隣のパン屋によって朝ごはんのペストリーとコーヒーを買う。おばちゃんは肝臓を壊してから、カフェイン過敏になったので飲むのはいつもディ・カフェだった。ただ!隣のコーヒーはディ・カフェもレギュラーも全く同じ黒のポットに保存されていて、ロシアンルーレットほどの確率で中身は入れ替わっていた。
コーヒーを飲みながら売り上げを記帳していると、心臓がどきどきしてきて、息が上がってくる。
はぁはぁしながら、ジャネットのおばちゃんまた、レギュラーカフェと間違えた、と。
アメリカはドリップ用の粉のコーヒーもディ・カフェがあるし、お湯を注ぐだけのインスタントのディ・カフェもある。インスタントだと、がくっと味が落ちるブランドが多いが、Folgerの緑ラベルはレギュラーに引けを取らないほどうまかった。
おばちゃんは日本でも普通にディ・カフェが買えると思っていたのにディ・カフェとは何ぞや?と聞かれるとこから始まるので自分でオンラインの捜索を開始した。
日本のCostcoで買えるMJBは味が嫌いだ。Folgerは扱ってない。輸入食品店ではドイツ製のインスタントもあったが日本製の3倍の値段であった。一瓶ポチって見たが、焦げすぎ苦すぎでうむ~という味だった。
UCCの一人用ドリップでディ・カフェがあったので嬉しさに箱で買ってしまった。このUCCおいしい。ところが心臓がどきどきしてきた。明け方まで眠れない。カフェインが大量に残っているようだ。
おばちゃん、Folgerの緑ラベルをAmazonUSから取り寄せようと思ったが、あまりの高さに憤慨した。もういいや、おばちゃん拗ねてしまって地元のスーパーでNescafeの黒ラベルを買ったのである。
むろん、デイ・カフェではない。ところが、黒ラベルはFolgerの味に近かった。うまい。なおかつ、おばちゃんのカフェインセンサーは反応しない。おばちゃん、以来黒ラベルの愛飲者。
幸せの青い鳥は身近にいたのだ。
スパイスを求めて
コロンブスがアメリカ大陸を偶然発見したそのそも理由はスパイスを求めて航海していたからである。
と世界史で習った。
中学生だったおばちゃんは、ホントか?たかがコショウくらいで大の大人がはるばる航海するかしら?
田舎の子供にしてみれば香辛料と言われたって、ラーメンに掛けるコショウしか思いつかない。教えている先生だってわかっているか怪しいものだ。
還暦を過ぎておばちゃんは”あるかな”と思う。何故ならおばちゃんはアメリカで使っていた数々の香辛料が恋しくてならないからだ。
スパイスを手に入れるために未知の航海に行こうじゃないか。
もう一ぺん食べたい。と意地汚く思う。チャイニーズスパーやイラニアンスーパーやら、ごくごく安い値段で本場のシーズニングやら調味料があった。
おじちゃんは嫌いだったけど、五品香が入ったもち米を砕いた調味料とか瓶入りの大根の漬物とか、
ガラスの棚でしまわれていたXOジャンとか甘酸っぱいソース、生のベトナム麺。
イラニアンではミックスされたシーズニング。日本人のおばちゃんに分かる材料は黄色いサフランと微塵のコリアンダーだけ、。牛挽肉に混ぜてカバブで焼くとか、ヨーグルトに混ぜて骨付きチキンを漬け込んで焼くんだ。再現をしようにもお手上げ!英語のレシピも見たことがない。魔法のスパイス。
アマゾンUSには売っているので取り寄せて冷凍するのだけど、香りは飛ぶし使えば減る。
中華食材は横浜中華街にあるのは知っている。
近くに住んでいたから。1缶50セント(ホント)だったフクロ茸の缶詰を500円だとか水煮のクワイが300円とかとんでもない値段で正直腹がたつ。買うと負ける気がする。
それでふと思いついたのが上野 アメ横。
カバブ屋さんがいるというし、そしたらスパイスがあるのではないか?おじちゃんに言ったら乗り気になってアメ横に遠征に行くことにした。スパイスを求めて東京上野へ。
カバブ屋さんはいた。
でもシーズニングは売ってないというのよ。スパイスがあるとしたら西日暮里だって。
コロンブスだってインドに行くはずがアメリカに着いちゃったんだから西日暮里なら近いじゃない。中華食材で五品香いりもち米の粉を買った後、電車に乗った。
西日暮里のイラン料理のご主人は来てくれたのは嬉しいけど売ってないと言った。
さらに、あのパックしたシーズニングと言うのは,結婚したけどまだ料理がよくできないという若奥さんが使うようなもんだって。
料理ができるようになった奥さんはサフランとかなんか混ぜて自分で味付けするんだって。
サフランが欲しかったら小伝馬町に行くといいよ。
小伝馬町か、サフランだけ手に入ってもおばちゃんには他に混ぜるスパイスが分からない。
おばちゃんたち伊豆から出てきたから胸のカラータイマーがピコピコ点滅し始めているんである。今日はとりあえずここまで。
次はおばちゃん神奈川県大和に行きたい。ベトナム人の定住センターがあったところだ。どうしても生麺が欲しい。