日本永住帰国前夜・・・ビジネスを畳むには

南カリフォルニアで成功したビジネスオーナーの先人がかつて言った。

“アメリカで個人事業をしていて年老いたらビジネスを畳み日本へ帰国すると言っていた人で本当に実行した人はほとんどいない”。
世話になったおばちゃんたちが帰国のあいさつに伺った時の話である。

アメリカで起業をすることはできる、資金計画根性があれば。
起業はできるがビジネスを畳んで撤収することの方が難しい。何故か?

ビジネスはビジネス契約があるからである。
一言でいえば経営する事業所のリース契約。
日本のリース契約は知らないが、アメリカの場合、テナントを借りるためには分厚い契約書にサインする必要がある。契約書にサインする側に都合のいいことは何も載っていない(たびたび書いているが)

リース期間の終わらないうちに中途撤収するなら、ペナルティ条項目として残りのレントの全額支払い義務などのがあるのは当たり前。リーマンショックの前ではレントの期間は10年単位が普通だったが、起業してわずか数年で失敗しても撤収するために残りのレントを全額かぶれば莫大な借金しか残らない。これを避けるにはリース途中でビジネス営業権を誰かに売るか(起業コストはとても回収できない)、リースが切れるまでしがみついて赤字経営を続けるか、どちらかしか撤収のチャンスがない。

たとえ起業してビジネスがうまくいっていたとしても、ビジネスオーナーに非可逆的な健康障害が起きた時にはやはり進退の危機になる。頭、目、腰、手足のどれか一つでも機能しなくなったらビジネスの存続は難しい。

交通事故で2年後に半身不随になった人、仕事中に脳梗塞で亡くなった人。末期がんが発覚した人など。たとえ亡くなってしまっても契約のペナルティは関係者にかぶさってくるのでビジネスの継続はおろか、リース残りの期間は赤字が積みあがっていくだけになる。

おばちゃんは起業してから様々なビジネスのオーナーが病気や事故や経済の変化によって没落したり、追い詰められたり、そしてリーマン不況ではたくさんの夜逃げオーナーを見た。

だからビジネスが軌道に乗った後に常にビジネスをどのように終わらせるか、撤収するか、で頭を悩ませていた。日本側に売りビジネスの広告を出したこともある。

ビジネスを売ることは起業することより難しい。
買い手に魅力のあるビジネスか、買い手が経営していける汎用性のあるものか、あるいは魅力的なロケーションか。売るタイミングも非常に重要。リーマンショックのさ中には営業権はタダでもいい,リースの引継ぎだけが条件という売りビジネスがあふれていた。不況では売れるものでも売れないのだ。

安全に撤収するためにはそれまでちょくちょく延長したリースの切れ目を狙うしかない。
おばちゃんたちのリースが切れる日時はわかっているので、ビジネスのクローズを決めた。夫婦二人で話し合って日本への帰国も決めた。

アメリカで私たちができること、やりたいことは全力でやった。だから日本に帰国してもいい。それからリースが切れるまでの1年半のタイムスケジュールを決めた。今度は閉業のために手順を踏んでいったのだ。

家という不動産も買う時より売るときの方が難しい。
幸いリーマン不況の影は遠くなって、その時カリフォルニアの不動産業界は売り手市場だった。物件が払底していて誰もが家を欲しがっており、家はリストに載ってからたった1日で売れた。買った時の3倍の値段だった。それからアパートに引っ越し日本帰国のために家財道具も最低限に減らして暮らした。

冒頭の先人の関係者にジャンクの買取、整理の専門家がいたのでビジネスで必要だった器具や処分できるものは処分した。これを買う時にいくらしたか、などと考えると始末はできなくなる。十分役目は果たして役に立った、だから処分した。

築いたビジネス、3年かかって取得した永住権、16年住んだ我が家、お客、友人、黄金の気候。
四捨五入すれば30年、アメリカを十分楽しんだと思う。人生の第三のフェーズは終わったのでおばちゃんたちは日本に帰国した。

SNNやニュースを見ていると、わが同胞はアメリカで頑張っている。
かつての同業者もまだ現役だ。コロナのパンデミックのなかでどれほどビジネスに苦労したか十分すぎるほどわかる。
アメリカでは病気・事故・老齢・時勢の変化、どれか一つに襲われてもビジネスの継続に大変な苦労が伴う。コロナも収束して健やかな老後を過ごされんことを祈ってる。

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ジャネット広報局

おばちゃん危機一髪

2024年 経済肌感覚

おばちゃんは米国でリーマンショックを生き延びた小売業者であった。
11月の雇用統計やCPIつづくFRBの発表を受けても胸騒ぎが収まらない。ドルが急落したことだけではない。これは予想されていたことから。

小売業をやっていると「経済の肌感覚」が身につく。
客の懐具合は売り上げに直結するからだ。おばちゃんが一番危機感を覚える数字はアメリカ人のクレジット残高である。クレジット残高が過去最高で$1.03 trillionを記録している。

日米のアナリストは米国株価も上がって失業率は下どまりでCPIをみればインフレも抑制されているではないか?アメリカ人はこの危機?(そんなものあるのか)を超えられるのではないかという見方もある。いわゆるソフトランディングね。

アメリカ人の消費活動と言うのは日本人とは違う。
現金を握って買い物をすることはまれ。Credit Cardは借金ではない。支払方法の一つである。
わざわざ銀行でキャッシュを下し、財布の中に一時的に挿入して小売店で使うなんて七面倒くさいことはばかげていると思われている。Nanacoやプリペイドカードが理解できない理由だ。

夫婦で3~4枚のクレジットカードを持ちカード会社から月一でステートメントが来れば小切手で支払う。
調子がいい時は請求金額を全額支払うが、そうでなければ夫婦で相談しながら払える金額を支払う。
日本語で言う「リボ払い」?

