海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。

手術後1年

胆石だと思ったら~胆のうガンだった~

去年の4月、胆石を切除してこれでヤマザキの雪苺娘が安心して食えると思いきや、切除した胆のうからステージ2のガンが発見されたmikieおばちゃんです。

病院に逆戻りして肝臓&リンパを切り取る拡大手術をして退院したのが、GWの終わりごろ。去年は雨も多かったせいで一番美しいはずの5月は庭の手入れもできず無念の涙をのんだ。

今年はリベンジの年だ。
3月には秘境の中伊豆コメリで深紅の長ぐつを買い求め、あまりに軽くて履きやすいので、お向かいの別荘のおばちゃんにも一足買って進呈した。
65の婆と82の婆がお揃いの赤い長ぐつをはいてポンポンダリアを植えたのである。
うちら~ガン友(お向かいのおばちゃんは、10年前に乳がんステ2、去年は別口胃がん表皮ガン ステ0)

お向かいの中野のおばちゃんはあまりにもコメリの赤い長ぐつを気に入ってしまい、この長ぐつがダメになったときはどこで買ったらいいのかしら、いいものだからもう一足予備に買っておかなければ、と憂えるので、もう一足買っておばちゃんの東京中野の自宅に送った。米国年金が入って気が大きくなっていたのであった。

山は麓の里に比べて気温は4度以上低いのである。
町でとっくにスイセンが満開というのに、うちの庭にはまだ葉が10センチ。黒い地面が見えてスカスカの状態に我慢できず、おばちゃんは庭を埋めるために宿根草やカラーリーフを求めて近郊都市の園芸店を走り回ったのであった。

おじちゃんが幼稚園のように植えてしまったチューリップは碁盤の目に並んでいて隙間の黒い土をバコパやカラーリーフで埋めたい。うちに根付いた宿根草はまだつぼみもできていない。ちょっとインチキだが、すでに咲いているネメシアやリナリアのポットを買ってきて同じ場所に植える。これは追加なんだ。中抜きと違うし。

おばちゃんは生来のセッカチ。待ってられないのである、はよ咲け~~。地だを踏んで咲いてくれるものなら、おばちゃんアデルのRolling In The Deepを踊っちゃる。

そのうち、3年目の姫コブシが満開になって散った。お向かいのソメイヨシノは今年も素晴らしく咲いて散ったが、6年前に植えたうちの河津桜は1輪も咲かずにまた葉桜になった。
ヒマラヤ・ユキノシタが細々と咲いてしぼんだ。去年の秋に選定しすぎたせいかもしれない。今年も追加したヒナ草は今満開である。こぼれ種が落ちて来年も同じように咲いて欲しい。

何が落ち着かないかと言うと、庭のメインストリートとブルー・セクションはまだスカスカなのである。2年目のジキタリスもカンパニュラもまだ20センチに満たない。ペンステモンなんて、地面にへばりついた葉っぱだけである。一番の目玉のガウラは10センチ。花は?
花はあと2ケ月も待たねばならない。

ブルーセクションにはネモフィラとデルフィニュームを植える。あ~、何時になったら満開になるのかしら?

夜は園芸チャンネルを視聴する。
ノーマル・スピードなんかで聞いていられない。1.5倍速である。出だしはすっ飛ばして、要点だけを見る。

なるほど、桜は意外にも庭に植えないほうがいい木だそうだ。
家の基礎に近い場所に植えると、根が横に張り基礎を壊すこともある。葉には毛虫がついて剪定が難しい。うちの河津桜は油粕をやったら、変な風に横枝ばっかり伸びておまけに葉がピンクに縮れて病気みたいだ。

コニファーは姿はいいが、すごいスピードで高く育つので、地植えにすると切ることになるのか、。おばちゃんのコニファーは今年の寒波と乾燥で3本のうち2本が枯れてしまい植え替えねばならない。

そうしたらコニファーの空の鉢に妙な木が植わっていた。しみじみ観察するとビワの木のようである。
おじちゃんにどうした?と聞くと、
道端にビワの木が自生していたので掘ってきて植えてみたと言う。
元んとこに戻してこい!


おばちゃんも子供のころに犬や猫を拾ってきてよく言われたセリフである。おじちゃんもワンコの時に言われたはずだ。60年も経つのに性分は治らぬと見える。

昨日はせっせと買い集めた宿根草を植え、時代がついた渋いポットに植え替えをし、シレネを植えた百日紅の下を、これまたオサレな化粧レンガと岩で廃墟風にアレンジをしていた。立ち上がると、河津桜が抜かれていた。

桜が横倒しになっていて、根っこが丸い。
どうやら地面が硬くて根は横に張らなかったようだ。根っこが腐っていたよ、とおじちゃん。
を作ってもいいよね、この場所。

実は水場があるといいなと思っていた。古い火鉢を買ってきて埋めるか?
今度はリサイクルショップを一回りである。前に買った青染付の火鉢は金魚が5匹元気に泳いでいるが、そのリサイクル・ショップは場所替えして商品がずいぶん減った。埋めて池代わりにする手ごろな大きさの火鉢がない。

池はちょっとペンディング。
夏はボウフラが湧くし、冬は確実に凍るから金魚は入れられない。
やはり木がいいだろうか?
さやさやと葉擦れがするようなすらっとした木。背丈が高いと剪定が大変になるので低中木。また動画を見る。ニワトコ?夏ハゼなら紅葉するし。

宿根草を植えながら、2年後のこの場所はどうなっているのか?
シンボル・ツリーは今年植えたほうがいいのか?
ヘデラと芝桜がケンカをしててどっちの肩を持ったほうがいいのか?

ムクゲのこぼれダネから3本実生が生えてしまい、おじちゃんが後生大事にポットに植えたら50センチに育ってしまった。見張っていないとどこかに植えられてしまう。おばちゃん、よろけた拍子にポットの上に倒れてムクゲの苗が折れてしまったほうがいいのか?

