目指せ宿根草のお庭

快晴ですわ。
フジ3本掛けの藤棚。もじゃもじゃなので、ついでに夏用の朝顔を4支柱の根元に植えたいと言ったら、おじちゃんの拒否権が発動された。

これ以上ツタを絡ませないで!、っってたかが朝顔やおまへんか?そんならフジも2本にすればよかったのに。どうしても成長したフジを切りたくないおじちゃん。

ここはロックガーデンでシレネの森だったのだ。3月にはまだシレネが黄色の枯れ枝だった時におじちゃんに毟られてユリを植えられそうになったさ。

おじちゃんは花が咲いてないと宿根草も雑草も区別がつかない。宿根ガザニアもブルーデイジーもフランネルフラワーもみんな掘られて捨てられた。


花?無いよ。腐ってたよ。
嘘つけ。根っこがあったろ。
ないよ。みんな腐ってたよ。
いつも同じ言い訳をする。

今年はジキタリスとカンパニュラを植えまくったので、理想のお庭に一歩近づいた?
家のお庭に毎年生えて咲いてくれるお花がうちの子

うちの子:水仙、桔梗、竜胆、アイリス、都忘れ、ガウラ、ダーラ、ホトトギス、チェリーセージ、シレネ、ネペタ、ヒューケラ、カンパニュラ、ジキタリス、ヒナ草、セージ、サルビア、ペンステモン、アカンサス、ボタン、クレマチス、リナリア、ネメシア、 球根類。

何故か木に咲くお花は興味がなくて、勝手に大きくなってコントロールが効かせにくいし。毎年萌出てきて毎年けなげに咲くお花が愛しい。うちの子。

もっとも、うちの子だけを当てにしていると庭がスカスカになるので、シーズンごとの一年草を植える。ビオラにキンギョソウ、ネモフィラ、デルフィニウム。

こっちは客演者
お金を払ってシーズンを盛り上げてくれる子。
毎年毎年植えて消えてしまうシーズン花にむなしいなって気がしないでもない。植えたのに、冬が越せないなんて、この根性なし。
マイナス5度くらい耐えたらんかい!とニチニチ草に言っても本人の能力以上のことなんで。たまにこぼれダネで翌年生えてくるとうちの子。えらい!

セールで宿根草を買わねばならぬ。できるだけうちの子を増やしたい。
去年うちの子になったアカンサス。見よこの威を払うどうどうたる容姿。
メインストリートに植えたった。ガウラの小道の行き止まりに華麗な花を咲かせるのだ。どや?

チェリーセージの花の可愛らしさにおばちゃんはあっちこっちに植えただ。
トリミングした枝が挿し木で付くのを発見してから、庭のぐるりをチェリーセージで取り囲む計画を発動したのだが、3年目にチェリーセージは横に枝を張ってきて込み合ったところに植えると大変邪魔!というのが分かったのだが、そのころはおじちゃんが面白がってやたら挿し木をして回って、エニシダやエリカのそばにも挿し木をするという迷惑を発揮してくれている。

ああ、カンパニュラとジキタリスとガウラがぎっしりと咲き誇るおばちゃんの庭はいつ完成する?

7年で一人前

お向かいのおばちゃんによると、自分の庭が一通りできるには7年かかるのだそうだ。
今年が5年目だからあと2年か。

ガウラは毎年こぼれダネで増えてきた。とんでもないレンガの隙間から生えるとか。
庭のメインストリートの両側をガウラで囲みたい。ガウラの小道にしてみたい。

アカンサスは3把に増やしたから、咲き誇るとダ~ンとインパクトがあるはず。
丈の高い花の根元はダーラで飾りたい。去年の12月には庭中に笹を指して霜よけにした。若干効果はあるみたいで、ダーラも冬越しして数把根付いた。根元はピンクのダーラ、奥は蝶が飛んでいるようなガウラ。

モッコウバラが咲かないのだよ。今年で5年になってそれなりに幹も5センチ以上になったのに。おばちゃんは肥料をやればすぐ大きくなって黄色の花を咲かせてくれると思ったのに、シュートばっかり増えて花の1輪も咲かない。肥料はやりすぎないほうがシュートが出ないみたいだ。それでもやっぱり咲かない。白いアーチは葉っぱばっかり。