残高は当然残るが、来月節約するとか、再来月に単発のバイト収入のあてがあればその時に払ってなんとかなると考える。支払が遅れたりせず、ミニマムペイメントを払いさえすればクレジット・スコアにもネガティブな影響はないから。

何とかなると思っているうちに10月になる。
10月は日が早く落ち月末はハロウイーンだ。ホリデーシーズンに突入するのだ。11月はサンクスギビングで家族のリユニオンの時期である。

エア・チケットを買いギフトを買い年に一度のことだからと散財する。
サンクスギビングの次の日はブラック・フライデーでこれだ!とばかり小売店が大セールを打つ。
目玉商品を出すからアメリカ人は高額商品目がくらんで消費に走る。クリスマス・ギフトは必要なんだ。だってクリスマスが来るから。

次の月は12月「一年で一番大事なクリスマス」である。またリユニオンの機会である。
航空券を手配し(家族全員分)ギフトを買いクリスマスディナー用に買い込む。
クリスマスが終わるとホワイトセールでこれが最後と「来年」のためにギフトを買いに走る。だって割引率が高いから。

アメリカの1年と言うのはリストにすると、
1月はさんざんホリデーで疲れたが新年だからいいワインとかで静かに祝い、
2月にはバレンタインデーが来てバラが一年で一番高くなる日。小売業やエンターテイメントは売り上げの最高を期待できる時だ。
5月は母の日、レストランや小売業は平均月の倍の売り上げが期待できる。その後にメモリアルウイークエンドがやってきて3日間の連休はどこかに出かける。
7月は独立記念日だ!人を招いてバーベキューだ。
9月にレーバーデイで連休はキャンプかどこかに行く
10月はハロウイーンでホリデーシーズン開幕で気分が高揚し、
11月のサンクスギビングでそれ行け~ドン!と使い、
12月は先月に金を使い過ぎたけどもうヤケになってクリスマスだからもう考えたくなくてカードを切りまくってしまう。

日本の盆と正月は半年離れているから頭が冷えるが、アメリカのホリデーシーズンは10月11月12月とホリデーマインドと消費は右肩上がりで高揚していくのだ。これがアメリカ人の1年のホリデー乱費スケジュールである。

アメリカ小売業の不発

今年2023年ブラックフライデーは不発だった。
クレジットカードの残高が過去最高だからだ。
夫婦二人向き合って、どのカードをどれくらい払ったらいいのか頭を悩ませていることだろう。

アメリカ人の4人に一人は貯金がゼロだ。入ったら使う。これは四半世紀前から変わらない習性だ。
カードの残高が2万ドルを超えるとそろそろ自己破産のラインに近づくと言われていた。
知り合いは実際2万ドルを超えたところで自己破産した。

現在平均アメリカ人のカード残高は6000ドルで夫婦二人なら8000ドルと統計がある。
アメリカは日本と違って年2回のボーナスを出す会社なんてあまりないから、再来月のボーナスでスパッと残高を始末するなんて期待できない。

まっとうなアメリカ人でも手元が詰まってきたのだ。クリスマスでも乱費はできない。
という経緯で、今年のブラックフライデーも不発だったし2023クリスマスセールも振るわないだろう。

アメリカは消費で持っている
アメリカ人が消費に走らないとどうなるかと言うと、小売りがレイオフを始める。
BestBuy, Walmart, Amazon, Macys,,,
レイオフされたワーカーは家のローンが払えずフォークロージャーになって、銀行は不良債権が積み上がり倒産する。レイオフが起きるのはクリスマスの後だ。

順番は違ったが2009年サブプライム発のローン・ホルダー破綻から銀行倒産、小売業レイオフ、さらにローン破綻のドミノ倒しをおばちゃんは経験した。

失業率はどうか?
全米の失業率は9月で3.8%10月時点で3.9%。何故か違和感を覚えカリフォルニアをチェックすると10月で4.8%だった。フレズノ・カウンティを見ると6.9%だ。これはとても平穏な数字ではない。

先月にアイ子ちゃんに聞いてみた。
アメリカ経済は数字から見てもおかしい。実際のところ(肌感覚)で失業率はどうなっているの?

すると、ダメだね。求人があるのは「労働職」であってホワイトカラーの求人はない

ニュースで日本が沸いたアメリカの皿洗いが10万ドルの給料とか、すし職人が30万ドルとかは、肉体労働者であるが故の募集であった。ホワイトカラーのマネージャー職やアナリストたちはレイオフをされたら、2ヶ月でローン破綻に陥る。
今年最後のクリスマスセールに頼みを託して売り上げが悪かったらレイオフが開始される。レイオフしなければ小売店が倒産するからだ。

IDECOとNISHA

日本の政府が旗を振って推奨しているIDECOとNISHA。
メディアやコンサル業界も旗振りに参加して猫でもNISHA、IDECOと踊っている。利益の非課税制は魅力だが、株価も金も上がり過ぎている。
今まで株や投資をやったことがない国民層がどっと参入したらどうなるか。リタイアした60歳が退職金を突っ込んだらどうなるか?高値づかみで。

株は安く手に入れて長期保存して経済とともに価値が上昇して資産として蓄えるなら安心な投資と言えると思うのだが、ここのところの急激な株高で高齢層が大枚を投じるのは危険ではないか?暴落してももどして長期保存で利益が出るのに。60歳過ぎて高値でつかんで余命も長くなければ損するだけだ。

おばちゃんの頭は警報が鳴り響いているので、NISHAの口座は開いたが入金していない。来年、ドルが127円以下に下がったらMMFにでも入れたいと思う。
2024年は何で始まるのか

クラッシュ・ランディング

ソフト・ランディングでもなくハード・ランディングでもなく
クラッシュ・ランディングだ、と米国経済アナリストは言っている。

Crash Landing!
恐ろしい。
バイデンが積みました米国の負債は$33 trillion。(GPT比だと日本が最高)
来年の利払いは1トリリオン?だとか?そんな巨額の負債を合衆国といえど払えっこないからとドルの評価は下がった。

アメリカの不動産価格はバブルで2000年の4倍以上に達している。
ローン金額の中央値はひと月4000ドル。誰が家を買えるのか。
家自体の価格が高すぎる。FRBが金利をあげローン金利は7%を超えたから家の価格ほどの支払い金利がある。支払総額を考えると売買の意思にとどめを刺される。全米で家の売買のキャンセルが4.5万件で最大になったという。

バブル価格の家を買ってしまった夫婦はどうなるか。
月8000ドルを稼いで世帯収入の半分4 000ドルを家のローンに支払い、どちらかが失職したら確実に家を失う。全米のHousing Marketは最大で40%の下落を傾向にある。マーケットクラッシュの動画を見ていたらどうもアクセントが聞き取りにくいから変だと思ったらオーストラリアだった。カナダでもUKでも同じクライシスの動画が出ているから世界同時にクラッシュが始まっているのだ。
2009年を上回る勢いではないか。