いろいろ花や木を植えながら、いったい私にはあとどのくらいの時間が残されているのか?今年できるだけやってしまったほうがいいのだろうか?
人はそれぞれ人生時間が決まっているが、残りの時間がどれだけ残っているのかは知らされていない。おばちゃんの場合は蓋然性が高いというか、。

手術後半年から2年の間がいちばん転移・再発の可能性が高い。
危険期間の2年は半分過ぎた。例えば、肝臓に再発したとすると膵臓転移よりも時間が稼げそうだ。膵臓と肝臓+胆管同時なら余命は半年から1年くらいか。

うちの庭を完成させるのに、長期計画でいったらいいのか、短期計画でいったらいいのか。腹に観察窓が欲しいもんだ。

動画の個人庭園・訪問編を見ていて、このバラは植えて10年とか、クレマチスが太い木になっているとか、植物が結果を出すにはそれ相応の時間が必要なのだ。花のサイクルは毎年決まっているのに。時間、時間、時間
おばちゃんの時間はあとどのくらいあるのだろう?

いつもの蛇足ーーー
数年前、おじちゃんが春用のジャケットのファスナーを生地に引っかけ無理やり引っ張ったのでファスナーが壊れてしまった。直さねばと思っていたのだが春は短いしそのままに。

毎日のように通る商店街には洋服直しの看板を掲げた個人商店があって、おじちゃんが看板を見てここなら1500円でファスナーが直せるって。

1500円というのは、材料費だけか、工賃は別かもよ。
おじちゃんは、イイヤ、1500円と書いてあるから、1500円だろう。ここにジャケットを持ち込む。
おじちゃんはジャケットを引っ張り出し、ついでに何を思ったか喪服のズボンも引っ張り出した。ウエストがゆるゆるなんだ。詰めてもらおうと思って。

おばちゃんは、私の葬式用か?と内心疑ったのだが、おじちゃんは計画性がゼロで先に気を回す質でもない。すると、おじちゃんの兄弟用か?

ジャケットとズボンを店主に渡すと、ファスナー直しは3500円と言われておじちゃんは、しばらく黙った。看板にウソあり、と思っていたに違いない。

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アイタタ、タ

総武本線 内房まわり

ベンツ切開

アメリカの税申告 経費とは~

ボトックス注射は会社の経費で落ちるか?

夕べ寝る前にジェニファー・アニストンのMurder Mystery 2を観たのでカリフォルニアの春の夢をみてしまった。春の恒例=納税申告Tax Returnの夢である。

アメリカに商売の閑散期2月8月「ニッパチ」はない。
アメリカの小売業の売れ行きが落ちて、ビジネスが暇になるのは4月9月である。税の申告は4月15日が締め切りなので、4月になるとビジネスは暇になり、我々個人事業主はわりと小ぎれいになる。

何故小ぎれいかというと、毎晩シャワーに入れるから。
繁忙期は帰宅したらバタンと寝てしまうことが多いのに、4月は早く帰れるし毎晩お風呂に入ってお肌もつやつや。化粧のノリもいい。売り上げは減るけど。やってくる営業マンなどと暇だねぇ~と言いあうのだが、小ざっぱりしてるから 余裕ありますかぁ~と聞かれたりする。

アメリカは国民皆申告制度なので、4月は誰もかれも大みそかの日本人のようにバタバタして落ち着かない。ペイロールで給料から天引きされていた税金で足りなければ、申告書類と同時に不足税金をチェックで送らないといけない。おまけに家の固定資産税・前半期があるからダブルパ~ンチ。

おばちゃんは十数年自営業だったから、少しでも払うのを少なくするためにあれこれ控除を考えるわけだ。Wells Fargo銀行がまとめてくれる1年分のクレジット・カードのリポートがありがたかった。

ビジネスの経費は小切手以外はカード支払い。買い物で使った場所までの距離をマップで調べて、交通費のマイレージを計算してた。
今年は35セント/1マイルとか発表されるので、年間の通勤距離とビジネス用のトラベル経費を出せるわけだ。この時期お昼休みには、控除deductible~控除~と検索い忙しい。

おばちゃんは黙っていると眉間の縦しわが怖いと知り合いから言われていた。
オーナーが怖い顔をしていたらビジネスにマイナスだから、ある年決意してベトナム人ドクターHo先生んとこでボトックスを射った。350ドルだった。

一応、ビジネスのためだから経費として申告することにしたが、どの項目chart of accountか悩んだ。メディカル・フィー?うちに勘定項目メディカル・フィーはない。

広告費Advertisementか?近いが違う気がする。ここはやっぱりメンテナンス・フィーだろう。支払先がドクターHoってのが引っかかるかもしれないが、うちみたいな小さなビジネスはそんなにツツキ回されることがないから大丈夫だろう。

うちの会計士スージーは税務署IRS上がりで、IRSの注意をひかないように申告書類を作れると触れ込みだった。そこそこ高かった。前年の決算書P&Lができると(ボットックス入りの)スージーにもっていって、スージーが2,3質問をして経費のバランスに特におかしいところがなければ申告書を作ってくれる。

オプションで監査Audit保険もかけた。50ドルだった。もし税務署の監査Auditが入ったとしてもおばちゃんが対応する必要は一切なく、もとIRS職員だったスージーが対応してくれる。安いじゃないか50ドル!

申告書を出した後4月5月はちょっと緊張する。
日系の北米掲示板で “ついにうちにもやってきましたIRS” などという書き込みを読むと、どきっとし、“10年に一回はスモールビジネスでも監査が入るんだよ。”という書き込みには、うちはそろそろなのか?と気が気ではなく、そういう季節にはよく日本で読んだ「じゃりン子チエ」を思い出すのだった。

チエの婆ちゃん:お好み焼き屋のおバアが税務署から追及されて、「ウソやおまへ~ん。ホンマどす」という絵面が繰り返し脳内で再生されるのだ。

この350ドルってなんだ?メンテナンス・フィーってなんだ?
顔面をちょっとメンテしました。ウソやおまへ~ン。ホンマどす~」

税務署にはツツかれず、ボトックスは無事通った。

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アメリカで起業する welcome west court mall

