ロースト・ビーフ

胆のうを切除しちゃったから油ものを食べて七転八倒ということはもうない。ありがたい。
バターやクリーム、牛肉を我慢していたのでたまにはがっつり肉をたべたいと書いたのだが、日本の肉は高い!

薄切りではないです!って8ミリくらいの厚さのステーキ肉を売っているが、フライパンで上下を返したら確実にウエルダンになってしまう薄さ。これはステーキとは言いってはいけない。

近くの肉料理が人気のレストランがあるのだが、ランチにお勧めのロースト・ビーフ丼をオーダーしてみた。
日本の皆様には怒られるかもしれない。が、ご飯の上に上っていたのはロースト・ビーフではなくて“肉のたたき”であった。
直径7~8センチくらいの牛肉の周りを焼き付けて、薄切りにしたもの。火が通っているのは外輪せいぜい1,5センチで真ん中はほとんど生肉に近い。

いっそ自分で焼こうかと思ってもスーパーに塊の牛肉がない。
ロースト・ビーフとして焼こうと思ったら最低2キロ/4Lbはいる。スーパーの肉売り場でパックされているのはレストランよりさらに細い直径4~5センチの牛肉である。これではローストビーフは作れない。オーブンで焼いても中心はピンクにするには外は固くなりすぎ。だから肉のたたき風にするしかないのだろう。

アメリカではステーキ用肉と塊ばっかりで、すき焼きとしゃぶしゃぶ用の薄切りを探し回るという苦労があった。ならいっそ塊なら塊を料理するしかないじゃん。
というわけでサンクスギビングやクリスマスにはローストビーフを焼いていた。涼しい気候のほうがローストビーフは合うね。

ローストビーフを作るためには3日かかる。
まず2キロ以上の柔らかそうな牛肉を買う。
塩とガーリックパウダーと黒コショウをまんべんなくまぶす。
ペティナイフであっちこっち突き刺して、スライスした生のガーリックを差し込む。
特大のジップバッグに入れてオリーブオイルをたらたらと流し込む。
ついでに“美味しくなぁれ!”と両手で袋ごともみもみする。ジップバッグの空気を抜いて閉じて
そのまま冷蔵庫で一晩寝かす。

次の日に冷蔵庫から肉を取り出し室温になるまでカウンターに置いておく。
高温で焼くのと低温で焼くのと2通りあるのだが、おばちゃんはいつも高温だった。
手をかけるならフライパンで肉を転がして焼き目を付けてからオーブンに入れてもいいが
そのままオーブンの中段に入れてもさほど結果は変わらない気がした。

焼く時間は1パウンドにつき20分。これはきっちり守った方がいい。
オーブンによっては上火がきつかったりするからその時は白菜かキャベツの葉っぱを一枚のせる。2キロなら1時間20分でオーブンから出す。
粗熱が取れるまでキッチンカウンターに置いて触らない。

焼いた晩に切っちゃったら美味しくない。
ロースト・ビーフは一晩寝かさないとうまさが出ないのだ。
その日に肉を食べるならステーキを焼いたほうがいいよ。
カウンターの塊の肉を見ながらぐっと我慢する。
そして、できれば肉の周りをアルミ箔でぐるりとくるんでキッチンカウンターに置いておく。冷蔵庫は脂が固まり冷えすぎるからよくない。だから涼しい季節に作る方がいいのだね。

3日目の昼か夜はいよいよローストビーフを食べるとき。
オーブンから出したときに肉から出た肉汁は取っておいて、トマトペーストを入れたりしょうゆを足したりしてグレービーを作っておく。

分厚くスライスするより薄切りにして口の中で肉がほどけ、肉のうまみとミルクの味を楽しむのが好き。
肉を一晩おくことで初めて肉のうまみが出てくるのだ。焼いたその日は切っちゃダメ。

おじちゃんは罰当たりで、一応口をつけるが次の日のサンドイッチの方がよく食べる。
シーザース・パレスのブッフェは何度もお代わりするので、Ralphsで買ったランクなしもも肉と私の料理では今一ということかい?

ただ、ブキャナンは7~8キロありそうなA5ランクの飛び切りの肉をローストしているのだが、ホリデーシーズンであまりに客が多すぎると、一晩おいた肉なんかあっという間になくなってしまい、オーブンから出した熱いローストをスライスして出すことがあ。もったいないなと思う。
これだけの肉なんだから一晩寝かせればどれだけ美味しいか、と言いつつ完食したりして。

競輪選手の太ももくらいある適度に脂がのった柔らかいロースト。
ディナー皿より大きそうなスライスは周りはこげ茶で中心にいくにしたがってバラ色のピンク。Ralphsと違ってどこにも筋がないお肉はふわ~と口の中でとろけていく。

この辺地方ならお肉屋にロースト用特注ということになるのかしら。一体いくらかかるのさ。でなければCostcoまで高速で飛ばして1時間40分。肉が買えてもうちのアイリスオーヤマのオーブンは小さすぎる。丸のチキンで2時間かかったりするから。

日本は何でも美味しいけど、”塊の料理”は海外のほうが得意だ。

夏はまだまだ

ラップトップで使っていたヘッドセットが壊れたので沼津まで買いに行ったら、ダッシュボードの温度計が40度を示した。

おおぉ!
外に出ればラスベガスほどの凶悪な暑さではないが、全身の毛穴が塞がれるような湿った空気。

山はたしかに気温がもっと低いがスープのような湿度があるので、外にでて庭を見回るだけでずぶぬれになる。
おじちゃんなんか、午前中で汗まみれ。午後でまた汗まみれで野良着をすっぽり変えるので洗濯物がたまってしょうがない。
お隣は誰も来ないので草がぼうぼうになりかけているが、気候にうんざりしてしかもだるいのでおばちゃんはここ1週間ほとんど外に出なかった。

その代わりGossip Girlにずっぷしはまって、アイスクリームと柿の種を交互に食べながら、寝そべって体を動かさなかったので2キロ太ってしまった。現役時代のパンツがきつくなって困る。

日本製のパンツは短くてほとんどツルテンになってしまう。
昔、日本のくしゅくしゅパンツが可愛くてわざわざ楽天―転送―経由で取り寄せたらウエストは大丈夫だったが、短いのでくしゅくしゅを伸ばしたらくしゅくしゅがなくなってしまった。アメリカだとパンツ丈の苦労がなかったのに、帰国したら日本のパンツはますます短くトールサイズのお店も少なくなってしまった。

理由は簡単で日本の女の子の平均身長はダイエットのせいで2000年代より低くなっているのだそうだ。世界的に平均身長が低くなってきたのは北朝鮮と日本くらいではあるまいか。

衣料はAliExpressで欧米向けのデザインを探すとパンツ丈があったのだが、ここ2~3年でAliExpressに出店の衣料はアジア系が多くなってサイズは細身で短くなった。Lサイズパンツを買ったのに、届く商品は長さが足りない。

庭仕事で着る野良着は膝とおしりが破けやすく消耗が激しい。中古の電化製品を探していた時に、OffHouseに古着がたくさんあった。それまで古着は一度も買ったことがない。気持ち悪いし。

