液体ムヒ

おばちゃんは液体ムヒをもって、家じゅうのケーブルに塗りまくっている。ケーブルがかゆがっているから。んなわけがあるかい。

おばちゃんの弱点は猫である。
紫音もストレス・マックスだったし、おばちゃんたちも限界だった。3月からおばちゃんたちがバイトに出れば、紫音は一人でお留守番の時が長くなる。

猫の鳴き声に頭がかき乱されると、おばちゃんはアホになる。理性的にものが考えられなくなるナァ~オと鳴かれると、その瞬間何を考えていたかわかんなくなる。おじちゃんが何かを話していても聞こえない。

ーーねぇ、アンタ、
もしも、いま道ばたで子猫が落っこちていたら拾う?
寒空を見上げて、う~ん、拾うね。ーーそうだよね、拾うよね。

おばちゃんは心神喪失状態のまま月齢の低い子を探してしまった、、。テンの命日に生まれた子はすでにもらわれたようだった。今の季節に子猫は多くない。ちっちゃな男の子がいた。テンはお腹にバカボンの渦巻きがあったのだが、。渦巻はない。目がつぶらで大きい。

正月明けにシャンプーをしましたと、相手から写真が入った。2か月の子猫をシャンプー?おかしくないか?それでも新幹線のチケットを取って、あと何日寝ると、“お迎え“ 詩音はX日でお姉ちゃん。カレンダーを消していった。

引き取りの2日前にラインが入った。
くしゃくしゃの子猫の前足が青く光っている写真。ごめんなさい、この子は真菌症でお引き渡しができません。

たたき落された気分であった。
真菌症?先代の猫が持っていたので消毒薬やブラックライトもある。相手が治療をするというので涙を呑んで待つことにした。子猫の写真を獣医さんに見せたら、もしかして治りかけかも、と。

2週間待ったら動画が送られてきた。
子猫が猫じゃらしで遊ぶ動画であったが、猫の顔が涙目のくちゃくちゃであった。

何かがおかしい。胸に禿げた跡があるし、顔まで真菌症が進んでいるようであればうちでは面倒が見きれないかも。そう言うと、相手は、顔にはありません。胸は治った跡ですという。
それでもおばちゃんたちは疑惑がぬぐい切れない。


胸にハゲ跡が?前足だけのはずだったのでは?
2か月の体力のない子猫をシャンプーしたのは言語道断だったが、あれは真菌治療の抗菌シャンプーだったのだろう。むろん相手方はきれいにするためでしたと言った。そんなわけあるか。

テンJr.と名前まで付けてしまっておじちゃんたちはもう「うちの子」の心持なのである。さらにまた1週間待って、辛抱がたまらなくなってどうでもいいから迎えに行くことにした。うちの子を引き取りに。

お迎えしたその足で獣医に行きたかったが予約が一杯で次の日。
獣医はむつかしい顔をして、ブラックライトを子猫の全身にかざすと、前足、後ろ足、しっぽ、背中、耳、鼻粘膜全体に真菌反応があります。つまり、全身。 

全身?!おじちゃんとおばちゃんは絶句して、確かに動画で見たより実際は小さくて弱弱しかったがまさか全身に真菌とは。獣医はさらに「ヒネた子です。」と言った。

「ヒネた」とはどういう意味か分からなかったので、聞けば、
「健康な子猫でも元気でもありません。まともに育つかどうかは半々です。」

真菌の治療には内服薬が効果的だが、なにぶん600gあるかどうかというガリガリ。処方量を最低でとりあえずやってみましょう。紫音ちゃんへの隔離はきっちりやってくださいと言われた。

真菌症の正体はカビである。人畜共通の皮膚疾患で汚染された毛がつくと感染する可能性がある。抗菌シャンプーと消毒薬はすでに用意してあったが隔離ゲージの消毒が大変だ!

前日の長距離移動で、テン・ジュニアの食欲はあまりなく弱弱しい。無事に育つかわかんないんだね、意気消沈していると、おじちゃんが、俺が元気で丈夫な子猫に育ててやる。

おじちゃんはお掃除おじさんと、洗濯おじさんに変身した。
朝晩ふたりで使い捨て手袋をはめ、おじちゃんは専用エプロンをしてジュニアに消毒薬を塗る。すぐに離すと、消毒薬を舐めてしまうので最低5分消毒薬がしみこむまでジュニアと猫じゃらしで遊ぶ。


その間に、ケージに敷いた冬用マットとペットシーツを取り換える。真菌はアルコールでは死滅しないので、1リットル当たり5ccの濃度に薄めたハイターでケージの網や床を拭き掃除する。猫砂は2日に一回取り換えた。マットはまず熱湯に漬けて消毒し、そのあとハイターをいれて洗濯である。マットも毛布も色が抜けてボロボロになってしまった。
水道、ガス代、電気代が恐怖!