ブスのターニャ

パン屋クリスの受難

おばちゃん 時効の分だけ懺悔する

ガス代の攻防

今朝のニュースは電気代の高沸
九州の一般家庭で電気代が3倍になったという。増えたね、この手のニュース。

「ウクライナ侵攻から1年も経つのにまだ新興電力を使っているのか?危機感なさすぎ。馬鹿じゃねぇ?」とか言っていたら、おじちゃんが うるせえ!とチャンネルを変えてしまった。

山に引っ越してきたとき前の持ち主は東京電力だったのだが、不動産屋と一緒に来たガス屋が”キッチンのレンジを新品に取り換えしますぅ、うちは新電力と提携してますのでプロパンと電力を同時契約してもらえば、電力も安くします” つ~ことでおばちゃんは電気とプロパンの契約をした。

新電力に留意しないといけない。
発電設備も送電設備を持っていない。大手電力会社から卸値で電気を買い、ペーパー操作だけで使用者に電力を小売りする「新電力会社」がまっとうなわけがない。アメリカでも電力の自由化があったがうまくいかなかった。
黒木亮さんの「小説エンロン」は面白かった。

「電力の自由化」の標語のもとに、大手の電力会社がペーパー新電力会社に電力を卸してやる。
この時点でおかしい。利権のにおいがプンプンする。東京電力から卸しで電力を買って、それを使用者に小売りにして、東京電力より安くできるのがまたおかしい。東京電力がボリ過ぎ!ってワケでなければ、なにかカラクリがあるのだ。すべておかしいが、安い間は新電力でとりあえず契約した。

去年、ウクライナの侵攻の後に新電力会社から、“料金の上限制限を撤廃することになりました” とできるだけわかりにくい表現でお知らせが来た。おばちゃんはさっさと東京電力に契約しなおした。

プロパンガスは徐々に金額が上がってきた。ガス屋のおにいちゃんはおばちゃんより華奢で小さいので呼びつけて契約解除をすると、弱い者いじめをしているような気分になりそうで、後回しにしていたのだ。

ところが先週、家の前に車が止まると二人組が下りてきて、どうもXXガスですという。山ではあまり見たことがないガス屋だ。この先で、ガス工事がありまして、ご近所に挨拶がてらうちのうちガスの契約のご案内に来ましたという。

山のガスは100%プロパンで、都市ガスでもないのに工事なんて考えにくいが、これはガス会社の契約を切り替えるいいチャンスかもしれない。
おばちゃんは二人に、これからうちはお昼ごはんだからそこらを一回りして1時過ぎに来てといった。

お昼はなるべく早く済ませ、オンラインでプロパンガスの値段をリサーチした。山で見かけるのは4社。2つ見積もりをとって、営業に来たXXガスの値段も調べ、うちのプロパンの請求書を比較しようと見たらガス代の明細が書いてない。総請求金額だけ。

これはダメだと営業所に電話をかけ、ウチんちの基本料金と料金体系を聞く。基本料金が1800円で3段階の料金?なるほど。

今XXガスの営業が来て、基本料金が1000円とか言ってるからオタクより安いので契約を解除するかもしれないけど、解除にあたってペナルティなんかある?

1000円は安すぎて異常です。解約料については上司に聞いてきますというので、おばちゃんは2時過ぎに電話をくれと言った。

xxガス屋が1時に戻ってきたので、宿題はやっておいたから、とハナにかまして、他社2社の見積もりと今の契約している△△の料金を言った。で?お宅は?

XX社は基本料金1000円で1m3で376円だという。お宅はネットでは280円/m3とか書いてあるけど、これは異常安値だよね。呼び込みの金額でしょ?ご近所のN社は477円/m3だって。

二人のうち、元はヤンキーみたいな小太りの営業が、奥さんそれこそ呼び込みの金額ですよ。最初は本当に477円かもしれないけど徐々に上げてくんですよ。
それはお前んとこも同じじゃね?とおばちゃんは密かに思った。

現契約の△△がいくらにするかわかんないので、見積もりが出そろってお宅が安かったら電話するから。営業はあっさり帰った。食えない婆と思ったのだろう。

2時に契約中の△△ガスから電話が来て、xxの値段はおかしい。呼び込みに違いない。
ネットの書き込みで、田舎のプロパン屋はお互いの悪口をいい、客の取り合いをしているというのは事実かもしれない。

xxガスが376円というなら、うちは基本料を下げて、従量制で1m3 520円にします、値上げはしません。どうでしょう?というので、じゃあ従量制に変えて。
では、これからも契約していただけるんですか?ありがとうございます。というわけで、ガス代は来月から4分の3になる。
今までの経験で、一番安いのにするとカスをつかむ、というのが多かったから。

しかし、日本の消費者はずいぶんおっとりとしているものだ。
値上げの通知が来なかったから、高い料金を払い続けて怒ってみたり。おばちゃんには理解不能だ。

アメリカで90年代にオンライン化がまだ進んでいなかった時代だったが、口座引き落としを嫌がる人は多かった。料金のチェックをする前に、口座から勝手に金を落とされるのが嫌!という理由で。

請求書を毎月確認し、チェックを書いて支払うというスタイルに固執するのも、相手の会社の計算が間違っているときにまず支払わずに済む。サービスに不備があったとき、まず電話で文句を言って割引の交渉をする。安くなればこっちのものだ。
口座引き落としでは交渉前に引き落とされてしまう。不利。まずは、交渉だ。

さらに、相手が用意した契約書に自分に有利なことは何にも書いてない。
この場合、値上げに政府の許可がいらない新電力が契約書にどんなことを書いているか。値上げの通知が来ないからって、値上げできないわけでなし。消費者がウブすぎ。

おばちゃんも含めて日本人は交渉ごとが下手だ。
田舎育ちのおばちゃんなんか、アメリカでは最初のころ相手の言いなり放題で、あとからどんなに悔しい思いをしたことか。

日本人には交渉ごとの修業が必要だな。
タイだって、一生のうち一度は出家して僧侶として修業を積むように、日本人も海外にでて修行したほうがいいのだ。国家事業として世界193か国に全国民を留学/就業に送り出す。とりあえず3年。
修行先の国は指定できない。世界193ケ国をランダムに選んでこれまたランダムに選んだマイナンバーの国民を送り出す。