Black FridayはDead Friday
Thanksgiving明けのショッピングモールを歩く動画があった。

Best Buyに行列がない。
JCPenny もTargetも人がいない。セールの主流がオンラインに変わったとはいえ、ブラックフレイデーのモールに人がいない!
Thanksgivingのディナーの時間からBest Buyの入り口にテントを張ってセールを待った人はもういない。
Dead Friday

おばちゃんは空っぽのモールを見て心底震えあがった。
人は60%オフのセールに行くより生活に必要な費用をねん出するだけで、いっぱいいっぱいなのだろうか。年末まではホリデーシーズンである。Black Fridayの後に12月のクリスマスがありクリスマスあとのWhite SaleからNew Yearsと続く。Dead Fridayでセールが不発に終わったからクリスマスも期待できず、小売業はそろそろレイオフを始まるかもしれない。カリフォルニアの失業率は10月で4.8%だが8月からじりじりと上がり始めている。早ければ12月からレイオフが始まり失業率は爆上がりするリスクがある。

Paycheck to Paycheck 
統計では、現在の米国人は10万ドル以上の世帯収入があっても急な1000ドルの支出に耐えられる貯金がない層が60%という。

コマーシャル物件の崩落もただ事ではない。リースが高くなりすぎてビジネスが逃げ出す。どうやったって利益が残りっこないから。
People are leaving San Francisco!
People are leaving LA 
きらびやかなシティのメインストリートからブランド店が撤収していく。都市の中心部が空洞化し集団万引きという強盗団がはびこる。

一方で、パンデミックの間の株価の高騰で投資が成功しアーリーリタイアの成功者の一抜け層。
不況こそチャンスだ。暴落した不動産を投資の目標として、フォークロージャーを狙う層。ごくごく一部の成功者だけ。1930年のグレート・ディプレッションを超える大恐慌が襲ってくる、、、。

日本経済が影響を受けないとは、とても考えられない。
2024年、クラッシュ・ランディングに備えてワラでも救命具でもなんでもつかみたい気分だ。

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2024年リセッションは来るのか

11月15日 ドルの為替レートは天井をついたかもしれない。
アメリカのCPIは10月で若干下がり、失業率はこれから上がりそうな予感がする。アメリカ国民のカード残高はリーマンのリセッション時代を上回りそうだ。開戦前夜のような邪悪な気配がヒタヒタと忍び寄ってくる気がする。

おばちゃんは小売業でサブプライムのリセッションからのサバイバーだったが、あの時の絶望感はよく思い出す。日系新聞や日系コミュニティ・雑誌に売りビジネス広告がずらりと並んだ。誰も買い手はいないのに。借金がなくて体力(資金)があるビジネスが生き残った。おばちゃんは持ちこたえたが、リセッションのさなかで小売業を営むなんて地獄の修業は二度とやりたくない。

小売業をやっていると客の支払いは常にクレジット払いが現金を5%以上上回る。現金とクレジット払いの割合が逆転したのが2008年の9月。あれ?おかしいなと。
Go Back to School期にしては売り上げ減が長引く。客の呼び込みのために内装のリモデルを計画し、同じことを考えていた同業者と業務問屋で鉢合わせした。

何かがおかしいと思いつつぬかるみに沈み込んでいって、気が付けば客のクレジット支払いよりキャッシュの支払い割合が逆転していた。
客のクレジット限度額がいっぱいになった結果だったのだ。

周りを見ればショッピングモールの隣のビジネスも水面下であがいていて、顔を合わせると愚痴を言うのだが、未来が見えない恐ろしさに目を背けてこの不景気はそのうち終わる、何とか持ちこたえればとオーナー達は自分で言い聞かせていた。

過去のアメリカの不況はどうだったのか。
2009年当時、おばちゃんは恐怖を薄めるために統計を調べた。
プライムレートや国債の利率、CPIや失業率をグレート・リセッションの統計数字と比べた。自宅の価格を毎週Zillowでチェックした。 どんな不況もひどいのは正味3年くらい。統計と売り上げを分析しながら歯を食いしばって3年。持ち直したと思ったのが2012年だった。

2021年カリフォルニア・OCでコロナの死者が30万人を超えたと知ったときに、これは大変な恐慌になるのではないかと震えた。
アメリカ経済はよく持ちこたえたあとインフレに襲われ家も車もエネルギーも高騰した。給料は上がるが物価には追い付いていない。ただ仕事さえすれば家計は回ってきたのだろうが、そろそろクレジットの限度額に到達しつつある。

アメリカでも日本でも正反対の分析を発表するアナリストがいる。
●失業率が低どまりだからアメリカの経済はソフトランディングに持っていける。今はリセッションではない。

●リセッションはそこまで来ている。すべての数字が危ない。備えるべき。

どちらの分析も納得できる点はあるのだが、おばちゃんの気がかりはアメリカ人のクレジット残高。14兆円?高沸した物価。

これから一気に消費が落ちそうな気がする。小売業が傾くので、その後に来るのはレイオフ。ビジネスが生き残るためにレーバーを切っていく。

失業するとローンが払えず、しかも不動産の価格は下がり、家の評価額がローン残高を下回るようになるとフォー・クロージャーが増える。さらに不動産会社が倒れる。

2009年の時は首を切られたパートタイマーが、ホリデーシーズンのTempセールス要員に殺到したが、募集人数も多くなかった。Thanksgivingと Christmas商戦はしけた花火のようで人は不要な買い物を控えた。

2023年10月統計は失業率が全米で3.9%と低い。カリフォルニアは4.8%。11月からアメリカはホリデーシーズンになる。Thanksgiving あとのBlack Friday、 Christmasセールと White Sale, 年を越してNew Years Dayとホリデーは続くのだが、年内のホリデー消費が伸びなければ消費低迷が露わになって、来年は小売業からレイオフが始まるかもしれない。

ローレン・バフェットのキャッシュ残高が最大になったという。
体力があるビジネスだけが生き残る。最悪のリセッションがやってくるのだろうか?おばちゃんはおっかない。

日本でどこまで影響を受けるか。ドルがどのくらいまで下がって、円も落ちるとしてどこで均衡するのか。
恐慌なんかできれば来てほしくない。切に切に祈るおばちゃんである。
人差し指を重ねてソフトランディングを祈ろう!