アメリカで近所にThrifty Shopができて好奇心で入ったら、匂いがしてまいった。あれはアメリカ人の体臭と油の匂いだと思う。靴も売っていたし。商品には触れなかったのに、くしゃみが止まらなくなって早々に退散した。

Off Houseではくしゃみも出ないし倒産在庫セールのような新古雑貨の隣には衣料が沢山あったが臭いもしない。ジーンズも短いのだが、庭仕事なら長靴をはくのだから関係ないからと古着を買った。初めての経験。ただ、ジーンズはほとんど水をくぐった様子がない新品のように見えた。

それからOff Houseによるたびに衣料も見るようになり、何気なく手に取ったジーンズとパンツが長さもぴったりだった!何故?それは男物だった。

これはうれしや。そうか、男物を買えばよいのだ。
2本男物のパンツを買い、帰り道に運転しながらそういえばジーンズでも男物と女物の違いはあるのだろうかと疑問に思い、おじちゃんにアンタのジーンズの前開きは右か左かどっちが上?と聞いたらば、「左」というので男女の違いはやっぱり違いはないのか。

おばちゃんはおしりが小さくて昔から少年のお尻と言われていたから男物でちょうどフィットするのだ。
まっ、いいか。

で、帰宅してラップトップを開けてふとウインドース・ボタンに触ってしまいソリティアのアイコンが目についた。
あっら~~~トランプ・ゲームのフリーセルはまだ生きてたんかい?
Windows95の時代に暇つぶしにやったものだ。27年前だ!
あまりのなつかしさにふとフリーセルを起動させてしまい、おばちゃんはそれから4日間フリーセルにはまった。

携帯&コンピューター・ゲームにはまる人たちを馬鹿にしていたが、やっぱりゲームは人間のセロトニンを誘発する要素があるのだわ。
4日間ぶっとうしでランクを40熟練者クラスくらいに上げたら、老眼の目がかすれて右手の腱鞘炎がひどくなってきた。疲れてしまってどうやめていいか、やめ方がいがわからない。お~いおい(泣き)。

思いついてフリーセルのランキングを検索してみた。
見なきゃよかったというか、見てよかったというか。
初心者の1から、上級者、熟練者、チャンピオン、レジェンド、マスター。レベル100のグランドマスターまである。
どっと力が抜けた。
レベル100のグランドマスターまで、道のりの半分も来ていないのか!
アホくさ。

一番の疲れる理由はレベル50に近づいたら途端に難しくなって、もう5手先が読めない。キングとクイーンが前面に何枚も固まっている。エースは一番奥とか。

めくれるものならめくってみろという挑戦的な配置が多くなってきた。一ゲームクリアするのに10分から20分以上かかる。疲労のあまりセロトニンの分泌も悪くなったに違いない。きちんと並べられないと達成感や爽快感が味わえないのに。

ゲームのおかげでボケかけた脳にちびっと血流量が増えたかもしれない。しかし使う脳細胞は同じ個所に決まっているだろうから、ボケをどれだけ防止できるかわからない。

というわけでまたGossip Girlに戻った。
すげ~なこのドラマの衣装代。同じドレスは2度と使われない。Chuck Bassの芝居はどうしてあんなにクサイいんだ?!ホテルのペントハウス直通のエレベーターってセキュリティ上どうなんだろう?
とか思ったりする。

まだまだ暑い夏ですねぇ。XOXO

追伸
一日フリーセルを休んだ。次の日からはカードの置き換えパターンを学習したみたいでレベル60名人をクリアし今日はレベル70の天才だそうだ。

おばちゃんは親やおじちゃんからほめてもらったことがないので、フリーセルでも天才といわれるとうれしい。パカパカのカードのダンスや音楽はいいから「」よっ、大統領!」とか「天才!」とか掛け声をかけてくれるようにプログラムしなおしてくれないものか。掛け声を聞きたさにリプレイしてしまいそうだ。
ところで、爺婆しか覚えていないと思うが、オリジナルのフリーセルとは若干ルールが変わっているようだ。昔は色と数字が続きならスペースがあろうと無かろうとくっ付いた。さらに一度並べ終わった札もつなぎとしてもう一度使えたと思う。ただし、やり直しの制限があって一度スタックすると回復ができなくてすぐ嫌気がさしたものだ。やり直し機能を無制限にしたのでユーザーが飽きずに続けられるようになったのか。現在のルールのほうはレベルアップしやすいかな。
で、ただいまマスター・レベル75

8・28 レベル91
目を使いすぎて頭が痛い。

あかすりタオル1号 2号

時折断捨離がしたくなる。
母や猫が亡くなった後、
雨続きでうっとうしい時、
テレビで家のビフォアー・アフター番組を見たとき。
使わないものが多すぎると感じた時。
汚部屋を掃除する番組などを見たときは一番いけない。いたたまれなくなる、ウチも捨てなくちゃと町内指定ゴミ袋を取り出す。

おとといも何かの拍子にむらむらと捨て捨てスイッチが入ってしまった。
物を捨てたくないおじちゃんは、警戒心いっぱいでおばちゃんの手元とごみ袋を見張っている。不用品がたまるのは、リビングのテレビ台の引き出しとキッチンと洗面所だ。6月に不要な洋服を3袋出したので、今回はクローゼットから捨てるものはない。

AliExpressで買った中華製バリバリの骨伝導コードレスヘッドセットは役に立たなかった。音が駄々洩れで、病院のインターンから怒られたから捨てる。機種乗り換えした新しいIphoneの空き箱も捨てる。何につなぐのか忘れてしまった充電ケーブルも捨てる。
匂いがきつすぎて吐きそうになる髪のカラーワックス、捨てる。
同じくAliExpressで買った髪のエクステンション。届いたら色が明るすぎたので、マジックペンで色を塗ってみたものの気に入らないので、捨てる。

CDラックからあふれていたアメリカンポップも聞き飽きたので捨てる。アリアナ・グランデも捨ててやろうかと思ったがおじちゃんがフアンなので我慢する。
たまっていた町内会報とコロナで中止になった去年おととしの特別健康診断表捨てる。

綿のシャツが乾燥の時しわになりにくいように入れるテニスボールみたいなボール:乾燥モードになった時、いったん洗濯機を止めて入れないといけないので面倒。入れてもさほどしわの出来に変化がなかった。洗面所がかさばるばかり。捨てる。


乾燥ハンガーはバスローブをかけてスイッチを入れると、パリパリに渇いて気に入ってる。靴を干すために付け替えのノズルはいらない。

ダイソン掃除機の付け替えヘッド。ダイソンで使うのは小さい回転ブラシヘッドと細いノズルだけ。そのほかは一切必要ないので捨てる。

さて、この辺からおじちゃんの監視の目が厳しくなってきた。
基地外と言う。なんでもかんでも捨てやがって、と言う。

キッチンはゴミがたまりやすい。引き出しを開けてカトラリーが見えなくなるくらい詰まったセブンのおしぼりとスプーンと割りばしを捨てる。

おじちゃんはセブンで必ずお絞りと箸・スプーンをもらうくせに、使わなくて宝物のようにため込む。袋入りの麺類やお惣菜についてくるちっちゃなコショウ、ゴマ、七味、からし、調味オイルは嫌いなので使わない。使わないから捨てたいのだがおじちゃんが宝物のようにとっておく。ウチのコショウが切れたときに使えるかと思って。辛い七味は二人とも苦手なのに、おじちゃんは取っておく。たまにうどんに入れる時があるかもしれない。