ついでに人生1度は起業して自分のビジネスを経営してみる。そうすれば、必要な人材とはなにか、企業が生き延びるにはどうすればいいか、など骨身に染みるほどわかるかもしれない。会社はお父ちゃんと違うよ。あなたを死ぬまで雇う扶養義務はないよ。税金は自分でチェックしてから払うもんだ。


労働基準法を修正する。年末調整を撤廃して皆国民確定申告にし節税に励む。
そうすれば国民全員タフになって、外資系のむこうを張って、有利な交渉ができるようになる、、、かもしれない。

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しずこころなく花の散るらん

― 願わくば桜の下にて春死なむ その如月の望月のころ - 西行

妻子を蹴たおして出家した自己中の西行らしい歌よね。
4日前の朝、買い物に下る時には、両側からかぶさっている山のソメイヨシノが1分か2部咲き。おじちゃんと、もうすぐだねぇと言い合っていたのに、買い物を終えて同じ道を登ってきた午後には、同じ桜並木が3分咲きか4分咲きになっていた。

あれま、朝より桜が開いてない?山の気温は15度を超していた。
一昨日は20度を超えて桜はあっという間に満開。急がないと。

昨日と今日は天気が崩れて雨交じりで風がある。せっかくの桜が散ってしまう。なんか貴重なものが逃げてしまう感じ。

そういえば去年の今頃は手術だった。
その後切除した胆のうからガンが見つかって、今年の桜は見られるのかどうか、おばちゃんはひそかに危ぶんだのだったが、桜は咲いた。とてもあわただしく。

「春死なむ、」の歌があるから春に死ぬのも悪くないのかも、と思っていたが、この1週間の季節のあわただしさを見て、桜のころに死ぬのは嫌だと 思った。

桜が咲くか咲かないかという頃に、敢えなくなってしまえば、残った者は親族に連絡し、病院から書類を取り、役場から埋葬証明書をとり、葬儀の準備をして本籍から謄本を取り寄せ、家庭裁判所から遺言の検認を受け、銀行を駆け回り名義変更に飛び回らねばならない。

桜?そんなもん咲いてた?
残された者は空を見る心の余裕もないかもしれない。

おぼろにかすむ満月に照らされ、ハラハラと散る桜の花びらを浴びながら風雅に死んでいるつもりなのは、西行くらいだろう。もしかしたら、最後の一杯を傾けているつもりかもしれない。
妻子は後始末に走り回っているというのに!

ああ、そうだった、西行は縋る妻子を縁側から蹴飛ばして俗世を解脱したつもりなんだった。
いい気なものだ。

俗人は最愛の人を亡くした悲しさとあわただしさと浮世の手続きに振り回されている間に、桜は葉桜になっている。
次の年の春にやっと落ち着いていて、そういえば去年はドタバタして桜が咲いているかどうかもわからなかった。あの人は最後の花見もできずに亡くなった。――と毎年毎年 湿った後悔とともに思い起こすのかもしれない。

花見くらい心おきなくさせてあげたい。
というわけで、おばちゃんは桜の季節にアエナクナルのは嫌だな。墓も作らなくていい。

司馬遼太郎が遊牧民族の風俗と墓についてどこかに書いていたのだが、遊牧民族には墓がないと。
司馬遼太郎は描写したのはウイグルかモンゴル辺だったかもしれないが、おばちゃんの脳裏ではもっと西、サウジとかクエートとかの砂漠の民の風習として編集記憶された。

偉大なる族長や一族のヒーローだったリーダーでも亡くなってしまえば、遺骸である。
彼という存在の抜け殻であって本体でない。存在はうつろうもので彼だった存在はそこにもういない。残された者はかつて彼だったものを亜麻布で巻き、砂漠に出て行って浅く穴を掘り遺骸を落として岩で抑える。

砂漠の乾燥した風で遺骸はあっという間に干からび崩れて、彼の墓は砂漠の地にもまぎれてわからなくなる。砂漠はどこを見ても同じような風景で、数年たてば墓なんか記憶にもなくなる。それでいいじゃないか。重要なのは墓でも遺骸でもないから。

さらにどうでもいい蛇足
クリスチャンが家族を亡くして、アメリカでも墓参りをする人はないわけではないが、祥月命日に仏壇にお供えをしたり、お盆に迎え火をしたり坊さんを呼んで法事をやってるわけではない。

あの世の人が金に不自由することないよう中国人は紙銭を燃すが、日本人が紙銭を燃さないからと言って、日系2世のご先祖があの世で金に不自由するわけではない。亡くした家族を悼んで精霊をながしたり空に飛ばしたり。ベトナム人が放上のために小鳥に米をまいたり、アフガンなら墓に嗅ぎたばこを供えたり(嘘ぴょ~ん)なんてことがあるだろう。

祭祀の祭り方は宗教や文化・風俗でそれぞれ。言葉のなまりみたいなものではないか。どれが真理というわけでも唯一の宇宙のルールでもない。

おばちゃんが腹が立つのは、「先祖供養をしないから祟られている、先祖の報い、」とか供養脅迫してくる宗教的押し売り。
腹が立つ。

おばちゃんは自分の家族とビジネスを守るためにユダヤ人と戦ってきた。それでも店を一歩出たら客と自分は対等と思ってる。そういうおばちゃんのご先祖が先祖を祭らないから怒ってるって?ふざけるな。

たかが50年100年先に生まれたというだけの先祖ではないか。おばちゃんが死ねば同じ土俵にあがるぞ。おばちゃんは自分のためだけでなく戦ってきたが、供養をせよというあんたはいったい何のためにどんな風に戦ってきたのか?