鬼のかみさん

CTスキャンをとって会計を済ませたら午後2時を回っていた。
病院の駐車場はアスファルトの輻射熱で温室の中を歩いているようだった。

おじちゃんとおばちゃんの前には160センチそこそこの老夫婦が駐車場の同じ方向に向かってゆっくりと歩いていた。足の長いおばちゃんは二人を追い越し、その時に小柄で総銀髪のおじいちゃまが妻に言っている言葉が聞こえた。

「お前はゆっくり歩いてくればいいよ。僕は先に行って車を冷やしておいてあげるから。」

まぁ、なんと麗しい夫婦愛!アンタ聞いた?
おばちゃんは声が聞かれない距離まで来ると、おじちゃんにささやいた。
おじちゃんは、ふんっ!と言った。

わたしの背中が痛いという訴えを主治医は割と真面目にとって、CTスキャンをオーダーした。CTの画像診断は放射線科の医師に読んでもらったそうだ。CT画像には胆管も腎臓にも何も異常なし。
診察室を出ておじちゃんに異常なしだったというと、殴られた子犬のような怯えが目から霧消した。帰りはスーパーに寄っていこうとおじちゃんはしゃいでいた。

おじちゃんは例えば、私の足が不自由になったとしても、多分「先に行って車を準備してあげてるから」とは言わないだろう。先読みをしてテキパキと計画を立てるタイプではないから。暑くても寒くてもとにかく自分より背の高い妻を抱えてゆっくり二人で車に歩くだろう。車についたら、じゃあ運転してね。というかもしれない。

私とおじちゃんが出会ったのは、大学の2年。私が19歳の時だった。まぁ、ずいぶん長い付き合いだ。大学を卒業して半年後に、おじちゃんと結婚すると言ったら親は泣いた。

結婚させるためにお前を大学までやったんではないのに、。
おじちゃんとは身長も育った環境も随分違い、親どころか同級生さえも驚いた。親が何を忖度していたか、友達が何に引いていたのか、そんなことはどうでもよかった。人間の価値は背の高さや学歴や職業で決まるものではない。“職業に貴賎なし”日頃の父の口癖であった。娘はそれを実行しただけだか。
スカーレットのように、私は決めた。私は結婚するのだ。“Merry she would!”

おじちゃんも若かったので、まさか世間知らずの大学生がタケノコの皮を剥ぐようにアマゾン族の戦士まで化けるとは思ってもみなかったに違いない。おばちゃんは自分でも化けた自覚は大いにある。

プライドと夢は高いものの、実現するための地道な努力は大嫌い。
ものぐさで本や酒に逃げ込んで自分の置かれた現実から目を背けるのは得意。実務の才能はゼロ。人付き合い経験値は地を這う。頭を下げるのが嫌いなかたくなで独りよがりな性格。集団になじまない異分子の小娘。それが10代20代のおばちゃんだった。

タケノコは竹に成長するが、私はどう成長するか自覚もないまま脱皮と変体を繰り返してきて60代のバアになった。30代で日本に居たままだったら間違いなくアル中になり結婚も人生も無駄にしていただろう。

おじちゃんと結婚したあと、変わらない自分と日本の社会の閉塞感に窒息しかけていたから、おじちゃんの尻を叩いて日本を脱出した。

この間、山の卓球サークルのバーベキューがあり、そこでなんでまたアメリカに行ったの?と聞かれたので、
日本では窒息しそうだったので、ダンナの尻を叩いてアメリカに連れてった。と答えたら、
間髪入れず、「それはご主人がかわいそう」と声が飛んだ。
そうなのか?!
おじちゃんはかわいそうな子だったのか?

アンタは私と結婚しなかったらアメリカに行くことはなかったね。と言うと素直に「うん」と言い、アメリカ生活も日本では絶対できなかったことを経験してきたから満足に思っているようだった。

アメリカの社会は自由に呼吸できた。その代わり未来は全く見えなかった。
未来は自分で切り開いて作るしかなかった。政治経済には全く興味がなかったのに、生きていくためにはファイナンスやビジネス・マネージメントを学ぶしかなかった。アメリカの社会でみじめに野垂れ死にたくないと思えば、自分を変えて戦うしかない。

かっと目を見開いてチャンスが漂ってくれば掴む。
ワラでも小枝でもつかんで自分の巣を作ってゆくのだ。理想の巣を作るためには戦うのは必須だった。

平成が終わるころ日本に帰国して人生の第四コーナーが始まった。
日本に帰ろうか?と言ったらおじちゃんは「うん」と言ったからだ。

年金を請求するまで山でバイトをした。コロナが拡大していくさなかで、おじちゃんのバイトの事業所は素早く廃業解散を決めた。オーナーが中国人だったのでやはり決断が速いと感心したものだった。中国人とアメリカ人は同じくらいビジネスの見極めが早い。

おばちゃんは下手に動いてもいいことは何もなさそうだと判断して、日夜ネットで政府の支援策やコロナの給付政策をチェックしていた。
おばちゃんたちが使えそうな支援策は申請した。
山で親しくしていた人も仕事がなくなり萎れてきて愚痴をこぼすことが多くなったから政府の支援策を教えて応援した。

現役時代は大企業の総合職で優秀な人だったらしい。細腕一本で山に自分の家を建て、都会の駅近マンションは貸し出しているはず。自分と同じ匂いがする。戦ってきた来た人だと直感して親近感を覚えた人だったのさ。様々なメディアで政府のコロナ支援策が発表されているのに、それも日本語で、なぜ情報が取れないのだろうと不思議だった。

その彼女とこの間お茶をしたら、おばちゃんを評して「肉食系」と、、。思わず口が滑ったようだ。


言いたいことはわかる。
おばちゃんは誰かを狙って食いついたわけではない。上昇するために誰かを蹴倒したこともない。

自分の家族と猫を守る時には(誰かを傷つけるのではなくて)条件があれば、条件を合わせて、利用できる制度があれば利用する。それだけだ。
傍から見ればぬるい湯につかって愚痴をこぼしあう中で、欲しいものをぐいぐい切り取っていくおばちゃんの行動力が肉食系と映るのかもしれない。

自分を憐れんで愚痴を言って泣いている暇があったら、自分たちを生かせる方法を探す。それが平成の間アメリカ社会で学んだことだと思う。

山のサークルの爺様あたりからは、ひそかに鬼嫁と呼ばれているかもしれない
うっせいわ。

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夕べ寝る前にジェニファー・アニストンのMurder Mystery 2を観たのでカリフォルニアの春の夢をみてしまった。春の恒例=納税申告Tax Returnの夢である。