おじちゃんはオーガナイザーが好きである。いろんな形や大きさの箱を買って、工具やら釘やら画びょうやらを入れておくと整理した気になるらしい。
ところが、箱の中に入れた途端、おじちゃんの記憶からその物が消えるらしい。どこに入れたかも同時に忘れるらしい。

それで百均に行って同じ釘やらフックやらを大量に買ってきて、その辺にぶんまくわけにいかないので、オーガナイザーを買ってきてその中にしまう。そして存在を忘れるので、探すより百均に行って、、、。


最近、おじちゃんは自分の問題をようやくわかったようで、ベランダの一角のおじちゃんの工作室は見える収納にかわりかけている。工具がフックでつるしてある。釘はつるすわけにいかないので、相変わらず箱。それで、クッキーやナッツの空き缶にやたら執着するのだ。
百均の箱よりは上等に見えるモロゾフのクッキーの空き缶が捨てられない。ナッツの空き缶が捨てられない。捨ててはもったいない資源と思うらしい。いつか使うから。

おばちゃんがキッチンで見つけてしまったのは、マルちゃん天ぷら蕎麦の空カップだ。こんなものがどうして?猫の避妊手術の時に新たに小さいサイズを買ったので、マルちゃんは捨てたはず?2個あったのでゴミ袋に捨てた。

油断はできない。なぜならおじちゃんはごみ袋からこっそり取り出してまたしまうか戻すからだ。引っ越し当時にとりあえず百均で洗面器と風呂の手桶を買い、ちゃんとしたのを買った後にゴミとして捨てたはずが、庭の水道に鎮座してたから。雨水をためたポリ桶から水をくむには確かに手桶が便利だ。おじちゃんの目を盗んで物を捨てるのは難しいのである。


おじちゃんが拾いそうなブツはごみ袋に入れた後、紙系のかさばる物で覆い隠すのが基本。
昨日、庭の水やりに出たら水道栓にペンキ容器に使われたマルちゃんのカップがあった。これは許そう。

夫婦と猫が必要なものだけ。客用の寝具は一切なし。客用の椅子もなし。家具はこれ以上絶対増やさない。

アメリカで家を売った時に大きな家具は始末した。
カリフォルニア・クイーンサイズのベッドなんて、日本の寝室に入るわけがない。持って帰ったところで寝具類も売っていない。帰国の時に家具と生活用品は大部分処分をして最終的に引っ越し便に積み込まれたものは、最低限の家電と本と服と身の回りの物だけであった。

2世の引っ越し屋さんが最後に移り住んだアパートに来て、何を日本に送り出すか指示をくれという。アメリカ生活の清算と日本の帰国の手配で疲れすぎていたおばちゃんは、キッチンとリビング、寝室、クローゼットの中身などを見せ、大雑把にこっからここまで指示した。

それからよろよろとリビングに座ったあと眠り込んでしまい、ベッドルームとバスルームの梱包作業が終わってから目が覚めた。

その結果、日本のスーパーで買った日本製の入浴用のあかすりタオル使用中:水色とピンクのくたびれたやつとか、アメリカの百均で見つけたヘアブラシにかぶせて使うネットとか、しょ~もないゴミがプロの手できっちり梱包されコンテナに詰め込まれ船便に載せられて横浜めがけて出港していったらしい。

日本には2月に帰国したが、船便は予定より3週間ぐらい到着が遅れた。冬用のコートもセーターもなくて震えていたおばちゃんたちの仮住まいの実家のもとに引っ越し荷物は3月過ぎにやっと届けられた。
梱包は開けず山の家にさらに送って5月にやっと引っ越し荷物をほどき始めたら、ウム~とうなった。さすがプロの引っ越し屋である。
アメリカのバスルームの中身がそっくり出てくる。資生堂のシャンプーとリンスですか?とくにあかすりタオルには脱力した。こんなものがコンテナで船便で帰国してきましたか!

日本で製造されアメリカに輸出さおばちゃんが買って使用して、帰国便でまた日本に帰ってきた。こんな単価の安い雑貨にしては太平洋を2度渡るという大移動をしてきた。あかすりタオルとして生まれたなかでかなり珍しい運命だと思う。

このあかすりタオルはまだ活躍している。よれているが長い旅をしてきた子を捨てる気にはなれない。

自家製スローライフ

麓の気温は37度だった。
山の登り口は両側から木がおおいかぶさっているので日さしが和らぐ。100M標高登ると1度近く気温が下がる。


今日はこの夏最高気温らしいから管理事務所あたりまで登ったら、アスファルトの照り返しが熱いのか、ゆらゆら陽炎が昇る。

前にいるグレーメタリックの車は品川ナンバーで夏休みでやってきたのかもしれない。止りたいのか出たいのか、メインストリートに出るまえにしばし悩んでいる。道を忘れてしまったのかもしれない。

おばちゃんは急いではいないので、のったり後についているだけ。前がやっと登りに出ればおばちゃんもついて出る。
グレーの品川はゆっくりメインストリートを走りだし、脇道に出会う度に停止寸前までスピードを落とす。どうやら本当に家を忘れてしまったようだ。

グレーメタリックの品川をぼんやり見ながら、なんかなじみのないモデルだなと思った。
レクサスのようでもあり日産のようでもありキツネみたいなT字ぽいエンブレムを眺めながらどこのモデルだろうとおじちゃんに聞いた。さあ?
と、家に帰って気が付いた。テスラじゃねぇ?テスラだわ、意外と地味だった。

毎朝おじちゃんが畑に出て野菜の収穫をする。
キュウリ、キュウリ、ナス、ズッキーニ、トマト、オクラ。
キュウリはサラダにして、酢の物、ぬか漬け、たたきキュウリの素は意外とうまい、手軽だし。
もう毎日キュウリ。

インゲンは茹でてたらこマヨネーズを付けてポリポリ。

ナスは麻婆ナスに揚げびたし、焼きナス、天ぷら。
富士山のふもとで水がいいので、豆腐もおいしい。野菜全部入りのトマトスープを大量に仕込んでおいて小口で解凍して食べる。おじちゃんの血糖値は毎食こんな自家製野菜を食べていると調子がいいんだと。
私はたまには肉が食べたい。薄切りやひき肉でなくて。

老キャプテンのところでご馳走になったお茶があまりにもおいしくて、売っているところを聞いた。早速買いに行ったらなんと!入り口で茶の木を売っていた。高さは50センチある。すでに葉っぱは沢山つけているので、うちの畑に植えれば来年はささやかな茶葉が取れるかも。うれしくて茶の木を抱えて店内に入る。
おじちゃんはアメリカでアイスティーに毒されてしまったので緑茶を入れて飲むのはおばちゃんだけ。