子孫の供養なんてあてにするな。自分のしくじりを子孫に償わせようなんて不逞な野郎だ。自分の失敗は自分でもう一度生まれ変わって自分で償え、バカタレ。と言うね。

父も同じような性格だったからよく言った、というかもしれん。でも、おばちゃんのご先祖様たちは、子孫にこれこれの供養をせよ、と要求するような先祖は、多分いないと思う。

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移住への道

アイ子ちゃんから電話がかかってきた。

ねぇ、聞いて。
カリフォルニアで知り合いの夫婦が、早期退職して日本に2~3年住むつもりで移住してきたそうである。驚いたことには、このアイ子ちゃんの知り合いの女友達は日本のアパートがすぐ借りられると思って、ホテルは1週間しかとっていなかったそうだ。

旦那は日系の3世。アメリカ人だな。
ところが日本人である彼女と不動産屋を回っても、アパートが借りられなかった、ホテルは出ないといけないし、いったいどうしたらいいのかしら?――とアイ子ちゃんにお助けコールが来た。

20代で金貸しと不動産業を営んでいた越後屋・アイ子さんは、ホテルはもう2週間予約したら?日本に親せきが残っていたら、保証人になってもらえばいいね。とアドバイスしたそうだが、。

したらば知人は、日本に甥がいることはいるが彼に面倒はかけたくないと。

~~あはは、よくわかる心情でございます。自分の力で解決したいのですよね。おばちゃんもそうだ。

ではアイ子ちゃんは保証人協会を教えてあげたそうである。
保証人協会でもアメリカ人と日本にいなかった日本人では、信用度が無いのでたぶん保証人は必要だろうと思うが、。彼女たちがどこまで理解しているかどうかはよくわからない。

越後屋さんと二人で、彼らがこれから遭遇する困難をひとつづつリストした。日本で”あるある”を克服してこそ日本に定住できるのだし、突破することで達成感があがってリタイア生活も充実するかもしれないね。

しかしなぁ、生まれた国といえども、よその国に引っ越した時にはそれなりの定住手続きというものがあるのに、奥さんはアメリカに定住するときの面倒を忘れてしまったんかいのぅ?
とおばちゃんが言うと、アイ子ちゃんが、
ご主人が日系だから彼がやってしまったんじゃない?といった。なるほど、そうかもしれない。

日本人の勤め人が米国に移住するときには、一番大きな関所がビザ。
これは会社がやる。移動した後は、日本の企業の駐在の場合なら、会社の先輩がアパートの手配とユティリティ・サービスのスタートの電話、
SS OfficeでSSナンバーの申請、DMVで免許証の申請、、、なんかをいろいろ面倒見てくれるわけ。

おじちゃんの会社はスタートアップだったので、誰一人先住者や先輩がいなかったから現地のコーディネターのアドバイスで、自分で手続きをやった。
よその国に移住をするときは、定住のための勘所が必ずあるのである。

金をどれだけ持参したとしても金だけあったとしてもどうにもならないこともある。クレジットヒストリー・社会的信用が存在しないから。


おばちゃんの知り合いでは40年日本を留守にして、70前に日本に帰国してから、ローンで家を買おうとした老夫婦がいた。
無理だって!日本じゃ60過ぎにローンは組めません。クレジットカードが取れないとかETCが取れないって不満をもらしてました。銀行口座にはたっぷり預金があるのにね。おばちゃんが楽天とYahooならカードがすぐ取れますよと教えた。

日本でいえば、
日本の勘所は住民票。次に銀行口座。日本発行のクレジット・カード。日本の番号の携帯電話。これが重要だが、現役で収入のある保証人用の親族を一人。
このへんを抑えておけばいい。アメリカ発行のクレジット・カードを持ってきても、日本の携帯電話は契約できないのであるよ。

さらにいくら自分の力ですべてやってしまいたいと思っても、日本の医療施設では入院・手術には「保証人!保証人!」と非常にうるさいのである。

去年の胆のう切除の入院時には、誓約書に保証人欄があったので厄介だと思った。
保証人にサインをもらっておかないと、日本の病院は食い逃げならぬ、手術逃げがあるとか用心しているのであろうか?

帰国してから一度しか会っていないおじちゃんの甥の名前を借りるのがものすご~く嫌だった。たかが胆石で4~5日しか入院しないのに。

そこでおばちゃんは、病院のカウンター内で働く年齢が高いちょっと偉そうなおばさんを捕まえてダメもとで言ってみた。

私は胆石で切るだけだし、高額医療限度額証を持っているから、入院費用は片手で済むはず。保証人をつける必要があるんですかね?何なら、今この場で入院治療費を前払いをしてもいいですけど?

偉そうなおばちゃんは、ちらっと手術名をみて、そうね、いらないわね。と断言したので保証人欄は記入せずに済んだ。
ガンの拡大手術の場合は、何日で退院できるかわからなかったから甥の名前を貸してもらった。病院のシステムにチャレンジするのは時間の無駄だから。

アイ子ちゃんのキャッチフレーズは相手が変わるのを待つよりは自分を変えたほうが早い

アイ子ちゃんも私も多分どの国でも生きていけるかもしれない。

蛇足:
アイ子ちゃんが持っていた物件の入居審査の最低条件は、同じ企業に勤続最低5年だそうだ。不況の時などは条件を下げたんだっけ?
そう、家賃は周りの物件の金額を調べて2~3千円安くする。空き室が出るよりまし。大不況の時は生活保護を入居させた。
えっ~~~。越後屋さん、またずいぶん条件を下げましたな。
生活保護費の出る次の日に家賃の引き落設定して取りはぐれのないようにしてた。
越後屋さん、まいりました。

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アイ子ちゃんはまだ日本でスキーをやっている。3月いっぱいまでいるそうだ。
今年はカリフォルニアもまた異常気象で、南加に雨がザーザー降り、、3月にかぁ?
サンディエゴには雪がちらついた。まさか?子供はさぞかし喜んだろう。

アイ子ちゃんの属するスキークラブからは4月のマンモス・スキー場ツアーの募集お知らせがメールで来たという。マンモスが?4月に?カリフォルニアだぜ?
ところが今年マンモス・スキー場ではどかどか雪が降っているのだという。まさに異常。

おばちゃんは、ではいまLAの気温は何度なんだ?とアイフォンをタップしたら、
登録していたはずの都市LAが見当たらない、そうだった機種を変更したので新しい携帯にはLAは登録されていないんだ。

登録しようとして、「ロスアンジェルス」と打ち込んでも街頭の都市が見つかりません、という。
そんな馬鹿な?
Los Angelesはロス・アンジェルスだろう?二文字だったっけ?二文字で打つ。出てこない。
はて?しばらく考えてロス・アンゼルスか?該当なし。
わかんない。
ブラウザーに”Los Angeles日本語”と叩き込んだら、「ロサンジェルス」と返ってきた。そうだっけ?Losの sはどこへ行った?