アメリカに商売の閑散期2月8月「ニッパチ」はない。
アメリカの小売業の売れ行きが落ちて、ビジネスが暇になるのは4月9月である。税の申告は4月15日が締め切りなので、4月になるとビジネスは暇になり、我々個人事業主はわりと小ぎれいになる。

何故小ぎれいかというと、毎晩シャワーに入れるから。
繁忙期は帰宅したらバタンと寝てしまうことが多いのに、4月は早く帰れるし毎晩お風呂に入ってお肌もつやつや。化粧のノリもいい。売り上げは減るけど。やってくる営業マンなどと暇だねぇ~と言いあうのだが、小ざっぱりしてるから 余裕ありますかぁ~と聞かれたりする。

アメリカは国民皆申告制度なので、4月は誰もかれも大みそかの日本人のようにバタバタして落ち着かない。ペイロールで給料から天引きされていた税金で足りなければ、申告書類と同時に不足税金をチェックで送らないといけない。おまけに家の固定資産税・前半期があるからダブルパ~ンチ。

おばちゃんは十数年自営業だったから、少しでも払うのを少なくするためにあれこれ控除を考えるわけだ。Wells Fargo銀行がまとめてくれる1年分のクレジット・カードのリポートがありがたかった。

ビジネスの経費は小切手以外はカード支払い。買い物で使った場所までの距離をマップで調べて、交通費のマイレージを計算してた。
今年は35セント/1マイルとか発表されるので、年間の通勤距離とビジネス用のトラベル経費を出せるわけだ。この時期お昼休みには、控除deductible~控除~と検索い忙しい。

おばちゃんは黙っていると眉間の縦しわが怖いと知り合いから言われていた。
オーナーが怖い顔をしていたらビジネスにマイナスだから、ある年決意してベトナム人ドクターHo先生んとこでボトックスを射った。350ドルだった。

一応、ビジネスのためだから経費として申告することにしたが、どの項目chart of accountか悩んだ。メディカル・フィー?うちに勘定項目メディカル・フィーはない。

広告費Advertisementか?近いが違う気がする。ここはやっぱりメンテナンス・フィーだろう。支払先がドクターHoってのが引っかかるかもしれないが、うちみたいな小さなビジネスはそんなにツツキ回されることがないから大丈夫だろう。

うちの会計士スージーは税務署IRS上がりで、IRSの注意をひかないように申告書類を作れると触れ込みだった。そこそこ高かった。前年の決算書P&Lができると(ボットックス入りの)スージーにもっていって、スージーが2,3質問をして経費のバランスに特におかしいところがなければ申告書を作ってくれる。

オプションで監査Audit保険もかけた。50ドルだった。もし税務署の監査Auditが入ったとしてもおばちゃんが対応する必要は一切なく、もとIRS職員だったスージーが対応してくれる。安いじゃないか50ドル!

申告書を出した後4月5月はちょっと緊張する。
日系の北米掲示板で “ついにうちにもやってきましたIRS” などという書き込みを読むと、どきっとし、“10年に一回はスモールビジネスでも監査が入るんだよ。”という書き込みには、うちはそろそろなのか?と気が気ではなく、そういう季節にはよく日本で読んだ「じゃりン子チエ」を思い出すのだった。

チエの婆ちゃん:お好み焼き屋のおバアが税務署から追及されて、「ウソやおまへ~ん。ホンマどす」という絵面が繰り返し脳内で再生されるのだ。

この350ドルってなんだ?メンテナンス・フィーってなんだ?
顔面をちょっとメンテしました。ウソやおまへ~ン。ホンマどす~」

税務署にはツツかれず、ボトックスは無事通った。

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おばちゃん 時効の分だけ懺悔する

アイ子ちゃん、クレジット詐欺に会う

スキーに来ているアイ子ちゃんからLineが入った。
こんな請求が来ていてよく見ずに払ちゃたっんだけど、詐欺かな?使った覚えがないの。

HETSUDOSUPOACA-TSUSUTE-SHON NAGANO JP
Transaction Date 01/13/23 Posting Sate 1/13/23
$193.61
Begin region Purchase Mode CARD PRESENT

越後屋さんもヤキが回ったかもしれません。それは詐欺です
カードに電話をして支払いをストップして、それからDisputeを申し立てれば返ってくる。
アイ子ちゃんは、え~、でもオンライン・バンキングから払ったのに?

話がまどろっこしいので、電話に変えて越後屋さんを尋問する。
おばちゃん:この請求はメールできたのか?――違う。


アイ子ちゃん:オンライン・バンキングでこのTransaction請求を見たの。


おばちゃん:オンライン・バンキングで払ったというのは、銀行はWFか?――そう。
ではこれはやはりWFのクレジットカードなので、支払いはストップすることができる。
カード会社に電話してストップして、。

アイ子ちゃん:一緒にスキーに来た友達にも同じ文面で、でも違った金額で2回来てるって!

おばちゃん:ああ、それはもっと重大!
すぐカードに電話をしてカード自体キャンセルして。友達はLAXから同じフライトで成田について、行動はずっと一緒だった?

アイ子ちゃん:-そう。タクシーもホテルもレストランも同じ。

それは、マーチャントでカード情報を二人一緒に抜かれたか、あるいは空港でカードの磁気をスキミングして盗まれたと思う。すぐカードをキャンセルして、。

アイ子ちゃん:やっぱり、電話かけるの?
当たり前じゃん、カード会社のカスタマー・サービスは7 Days 24 hoursじゃない。(日本のカードはそうじゃないけど)

アイ子ちゃん:同行のお友達はオンラインで問い合わせるって言ってるけど。
そういう生易しい話ではないので、カードのエマージェンシーかLost & Stolen電話にしたほうがいい。

現役時代OCで一度、大規模なカード詐欺が発覚した。
スキミングされたか、それとも悪徳マーチャントがカード情報を流したか、カード会社の捜査が入って日系のドコソコが発生地だとうわさが流れた。どこのビジネスだったか特定名は流れなかったがおおむね事実であったようだ。

お客さんのクレジットカード情報は1年間事業所に保管せねばならない。
法律が緩かったころは、レシートに16桁のカード番号も個人名もすべて打ち出されたカードレシートが残るから、その保管方法はおばちゃんも悩んだ。

半年に1回ほどカード会社から売り上げについて質問が来るので、自宅に持って帰るのは不便だし従業員の目の付くところにも置けない。
クローゼットのロッカーにカギをかけて保管するしかなかった。