薬を飲ませて4日目にジュニアが動かなくなった。弱弱しくぐったりと寝ている。涙目でますます顔が野良猫のようだ。
3か月未満の子猫はあっけなく死んでしまうので、無理やり診察を入れてもらった。やはり薬が強かったのかもしれない。いったん服薬を中止し、点滴と抗生物質を注射して様子を見ましょう。


点滴を刺されるとジュニアはキャ~と鳴き叫び、初めて子猫の声を聞いた気がする。
翌日もまだ弱弱しいく同じ処置を繰り返した。

つぎの日、驚くべきことにジュニアはシャッキ~ンと、イケナイお薬を入れた人のように、食欲と元気が回復してケージをガシガシとよじ登るようになった。体重が700gを超えた。

紫音はケージの前でちっちゃい声でシーというが、最初の遭遇の時の敵意とは打って変わって、むしろ心配でジュニアの様子をうかがっている。峠を越したのかもしれない。
薬は一日おきにして、ご飯を食べさせて遊ばせて体力をつける。抵抗力がつけば真菌は薬がなくても治るのだ。

夜、8時にいきなり紫音が吐いた。そのあと、すごい下痢。
おじちゃんが、食べさせすぎたのかもと言う。テンに手をかけすぎて、いじけた紫音をなだめるために、紫音の好きな缶を好きなだけ食べさせたから。

ジュニアがまだ全快といかないのに紫音が調子を崩した。
空えずきをする。チュールは少し食べたがその分また下痢。ふらふらと歩いて、床にぱったり横たわる。何かを誤飲したか誤食したか、異常事態なので次の日に診察を入れた。紫音はヒモが大好物である。遊ぶだけではなく、ゴム紐は食べるのも好き。室内には、マスクも絶対置かないようにしてあるのだが、何か誤食をしたのかもしれない。

獣医さんによれば、腹部の触診も異常ないが腸炎を治めるために点滴と下痢止めを入れた。次の日は定休日なので、心配な状態なら懇意のクリニックを教えてもらった。
次の日も、空えずきはやまず水を飲んでも下痢をする。紹介されたクリニックでもやはり見立ては異食は考えにくく、下痢を止めるために点滴と注射をした。

次の日紫音は8分どおり復活。テンは最後の服薬も終わって、体重は900gを超えた。再診で問題なければケージから出す。

獣医さんはテンを診察して、あれ?顔が変わりましたね?
猫を飼って40余年、無職のおじ+おばが全力で子猫のケアをしたのだから顔もまともになった。ブラックライトの検査では残念なことに、肛門9時の方向に2ミリくらいの真菌が残っていた。ただ全身状態はいいですから、ケージの外に出してもいいでしょう。と許可が出た。

おじちゃん特製の”平屋建て増し次の間付きの暖房完備のゴージャス・ケージ”を開けると、テンがおそるおそる出ると見せかけ、実は超スピードでリビングを縦横無尽に走り始めた。ジイさん婆さん猫用においてあったスポンジの猫階段を初めて正しい使い方をしてくれた。

こたつもよじ登る。ラップ・トップのキーボードも走りぬけていく。おかげでおばちゃんは、Microsoftの知らないオプション・ウインドウを初めて見た。

しっぽの中ほどは真菌で剥げて、すかすかのススキのようなしっぽには節があるように見えるのだが、そのしっぽを最大限に膨らませて、紫音の後を追う。キッチンの猫柵を上る。冷蔵庫の隙間に入る。テレビ台の裏に入る。おばちゃんはリビングのじゅうたんの上で3か月ぶりに泣いてしまった。

そして、テンはあらゆる電気コードをガシガシかじろうとする。子猫の時代とはほんの数か月しかないので、おばちゃんは子猫のいたずらがどうだったか忘れてしまうのだ。

それでおばちゃんは液体ムヒを手に持ち、テンの後をついていってテンがかじりつく電気コードにムヒをちょんちょん塗っているのである。

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シルバータビー

紫音

海外から猫を連れて帰国する1 IDチップ

海外から猫を連れて帰国する2 ワクチン 

海外から猫を連れて帰国する3 届け出書 

アメリカの年金をもらうー8

税金申告のため予約していた税理士事務所は、電話をかけると外国年金は取り扱ったことがないのでわかりません。税務署に相談してといわれてしまった。

この税理士事務所は近郊3県にまたがる大手である。この山の住人も駐在帰りが多く住んでいるのだから、地元の大手税理士事務所が外国年金の確定申告を扱わないわけがないと思うのだが?

皆さん、ちゃんと申告してますか~?
米国年金の額がいくら少なくても、源泉徴収がされていない外国年金は確定申告をせねばなりません。“400万円以下は申告しないでよい“というルールの対象外ですよ。

さて、地元の税務署に電話をかけてみると、おばちゃんの狙い通り“みなし年金繰り下げ一括受給制度”はまさしくおばちゃんたちに適応されることが分かった。
年金の支払い年度が決定されていたら実際支払いの時期にかかわらず、決定年度で申告するのがルールです。
よっしゃ~。

次いで、為替レートは振り込まれる2023年度で計算されますががそれでいいですね?と聞いたら、
”本来振り込まれるはずの年の月のレートで計算して、実際の振り込み月でレートが上がったら、差益ということで申告が~~。”というのだが、

おばちゃんは、無~理ムリムリ、だって米国年金は毎月振り込みなので、8月から12月のあいだ、5か月にわたって毎月違うしそれが一遍に入金されるから私、もう計算できない。
雑所得だし。
”むふっ。まっ、それでもしょうがないですけど。”

や~れヤレヤレ。
外堀が埋まって、あとは振り込みがあればeTaxをするだけ。

おじちゃんの老後の生活の設計がこれで整ったから、おばちゃんは本当に肩の荷が下りた。
現役で商売していたころは、確固たる地位を築いていた日本人先輩諸氏が、時勢の変化で鳥が落ちるように商売がダメになったり、リセッションの時は誰もがうらやむほど勢いの良かった出世頭がビジネスを売ったり、安心だと思っていた日本企業が撤収したり、トヨタがテキサスに移動したりしてカリフォルニアの日系社会を大いに狼狽させた。