かつて編集に携わったカリフォルニアの県人会会報で2世幹事のテリーさんの言葉がフラッシュバックする。
おばちゃんが「〇月x日のガレージ・セールは盛況で、、」とかの記事を書いていたら
それを読んだテリーさんが、
だから日本人の英語はダメなんだ。Garage はグァラージだろう、ちゃんとグァラージと書きなさい、、。

2世のテリーさんに日本の文部省、外来語の表記ルールを説明したところで納得していただけたと思わない。自分が発音している音と関係ない音の表記を書かれたら、そりゃ納得はできないだろう。ただ、文化的に定着してしまった表記というのはもう修正が効かないのだわ。歴史は変えられないから。

英語の日本語表記というのは音声的に正しくない時があるのに、日本語の間違った表記法を丸ごと覚えない限り日本語として通用しない。新しい言葉を日本語に紹介したその初動に誤表記を記憶されてしまったら修正が効かないのね。つまり、初動が大事

Costcoがどうしてコストコになった?
発音しない無声音“T”って中学校の授業でやったろ?
日本全国の英語教師は、Costcoという単語は、無清音“T”を学ぶまたとない機会だったのに。教師ですらコストコなんて言ってたら日本語がますますめちゃくちゃになるばっかり。

おばちゃん、日本に帰ってから道路の看板を読むのが異常に遅くなった。
もう、アルファベットを一文字一文字読んでいく感じである。カリフォルニアの道路を走っている時なら、道路標示も一瞥で読めたものが、日本のアルファベットの看板は異様に読むのに時間がかかる。そして読むのに疲れる。何故だ?

日本のテレビや街や看板の表示はアルファベット表示が多いのに、その半分は実は英語ではない。最後まで読むと日本語のなのだ。英語の看板だと思って読むと日本語だとわかる。最後の最後の文字まで読まないとわからない。だからものすごく時間がかかる。

たこ焼きをTakoyakiと書いたところでこじゃれた食べ物に変化するわけでなし。読むのがつらい、何とかしてほしい。


Ameplaってなに英語なの?LiBaeって?フレンチ?iDecoってアイ・デコとしか読めないし、DeNaはディーナ。英語でも日本語でもない単語が多すぎる
取り返しがつかなくなる前に日本語に規制をかけてくんないかしら。日本語は漢字表記にするとか、英語をいれるならすべて英語だけの表示にするとか。

美しい日本語を無理やり外来語風にアルファベットにする必要はないではないか。漢字なら視認性高く一目で読めるし文化と伝統の継承ができるし。
日本語のアルファベットと英語とカタカナが入り混じると、もう判読にストレスがかかりすぎよ。
もう一度、Costcoコ・ス・コよ!無声音の“T“よ

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2月はローザンヌ

税金やら確定申告でころっと忘れていた。2月はローザンヌの季節であった。

ローザンヌといえばバレーである。毎年Utubeでファイナルを見るのが楽しみ。日本人は技術が高いので常に出場しているが、今年はあっと驚くことが起こった。

まさか、まさか、おばちゃんは目の錯覚かと思って巻き戻して見てしまった。
見間違いではなく、しっかり転んでいた。素早く立ち上がり最後まで踊り切ったのでオーディエンスの拍手は応援するようにかえって大きかった。彼女は下手な子ではなかったので残念だったが。

そのあと今度は男子が滑った。着地でスパンと滑って立ち上がったものの、前者の彼女とは違って顔は引きつっていた。まさか日本人演者が二人も滑るなんて。

最後はスウェーデンの男の子が転んで3人目。彼の後半はジャンプもおざなりでメタメタであった。気の毒に。

こんなことがあるのかしら、一つの大会で3人も滑るってのは初めて見た。
今年の大会は女子より男子のほうが見ごたえがあったように思う。

ポルトガル?Pedro君とかは力強くスピードよく海と真珠?をセクシーに踊ったし、ジゼルのを踊ったニュージーランドのアルバート王子は踊りが柔らかかった。どこにも力が入っていないように見えるのに、ふんわりと宙にジャンプしふんわりと優雅に旋回する。何かの賞をとってもよかったはず。

反対に、グラン・パ・クラッシックを踊った米国の娘は、見せ場のデベロップの後半は回転が追い付かず、曲に遅れそうで大変なのがまるわかりだったのに賞を取った。コンテンポラリー部門の出来が良かったのだろうか?おばちゃんは買わないなあ。

和田アキ子みたいなおっさんが中に住んでいるワタシが、何故バレーなんか好きなのかというと、一つは幼稚園の時にお習いしたのだ。

発表会に白のチュチュと白のタイツをはかされて、いたく衣装が気に入ってしまったおばちゃんは脱ぎたくないと一晩泣いたのである。衣装は好きだったのにどうして続けられなかったかというと、体がガンダムのように硬かったから。

足を開こうが閉じていようがおばちゃんの体はどの方向にも曲がらず、固すぎて練習の段階で嫌になったのだった。

忘れてしまっていた チュチュへの思いは、昭和のバレー漫画のブームで息を吹き返し、アメリカでバレー公演を見られて復活した。我々の定休日は平日で週末に休みが取れなかったから、見られる公演は年末のナッツ・クラッカーだった。


12月のうす暗闇の中、カジュアル一遍なカリフォルニアで、見るからに良家の子女がおしゃれをしてシアターに集まってくる。客席で案内からプログラムを受け取り静かな会話がさざめく中、幕が上がる。