マーチャント側から、クレジットカードのプロセスを述べてみよう。
電子支払いはすべて同じように見えるかもしれないが、Transactionの信用度というのは実際のカードの取り扱いで違う。

どういうことかというと、
1)小売業では客は小売店に来て、店のカード端末で実物のカードを「スキャン」して払う。
2)オンライン・ショッピングでお客がオンライン上でカード情報とセキュリティ・コードを入力して払う。
3)お客が電話をかけて、口頭でカードナンバーを伝えてマーチャントが端末でプロセスする

以上のトランザクションは1)が一番信用度が高く、3)の信用度は一番低い。
信用度が低いとマーチャント手数料が高くなる。
だからおばちゃんは、確かな常連さん以外は電話でクレジット販売を受けなかった。

カードで売り上げが上がると、客に1セット、マーチャントい1セットレシートが残る。その日の最後にクレジットマシンからtransaction集計を打ち出してDepositボタンを押すとクレジットカード会社に売り上げ集計情報が送られる。日中のお客さんの個々のtransactionもその都度クレジットカードや銀行(デビット・カード)に通知されている。
次の日におばちゃんのビジネス口座に入金され、1か月後には集計のStatementが届く。

十数年のうち数回クレジット会社から、クレジット売上の調査が入ってきたことがある。
カード会社が郵便で 何月 何日 XXXX・XXXX氏の売り上げについて売り上げのカードレシートのコピーと、売上伝票のコピーを出せと言ってくる。

ロッカーのカギを開け、該当の月の伝票をとってカード会社にファックスか郵便で送る。
一度、XXX・XXXX氏から請求無効の申し立てDisputeを受けたので、売り上げ伝票とカードレシートのコピーとTransactionの詳細をすぐ知らせろ、proofを提出できなかったらこの売り上げは引き上げる。と通達があったことがある。

おばちゃんはXXX・XXXX氏を実によく覚えていた。
なぜかというと、常連のピーターと奥さんが連れてきて、本人は非常に無礼で尊大だったから。何を買い何を話し、同行のピーターと奥さんは何を買ったか、本人のXXXX氏はどんな服装をしていたか、など詳細にリポートを書いて伝票コピーと一緒にカード会社に送った。売り上げは引き上げられることなく、2度目と問い合わせはなかった。

XXXX・XXX氏がぎゃふんとうなだれてカード会社へDisputeを取り下げたのは間違いない。
カード会社の照会が来た時にちゃんとした販売証拠を提示できないと、カード会社は振込口座から強引に売上金額を引っこ抜いていくのである。
ということは、カード詐欺にあったと確信したらまずカード会社に電話をして支払いを止める。

楽天はこのプロセスがトロイ。
どれだけマーチャントと交渉したか、キャンセルの言質を取ったかなどの証拠がないと、支払いを止めてくれない。馬鹿な話だ

さて、アイ子ちゃんのカード請求の詳細を見れば、まず中華系かベトナム系のビジネス名で購入場所が北京、カードの使用状況は現場でカードの提示とある

アイ子ちゃんが北京経由で成田に来たとは聞いていないので、北京でカードを提示することは不可能であったはず。よって、これはスキミング・詐欺だろう。通報!

お財布にスキミング防止用のカードを入れておかなかったのか?
アマゾンで安く中国製が売っているのだが、。中国製のスキミング防止カードが中国人のスキミングツールにどれくらい有効なのか、ちょっと考えると面白いが。

おばちゃん?
もちろん防止カードを入れている。ついでにキッチンのアルミフォイルを3重に折って、お財布をくるむように財布の内ポケットに挿入してある。

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こんにちは、コタツムリのツムツムです。
おじちゃんに動けと言われながらもコタツに潜っていたら顔が真ん丸になってしまった。そういえばパンツのウエストがキツイ。

あんまりお腹がすかないから食べる量は減っていると思うんだけどなぁ?こんな真ん丸な顔でステージII観察中の患者としては申訳がなくてすまない。

まあ、そんなことはどうでもよいのだが、税金の計算にしっかりはまってコタツから出られない。確定申告の時期は迫ってきているしね。エクセルの計算シートの精度を高めるために弄ってる。そうだ、こんなことが前にもあったと思い出すと、それはアメリカで起業した時だった。

コンピューター・オタクみたいだった素人のおばちゃんが、やったこともない小売りビジネスを起業するんだから何にもわからない。どこがわからないのかわかるためにビジネスの数字を片っ端から集めた。レント、NNN、ライセンスフィー、人件費、SSTaxレート、 WorkersComp、電気代、物品コスト、単価、クレジット手数料、客単価、競争相手の単価などなど。

集まった数字をシートに入れて計算式をつけていく。固定費のように見えるレントは実は毎年3%上がったりする。初年度はオリジナル金額だが、5年経つと片手分は上がる。福利の3%は馬鹿にできない、さすがユダヤ人大家だけはある。

・従業員を雇ったとき3人か4人か?
・シフト時間数を変数にして、ソーシャル・セキュリティ・タックスと労災保険の掛け金がどのくらいで総人件費が変動するか。
・物品コストを変数にして$1ドル上げると、純益はどのくらい変わるか?
・売値を2倍にして人件費を必要な3人から4人に変えると、純益は2倍にはならない。 
・客単価を$1刻み、客数を横軸にしてグラフを作り売り上げ金額の早見表を作る。
・客単価だけを上げても、客数が上がらなければ固定費で赤字のリスクがある。
・この物件の場所と、考えられる売り上げの最高額を考えると、それ以上は理論上ないという限界の数字がわかる。
・売り上げから経費を引いて益が0になるBreakeven Point損益分岐点が分かった。もちろんそんな言葉があるとは素人のおばちゃんは知らなかった。

とに角、おばちゃん、な~んにも知らなかったので商売とはどういうものか数字から割り出そうと思ったの。いろんな変数、レント、コスト、客単価などを変えていってシュミレーションしたのよ。数字によっていろいろ変わるのね。

残った純益あるいは純損益を、次のキャッシュ・フローのシートにリンクする。
キャッシュフローの最初のバランスの数字はおばちゃんたちの銀行預金の合計。毎月の売り上げと経費が記入されると、益、損を割り出し、預金から差し引きしてキャッシュフローがかかれる。
だから見込みの売り上げの数字を12か月コピー&ペーストすると、銀行預金が増えるか、何か月後に銀行預金が尽きるか一発でわかる。