青いお花セクションはモグラの通り道だったから、宿根草も根っこが掘られて激怒してオレンジフーセンガムを埋めまくってモグラは不快に思ったらしい。今年はトンネルが少ない。

ブルーセクションにデルフィニウムとサルビアとペンステモンを植えまくるのだ。アクセントにしろのキャットウイスカーを植えて風に深海のような青いお花が揺らめくのよ!
キャット・ウイスカーはどこに行ったのかしら?ん~ん、見当たらない。

デルフィニウムは多年草なんだが、実際日本では1年草扱いなんですって。根付きそうで根つかない。真夏の暑さとムレとマイナス温度がすこーしづつ許容量を超えるからかな。毎年デルフィニウムを植えるのはシャクに触る。

園芸やのおっちゃんが言ったので、ヒューケラをとりあえず園芸土でできたナーセリーに移して冬を越したら、萎れて弱った株が回復した。好き。

この立派になったヒューケラを他に植えたらまた元気がなくなってしまうのだろうか?どうしよう。一通りの庭ができるにはあと2年。

5年目の5月

しまったなぁ!生垣にクレマチスを絡ませてしまった。
何が一番困るって満天星つつじの生け垣が剪定できなくなってしまった。生け垣の角をきっちり四角に整えるのが好きなのに、トリマーがあるのに!クレマチスのせいで生垣が刈れなくなってしまった。

この白のクレマチスは冬咲で真冬に花が咲く。真冬にぴゅーぴゅー木枯らしが吹く中、庭に出なくなる時に花が咲くのである。春咲きだと思って買ったのに。

素人が庭を造るとこんなことが起こる。5月に新緑が萌出て気が付いたらクレマチスも萌出て生垣の剪定ができない~~。いややん、これどうしたらええのん?

春のお庭は力が入る。何せ花の種類は多く一気に咲きそろうのである。おじちゃんはDIYに励んで柵を直したりちまちまと花台を作成している。このポット階段もおじちゃんの自作。

このミニダリアは一通り花が終わったら地面に下すつもり。去年は雨が多かったので、段々庭の下の方は割と水はけが悪くグラジオラスとダリアの球根の半分が腐ってしまった。

庭のどの辺なら何が育つかいまだにまだ試行錯誤をしている。日当たりと、土壌と水はけと風の通り。う~む、難しいね。

いよいよ今年はアカンサスの花が咲く。
去年アカンサスの苗を見つけて、ああ、アカンサス様だ。モーリー様だ、とうちに拉致してきた。土壌が大事らしいので大穴を掘り園芸用の土壌と入れ替えて大事に植えた。去年1年で葉が大きく増えたけど花は咲かなかった。しかしめちゃくちゃな存在感がある宿根草。あたり威を払う女王感というか。

今年はいよいよ花穂が伸びてお咲きになるようだ。へへ~とひれ伏しそうだ。はよ咲け。

おばちゃんはせっかちなのだ。3月に植えまくった宿根草がまだつぼみを持たない。はよ咲け。

リハビリ

おばちゃんはせっせとリハビリに励んでいる。
急いでお花を植え付けないと素晴らしい季節に間に合わない。

今年の80円。
安くてかわいい今年の春シーズンのお花。
この松葉ボタンの親戚のようなお花はJAで80円だった。肉厚のぽちゃぽちゃした葉はサボテンに近い。雨は大丈夫なんだろうか?値段につられて半ダース買ってしまった。

JAで値段が安くて数が多いということは、丈夫である可能性が高い。超インパクトありありのネオンみたいな蛍光色である。
本来のおばちゃんの好みの色ではないが、お向かいの中野のおばちゃんは派手な大輪がお好き。お向かいの中野のおばちゃんのキッチンから鑑賞できるように畑の外輪に植えた。

案の定、丈夫。花殻を切るとも次から次へとつぼみが出てくる。しまった!もっと買っておけばよかった。
おばちゃんは後悔して、また中伊豆まで走るのは面倒くさいしJA系は同じ仕入れをすることが多いので山を下りたJAをのぞいたらあったのでまた2把買った。