おととし山の散歩で拾ったお茶の実をいくつか植えたら1本だけ育った。まだ葉が3枚で高さが10センチだからいつお茶にできるかわからない。だからこのお茶の木に出会えて移住してからの夢だった自家製緑茶の夢がとうとうかなう。なのにおじちゃんの体温はあくまでも低い。
どうせ素人が育てて素人が作ったお茶なんてうまくないに決まってる、と。

それはそうだ。おばちゃんは煎茶のおいしさは売店で求める。自家製お茶を飲むというぜいたくは別物なのさ。


庭で七輪にヤカン(黄色っぽいヤカンね)をかけておいて、5月に庭の草取りをしてついでにお茶の緑の葉をちょいとつまんで両手でモミモミ。ヤカンのふたを開けて放り込んで即席のお茶を入れて一服。仙人のような暮らしをしてみたいのよ。分かってくれないかなこのロマン。

老キャプテン

コンピューター・サークルを覗きに行った結果、どうなったかというと長老さん81歳と知り合いになった。もと船長さんなのでキャプテンと呼ぶ。
メールの問い合わせの返事に書いてあった通り、サークルのメンバーは後期高齢者で占められていた。

同じく初参加の見学者のキャプテンは身軽にテーブルやイスをセットしていて僕もここは今日が初めてなんですとおっしゃった。見学者はサークルの去年の課題の成果、絵入り暑中見舞いはがきを拝見した。なかなかよくできていた。

どんなソフトを使ったんでしょうね?筆まめかな?と独り言をつぶやくと、隣のキャプテンが筆まめではなく筆ナントカらしいですよ。僕はあまりフォントを持っていなくて、(作品の毛筆などを見ながら)こんなフォントはどこで手に入るんですかね?とおっしゃる。

筆まめやらこういうソフトはフォントがおまけでついてくるので楽ちんですよ、と答えるとほ~う、そうですか、僕はブログを書くのも明朝か教科書体くらい。
ブログはどこのサーバーで書いておられます?と聞くと、ずいぶん昔に借りた有料サーバーでとおっしゃりURLが載った名刺をいただいた。ドメインを自分で取られたようなので、長老さんはここのサークルのレベルよりはずっと上と判断。

サークルメンバーはざっと14・15人。
うち4人くらいが同じ白いラップトップを取り出し、おおっと、これはおばちゃんの出番ではないなと思った。サークル主催が電気屋さんなので生徒さんにラップトップをお世話したのだろう。横からおばちゃんが手出しをしたらサークルの主催者の邪魔になってしまう。

サークルメンバーもお互い古い知り合い同士のようにも見える。やっぱりおばちゃん、お邪魔虫かも。
キャプテンとは話があうかもしれない。買い物の途中でおじちゃんを隣の部屋で待たせてサークルを覗いてみたので、キャプテンのブログを拝見してメール差し上げることを約束してサークルからは失礼した。
忘れていたが、サークルに参加して勉強するのは有料なのであった。

帰宅してキャプテンのブログを拝見するとずいぶん昔から書いておられる。しっかりした文章だ。好感をもって、メールを差し上げると次の日から毎日お返事が入ってくる。

おいでおいでとおっしゃるのでお伺いした。
近くの別荘地であった。30年前に移住してきてヨットにのり、今は引退して100坪の畑を借りて野菜を作っていらっしゃる。
お子さんたちが独立する前は200坪の畑だったそうだ。ちっちゃなトラクターまである。

うちの庭には最近ニョロニョロが出没して対処法をお聞きしたら、ニコチンがよく効くという。タバコの吸い殻をいただく。最近は電子タバコが多くて、山の休憩所の前の灰皿にも吸い殻がないのでありがたい。

100坪の畑というと軽くテニスコートくらい。
それがキュウリ、インゲンの畝がいくつも、トマトが温室で作られている。最近奥様を亡くされて、トマトの苗が荒れているのは手を入れる暇がなかったのだろう。

また次の週お伺いするとこと約束して失礼した。ヨットも農業もコンピューターもたくさん引き出しがあるキャプテンであった。

田舎暮らしと虫

おばちゃんの血液型はOである。
蚊から最も好かれる血液型らしい。5月の半ばから11月までは庭に出るときに絶対素肌を出さない。長靴とズボンの間に5センチでも隙間があって素肌が出ていると蚊かブヨに刺される。
それはもうおじちゃんから笑われるほど刺される。おじちゃんは無傷なので。

おばちゃんのお薬手帳は、虫刺され・かゆみ止めの軟膏の行列である。蚊、ブヨ、あしながバチ。ハチ毒にアレルギーがあるので、スズメバチに刺されたらサヨナラだと思っている。

平成の間乾燥したカリフォルニアで暮らしたから、日本の蚊やブヨに無縁で耐性がなくなったのだと思う。刺されるとはれ上がって痒みが引かない。ブヨに太ももを刺されたときは鏡モチのようになって歩くとこすれて痛たかった。股ずれとはこんな痛みかと理解した。
12月に庭でブヨに瞼を刺されたときも、おじちゃんに笑われた。右瞼がはれ上がって視野がふさがってしまって仕事を休んだ。だって右目が見えないから。

足の常在細菌のせいで蚊に刺されやすいと高校生の例の研究を読んだ後、足を洗ってから庭に出るようにしてみたが、足を洗おうが、山の野生の蚊は半端な虫よけスプレーや虫よけシールなどもものともしない。ガードが弱いところを狙ってくるのである。香取線香が一番効果的かもしれない。

山の蚊やブヨはどのように質が悪いかというと。
ネット付帽子をかぶり園芸用手袋をしていても、手袋の甲の部分がメッシュで手の甲の関節を刺された。指の股を刺されたときは「かゆみパッチ」をどう貼っていいか分かんなかった。薄い生地の作業ズボンはかがんだ時に、お尻の生地がピンと張ると刺される。生地がだぶっとしていると針が届かないのだ。レギンズなんか素肌と一緒。ぼこぼこに刺されるので気温30度を超える真夏でも厚めのデニムが推奨である。

2年目の夏、寝入りばなにおばちゃんの顔に天井から虫が落ちてきた。
悲鳴を上げて電気をつけ慌ててダイソンで虫を吸ったらカメムシだった。慙愧の涙である。ダイソンがカメムシの臭いで汚染されてしまった。おじちゃんが我慢できずにファブリーズを部屋とダイソンに吹き付けたら吐きそうになった。メロン系の匂いのファブリーズは絶対カメムシに使ってはならない。おばちゃんの遺言である。

猫を飼っていてつくづくよかったと思う。何故なら猫たちは虫探知機なのだ。
トムとジェリーをやっている2匹が何故か異様に静かで、寄り添って壁の隙間や床の1点を見ているときは要注意である。ティッシュかダイソンを持って近づくとヤスデだかムカデが見つかる。ゴキブリも潜んでいた。


この間、寝ぼけてトイレに起きたらトイレのドアに背を向けて、2匹が目をらんらんと光らせて洗面所のドアの隙間を見ているのでオカルトかとおじちゃんをたたき起こした。ゴキブリだった。ゴキブリは刺してこないがヤスデだかムカデは刺すらしいのでモジョモジョが見えると悲鳴を上げてしまう。