そんなシートを作って、1年間あちこち物件を内見させてもらってシュミレーションの精度を高めていった。いくらペーパー上でシュミレーションをしたところで、実際どのくらいの売り上げがあるか、そんなことはわからない。やってみるしかないのよね。 ところが、オープンしてみると売り上げも客数も単価も想定していた数字に収まった。まあ、そういう想定客単価でビジネスを作っていったからだったが。

今回は日本の税金を計算するシュミレーション・シート。
料率と計算式が全部入力されたら完成。でも日本語というやつが手ごわいのよ。「所得金額」と、「総所得金額」が一字違うだけで意味が違ったりする。日本語って難しいわ。

オンライン上でシュミレーションさせてくれるページがいろいろあるので、数字を入れてみて自分のシートの計算間違えをチェックしたりしている。うちの家計に特化したシートを作りたいので、税率と、数式はやっぱり自分で入れないと。

ところがおばちゃんは少しボケてきたから、関数をずいぶん忘れてしまった。公的年金控除を計算させるのに、幅がある範囲(xx以上xx以下)が4つあるとして、範囲をまず選ばせ、次にその計算式の解を返すって、検索関数だったか?それとも条件式なんだったか忘れてしまった。関数辞書を調べるのが面倒くさいなぁ。所得税計算では今、手動で入れてやってるからこれは恥ずかしい。

日本で老後を暮らす場合、節税的には“豊かな資金と低めの年金収入”が一番税金負担が低くて理想。ところが、老後のための資金にはインフレリスクがある。コロナだとかで世界経済がこれだけ混乱しているとね。日本政府が年金を削ってくるリスクもある。

おばちゃんたちの老後家計のリスクは、為替リスクと税。インフレ・リスクは米国が背負ってくれていると思う。毎月のSS年金の振り込みで、当日の円ドルレートが$1変わると、入金の日本円が上下する。1円変わると、年収では数万変わる。
たかが数万で税率の枠を超えたりする。控除額や税率がガラッと変わるわけよ。

所得税が330万と695万以下が同じ料率20%というのはおかしくないか?倍以上違うじゃない。大企業の部長クラスと、おばちゃんたちみたいななんとか暮らしてます庶民と、同じ20%なのは絶対 変。ねぇ?
とにかく、為替のレートと年金収入をタイプすれば所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料を自動計算するシートを完成させたい。

いろんなグラフを作ってみて、1)豊かな資金を背景に生活程度を現役時代から落とさず、不足金を老後の資金から補填する生活タイプと、
2)ほどほどの資金を用意して、でも老後の生活はなるべく年金以内で納める生活タイプをシュミレーションすると、だいたい20年で老後資金が同じくらいになるとが分かった。へぇ~である。こんなしょうもないことをやっているおばちゃんのほうがアホかも。

こんな計算は現役時代にやっておくべきだった。

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クレジットカードの手数料

おばちゃん、と~~~んでもないページを見つけてしまったので日本の消費者の皆さんに正しい知識をシェアしたい。
http://ikinuki2ch.blog.jp/archives/21827013.html

ヨーロッパは知らない。
アメリカではクレジットカードは支払い方法の一つである。
キャッシュで払うか、デビットカードで払うか、パーソナルチェックで払うか、それは消費者の支払い方法の一つでしかない。価格は何を選ぼうと同じだ。変わってたまるか。

この簿記の教科書を作成した教科書会社の編集員をちょいと呼んで、小売業の講義をしてやりたいくらいだ。

まずコラム文章の 嘘1
クレジットカードを使うと、お店が損をする
事実は逆
クレジットカードを使うと、店は売り上げが増えて得をする。

解説
おばちゃんはアメリカで小売業を10数年営んだマーチャントだった。
Merchant 小売業者はモノを顧客に売って売り上げを上げる。
この支払時に、クレジットカード会社Merchant Serviceが顧客と小売店の間に入って、客の代わりに小売店に代わりに払ってくれる。


何故かというと、商品が高すぎて支払いが後払いになってしまう危険とか、小切手で受け取ったら不渡りになる危険がなくなるので、まんべんなく客からリスクなしで売り上げが上がる。もちろんクレジット・サービスに支払う手数料が発生する。

クレジット手数料はVisa, Master, Amex, Discoverなどのクレジットカードでそれぞれ違う。
マーチャント契約書はカードごとに契約できる。基本のVisaが1.6%とか、Amexが3.5%とか書いてある。


ところが、クレジット・カードというのは同じVisaカードであっても細かなクラス別プログラム別があるのだ。それはカードの裏表を見てもわからない。実際売り上げの明細が上がってきてから初めて個々のカードについての手数料が記録されている。

例えば、Visaカードでもポイント返還プログラムがついていると、基本の1.6%+αで基本だけの1.6%なんかほとんどない。2%前後になるのが普通。クレジット会社からのステートメントが届き、売り上げと手数料の総計を出して初めて自分の小売りのトータルの手数料%と金額がわかる。


これはビジネスの必要経費だ。人件費や電気代と同じ。だから節約できる人件費もあるし、余分な電気代は節約するように、クレジット手数料も節約できる。

3.5%のアメックスなんて問題外である。
まったく同じサービスをしてアメックスは倍以上の手数料をかすめ取っていく。おまけに2日後に入金か5日後に入金か、はたまた1週間後に入金かさっぱりわからない。緑も金もゴールドもブラックも、ついているプログラムによって、入金日もば~らばら。おまけにアメックスの超傲慢なセールスマンが電話をかけてきて喧嘩をしたから切ってしまった

Visaも Masterもポイント・プログラムがついていると手数料が高くなる。困るのは日本で発行されたVisa Master.日本人ばっかり来ると、*手数料が高くなったのよ。おばちゃんは手数料を節約するために、アメックスを切りデビットカードとVisa Master、プリぺードカードだけを受け入れた。
そうすると大体2.3~2.6%くらいで収まるのである。

%チャージの他、使用回数の手数料がさらにかかる。小売業だから1回20セントだったね。100ドルでも一回20セント。1ドルでも20セント。$1.5の商品をクレジットカードで支払われると、20セントの回数手数料と、Visa Masterなどの%がかかるから、現金を持っていないアメリカ人がたまに超低価格の商品を買うと、かなすい。だから、カード使用のミニマム条件を付けたりする。最低$5からとか。

さて、カードの手数料を取られるのに、なぜ店は得をするのかというと、、、。
売り上げは現金とクレジットカードで分けて集計するが、クレジットカードの客単価は必ず現金客の客単価より5%多かった