頭が小さく金髪をお団子にした足の長~いバレリーナが、透き通るシアーをかさねてレースやおリボンもついた衣装を身にまとって、ピルエットでくるくる旋回する。シアーのスカートがふんわりと広がってサラサラと重なる。 嫌がっていたおじちゃんもバレーの魔術にとらわれてしまってうっとりとする。

しか~し、チケットは高い!
ロシアンバレーなんか、ラスベガスの超人気ショウより高い。Utubeに公式ローザンヌの動画が上がるようになって、おばちゃんは喜んだ。もともとものぐさで出不精だったから。
いい時代になった。

すべては春から始まる

バイトの事業所は来週にプレオープンらしい。

らしい?って言うのは、人手不足のうえに事業所のリノベーションで新規開店と同じ状況だから。マネージャーやらがてんてこ舞いで、それなのに会社上部はオープニングセレモニィを勝手に予定して現場が間に合わないので、細かい予定をパートまで知らせる余裕がとことん無いせい~。

おじちゃんもおばちゃんも初出社がいつかまだわからない~~。とにかく人手を確保するのがまず第一で、年齢もへったくれもあるもんか、既往症があっても生きてるなら働いて!というスタンスなので、おばちゃんも経過観察の割には首尾よくカムバックである。週一だし。
とりあえず週一はおじちゃんが居ないところで働ける。新鮮でうれしい。

気温は下がったり上がったり。円ドルみたいだ。
庭に黒い土が見えると落ち着かない。もっとお花を~~!
その辺の園芸店をさらにせっせと回りまた5ケースほど仕入れてきた。デルフィニウムは涼しい気候なら宿根草らしいのだが、現在の日本では夏が熱すぎて年が越せない。残念だが毎年毎年植えねばならない。
宿根ネメシアも5株に2株くらいしか根を下ろしてくれず、だから毎年しつこく宿根ネメシアを植える。

今年は種も蒔いた。
おばちゃんは初心者であったから園芸店で種を買っては裏の蒔き方もよく読まず、土を掘っては適当にバラまき、強い種ならきっと生えて咲くはず、私は間違ってない。と思ってた。
大いに間違いであった。

蒔いた種はほとんど生えてこず、根性なしが、、とひ弱な種を馬鹿にしていたのであったが、あまりにも生えてこないので、ある時、袋の後ろをよく読んでみた。

今まで思ってもいなかった種の蒔き方が書いてあった。
何やら種を蒔いた容器ごと水に浸せ、土はかぶせるな、と不思議なことが書いてあてあった。たまたま園芸店で2重底になった種まき容器を見つけて買い込み、試しに園芸土を入れてみてまず土にびっくりした。

容器が小さいので、土をいれたら小枝やら繊維やらが山ほど混じっており、なんじゃぁこれは!これではいかん、と土ふるいで土をふるったら、3分の1は枝やら茎やら小石だった。今までおばちゃんはこんな園芸土を袋から寄せ植え用のポットや段々庭に補充していたのか、、、!ショックである。

それから細かくふるった軽やかな春の雪のような土を種まき用容器に満たして、さあ、ここに種をまきましょう。種の中には土で覆われたらイヤンという種があるのである。植物のくせに正気かぁ?
ペンステモンとか、リナリアとか。風が吹いたらどうすんねん?
だから容器には蓋がついているのであった。

こんな手順で種を蒔いてみると、花の種とはいかにデリケートなものか。
小学校の時に理科の観察で蒔いた朝顔とか、食べた後にぶん投げておくと芽が出てくるアボカドとかとは違って、デリケートなお花には、デリケートな土と容器と播種が必要なのであった。

容器はそれほどたくさん買わなかったので、カーペット・ビオラという種が残った。容器もなくなったし、カーペットというくらいなので直播をしてみよう。去年土を入れ替えた段々の一番下に蒔いてみた。袋をガーデンピックとして土に立てておく。それが2週間前。

今日の午後からは集めた苗の植え付け。今日は18度もあったのである。
デルフィニウムを植えて、ジキタリスとカンパニュラを植え終わって、球根類のカバーであるバコパを植えようと段々庭の一番下に行ったらば、そこでもそもそと動いていたおじちゃん。

あんた、また皇帝ダリアを掘り返したのか?
だって、ここ水はけが悪いから、イモ類が腐っちゃうから。

んで、一つ200円でセールだったユリと売れ残りのダリアが植わっていたのだが、カーペット・ビオラの袋がごみとしてぶん投げてある。

あんた、なんでこのビオラの袋を捨てんのよ。
なんでって?ここの土を入れ替えたから。
そばに園芸土の袋が捨ててある。

入れ替えた~? ビオラの種をまいてあったのに?!
ビオラ?そんなものはなかった。
ないはずがない。蒔いたんだから。
何もなかったよ。
っったく。いつもこれだ。

花が咲いてない限り、おじちゃんはみんな雑草にしか見えない。
2本の沈丁花は満開である。2年前に植えた姫こぶしもお隣より早く咲いた。
おじちゃんが百日紅の下に移してしまったエニシダはまだつぼみも緑だ。もしおばちゃんのガンが再発して死んだら、骨は粉骨にして役所には内緒で百日紅の下深くに埋めてほしいなぁ。庭の真ん中で日当たりがいいから。

クロッカスは終わりかけである。エリゲロンはこれから伸びる。うちの子になったリナリアはまだ5センチ。
はよ、大きくなれ。せっかちなおばちゃんは4月が待ち遠しくてならない。

米国年金生活者のリタイア生活

懐がちょっと暖かくなったら猫の紫音がまた調子を崩した。
テン・ジュニアをワクチン接種につれていったら、一人で留守番をさせられた紫音がショックだったみたいでその日からひどい下痢。

次の日には紫音をクリニックに連れて行き、腸内に悪玉菌が繁殖してるそうであった。ストレスが原因らしい。下痢止めと整腸剤を処方されてヤレヤレと思ったら、今度はテンが下痢をし始めた。またクリニックである。用心のために詩音をお留守番させず別のキャリアで連れて行った。

獣医さんは、テンちゃんに移りましたかね?と言ってテンにも整腸剤を処方された。ここ1か月クリニックの常連さんである。検便、点滴、注射、薬に時間外診察料で何枚も飛んで行った。