カマドウマは子供のころ好きだった。
もっこり背むしのような姿がかわいいではないか、おじちゃんがかまれて血を流すまでは。カマドウマに歯があるとは知らなかった。
ステンレスのバスタブにイモリ?(お腹の赤くないの)がステンレスを登れなくてジタバタしていた時は可愛かったね。おじちゃんに見せてから逃がしてあげた。

さっぱりわからないのは、家のどこからどうやって入ってくるのかわからないこと。イモリやカメムシが入ってこられるような隙間が無いんだけど。田舎に住む、山に住むということは自然とともに住むということで、自然というのは虫がたっぷり住んでいる場所だ。豊かな自然には豊かな昆虫が生息するのですね。


ふんだんに降る雨と豊饒な土地と虫は切り離すわけにいかないからね。今年はカンパニュラとジキタリスが思いもかげず絢爛と咲いたから見たこともないほどミツバチが花の蜜を吸いに来ていた。

ミツバチも人がちょっかいをかけなければおとなしく蜜をすって帰るだけ。山で養蜂をやっている人もいるらしい。この山地元産の蜜をセブンイレブンで売っていたから、瓶の何万分の1はおばちゃんちの花の蜜だと思うとちょっとうれしい。蜂蜜の味が嫌いなので絶対買わないけど。

日本の安全神話はどこから生まれるか

ジャーナリストの桜井よしこ氏が10日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」
桜井氏は警備について

「基本的に要人の安全をどう確保するか。安全保障につながる問題だと思うんです」とし「私たちの国は安全だと定評があります。安全だという性善説に基づいて警備態勢を組んでいるわけです。だけれどもそうではないんだと」としー中略ーこういう態勢そのものを見直す時期なんだろうと私は思います」と提言していた。

 その上で「あまりにも安全だということを大前提にした国家的な緩みがあるんだろうと。私はそこにものすごい危機感を感じています」

その他メディアによれば、国民の声のほとんどが警察警備へのゆるみ、SPの不手際、警備の穴など批判である。おじちゃんとニュースや動画を見ていてこれらの批判になんだかなぁ、と思う。

日本が安全な国で危機意識が薄いというのは間違いない。その通りだと思う。だからこそ起こったのだと思う。


暗殺や銃撃などはテレビの中の話。現実で起きると想定していない社会だから起きてしまった。20年間要人襲撃のヒストリーがないようだ。
銃で襲撃・暗殺は「お話」だと思っているから、東京だろうが地方だろうが、襲撃防止の訓練を真剣に実施されていなかったのだろう。

これが海外からの賓客=お客さんだったらもう少し真剣に下準備をしていたかもしれない。日本人だけの身内で起こる身内の選挙だったから。

あなたの隣に銃を持った襲撃者がいたときはどのように行動するか?もしこんなテレビ番組が流れたら日本人のあなたは真剣に見るだろうか?

日本で銃を扱うのは警察、自衛隊、やくざである。
一般国民の自分は、犯罪にも無縁だし銃が自分の人生に登場することはないと思っている。

アメリカでは小学校で訓練があると思う。
住んでいた間は、もし外で「パン」と音が聞こえたら、しゃがめ。と頭の片隅にいつも警告が潜んでいた。

起業した後は壁に鏡を張り、ドアに背を向けている時も誰が入ってきたかわかるようにしていた。セキュリティカメラはビジネスにも自宅にもつけた。銃を持った強盗が入ってきたらどうするか、常にシュミレーションをしてた。


信号待ちはもちろんガスステーションで給油をするときも車のドアはロックする。道を歩くときはさりげなく後ろを観察してだれがいるか確認しておく。バッグは絶対体から離さない。長く住んでいれば意識せずにできるようになる。

社会も用心している。
銀行の窓口には金属の格子とアクリル板がはまっていたし、強盗に襲われてガードを置くようになった支店もある。
ベンダーマシンは絶対屋外にない。小銭だろうが自動販売機ごと盗まれる。自動ドアはほとんどない。銀行などは窓口時間外には自分のカードを入れないと入れない。

そういう危機を感じている社会の状況があって、警官は躊躇なく発砲するし、SPの警戒態勢はアクティブだ。一般国民にもテレビ番組ではお役に立つコーナーこんな時はどうするか:銃を持っている人がいるとき、寝ているときに泥棒が入ってきた時、。対処法などをレクチャーしてくれる。子供を守るために送り迎えは必須である。日本に帰国してきた時はおじちゃんとおばちゃんの背中には目があったよ。

そして、日本の人の無防備さに驚いた。
バッグをその辺に置く。電車でぐっすり寝る。車の中にショッピングしてきたばかりの物を見えるように置く。歩く時も建物に入る時も後ろを見ない。多量のキャッシュをお財布に入れている。高価なアクセサリーを身に着ける。

日本?いや日本人は危機管理が無い。SPは何をしていたと!憤懣を漏らすほとんどの日本人の背中は、がら空き。


日本の住居のドアはほとんど外開き
ドアの開閉のコントロールを外部の人が持つ。これは危険。テレビ番組で一般住宅のリギングが放映される。ソファの背がドアに向いている。ソファや椅子はドアに背を向けて設置しない。商品とお金が入った自動販売機はそこらじゅうの道端にある。窃盗の誘発をしている。

日本ではなくて、警察ではなくて、日本人全員が危機感を持っていない。
そういう背中がら空きの日本人が警察警備のミスを警備の緩みと糾弾する。
なんだかなぁ、とおじちゃんと目を見合わせるわけ。

山上容疑者の手製の銃の発射音はズドンと重い。
おばちゃんは初めて襲撃動画を見たとき銃声とは思わず、なにかが爆発したのかと思った。ハンドガンの銃声はもっと軽く乾いた高い音がする。だからズドンと重い音は爆発だろうか?そう思ったから、現場の警備もなんだろうと1秒くらい戸惑っても仕方がないと思う。

これがアメリカの事件なら、銃撃の現場はみんなしゃがんでいるだろう。安倍さんの場合は、日本人みんな突っ立っていた。その場を動いている人はあまりいない。現場の日本人でさえそれが銃撃だと理解していなかったのだ。警官も含めて。

SPと警官が2発目の前に安部氏に覆いかぶさって「命の盾」になるべきだったと言っている。

SPは「命の盾」になるべく訓練された職業の人である。
現役の総理大臣なら2人、引退した安倍元総理には一人ついていた。これも仕方がない制度である。現役か引退か役職の重みが違うから。現場のSPはやはり状況の理解に困難があったのだろう。

警官に「命の盾」になれというのは酷だ。
あの警備の警官があなたの夫や息子であったら、それでも命の盾になれというのだろうか?

