人生サイコロ

また、ロシアン・ルーレットの時期になった。
3か月ごとの検診である。おばちゃんは胆のうがん切除後の保護観察中で3か月ごとに病院に出頭するのだ。再発の危険度が一番高いのは術後の2年。この2年を乗り越えられれば再発のリスクは年々下がる。

5年過ぎてポコッと出る再発は遅発性再発で単発のガンに近いから外科手術でとれるものなら大事にはならないかもしれないらしい。

4種類のガン・マーカーの値は上がったか?下がったか?
あみだくじの先が出口のA案にいくのか、あるいはさらに迷路が続くのか、血液判定の時期が来たのである。

嫌ねぇ。最近右わき腹がどんより圧迫感がある。だるい。体重は増えたけど。
ガンで体重が減るのは、進行度が進んでから。胆のうがんが発覚したときは、おばちゃんの体重は帰国後3キロ増えていて最高度だった。体重なんかあてにならない。

Yahooの記事でーー
ドクターが、ガンは切っただけでは終わりではないです。3か月ごとに検診をして5年無事に過ぎたら完治したとしていい。3か月ごとのチェックは嫌な気持ちで、検診の前にはあちこち具合が悪くなり、検診の結果異常がなければ具合がよくなる患者さんもいます。― ー

ぇ~~っ。おばちゃんのことではないか?
血液検査の結果が出るまではみぞおちが痛んだり背中が痛かったり。
結果が異状なしとわかると、メンタルのせいだったんだと痛みや不快感が飛んで行って心が軽くなる。

メンタル再発だったか、、。3か月ごとにこの過程を繰り返すのは正直楽しくない。帰国・移住生活も落ち着いてきたのでできれば穏やかに生きたいが。

おばちゃんはコタツむりになると、ネットにちょいちょいコメントを書いたりしたのだが、先日

「あんたはいいね、幸せ自慢?」とリプライがついた。
リタイア後の生活は予算が許す限りでいろいろやってみようよ。と書き込んだだけである。

幸せ自慢に感じられたなら、それは幸せだからだ。
従業員に給料を払うために毎月きっちり利益を出さねばならないプレッシャーがない。セールス・タックスやビジネス・タックスを払う必要がない。なにがなんでも朝起きて出勤する必要がない。

助けてくれる人は自分とおじちゃん以外にいなかった。そんな背水の陣みたいな重圧がなくなって、自分の時間を自分で使える幸せがあって、邪魔されないで自分の畑・庭を作れる幸せがあって、ついでにガンの再発のリスクがあっても、病気の猫を抱えていても、今が人生で一番穏やかで幸せだと思う。

自分で人生の決断をしてこなかった人、自分で責任を取らなかった人、人生がうまくいかなくて自己憐憫に陥って他人が憎く見える人。残りの人生も後悔と妬みにさいなまれて送るのだろうか?

大リーガーの大谷が「憧れるな」と言ったらしいのだが、よくわかる。
人は「憧れ」という熱い思いだけで何となく心が満たされて、“自分の“憧れに向かって努力するのを忘れてしまうから。

憧れも後悔も同じ。
そんなことを感じている間に努力せいや!戦え!と大谷君は言いたいのだ。憧れるより自分の夢を追え!自分の夢を実現せいや!
アメリカで戦っている大谷君はアメリカの子らしくなった。

幸せは自分でつかみ取るものだ。
自分の頭で考え自分で決断する。戦って自分で勝ち取るものだ。

血液検査のサイコロがたとえ「凶」に転がっても、おばちゃん、やらねばならないことをやってきて後悔はない。ガンとは戦わないが、おじちゃんと猫たちが幸せに暮らしていけるように準備をするだろう。病気のテンを寛解にもっていき、家を修理し、山に知り合いを増やしおじちゃんが安心して暮らしていけるように生活の軌道を作っておく。

サイコロは3か月に1回振る。あと16回。

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海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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