アメリカ社会と日系社会の激しい浮き沈みを見てきて、明日、会社がまだあるかどうかは誰も保証しない。老後の生活設計は闇の中で、今日をとりあえず生き延びることをまず考えて生きてきた。


この春から5年後、10年後の収入はもう心配しなくてよい。年金で大丈夫、息をしている限り年金が振り込まれるからもう将来の心配はない。おばちゃんが先にいなくなっても生活は回っていく。心の底から安心した。

夕方にはおばちゃんがバイトしていた事業所のマネージャーが入社手続きの時間を通知してきて、おじちゃんも一緒に面接をする。事態は順調に転がっていく。

山の梅園はピンクの紅梅が咲き始めた。コロナと経済の閉塞と長い長い闇のトンネルを抜けてきたような気がする。還暦も4年も前に過ぎたおばちゃんにとって、この3年は長かったが、
おおむね明るい希望が見えてきた。

たった一つ、猫のことを除いては。

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アイ子ちゃん、クレジット詐欺に会う

スキーに来ているアイ子ちゃんからLineが入った。
こんな請求が来ていてよく見ずに払ちゃたっんだけど、詐欺かな?使った覚えがないの。

HETSUDOSUPOACA-TSUSUTE-SHON NAGANO JP
Transaction Date 01/13/23 Posting Sate 1/13/23
$193.61
Begin region Purchase Mode CARD PRESENT

越後屋さんもヤキが回ったかもしれません。それは詐欺です
カードに電話をして支払いをストップして、それからDisputeを申し立てれば返ってくる。
アイ子ちゃんは、え~、でもオンライン・バンキングから払ったのに?

話がまどろっこしいので、電話に変えて越後屋さんを尋問する。
おばちゃん:この請求はメールできたのか?――違う。


アイ子ちゃん:オンライン・バンキングでこのTransaction請求を見たの。


おばちゃん:オンライン・バンキングで払ったというのは、銀行はWFか?――そう。
ではこれはやはりWFのクレジットカードなので、支払いはストップすることができる。
カード会社に電話してストップして、。

アイ子ちゃん:一緒にスキーに来た友達にも同じ文面で、でも違った金額で2回来てるって!

おばちゃん:ああ、それはもっと重大!
すぐカードに電話をしてカード自体キャンセルして。友達はLAXから同じフライトで成田について、行動はずっと一緒だった?

アイ子ちゃん:-そう。タクシーもホテルもレストランも同じ。

それは、マーチャントでカード情報を二人一緒に抜かれたか、あるいは空港でカードの磁気をスキミングして盗まれたと思う。すぐカードをキャンセルして、。

アイ子ちゃん:やっぱり、電話かけるの?
当たり前じゃん、カード会社のカスタマー・サービスは7 Days 24 hoursじゃない。(日本のカードはそうじゃないけど)

アイ子ちゃん:同行のお友達はオンラインで問い合わせるって言ってるけど。
そういう生易しい話ではないので、カードのエマージェンシーかLost & Stolen電話にしたほうがいい。

現役時代OCで一度、大規模なカード詐欺が発覚した。
スキミングされたか、それとも悪徳マーチャントがカード情報を流したか、カード会社の捜査が入って日系のドコソコが発生地だとうわさが流れた。どこのビジネスだったか特定名は流れなかったがおおむね事実であったようだ。

お客さんのクレジットカード情報は1年間事業所に保管せねばならない。
法律が緩かったころは、レシートに16桁のカード番号も個人名もすべて打ち出されたカードレシートが残るから、その保管方法はおばちゃんも悩んだ。

半年に1回ほどカード会社から売り上げについて質問が来るので、自宅に持って帰るのは不便だし従業員の目の付くところにも置けない。
クローゼットのロッカーにカギをかけて保管するしかなかった。

マーチャント側から、クレジットカードのプロセスを述べてみよう。
電子支払いはすべて同じように見えるかもしれないが、Transactionの信用度というのは実際のカードの取り扱いで違う。

どういうことかというと、
1)小売業では客は小売店に来て、店のカード端末で実物のカードを「スキャン」して払う。
2)オンライン・ショッピングでお客がオンライン上でカード情報とセキュリティ・コードを入力して払う。
3)お客が電話をかけて、口頭でカードナンバーを伝えてマーチャントが端末でプロセスする

以上のトランザクションは1)が一番信用度が高く、3)の信用度は一番低い。
信用度が低いとマーチャント手数料が高くなる。
だからおばちゃんは、確かな常連さん以外は電話でクレジット販売を受けなかった。

カードで売り上げが上がると、客に1セット、マーチャントい1セットレシートが残る。その日の最後にクレジットマシンからtransaction集計を打ち出してDepositボタンを押すとクレジットカード会社に売り上げ集計情報が送られる。日中のお客さんの個々のtransactionもその都度クレジットカードや銀行(デビット・カード)に通知されている。
次の日におばちゃんのビジネス口座に入金され、1か月後には集計のStatementが届く。

十数年のうち数回クレジット会社から、クレジット売上の調査が入ってきたことがある。
カード会社が郵便で 何月 何日 XXXX・XXXX氏の売り上げについて売り上げのカードレシートのコピーと、売上伝票のコピーを出せと言ってくる。

