腰のふらつきはFIPウイルスだったか?

月曜日に処方してもらって抗ウイルスの投薬を始めた。
同時に注射をしてもらった消炎剤の効果が切れ始めると、テンはまた動きが鈍くなってツグラで横になっていた。消炎剤は5日以上連続投与すると腎臓障害を起こすので、熱が高く炎症がひどそうな時に使い、後は抗ウイルスが効いてくるのを祈るしかなかった。

木曜日あたりから食欲が出てきて腰がふらつきながらご飯を食べる。
投薬時間は厳密に守らなければならない。
猫友の主治医は投薬時間の45分までの違いは許容内だが、それ以上の時間の狂いがないようにと指導があったと言っていた。

最初の投薬は朝10時だった、だから夜の投薬も10時。
しかし、私の通院のときに朝10時ではどうしても遅い。それで8日間かけて最大15分ごと投薬時間を早めていき朝9時―夜9時にセットした。

5日目の金曜日には腰のふらつきがよくなり消炎剤なしでも食欲があって元気が出てきた。診察した先生は体調を聞いて薬を増量した。9日目には体重が微増して2450グラムを超えた。

あと6週間。
今月末のジョイスのメモリアル・ランチには行けない。

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