日本の警官は不用意に銃を一発撃っても始末書なのだという。給料も手厚いというわけではないだろう。たった2秒の間に襲撃だと理解して、銃を抜いて応戦するか、とっさに命を投げ出して安倍元首相に覆いかぶさるか、そのような判断ができるとは思えない。

警官という職業を選んだお父さんや息子なのだ。

桜井よしこ氏は
ーあまりにも安全だということを大前提にした国家的な緩みがあるんだろうと。私はそこにものすごい危機感を感じていますー

そうか、。
銃声を聞いてもそれが銃声だとなかなかわからない無防備な日本社会と、交通違反で車を止めて、銃を腰だめにして近づく警官がいる国。犯人が銃を抜いたらすぐ撃つ警官。学校の生徒さえいつ襲撃されるかもしれないから教師に銃を持たせようとする国。自分と人を守ろうとする危機感は、危険な社会状況から生まれてくる。

ドアを外開きで建設する国で、国民は無防備でよいが警備体制だけは危機感を持たせようなんて可能なのだろうか?

日本でも暗殺史ができてしまった。不幸な事件だと思う。安部元首相の冥福を祈りたい。

ビフォー&アフター

夏が始まる前に植栽の剪定を済まさないといけない。
ジューンベリーが屋根より高く伸びてしまったのでおじちゃんに枝を払ってもらったら、おじちゃんのスイッチが入ってしまったようだ。
段々庭に降りる階段の水の流れが悪いとかでコンクリートとブロックで補強するのだという。

おばちゃんは草取りで忙しかったから水を飲みにもどったら、溶岩で縁取りしていた庭の降りくちは、コケのついた溶岩がひっぺがされ、アジアンタムとシダ、ギボウシが抜かれて更地にされていた。
先代のおばちゃんが原型を作ったシダと苔とアジアンタムの緑の森が更地に、、、!

おばちゃんはショックでくらくらとして座り込みそうだったよ。
確かに水はけが悪くなって雨が降ると通路に流れるがそれがどうした。通路はコンクリートだから溶けるわけじゃあるまいし。


アジアンタムは家じゅうでここしか育たない。昔からポットのアジアンタムを何度も枯らしてきたおばちゃんにとって、この通路はアジアンタムの聖地なのに。ゴミ袋にアジアンタムのちぎれた葉っぱが突っ込んであった。

上から満天星ツツジの垣根に下る縁石がすべて組みなおされていたよ。おじちゃんの変な性癖:土地をちまちまと“石や杭で四角く区切る“という癖がいかんなく発揮されて、新しいコンクリートブロックなんか追加されて段々が作り直されてたわ。

植えなおしてからやっと元気になって少し大きくなった大事なヒューケラが2株ともいったん引っこ抜かれてシランと四角く整列してたわ。シランはすぐさま引っこ抜いて捨てた。隣にはマリーゴールドが植わってた。

ここは4季を通じてコケがついた渋い溶岩石に縁どられ、アジアンタムの緑葉がちらちらと風に揺れる深山を思わせる通路なのに、能天気な黄色のくっさいマリーゴールド!と、はびこって始末に負えないシラン。いったい何を考えておるのか!!

シダとカラーリーフの場所なのになんで一年草のそれも黄色を植えるのか、おじちゃんに質したところ、ハンギングを作り直してマリーゴールドが余ったからだと。余ったから何でも植えていいわけじゃない。

アジアンタムはまた茂るかもしれない。2年くらいしたら。先月の写真を見てよよよと泣き崩れそうだったわ。


気をとりなおして里に買い物に行ったら、行きつけのお花屋さんがコロナで破れかぶれになったかとんでもないセールをやっていた。夏のお花が10株以上買うなら1ポット30円!
ペチュニア、日日草、ミニチュアひまわり、ペンタス、桔梗(青、ピンク、白)イソトマ、ミニダリア、アスター、千日紅、エボルブルス、ジニアが通路まであふれていておばちゃんたち狂乱状態。

ほとんどが一年草なので10月には終わってしまうがそれでも安い。キク科はあまり好きではないのでパス。来年も咲くキキョウを20把と生垣の下に植える斑入りのベゴニア、おじちゃんが好きなひまわりに深紅のペンタスなど30把以上選んで千円ちょっと。

帰ってカリブラコアとペチュニアなんかを植えたあと苗を取りに戻ると、キキョウはおじちゃんが作り直したアフターの通路に植えられていた。ヒューケラがまた動かされていてハゲイトウと並んでいた。
ヒューケラは触らないでって言ったじゃない。ケイトウを抜けというとおじちゃんはぷんぷん怒った。ここは宿根草を植えるの!

ゼラニュームをもって生垣の下に植えて見上げると、通路はキキョウだらけだった。

メインストリートの手前のネメシアがもう終わりなので、カリブラコアがもう少しあるといいかも。次の日にまたお花屋さんに行って、昨日もいらっしゃいましたねと言われながらまたシート2枚分40ポット以上買った。

生垣の下をもう少し充実させたい。また3日目にも突撃して2シートに詰められるだけ買った。
ポットには土が詰まっているわけで2ダース以上のポットを持ち上げるとかなり重い。ヨタヨタと車に積むと満足感で幸せになる。

うちに帰るとまた植え付けである。おじちゃんはハンギングも全部やり直すという。余ったマリーゴールドをその辺に植えられそうになるので、モグラの巣である東の端に植えた。この間引っこ抜いたエニシダの件はばれていない。

この南東の敷地の端っこには果実が植えられているのだがお向かいの中野のおばちゃん地と接している。おじちゃんは柿の木を敷地ギリギリに植えた。背丈を越して葉が茂り始めた柿の木は、秋に枯れ葉をお向かいに落とすようになるだろう。木は育つということをおじちゃんはいつ気が付くのか。

樹齢?20年くらいになりそうなこのイワヒバをおっちゃんは引っこ抜いて場所を変えて植えなおした。なぜ?

梅雨明けの猛暑に

猛暑注意というのに外科と眼科に二日間受診した。
日よけをつけてもアッチチというほどオーブンみたいになったな車には参った。冷房を全開でも車はなかなか冷えてくれない。ダッシュボードの温度計が39度を示していた。

眼科は眼底出血の後もレーザーで縫い付けた網膜も異常なし、3か月後にまた再診。
外科も血液検査の結果は異状なし。
ガンマGTPも先月の半分に下がった。血液検査表はあっちこっちにあった「L」と「H」が消えてCマーカーのCEA値も2。

血液検査はこれから3か月ごとでCTスキャンは半年に1回、血液検査が異常なしでも。
胆のうCの場合、マーカーにあまり反応しないのでCEA数値もあてにならない。CEAが高くても再発じゃないかもしれないし、数値が低くても別の臓器に出てるかもしれないし。主治医がそう言う。

おばちゃん:出やすいのは肝臓と腹膜と肺ですか? 
主治医:まあそうね。
おばちゃん:大腸はどうですか?
主治医:あんまりないよ。まあ、出るときはどこだって出るから、脳でも。
おばちゃん:そうでしょうね。んじゃ、3か月後ということで。(ああ、面倒くさい。)

お向かいの中野のおばちゃんも胃のCで確定だそうだ。
7月4日に手術でちゃっちゃとやってくるわ!と電話で話した。Cは取りやすいところにあるそうだし腹腔鏡で切除だというのでまず大丈夫だろう。腹腔鏡は次の日から歩けるし。