ロッカーのカギを開け、該当の月の伝票をとってカード会社にファックスか郵便で送る。
一度、XXX・XXXX氏から請求無効の申し立てDisputeを受けたので、売り上げ伝票とカードレシートのコピーとTransactionの詳細をすぐ知らせろ、proofを提出できなかったらこの売り上げは引き上げる。と通達があったことがある。

おばちゃんはXXX・XXXX氏を実によく覚えていた。
なぜかというと、常連のピーターと奥さんが連れてきて、本人は非常に無礼で尊大だったから。何を買い何を話し、同行のピーターと奥さんは何を買ったか、本人のXXXX氏はどんな服装をしていたか、など詳細にリポートを書いて伝票コピーと一緒にカード会社に送った。売り上げは引き上げられることなく、2度目と問い合わせはなかった。

XXXX・XXX氏がぎゃふんとうなだれてカード会社へDisputeを取り下げたのは間違いない。
カード会社の照会が来た時にちゃんとした販売証拠を提示できないと、カード会社は振込口座から強引に売上金額を引っこ抜いていくのである。
ということは、カード詐欺にあったと確信したらまずカード会社に電話をして支払いを止める。

楽天はこのプロセスがトロイ。
どれだけマーチャントと交渉したか、キャンセルの言質を取ったかなどの証拠がないと、支払いを止めてくれない。馬鹿な話だ

さて、アイ子ちゃんのカード請求の詳細を見れば、まず中華系かベトナム系のビジネス名で購入場所が北京、カードの使用状況は現場でカードの提示とある

アイ子ちゃんが北京経由で成田に来たとは聞いていないので、北京でカードを提示することは不可能であったはず。よって、これはスキミング・詐欺だろう。通報!

お財布にスキミング防止用のカードを入れておかなかったのか?
アマゾンで安く中国製が売っているのだが、。中国製のスキミング防止カードが中国人のスキミングツールにどれくらい有効なのか、ちょっと考えると面白いが。

おばちゃん?
もちろん防止カードを入れている。ついでにキッチンのアルミフォイルを3重に折って、お財布をくるむように財布の内ポケットに挿入してある。

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Thinkpadのバッテリーがヘタっている。
Amazonではリチュウム・バッテリーの海外発送は嫌がる業者が多かったので、Ebayでコンパチのバッテリーらしき型番を落としたのだが、実際に合うかどうかは換装してみないとわからない。

中国人の業者はOK,ok, No problemと言いよったが中国人のNo Problemはあてにならないので、返品返金OKを確認しておいた。春節前に届けられるかも、って言ったくせに春節がとっくに終わった先週に届いた。コロナ バリバリの中国からのパッケージであるから開けずにアルコール消毒薬をシュッシュしてひっそりと風呂場に置いおいた。

当日外装の段ボールだけ切れ目を入れコンピューターとバッテリーをPCデポに渡した。
日本製ではないので届いたバッテリーが実際合うかどうかわからないけど、換装お願いね?!
しばらくたってPCデポの受付おじさんは、裏蓋を開けたThinkpadと替えバッテリーをしずしずと持って帰ってくると、確かにバッテリーはオリジナルの型番と同じように見えますが、、、このピンがついてるんで~~~~。と指さして言う。

バッテリーの右から6ピンか8ピンの細っそいケーブルの端が本体に刺さってる。
で?とおばちゃんが顔を上げると、
このピンを抜かないといけないんですが?
そらそうだろ。
おばちゃんはピンセットを使って抜いて刺すようなラップトップの細かい仕事が苦手なんで、PCデポに来たんだが。

このピンを抜いて、新しいのを刺すときつぶしちゃうと本体がダメになって起動しなくなるかもしれないんですぅ~~~~。
バッテリーの接続はできなくなるだろうが、本体が立ち上がらなくなるかどうかまではいかないと思うが、要するにPCデポは壊したといわれたくない。責任持てませんと言いたいわけね。

やらなければバッテリーを買った意味もなくなる。
バックアップは今朝とったからやって!起動しなくなったらそこの中古のThinkpadを買うから。ドクターに「胆石を切って」と同じノリで“やっちゃって”と言った。

修理部屋にいるのは昔からのコンピューター小僧改めコンピューターおじさん達で、ほっそいピンの抜き差しなど毎日やっているに決まっている。
ただ、Thinkpadの純正ピンを見て嫌~な予感がしたのだろう。
純正品だらけのPCっつ~のは汎用品で代用できないから困ったものだ。DellとかSonyとかね。嫌~な予感というのは10回に1回は現実になるので、ピンをつぶしてコンピューターを壊してお客さんがごねたら嫌だなと思う気持ちもわかる。

おじさんは修理部屋に戻っていき、おばちゃんは中古PCの在庫を観察した。
安くなったもんである。新機を買うには2500ドルは覚悟したもんだった。自分でパーツを組んでもそのくらいの総額になったからOS自体も高かったし。
それが今では片手でそこそこのスペックが買えるのだからコンピューターショップのビジネスは難しい時代に来ている。
多分、新品1台売って粗利は15%くらいではないか?PCデポがサブスクリプションの契約に走って、批判されるのもよくわかる。

10分ほどでおじさんは戻ってきて、では電源を入れます。
愛機は無事立ち上がっておばちゃんは拍手した。えらいわ~。素敵~。ほな、おいくらでっか?
換装は5500円で済んで、バッテリーも60ドルだったから買い替えずに安くてよかった。ヤバそうなことがするすると済んでおばちゃんほっとした。こういうことは日本はスムースでありがたい。

これで商工会議所のコンピュータークラスに持っていくこともできるようになった。
プログラミングはスクラッチしかないから、子供用でも我慢してのぞいてみるか、それとも日商英語検定2級クラスを冷かしてみるか?

