ペニー・セーバーと詐欺師

たぶん全米だと思うのだが、Penny Saverという広告雑誌があった。今もある。
企業広告、クラシファイド、個人の「売ります・買います」などが一冊にまとまったフリーペーパーだった。1ペニーでも安いものがいい、安けりゃなんでもいいというしみったれ、訂正 価格に敏感な人が見る広告紙だった。

おばちゃんがビジネスをスタートして、しばらくたったころ、急に貧乏風アメリカ人婆さん軍団が増えたことがあった。ぺらぺらのワンピース、でっかいプラスチックのネックレスきつい香水。客単価は最低に近かった。

日本人顧客からはペニーセーバーに広告を出したのね。頑張ってねと言われた。
ウチの客層とは違うので、ペニーセーバーに広告を出す気は全くなかったのだが、客によるとウチのビジネス・リビューが載っているのだという。
それでか!
おばちゃんはふに落ちて、でも安くて下品な客が増えては商売にならんので、この雑誌には近寄らないようにしようと誓った。

それからしばらくして、知らない相手から小包が届いた。請求書(Invoice)も入っていた。宛名は間違いなくウチだったので、開けてみると壁にかけるプラーク(盾)が出てきた。プラークには例のペニー・セーバーの記事が物々しくはめ込んである。プラーク自体のクオリティは悪くないのだが、ペニー・セーバーの記事はアメリカ人記者の間違い知識が書いてあり、ウチとしてはこんなものを壁に飾っては笑われてしまうのである。

そして、次の週だったか小包と同じ差出人フロリダの広告会社からまた請求書が来た。
こっちは:プラークはオーダーしていないこと、記事の内容が正しくないのでプラークの受け取りは拒否することを書いてフロリダの会社に送った。

また請求書が来た。ご丁寧にOver dueのピンクの紙に印刷してある。会社に電話をかけて、オーダーしていないこと、支払わないこと、引き取り拒否することを言うとハイハイと言って電話が切れた。

今度はウチのファックスに請求書が来た。”止めろ”とこちらからファックスを送り返すと、さらに請求書ファックスが来た。

プラークは店に飾れば客寄せにもなるから、普通のビジネスオーナーは根負けして支払うのだろう。ただ、おばちゃんは絶対払うつもりはなかった。知り合いの弁護士に相談すると、Better Business Bureau 略して BBBに訴えればいいという、タダだし。

オンラインのクレームフォームを記入しておばちゃんのクレームはオープンした。BBBは民間のビジネス・トラブル仲裁機関だ。トラブルが発生したら相手のビジネスにクレームをファイルし、BBBが双方の申し立てを開示し最終的な判断をする。

フロリダの会社は反論をポストした。それによると、X月X日午後7時半ごろおばちゃんのビジネスに電話をし、プラークの紹介をしてオーダーを受けたのだという。
その証拠に、会社の電話明細にはウチ店との通話記録が載っている。とおばちゃんは、かっと頭に血が上った。確かに、金曜の一番忙しい日の一番忙しい時間に電話を受けた。ウチは、電話では何にも契約せんよ。記事は間違っているから要らんし、と言った記憶がかすかにある。

おばちゃんは、再反論するあんたの会社の電話明細にウチの電話番号があったとしても、それは私がオーダーしたという証拠にはならない。と返事を載せた。

すると相手は、X月X日午後7時半にわが会社はそちらのオーナーXXXミカコと会話をしたのは間違いない事実である。彼は間違いなく商品をオーダーした。と

おばちゃんは、その瞬間勝利を確信した。何故ならオーナーのXXXミカコはウチの”前の持ち主”で、おまけに彼「He」ではないからだ。

名簿会社というのはたぶん全世界にあるのだろうが、ウチが営業を開始した後も、なぜかウチのビジネスは前オーナーの名前のままになっており、それが依然としてデータとして売買されているらしい。
なぜわかるかというと、ウチにその間違った宛名のDMがしょっちゅう来るからだ。

フロリダの会社もペニー・セーバーにはオーナーの情報が載っていなかったので、名簿会社から買ったのだろう。ところが、オーナーの名前は間違っていたのだった。

おばちゃんは、再度反論をポストする。アンタがオーナーXXXミカコと話したというのは間違いないか?

フロリダ:間違いない。
おばちゃん:残念だね。ウチのオーナーの名前はXXXミカコではない。それは前オーナーである。
フロリダ:・・・・・・
おばちゃん:XXXミカコは前オーナーで現在はサン・ディエゴで新規ビジネスを展開している。サンディゴのビジネス・エンティティで確認されたい。最後にXXXミカコはFemailである。
フロリダ:・・・・・・
おばちゃん:貴社から送られたプラークを保管している。至急引き取られたし。引き取りに来ぬ場合は保管料を請求する。
フロリダ:・・・・・・
おばちゃん:保管料はらえ!

おばちゃんは完全勝利して、溜飲をさげたのだが、このあと、さらに後日談がある。

1年かそこらして、フロリダの検察局から手紙が来たのだ。この広告会社に対するクレームが多く、検察は捜査を開始したが、ウチの会社はどんな被害を被ったか、あるなら詳細を知らせよ。と.

おばちゃん損害0である。
プラークは大掃除かなんかの時に捨ててしまった。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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