中野のおばちゃん:そうよね、大丈夫よね。おばちゃんの声が心なし甘えてくる。


もっとダイジョブと言ってほしいのだ。
お向かいの中野のおばちゃんの友達には同じような高齢の元ドクターが2人いて、胃Cだと報告したら「あら、胃Cなの今は治療が進んでいるからダイジョブよ」と言われただけなのでもっと甘やかして安心させてほしいのだ。

おばちゃん:おばちゃんはもう80歳じゃないですか。大丈夫ですよ。進行が遅いし。きれいに取れれば転移のリスクが低いし。今どき 胃Cの標準治療は確立されているから難しい手術でもなし。全身麻酔なら手術は怖くないですよ。パチンと意識が切れるだけ。

中野のおばちゃん:そうね、進行は遅いし。

おばちゃん:だいたい、おばちゃんは80歳過ぎて、今まで社会にも周りの人にも貢献してきたし、やることやってきて人に自慢できる人生だったじゃないですか?
たとえ閻魔様の前に出たって私は自分の人生をやれるだけやってきました!って胸を張って言えるじゃないですか?ご主人だって息子さんだってもうあっちにいるし。会えますよ。

中野のおばちゃん:そうね。一昨年亡くなった猫のメロンちゃんも会えるし。

おばちゃん:でしょ?だから怖くないですよ。大体長生きするから幸せってってわけでもないでしょ。やることをやったか?ってことじゃないですか?102歳まで生きても友達・知り合いはみんな死んじゃってますよ。自分の子供と孫くらいが見に来るの。

中野のおばちゃん:そうよね。みんな知り合いが死んじゃっててもね。

おばちゃん:でしょう。だから大丈夫ですって。腹腔鏡だからすぐ何でも食べられるってわけではないかもしれないけど、病院食が合わなかったらビタミンゼリーはいいですよ。食べられないときにお勧め。

中野のおばちゃん:バーム・クーヘンとかカステラはどうかしら?

おばちゃん:あれはね、湿り気がないからのどにつっかえるんですよ。飲み物がすぐ手に取れないですからね。飴を持っていくと口がまずいときに重宝しますね。

お向かいのおばちゃんに、励ましだか何だかわからないことを言って励ました。
おばちゃんなんか「それがどうした」と思っている人に安心させてもらおうというと、こういうことになる。

5月の入院中に四人部屋に後から入ってきた「もと医療関係者」がいた。
本来コロナで見舞客がシャットアウトされているはずなのに、彼女にはどういうわけか見舞客がいて会話が全部聞こえたのだ。患者は当の病院に昔務めていたようで、見舞客も現在勤務中の人のようだ。

彼女は消化器系の手術でHCUに入ったのだという。
麻酔から覚めると隣のお婆ちゃん患者が血まみれで錯乱して叫んでいたり、別の老人患者が点滴のくだを引きちぎり隣の!ベッドの別の患者の上で暴れていたりした。全部で4人そんな錯乱患者を見たのだそうだ。

どういうことかというと、患者は手術の同意書にサインをしたのだが、何せ高齢だしちゃんと理解もしていたのか怪しく、その上田舎なんだから先生の言うことは絶対でお任せするしかないと不安を押し込めて内心はおびえて手術に臨んだのだろう。麻酔のさめかかるころにその恐怖心が噴出し錯乱した、ということらしい。

ははぁ!だから手術の同意書に「患者を拘束することがあります」って書いてあった。仕切られたカーテンの反対側で元医療関係者の話を聞いていた。なかなかためになる。


しかしなぁ?開腹・開胸手術なら全身麻酔で手術中はまったく意識がないし何をされたってわからないし。麻酔が覚めた後に痛みがやってくるのは嫌だが、それは手術が終わった証拠だし、生きている証拠でもある。正直、何が恐ろしいのか錯乱するほどの恐怖なのかはおばちゃんには理解できない。

こっそりここだけで告白するが、全身麻酔の術中〇というのは一番苦痛のない死に方かもしれない。痛みはゼロだしね。いくらお地蔵さんにお願いしてもぽっくりさんなんて宝くじに当たるより難しいかもしれないから。

大変難しい手術で成功はわかりません。覚悟しておいてください~~っていう手術があったとして、患者は表向きはチャレンジすると見せながら、内心密かに「シメタ、ハズレでも楽じゃん」って挑戦する患者がいないわけでもないだろう思ったりする。

術中〇は確かに怖ろし気なイメージがあったが、全身麻酔を経験した後は、はは~ん、こういう抜け道もあったのかと思ったりする。そんなのおばちゃんだけ?

リスクの高い手術に挑戦する日本の外科医はあまりいないかもしれないが。

日本のIT度

キィ~ となってしまった。
なんでそうなるの!いう社会の状況はどの国でもある、日本でキィ~っとなるのはアプリの出来とかアプリ環境と会社の低IT度のことが多い。

うちの電力会社を変えた。
当然銀行振替は終了するわけで、新電力会社から請求支払い通知が届いた。アメリカなら請求書に記載されている会社のURLをオンラインで打ち込んで、最初はまずアカウントを作成してログインし、マイアカウントから支払いの銀行口座のナンバーを打ち込めばいい。

ところが東京電力のはずなんだがエネジー何とか会社で住所が沼津になっていて、これはローカルの事業所の住所だな、会社のURLはどこにも書いてない。日本以外ほとんど普及していないQRコードしか載っていない。在米のころはQR呼び名も知らなかったよ。

QRコードだから携帯で読み込んで振替口座の作成という入り口から手続きを始めた。
お客様番号はユニークな唯一の識別番号なのに、住所も記入せねばならない。この住所で時々問題が起こるのである。いやな予感は当たって「そんなお客は存在しません」とエラーになる。電気を供給しているピンポイント「作業地点ナンバー」から本人確認できる方法はない。

本人確認が済まないうちは次に行かせてくれない。
別荘地の枝番やらを住所に入れて6回目にやっと本人確認ができた。次は振替銀行の設定。

年中システム障害で動かなくなるあの銀行である。
銀行を指定すると、当銀行のオンラインに飛ばされた。銀行のログインをして口座番号を指定すれば完了である。ところが振替設定完了ボタンを押すと、「この振り替えはお取り扱いできません」とエラーになる。
本人確認から3回やり直してエラーなので、この銀行はあきらめた。

また本人確認から始めて今度はおじちゃんの銀行を指定した。すると銀行のオンラインには飛ばされなかった。ということは東京電力さんは、提携の銀行との振替手続きは、それぞれの銀行によって違うということだ。うわ~、めんどくせぇ。

おじちゃんの地銀は本人確認のために西暦で8桁の数字を入れろと言ってくる。次は現在のオンラインの口座残高の下4ケタを数字で入力せよ、と指示してきた。

ここでおばちゃんはイヤ~な予感がした。
日本の銀行はトロイ。もう本当に愚鈍かというほどとろいシステムなので、出金や入金が瞬時に口座に反映しているとは限らない。おじちゃんは30分前にセブンでお金をおろしたのだ。むろん平日さ。

とりあえずおじちゃんの銀行にログインして、表示されている残高の下4桁を打ち込んでみた。この時点でエラーは出ない。本人確認が済んで口座番号の指定が済んで最後の「振り替え手続きを完了する」ボタンを押したら
「この口座振り替えはお取り扱いできません」とエラーが返ってきた。