日商2級のビジネスレターのサンプルを読んだら、重要度の低そうなIssueをまどろっこしい遠回しな英語で書いてあったので笑ってしまった。しかし、5年以上も英語を話す機会がなくて、頭の回路が日本語専用に変わりつつあるので、英単語が出にくくなってしまった。綴りは恐ろしいことになりつつある。

コロナでいろんな集会の制限がなくならないとおばちゃん英語もダメになりそうだ。

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おばちゃん就職を目指す

崖っぷちの人

米国年金をもらうー7ついに入金

1月16日も外れ。週明けも年金の入金がない。
おじちゃんと二人で、推測してみた。

SSAが送ってきた年金決定通知は2月の3日までに振り込むと書いてある。15日を外したとあれば、アメリカがやりそうなことは自分で決めた期限のギリギリに振り込んでくるのではないか?
3日か、時差でいうと4日か?

3日の朝、銀行をチェックすると入金があった。やっぱりのう。
レポート提出期限ぎりぎりの生徒みたいなことをしやがって。待機分の入金の影はない。そのうちおじちゃんの分のStatementが先に届くのだろう。ヤレヤレだ。何千回ヤレヤレを言ったことか。レートは129円80銭くらいだ。

待機分の一括入金があるまで安心はできない。SSAでだれかがミスするかもしれないからだ。電話をかけて10日待って届かなかったら,もう一度電話をくださいというのが定番だな。
とにかくStatementが届かないと確定申告ができない。


Statementの数字はドルだ。当たり前だが。
去年の2022年分に振り込めば12月のレートは132から131円だった。2月に振り込まれた当日のレートがどうなるかわからない。
確定申告では2022年分の振り込みのはずが23年2月の為替レートで振り込まれるはずなので、
Statement上月の換算レートではない。日本の税務署に突っ込まれたらどうするか?
アメリカ政府のやることでっせ?文句ならアメリカに言ってくれまへんか?

2月3日アメリカのForm会議が終わって雇用情勢は予想より良好だと結論された結果、またドルが130を超えた。やはり1月最初の週の127円に落ちた時に円からドルにもっと戻しておけばよかった。


おばちゃんたちの年金生活リスクはインフレではなく為替レート・リスクである。円高に振れると円受給の額が減る。その時は手持ち円をドルに換えてリスクヘッジをするつもりだから、資金は円ドル同じだけ持っていたい。しばらく130円前後でもみ合いになるだろう。

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8月に申請して、12月に年金額決定通知が届いて2月の3日までに支払うと書いてあった。
米国内の年金支払い日は15日らしいから、日本への振り込みも15日?時差を考えると16日あたりになるのではないかと予想していたのに、銀行からは一向に連絡がない。

15日も16日も週明けも電話がなく、みずほをチェックしていたらすでに12月の頭にひっそりとミジンコのような額が振り込まれていた。さらに驚くべきことにはベイコクネンキン(シティバンク)振込人とある。

あら?Citybank経由?
日本の銀行にはtransaction #さえついておらぬようだ。おばちゃんは みずほに電話をかけ、振り込みの詳:元のドル金額と当日の為替レートその他transactionの詳細がわかるかどうかを聞いた。

紙の振り込み清算書などがついていませんか?
それがあるくらいならそもそも電話をしない。それではこちらではわかりかねますので、振り込み元の銀行に聞かれてはいかが?と言われてしまった。

日本のCitybankの個人用カスタマー・サービスが調べてくれるとは思えない。それでSSAのページをまた漁った。
すると、年金のDirect DepositはワイヤーFeeを取らないと書いてある。また、海外在住者への支払いの場合は、その国のアメリカ系の銀行を通すと書いてある。はあ~ん、だからCitybank経由なのか。

振込当日の為替レートをどう計算してもアメリカ側の$30、日本側の3000円はひかれておらぬようだし、為替手数料も引かれていないように見える。これはありがたい。とにかく数字だけなので、その他の手掛かりは全くない。

第一回の振り込みは額が少なく、まさしく大使館の担当さんが言ってたようにおばちゃんの就労年金のように見える。おじちゃんの年金の支払い時にはSpousal payment扶養者年金に代わる予定のはず。そんなにうまく切り替わるか信用していないのだが、。


何せ銀行が間違ってハーフミリオンを振り込んだり、リファイナンスのローン残高は大抵間違っていたり、新築の家は必ず雨漏りする国である。スムーズにいけば奇跡だわ。

なおも日米のいろいろな情報をあさっていると、おばちゃんはついにある解決策を見つけてしまった。
みなし繰り下げ年金一括受給制度」である。これを使えば、おばちゃんたちは今年働けることになる。

繰り下げ年金一括受給とは
年金の受給を65歳以降に繰り下げすることにして、もらわないでいる間に資金が必要な事案が発生し、繰り下げを取りやめてそれまで待っていた期間の年金を一括してもらう方法である。


繰り下げの間の増加金額は無効になるが、待期期間の年金をまとめて一括でくれる。しかし、その年金分は実際には65歳+アルファ年分であるので、該当年の確定申告をし直さねばならない。そこで所得税が発生する。しかしおばちゃんたちには一切発生しない。なんでかというと2022年は夫婦でプーだったからだ。

おじちゃんが去年8月に申請して、実際支払われるのは今年の2月以降になるのだが、待っていた待機分の4か月から6か月分が一度に入金される。今年の収入と算入すると今年の収入と税金分が高くなり、さらに働けば限度額に近くなって、年金が停止される。それは嫌だ。
おばちゃんたちは2022年度は遊んでいたので、2022年度分の所得税額はがら空き。2022年度分に回せばすべて美しく解決!

