園芸素人が6年目を語る

長文ですーーー

おばちゃんが美しい5月の今日に、記事をしばらくぶりでアップする理由は、庭仕事が好きな人にはぴんと来ると思う。
雨だからで・す。

そうなんです。雨で明日も雨で庭に触れません。五月は1度しかないのに。
去年の今頃は手術が終わって退院したばかりかなぁ。今年はリベンジのために毎日お庭に出ずっぱり~のつもりだったのに。雨!
明後日にならないと雨がやまないらしい。つまらない。

ただ、ここんとこあちこち体に支障が出てるので2日くらい休養もいいかな。
右手首がすごく痛くて手箕を持とうとすると痛みが走る。ハサミの使い過ぎだろうか?毎日花柄を切ったり、グラスを切ったり、切りすぎ?
昨日は右耳の後ろがズキズキと痛くて、吐き気もしたので昼食を飛ばした。Advilの片頭痛用も効かなかったので、夕食後におじちゃんにマッサージをしてもらったら左の肩が特に凝っていたようだった。

園芸動画では、終わりかけの芝サクラは花柄を切ったほうが次の年きれいに咲くというので、バリカンでやれば一気に終わってしまうから、夜なべにシュルシュルとお婆が研いだ花切狭でサクサクと芝サクラを切ったね。

汚い花びらを残すよりハサミで切り落とすとすっきりする。冬の間、コタツ寝たきり老人で動かなかったのに、いきなり朝から晩まで好きに手や足を動かしたので体が悲鳴を上げたのかもしれない。


園芸はN〇KよりUtube
動画は勉強になる。
6年前、山の家を買うまでは雑草一本抜いたことがなくて、宿根草も1年草の違いも知らずに、花というのは咲けば種をつけて次の年にまた出てくるものだと思っていた。
それは大いに間違いだったのだが、勉強になると思った日曜日の朝のN〇K―趣味の園芸を毎週5年間見てもちっとも勉強にならなかった。N〇Kの番組はどうしてあんなに退屈なのだろう。

園芸王子の三上君はかわいかったが、彼から覚えたのは「植えるときは3角形」だけ。
おじちゃんはそれすら覚えず、ユリとチューリップを植えるときはいまだに碁盤の目だ。きっとかわいい三上君に嫉妬を覚えていたためだろう。

おばちゃんはコンピューター・オタクだったのに、Utubeの動画は苦手だった。
せっかちだからだ。

文字であれば要点だけを抑えてあっという間に情報をとれるのに、動画ときたら本題に入る前ダラダラと前振り。要点がどこから始まるかわからず、イライラして見てられないのよ。
30分の動画があっても重要な情報・画像は3分くらいだったりする。ちがうか?

それでも見る価値がある動画はあったわけで、おばちゃんは庭から引き揚げて記事を書いていた時間のかわりに、ずっぷし園芸動画にはまるようになった。
土の選び方とか、差し芽の仕方とか、たい肥のやり方とか。

個人庭拝見!なんて思いもかけなかったものも発見。
個人の庭だから何が出てくるかわかんないから。120年経ったサイロが庭に2塔あるとか、川が流れているとか。バラが屋根まで覆いつくそうとしているとか。うむ~、深い。

ブームと本物
日本というのは流行があれば日本全部が染まってしまう。
憧れの木がブームになると、園芸屋さんではブルーベリーの苗とオリーブとオーストラリアの樹木でいっぱいになってしまう。

おばちゃんはカサカサの元砂漠の州から帰ってきたから、今更オーストラリアの樹木を見てもこれは乾燥した土地に合う木だから、雨の多い伊豆にはそぐわないと思う。ブルーベリーには苦い思い出があるので育てたくない。日本で育てるブルーベリーはあまり大きくもなく甘くないし。

オリーブの木は乾燥しているカリフォルニアには気候も合ったのだが、ショッピング・モールのオーナーは、リモデルの後植えられた駐車場のオリーブの木を見てIt’s not enough fancyといいやがって、オリーブは全部引っこ抜かせた。