おじちゃん!引き出しの後の明細は持ってる?
おじちゃん明細をポケットから取り出した。やっぱり?!
下4桁の数字はオンラインが古かった。出金を反映していない。30分もたつのに。自分のシステムが最新を反映できなくてとろいのに、最新残高なんか入れさせるなよ。本日何回目かのキィ~であった。

再度、本人確認からまた手続きを始めて最新の口座残高を打ち込んで、これでどうだ?!
「この口座振替はお取り扱いできません」

この野郎。理由がなんだかわからない。
おばちゃんは日本の時代錯誤なシステムを呪いながらまだあきらめない。QRコード/オンライン/振替手続きがだめなら、オンラインの電力会社のページにアカウントを新規登録してそこからアカウントメニューの支払い方法を変更すればいい。

東京電力はTEPCOでいいんだよね。TEPCOログインページには新規登録がなかった。そんな馬鹿な!いったい2022年の現代に顧客がアカウントの新規登録がないページを作るなんて、いったいどういう会社よ?――大電力会社だ!

探しても見つからないので、請求書に乗っているローカルの事業所に電話を掛けた。
おばちゃん:まず、オタク会社名を確認したい。東京電力エネジーパートナーだそうだ。

おばちゃん:口座振替にしたいのでQRコードからの手続きをやったのだけどできないんです。
おっさん:「紙の振替口座用紙をおくりましょうか?」おばちゃんIT弱者だと思われたようだ。

おばちゃん:ねぇ、紙で送れって昭和の時代?
QRコードからのオンライン手続きで、銀行からはねられるんだけど。オタクが銀行の仕様がわからないのは当たり前なんだけど、契約者の銀行口座じゃないとだめなの?

おっさん:-ー答えず。

おっさん:オンラインから手続きできますよ。
おばちゃん:だからオンラインのURLが請求書に載ってないから。
おっさん:QRコードを使ってください。
おばちゃん:そのQRコードの手続きで銀行からはねられるから、電力会社のURLを教えれ。
おっさん:東京エネジーパートナーで検索をかけてください。
おばちゃん:はっ?何言ってんの?
おっさん:その方が早いんで。

おばちゃん:日本語がつうじねぇな、おばちゃん検索。

おばちゃん:やっぱりTEPCOでいいんじゃん。TEPCO.CO.JP こんな簡単なURL、なんで請求書に書かないのさ。QRコードを読むより簡単じゃん。

おっさん:いや、それが難しい人もいるんで、外国人とか。
おばちゃん:日本に来る外国人は英語が読めるさ。
おっさん:―答えず。

おばちゃん:んでこのわかりにくいトップページのどこにアカウントの新規登録があるのさ。
おっさん:新規登録をしなくても口座振替の手続きができます。
既存のお客様の変更手続きを探してください。真ん中くらいにあります。

日本のウエブエージのデザイナーはセンスが悪すぎる。Google, Amazon Twitterを見てみろ。ページのメニューや設定は一目見て直感的に使えるようになってるじゃないか。

なんで、既存のお客様の変更がページの真ん中見出しにあるのさ。メニューから設定・アカウントにあるならまだしも。

おばちゃんは「既存のお客様の変更手続き」をクリックした。
そしたら、携帯でさんざん見た本人確認ページにとんだ。だめだこりゃ。

おばちゃん:ねぇ、これはQRページから飛ぶ奴とおんなじよ。無駄だわ。
紙の振替用紙を送って。
おっさん:すいませんね。手続き用紙を送ります

なんでだろうね。日本のウエブは世界で標準仕様となっているページ上部か左右のどちらかに「メニュー」を置かないのだろうか?何故用語を統一しないのだろうか?

昭和の原始時代の紙の振込用紙が生き残っているのは超驚きである。お客様番号はユニークで唯一の識別番号なのに、それだけで足りずに事業者番号だとか地点番号だとか口座入金のバーコードだとかの記載してる。バーコードの写真は何回撮っても「該当する口座がありません」って出てきたぞ。

古い大会社は紙で処理する事務業務が山ほど残っているに違いない。恐ろしく旧弊で図体がでかい死にぞこないのダイノサウルスみたいだ。フロッピーが残っている役所だとか銀行だとか。化石かよ。

日本のビジネスが無駄が多くて非効率的だといわれているのだが、内部にいるとわからないのだろうね。猫友とこないだおしゃべりをしたとき、彼女のバイトしている会計会社の業務に愚痴をこぼしていた。

給与計算の仕事も引き受けている。
月末に紙の印字したタイムカードが持ち込まれるのだそうだ。ええっ!2022年よ今。
タイムカードのログインログアウトの時間を計算していくのだそうだ。ここも昭和かよ。
さらにひっくり返えったのは、そのタイムカードの束を隣の同僚に渡して2重チェックするのだそうだ。
同じ仕事を二人の人間がするのか?馬鹿じゃないか?

おばちゃんがビジネスを立ち上げて、一番腹が立ったのはこのタイムカードの計算だった。最初はどういう勤務計算システムがいいかわからなかったので、紙を採用したら地獄だった。給与計算の中で勤務時間を1日ずつ計算するのが一番面倒くさくて時間がかかる。

自分の時間を有効に使おうと思ったら、紙のタイムカードなんかダメだ。
コンピューターのソフトとマウスのクリックインになら、〆の日にソフトでリポートを作成すればオーバータイムだろうが何だろうが5分で全従業員の勤務時間が出る。それをペイロールの会社にファックスするだけ。


コンピューターは計算間違いをしない。2重チェックも必要ない。人件費もかからない。同じ仕事を2度する?これが一番ばかげている。

日本の企業が非効率的で無駄が多いのは事実。
ここが歯がゆくてならない。次の世紀を生き延びるには古いシステムと人間を切り捨てないことには世界に追いついていけない。


NetFlixの収益が一時落ち込んだ時、思い切って能力の低い従業員を切った。それは3分の1に及んだという。結果は、できないやつの後始末をしなくてよくなった分働きやすく能率的になったんだって。

日本の終身雇用制は会社のお荷物を作るだけ。
日本の雇用法を改正すことから始めよう。派遣会社制度は、必要な時に必要な労働力を供給できない雇用法が生んだ吸血ヒルみたいなものだ。なくしたほうがいい。

*蛇足QRコード
QRコードは日本で開発された。
アメリカでは誰も使ってなかった。理由は必要ないから。
QRコードは紙からオンラインに移行する時だけ活躍する。URLを打ち込むのが面倒くさいと思った人が使う。宅急便が来たときは確かに便利

アメリカ人だってhttps://xxrrqqqq&&&$$####みたいな3行あるURLを打ちたいと思ってない。だから打ち込むURLのスラグはシンプルになっている。トップのページに/log-inとか付けたページを作っておけば済むこと。

一旦オンライン上に飛べばQRは必要ない。URLにリンクを張っておけばいいので。10行だろうが50行だろうがリンクで済む。それなのにそのリンク先のQRコードを生成して画像として張るなんて2度手間じゃん。生成するのが無駄。

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