これこそ、まさにおばちゃんが望んでいたことである。

折にもまたSSAから通知がとどき、それはおばちゃんの2022年分の年金支払いStatementであった。これは納税用の清算書であろう。22年度で3桁の数字しか書いていない。その数字は、12月頭にあった振込額の3.5倍くらいで8月からの3か月半分とすると計算がだいたい合う。詳細もなにも書いてない。数字だけ。
むろん振り込みさえもまだだ。3桁ドルだけ。

念を入れるために税理士事務所に相談予約を取った。おばちゃんたちは2月に入る待機分2022年度分の入金が入れば確定申告を行って、去年22年分も税金ミニマム、今年23年は夫婦でボケない程度に働くことができて万歳である。
はよ来い。

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紫音

ラクダと呼ばれた紫音

おばちゃんの弱点は猫だ。
10月に天が亡くなってから、紫音の鳴き声は半端でない。
おじちゃんがトイレに行ったと鳴き、ベランダに出たと鳴き、おばちゃんがキッチンに行ったと鳴く。

午後4時になると、テレビの前に出てきて明後日のほうを向いたまま鳴く。紫音の鳴き声は、道路からも庭からも聞こえる。この子が初めてさかりがついた時の鳴き声も、夫婦二人でうろたえるほどうるさかった。山中の雄猫がウチの家に寄ってくるのではないかと本気で心配した。
さらにこの子の運動能力の高さ。運動量。体全体が筋肉でできているようなムチみたいな細見の体。ジャンプ力は半端でない。

この猫種が今の日本で人気がなくなったのがわかる。とても街中の集合住宅で飼える猫ではない。最初は兄弟猫で来てもらおうかと考えていたのだけど、そうしなくてよかった。家がボロボロになるところだった。

その子が午後4時になると鳴く。
力いっぱい鳴いてアタシをかまえと。
ごはんはいらない。遊べ!
猫じゃらしで2時間。人間様は飽きてしまう。休憩!とコタツに潜ると紫音はキッチンに行く。
カウンターに飛び乗って、置いてある猫缶のフタ、プラスティックのスプーンをお手玉して床に落とす。小さくて動かしやすいものはみな落とす。

こらっ、とおコタから叱るとリビングに戻ってきて鳴く。猫じゃらしを目の前まで咥えてきて落とす。遊べ。もう、お父ちゃんもお母ちゃんも飽きちゃった。コタツで寝なさい。
いや~~と鳴く。ほとほと疲れてしまう。

紫音はさみしがり屋の種なので単独飼いはそもそも想定してなくて、アメショーの天と同時にお迎えしたのだが、その天が亡くなって遊び相手も、話し相手も、猫仲間も無くなった紫音はストレスの塊。悲しいのはおばちゃんたちも同じ。一体どぉ~したらいいの?

紫音の性格ははっきりしている。妥協は許さない。嫌いなものは嫌い。やりたくないことはしない。自分が世界の中心で自分への愛を叫ぶプリンセス。

おばちゃんはそういう性格が嫌いではない。前のナナちゃんも性格は似たようなものでキツかった。そういう猫を好んで飼ったのはおばちゃんなので、自業自得なのだが。

単独飼いすべきでない詩音をこのまま一猫生を一人で生きさせるのは忍びない。
で、かかりつけの獣医さんは地域の保護猫を引き取っている方と猫を紹介してくれた。相性としては去勢の男の子のほうが良いというので、月齢が低い6か月の男の子をお試し同居で預かってきた。

白キジの保護猫を連れてきて、用意していたケージに入れると詩音はものすごいヒステリー。
ケージにかけた毛布の下から”おぼっちゃん”(性格がいいのでそういう名前だった)の一部が見えるとヒスる。ものすごくイラついているのがわかる。
ご飯を食べる量が減って、キリキリ走り回りお昼寝も全くせずたまにケージに寄って行って中をうかがう。興奮しきっていて精魂尽きたのか夜になったらおじちゃんの枕もとで爆睡した。よほど神経が張っていたのだろう。

次の日も同じ。
とにかくぼっちゃんが家にいることが許せないみたいだ。
ぼっちゃんは保護猫のお母さんが生んだ猫で兄弟5人のうちたった一人の男の子だったせいか、兄妹うけがよくおっとりといい子に育った。

とってもいい子。何匹も猫を飼ってきたおばちゃんたちが、一目ですなおでいい子だとわかる子。多分紫音以外の猫となら問題なく同居で暮らして行けたのではないかと思う。

紫音の鳴き声はマックスで、3日目にはおばちゃんたちの神経も擦り切れてきた。
紫音はもうボロボロ。イライラでソファーの背やカウンターに飛び乗ったり腹立ちまぎれにおもちゃに噛みついて振り投げたりする。嫌いなものはキライなんだと思う。
長く同居して慣れるというより神経が擦り切れることになるのではないか。おばちゃんたちが予想した反応とは違う。
天ではないからダメなんだろう。