当たり前だと思う。現金の場合は財布に入っているだけの現金内でしか買わない。ところがクレジットカードではその制限がないので、予算が緩むのだ。だから常に5%多い。
この売り上げの客単価が逆転した時があった。2008年9月。おかしいなぁ、と頭をひねった。リーマンショックがすぐ後に迫ってきていた。

さて、クレジットカードの売り上げが5%多いとなると、クレジット手数料を支払ってもなお2%売り上げが残る。単純な算数な、5-3=2

この教科書コラムが書くように店の人が損をしているなら、それはよほど店側がバカか、売り上げの分析ができていない経営者か、あるいは、知っていながら消費者のほうに損をしてると罪悪感を押し付けて、実はさらに儲けようとする悪質な小売業者か。

前者はバカなので、商売をやってはいけない。後者は悪質なので近寄ってはいけない。
5-3=2基本の売り上げの詳細も理解していない頭弱は救いようがない。

嘘2、「まかり間違ってもゴールド・カードをこれ見よがしに使うなどという品のない行為は避けたいものです。」ー引用


マーチャントにしてみれば、緑も金もプラチナも一緒。2.5%以内に収まってくれればどうでもいいの。ブラックだって受け取ったわよ2回。重かったね。乗ってた車が凄かったけど顔も覚えていないわ。

こんなコラムの常識は蹴飛ばして、レジでは元気に「カード」でと出しましょう。あなたは現金客より5%高い売り上げで店に貢献しているので、下手にでる必要はない。

最後にこれはおばちゃんの個人的な好悪なんだけど、おばちゃんは楽天のカードは使うけど、ペイペイは使わない。基本1.98%というがアレはなんかもっと高い気がする。直観だけだけど。だから引き受ける商店がかわいそうな気がして登録していない。

外国発行のクレジットカードは手数料が高い。〇国や〇国からのクレジットカードばっかり受け取っていると、3%に近づくよ。

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アメックスがアメリカを所有している

ブスのターニャ

おばちゃん 時効の分だけ懺悔する

ラスベガスで骨休め

・リタイヤ後はプログラミング

寝た子を起こすーその1

最近ラップトップの調子が悪い。
痙攣をするように短いフリーズをするようになってしまった。ページの表示に時間がかかり検索のテキストボックスにタイプをしようとしても3秒ぐらいカーソルが凍っている。

Wifiかな?Excelでも Wordでも起こる。
ここ3か月くらいずーっと起動させっぱなしなので、再起動をしてみると半日くらい症状が消える。次の日はまた午後から同じ症状が起きる。

さて、Windowsだろうか?カードゲームをやめてみる。再起動をかける。「認識できないバッテリーが接続されています」
はは~ん。バッテリーか。もう6年たっているしな。

さて、換装バッテリーは、、。
日本のThinkpadサポートで調べてみる。オンラインのモデルを自動割り出しで、エラーになって止まってしまう。これは予想できること。シリアル#を入れて、シリアルを認識しない。しょうがないので問い合わせ欄フォームから質問してみる。

モデルDLXXX-USのバッテリーは手に入りますか?ダメもと。
次の日の夜8時近くにメールの返事がひっそりと帰ってきた。シリアル確認できませんので、シリアルを入れてください。-1行。

あ~、面倒くさいので回答を最後に回されたか?おばちゃんは日本で換装用バッテリーが手に入らないだろうとは予想がついているのだが、確認のためだ。東芝の場合は、インターナショナルサポートが効く。でもThinkpadが一番好きなんよ。
Thinkpadのモデル・シリアルは以下の通り。再度DLXXX-US MAXXX

次の日の夜8時に返事が返ってきた。
シリアルナンバーの確認が取れました。「Lenovo日本の窓口では非対応の機種でございました。」
やっぱりね、最初から米国製だと書いてるんだけどな。

さて、Amazonだとリチュウム電池製品を海外配送してくれないことが多いのよ。Dysonでさんざん煮え湯を飲まされたので、同時進行でEbay中心に調べてる。

いつの間にかEbayは中華市場になってるわ。コンパチのバッテリーはいろんなモデルが沢山出品されているのだが、詳細には「あなたのバッテリーの形状と、出品してる部品の形状をよく見比べて確認してね。モデルによって配線が長かったり短かったりするから、間違っても返金しないわよ、、。」ってなことを書いてある。

おばちゃん、ノート・コンピューターのハードは苦手だ。蓋を開ける時点で壊しそうな気がする。だから、ふたを開けてオリジナルのバッテリーの形状を確認するのはあきらめた。換装の動画もあるが、うちのThinkpadのモデルはこれだ!と当てはまる動画があるわけでもなし。S1でも種類がたくさんありすぎ。

ってんでDLコンパチと書いてある中国業者に質問してみた。うちの子はS1のDLだけど、ホントに使える?ホント?ホント?合わなかったら返していい?

ホント、ホント。Ok, no problem. と返事が返ってきた。今日買ってくれれば、なるべく早く送れる。明日以降なら春節になるよ。

〇国人のOkなんて、あてになりはしないのだが、メールで返品OKの言質を取れたし、たしかに春節!の季節だった。Chinese New Yearよ。

春節と11月11日独身祭りは中華系のオンライン・ショッピングがめちゃくちゃになるから、とりあえず落札してみた。届いたらパーツをもってコンピューターデポに行く。蓋を開けるところで壊しそうな気がするから。

そのほか打つ手はないかと考えていたら、そうだTomさんがいたわ。
コンピューターショップを経営してるトムさん。さんざんお世話になった。トムさんにも一応問い合わせをしてみよう。バッテリーが手に入らなくても、あるいはコンパチなはずが換装できなくても、中古のThinkpadを買って送ってもらう手もあるし。米国製で米国でアクティベイションが済んでいると、ちょっと楽なことがあるのだ。

トムさんにメールで、「お~久しぶりぶり。お元気ですか?S1Yogaの換装用バッテリーが手に入ります?それと手持ちのラップトップは今どんなものがあります?」

次の日、返事が返ってきた。
日本に帰る人に持って帰ってもらうのが一番いいよ。

そりゃそうなんだが、アイ子ちゃんはリチュウム・バッテリーを抱えて税関で止められるのが嫌だからダメなの。
バッテリーの件は短く、中古のラップトップの在庫の話は全くなく、トムさんは、
「日本へ帰ったんですか?」どこ?僕は箱根とか熱海に行ったことがあるんだけど?どこに家を買ったの~~~~~?

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