おじちゃんは毎月振り込まれる米国年金にやっと心を許したか、ATMで頻繁にキャッシュを下す。カードより現金のほうが使用感が嬉しいらしい。

テンは4か月を迎えてやっと1.4kg ここのところの下痢続きで体重増加が停滞している。サイズは普通の猫の2か月サイズ。大きく元気に育ってくれるかしらん。

就職のための健康診断は自費だった。これって普通なの?
心電図まで入ってて夫婦二人分。次の日は車検でまたごそっと出て行った。

寒さが緩んで灯油代は少なくなったが、今年は去年の倍ほど暖房費がかかっている。参考までに灯油代はリッター100円前後で12月1月はそれぞれ3.5万ほど。5日に一度2缶から3缶を補給する感じ。山地は冷えるんだ。子猫に寒い思いをさせられないからね。

そのうえ、テンの毛布やマットの熱湯消毒や洗濯でまた盛大にガスと電気を使った。楽天カードの3月の支払いは平常の2倍だ!2倍! これから暖かくなっていくのがうれしい。

庭に植え付けるお花は春先が一番費用が掛かる。
苗、種、肥料、園芸土、DIY用素材にペイント。家の前を散歩するご近所さんのために寄せ植えを植え替える。楽しんでいただけると嬉しい。

リタイヤ後に全く予定が入っていないと曜日を忘れてしまうのよ。これはホント。
まいにち日曜日だから。
何かに追われることもなければ、せかされているわけでもない日々は穏やかである。幸せだと思う。

9時20分に出勤して確実に利益を出して従業員に給料を払い、税金を払い、ローンを払うプレッシャーを二度と味わなくてよくて幸せ。

声を出しても隣のうちに聞こえる距離でない山で、自家製の大根とブロッコリーを収穫して、気が付いたらできているシイタケを薄切りに汁にいれる幸せ。
2匹の猫が家じゅう追っかけっこをして平和に日向ぼっこしながらお互いを舐めあう。
リタイアして田舎暮らしの夢がかなって幸せ。

お庭を宿根草が咲き乱れるお庭にしたいのよ。
ガウラをメインストリートの両側に茂らせ、ピンクのダーラがレンガの上に咲きこぼれる。ブルーセクションはデルフィニュームとペンステモンを咲かせたい。雨が降ったらブログを書いて、プログラミングの勉強を始めたい。

2週間前の血液検査はがんマーカーはCEAとCA-19ともに陰性だった。
ビルビリンの値も正常。コレステロールも正常値に下がったのを確認したら、主治医がもう一枚の検査コピーを出してきた。

Dupan  
Span と書いてある。
この二つのがんマーカーは結果が出るのに時間がかかるので、前回3か月前のものです。
ほ~ん?!
二つとも数値は正常値に収まっているようである。消化器系のがんマーカーによく使われるCEAとCA-19は100%確実ではなく、陰性でも再発例があるようだ。
こんな隠し玉がまだあったのか。毎回がんマーカーを4つもチェックするのか?!胆のうがん、油断がならんのう。

おばちゃんも少しは欲が出てきた。
年金は振り込みされるようになった。ガウラの小道はまだ完成していない。テンもまだ小さい。おじちゃんの血糖値も高めなのでいい病院を見つけねばならない。幸せな生活をもう少し楽しみたいと、人差し指と中指をそっと重ねるのだった。

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おかげさまで米国年金は順調に振り込まれている。

3月の為替レートは135円後半だったのでcitybankがいくら手数料を抜いているか知らないが、2月よりドルが5円上がり、値上がり分で猫たちのチュールが買える。

そういえば、おばちゃんは65歳になるので日本年金機構から申請手続きが来るはず、、、が全然お目にかからない。高校の同級生は誕生月の3か月前に受け取ったよ?と言われてうむ~とうなった。年金事務所から忘れられているのかもしれない。

老齢基礎年金はもともとほとんどないのだ、日本での勤めよりアメリカのほうが長かったので。それでも赴任した最初の3年間は年一回、夫婦二人分の国民年金を日本の銀行に送金していたのだ。7年目に永住権が取れた後は送金をやめた。

ところが母が気をまわしてさらに何年か支払っていたようである。アメリカで永住するという宣言を本気にしていなかったのかもしれない。あるいは払っていれば帰ってくると思ったのかもしれないが。
母がどう思っていたのかはもうわからない。もし返事ができるなら、きっと金を返せと言いそうな気がする。ごめんよ~。でも相続は放棄したから。

シリコン・バレーの銀行が破綻して、バイデンが素早く預金者を保護すると声明を出した。英断だった。円ドル・レートは一時期激しく動き、132円まで進んだ。

あ~らまぁ。年金の振り込み日じゃなくてよかったわ。
おばちゃんが生きている限り、人生上がったり下がったりが不可避のようだ。日銀新総裁の交代が近づいているので、またひとしきり動くのだろう。

そうしたら日本の年金事務所から年金申請用紙が届いたので返送した。金魚の餌代くらい呉れるかもしれない。

冬の間はカレンダーが真っ白だったのに、今週は予定が4日も詰まっている。おじちゃんがカレンダーを見てなんだか面倒くさくなったなという。

なぜなら、たった週1のバイトなのに、履歴書を提出して面接して、会社のフォームで健康診断を取れ。オリエンテーションで会社には今週の金曜に出社などと予定が並んでしまった。

たかが週一。おばちゃんが去年までバイトしてた会社なのに、入社手続きを再度せよってか。
健康診断に行って(自費おまけに夫婦二人分)次の日は車検で、さらに次の日は眼底検診の予定があって、金曜日が会社の研修だ。いや~ん。

遊びに行く日がない。
リタイヤ生活に慣れすぎたのかもしれない。
カリフォルニアの東洋美術は非常に限られたものだったので、おばちゃんたちは帰国したら上野の東洋美術館に行きたいねと言い合っていた。
いい焼き物が見たい。美術館の静かな空間は豊かな時間だ。来週は上野の桜が見ごろかもしれない。

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