もっと月齢の低い子猫だったらどうだっただろう。
しかし今は冬なのだ。子猫がわらわらと生まれる季節はまだ3か月も先である。
おばちゃんたちは疲れてしまった。どうしていいかわからない。おぼっちゃんがかわいそうなので、チュールと猫鰹節をつけて保護舎に返した。これだけいい子ならきっと里親が見つかるだろう。

おじちゃんに肩のり

というわけで紫音もおばちゃんたちもへとへとである。
買い物の帰りに百均に寄ったら、おじちゃんがゼンマイ仕掛けのネズミを買った。ネズミがフロアを走りだすと、紫音がびっくりしてソファの下でスタックしたネズミを捕ろうと必死。気に入ったみたい。しかしゼンマイ仕掛けはすぐ切れる。絨毯の段差が登れなくて止まる。
そこでラジコンのネズミを探して買った。届いたころには紫音は半分飽きていた。
タスケテくれ。春はまだ先。
書き忘れたが、紫音は肩乗り猫である。おじちゃんとおばちゃんの左肩は紫音につけられたバーコードでいっぱい。

引退生活・シュミレーション・シート-2

おばちゃんたちの老後生活は為替リスクがある。
米国年金が主な収入だからだ。日銀の総裁が何かを発表したりすると、円ドル・レートが変わる。レートが1円変わると、年収で数万円変わる。このあいだ年金生活シュミレーション・シートがついに完成した。
知らない間にIFS関数が登場していて、簡単に複数の条件節をつけられるのだ、ありがたい。

シュミレーション・シートが完成したので、おばちゃんは為替レートを1円ずつ変えながら、変化する年金額 対 所得税、住民税、国民健康保険料算出して、それを横行にして早見表を作ってみた。収入に対する税の割合を早見表の最後に追加してみる。

するとなかなか面白いことが分かった。
収入対税金レートがころっと変わる境目が何回かあるのだ。うちの場合だと、112円、124円、132円、144円。特に144円を超えると、税が収入の12%以上になる。最低限は6%であった。
いや~ん。税金をはらうのはいや~ん。

もともと庶民なのでおばちゃんは贅沢にあこがれていたりしない。宝石やブランドバッグにも興味がない。生活費用のために自分の時間を切り売りしなくてよくて、コンピューター関係と、猫と園芸に使えるお金があれば幸せ。税金を払うのは贅沢をするよりキライである。

私が稼ぐのに指一本上げず助けてもくれなかったオマエが、なぜ命の次に大事なお金を持っていくのか。税金を払うより、ほどほどに稼いで税金をミニマムにしてのったりと暮らしてしていけるほうが好きである。

早見表が教えるのは、日本で税負担を避けるにはやはり低収入のほうが楽なのだ。夫婦年金のみ210万円=月に17万は住民税・非課税のラインだ。ところが地方の3級自治体ではこれを193万円まで下げてくる。年に193万と194万。たった一万円の違い、月にして833円多いと、住民税を徴収し、健康保険が最低の3万円代から2倍近くになる。もう是が非でも税金を取ってやろうと人の懐を狙うお上があさましいのよ。

日銀の緩和政策は続くのか。諸処の発表のあと、先週からドルはじりじりと下がり始めた。
3円下がると年にして数十万下がる。税率は変わらないのに。
おばちゃんは、ちょっとむっとした。ただ、今のレート130円が異常なんだ。それはわかっている。

1ドル130円を突破するのか?
という時期はちょうどおばちゃんの手術の時。病院にWifiがないので、コンピューターを持ち込んでもドルを円口座に移せなかったからストレスが半端なかった。カリフォルニアの越後屋さんは、きっと130円で替えたに違いない。悔しい、30年に一度のチャンスなのに。

退院してからアイ子ちゃんに電話をしたら、やっぱり越後屋さんは130円を超えて替えていた。一本替えたのかもしれない。悔しい。その後8月9月に今度は140円台のチャンスが来て、150円は待ちすぎて逃した。

今度は125円以下に下げてきたら円からドルに戻そうかと思う。なんか、為替で年金額が下がっても、ドルの売買でリスクヘッジができるからまあ、いいか。

越後屋さんは来週またスキーに日本へ来るので、いくらでドルを売ったか聞いてやろう。彼女にはforeign currency投資口座の担当がいるから電話をしておけば指値で手数料もなしで買えるのだ。

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町医者とワクチン

先週コロナ・ワクチンの5回目に行ってきたんだが、相変わらず町の会場はどうでもいいような整理要員を大量に配置していて、また一本予算をつぎ込んだのだろうと思われた。
問診表も同じ形式で、日本語の構造を利用して官僚がひっかけ問診質問を用意している。

・アナフィラキシーを起こしたような重篤なアレルギーがありますか?