代わりにマグノリア(風と共に去りぬかよ)で陰鬱な黒い葉っぱだけの木が植えられた。
正面にはCherry Treeなら素敵というので、どんな木かと期待したら馬酔木だった。
なんだこれ。Marina Del Reyのヨットハーバーのロット付きの豪邸に住む現役の弁護士で、モールのオーナーにはオリーブの木より馬酔木がおしゃれだったのさ。

んで、憧れというのは人それぞれ違うもの、だが日本の気候風土を考えず憧れを植えてしまうのは感心しない。だって、似合わないもの、周囲に。

家の反対側にはエノコログサやスカンポやススキが生えてんのよ。道の向こう側は日本よ。
自分の庭だけイギリスやオーストラリアにしてもね。

正直、カリフォルニアの植物相は美しいとは思えなかった。州の州木はJoshua Treeで15号線の砂漠で見たけど、禿げかけの病気のサボテンかよって。

カリフォルニアの日系テレビではあるCMがあった。
「あなたの中の日本が不足してませんか」っ~の。


このCMを聞くと、そういえばしばらく日本食を食べてないけど明日のランチはお蕎麦を食べに行くか、とか、xx Gardenに和風庭園があったから久しぶりに行ってみるわけだ。

すると、妙にピンクが濃い桜があったり、日本灯篭が白っぽくカピカピで、これまたヒネこびた松のそばに建ってたりするわけ。盆栽を並べている有名庭園もあったのだが、20鉢ばかり並んだ松柏の盆栽は正視に堪えなかった。あまりにも過酷なカリフォルニアの直射日光にさらされて化石みたいに見えた。カリフォルニアに盆栽は似合わないよ。乾燥しすぎているから。

日本の梅の木はカリフォルニアに植えると、実はうす甘くなってしまう。梅よりPlumになってしまうのよ。梅干しにはもうできず梅酒にするしかない。

形だけ物を別の国に持ってきても風土気候に合わない。そこには薄まった日本や偽物の日本があるだけ。CMが言う“薄まった日本”になっても、偽物の日本はいっそ見ないほうがまし。

イギリス人のポール・スミザーが清里に作った「萌え木の村」の植栽は地元の植物で作られているという。バラも日本の野バラの子孫のようだ。だから周囲の山や自然と乖離していないし気候に合っているので病気にもならないらしい。すごい人だね、一度行ってみたい。

日本の庭好きがコッツウォルズの壁を作ったり英国のオールドローズを植えたり、パーゴラを作ったり、そこに英国(日本人が思うところの)を再現しようと思うわけ。

おばちゃんは日本人の熱意と執念で、これでもかぁとイギリスを再現しようというその熱意に胸が詰まってしまう。
ただ、イギリス人がそんな庭園を訪ねたら、“ちょっと違う“と思うのではないか。
まず、空が違う。空気が違う。芝生が違う。
レンガの壁と英国製手作りの鉢を飾っても亜熱帯の日本の空気は湿って重たいと思う。

じゃあ、日本ではどんな草木がいいのさ?
といってもおばちゃんは園芸素人なので、日本の園芸店で売っている草木のどれが日本の気候から生まれた日本種なのかわからない。デルフィニウムが青がきれいだから毎年植えたいし、アカンサス・モリスはその堂々たる花をみてひとめぼれした。

ただ、おばちゃんはカサカサ乾燥育ちのカリフォルニア人が日本の何(本物)に反応するかはわかる気がする。それは雨上がりのしっとりした苔だったりシダだったり。湿気が多い日本の空気だからこそ育つ植物。

おばちゃんも、家を買って庭を発掘した後、先代のおばちゃんが築いた溶岩石に苔がついているのを見て狂喜した。これこそ日本よと思う。しっとりとした雨と黒い土。
これから梅雨で苔はますます美しくなる。隣はヒノキの林なので、細かいヒノキの落ち葉が入り込んだりすると苔が痛むから、ダイソーで買った洋服ブラシで苔についた落ち葉を払い、大事に大事に育てていくの。

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●梅は海外で育つとプラム(Plum)になる

文化のはざま

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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