ないわ~、医療機関でこんな質問はあり得ないわ~。
ポイントが「アレルギー」か「重篤」か「アナフィラキシー」かよく誤解するように書いてあるよね。

おばちゃんはいつも、重篤の文字を線で消して、持っているアレルギーをリストで書く、これも意味ないね、と思いながら。

考えてもみなはれ。
過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人は、第一回目のアナフィラキシーが起きるまで、アナフィラキシーは起きたことがなかった人。ドクターであろうが本人であろうが、アナフィラキシーはいつ起きるか、起きてから初めてわかること。
誰もがアナフィラキシー予備軍かも知れない。

すでにアレルギーを持っている人は、アナフィラキシーを起こすリスクが高いかもしれないから、おばちゃんはアレルギーのリストをいつも書くのである。

私はリスク持ちですからと「告知」してワクチンを受ける意思を示している。問診票を確認したドクターはリスクのあることを見て、読んで、知って、その上で接種をしてよいと自分の名を書くわけだ。

先週のドクターは80歳すぎであろうかと思える総白髪で、アレルギーリストを指さしながら、「こういうのは違うんでね。いいね?」と無知で愚かな一般人を諭すように問診票にサインした。

おばちゃんはいつだか、求人サイトをチェックしていて、役場が接種期前に1時間1000円で求人をしているのを見つけてしまったが、接種場に一日座っているこのドクターの日当はいくらであろうか?と考えた。

医者というのは激務であって、日曜・祭日に休まないときつい。ワクチン接種場の問診医などは小遣いが稼げても、バリバリ現役の医師は応募しないに決まっている。しからば、第一線を退いた引退間近の内科医か、どうしても教育費を稼ぎたい子供がいる40代50代の勤務医か?
おばちゃんは前者の医者と見た。


今回も接種を済ませてアナフィラキシーも起こさず生きているわけだが、夕べ寝る前に“あっ”と思った。

実は、さかのぼるちょうど1年前の1月におばちゃんは町のクリニックを受診した。
クリスマス・イブに雪苺娘を食べて悶絶して、きっと胆石だから切ろうと決意した。切腹せずに腹腔鏡で切るために’専門医を探したら、3つの病院が上がってきた。外科の評判などを読んで、総合病院に予約の電話を掛けた。

ところが、予約ができない。
紹介状がある患者しか診ませんという。おばちゃんは縁もゆかりもない地に引っ越してきたので、地元の医療事情など皆目わからない。日本の医療状況もよく知らんかったが。

それで予約電話の事務に、私はXX町に住んでいるのだが、あなたの腹部外科のドクターはどこの紹介状なら受け付けるの?とダメもとで聞いてみた。
XX町ならXXXXクリニックです。

なるほど、XXXXクリニックで紹介状を取ればよいのか。おばちゃんはさっそくXXXXに電話した。年内はもう押し詰まっていたので、新年早々に予約を取ったが、クリニックでは「いつでもいいのよ。なんなら今日来てはどう」などと人恋しそうだった。


正月のお飾りが取れる前に、XXXXクリニックを訪れると、広い駐車場に割と立派な3階建てのビル。田舎によくある住居兼用の町医者ビルであった。

駐車場はガラガラ、待合室も人がいない。後から入ってきた後期高齢者のお爺は町からのワクチン接種はがきをヒラヒラさせて、窓口の白衣のおばさんと話していた。
その他の患者は誰もいない。

すぐ診察室に呼ばれ、頭が真っ白な大柄の医者がいた。
椅子に座ってもなぜか医者の視線はおばちゃんの右肩の後ろあたりに据えられていた。
「おなかが痛くなりまして。特にとんかつとか、生クリームとか、脂分、コレステロールが高いものを食べると、30分ほどしてみぞおちが痛むんです。痛み止めを飲むと若干和らぎます」

おばちゃんが症状を説明すると、爺医者は左のデスクに置いたカルテに覆いかぶさりながら顔だけ振り向いて、ただし、視線は絶対合わせることなく、
「あなたの症状は聞いていると、糖尿か、すい臓か、胆のうだと思われるけど、ここには検査機械がないのでわからない。私は何もできんのよ。」と言うのである。
「機械がないからね。」
この間、さっき窓口にいた白衣の看護師は50年連れ添った古女房のように、爺から一歩下がって後ろで爺の言葉にひとつずつ頷きながら控えていたのだった。

おばちゃんは聴診器一つ取り出さない爺にあきれたが、爺には紹介状をもらうつもりなので、
「ぇ?それは困ったわ。私はどうしたらいいですか?」すると
「ここじゃ、検査できないんでね。検査をしないといけないんだが、xx総合病院とかXXXセンターとかだとやってくれるから。」

おばちゃんはXX総合病院の名前が出てきたので、シメタと思い
「そうなんですか。検査をしないといけないんですね。でもどうしたらいいんでしょう?」と重ねて言うと爺が
「では、紹介状を書いてあげましょう」おばちゃんは感激した体で「あ、紹介状ですか?ありがとうございます。ではXX総合病院でお願いします。」

紹介状のあて名はすばらしく達筆。XX総合病院 腹部外科XXX先生 とボールペンなのに墨痕淋漓と言いたいほど立派だった。
診察料込みで1610円。

患者と目を合わせられない医者とは何だろう。先代の父医師の時代は多分、町の先生様で名士だったのかもしれない。患者がない待合室をすぎて、いったいどうやって食っているのだろうと頭をかしげながら、そういえば町の広報や高齢者検診、その他ワクチン接種プログラムには必ずクリニックの名前があるのを思い出した。なるほどねぇ。

で、コロナ・ワクチン接種の時にいた白髪のドクターはもしやXXXクリニックのあの人ではなかったか?と思い当たった!

覚えていないのか?
と聞かれれば、実はおばちゃん人の顔を覚えるのは苦手である。
客商売をやってたんだろう?と言われれば、いや~、すんまへん。
どっちかと言えば、おばちゃんはコンピューター・オタクで、患者と目を合わせられない先生寄りの人間である。つけ刃の笑顔で無理やり十数年小売業をやった。生活がかかってないと人の顔が覚えられない。町で次に出会ったらわかるかなぁ?多分、覚えていない。

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