おじちゃんもおばちゃんも貧乏性だから、一度に沢山支払いをするのが嫌。だからちびっとずつ買うのだがこのJAでは店頭のありったけを買えばよかった。次の日にまた買いに行ったら売り切れだったのだ。
お花は出会いだなと思う。買いたいと思った時に買わないとシーズンはもう会えない。

バビアナは去年伊東で買ってブルーセクションに植えたらモグラに掘られて枯れそうだったので別の場所に植えなおしたら勢いがなくなった。定着してくれるかどうかわからない。

もうどこにも売っていなかったから、去年からバビアナ、バビアナとうるさく騒いで、今年の3月初めから3週間ごとに伊東の園芸屋さんを覗くのだが株が出てこない。

それでメルカリで種を買ったり抜き苗を買ったり。ほっそい抜き苗を10本植えてもおばちゃんのバビアナ熱はちっとも下がらない。もっとゴージャスに!


昨日は熱海のアカオ・ローズガーデンに行くはずだったのに、外が改装中で入場料が上がっていたので伊東に向かった。シャボテン公園でお花を見るプランに変えたのだが間違ってグランパルに入ってしまいお花畑がなかくて幼児ばっかりだったので園芸店に走った。

やっとバビアナが出ていたので大株を3株買う。
半年ぶりにやっとバビアナ熱が下がる。ついでにイノシシの鍋用肉を買って、猪キムチ鍋を食べることにする。胆石がなくなったら食べてやろうと思っていたし。

植え付けたデルフィニームペンステモンも花が咲くのはあと1月かかる。今やっとチューリップとビオラが満開。チューリップは2週間くらいで終わってしまうので、そのあとのお花も植えたい。

ということでおばちゃんのリハビリは順調である。


Kinky Plum 変態梅

ホームセンターと、JAと、村の駅と園芸店を巡回する。

一昨日はコメリでペンステモン・ハスカーレッドが一株298円で売っていたので狂喜して3株とカンパニュラを3株買った。宿根草シリーズが一律298円である。

同じブランドの宿根草は自宅の里近くのホームセンターでは倍の598円だ。

田舎の園芸店では時々値段付けがおかしい店が見つかるので、園芸店の巡回は必須だ。昨日はスーパー隣の園芸店でネメシアが一枚2ダース24ポット)で1000円を見つけてクラクラした。むろん在庫の2シート全部買う。税込みの48株2000円!

重すぎて両手でやっと持ち上がる1ケース24株

耐寒性・多年草なので普通は1ポット400円から500円する。400円として4ダース19,200円のはずが2000円。超超お得!

チェーン店のホームセンターではこういう狂った値段付けは期待できない。

白だけが伸びすぎていたが切り詰めると5月まで咲く。
うちの庭の寒さでは宿根草でもすべて根付くわけではない。過去3年間、しつこく宿根ネメシアを植えて、ようやく4,5株付いたくらい。うちの子のネメシアはまだ2センチくらいで花が咲くにはあと1.5月はかかるのだ。

それまで荒野の大地に耐えられないのでインチキして中抜きネメシアを植えてしまう。うまくすると年越しして、来年買う必要がないかもしれない。

ネメシアはゴマノハグサ科なのだという。おばちゃんの頭の中で意味がゼロだったのだが、
キンギョソウを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあり、
ジキタリスを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあり、
愛しのダーラを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあり
リナリアを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあり
バコパを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあり
ペンステモンを植えるときに何げなくラベルを見たら「ゴマノハグサ科」と書いてあって、

姿かたちがこれだけ違うお花がなぜ同じゴマノハグサ科なのか、好きなお花がゴマノハグサ科なのか、それとも選んだらゴマノハグサ科だったのか?おばちゃんは心底驚いて何か強い因縁を感じるのである。もしかしておばちゃんは前世はゴマノハグサ科の養子だったのではあるまいか?

ネメシアを48株植えたら3時間かかった。疲れたゾウ。
2000円でもなかなかいい仕事をしてくれた。

おじちゃんは球根に執着するタイプ。
チューリップ、ヒヤシンス、グラジオラスと球根・球根とうるさい。
ダリアの球根は水はけが悪い場所だったのか根腐れしてしまいユリはイノシシに掘られて食われたので、おじちゃんは毎年球根を植えたいのだ。

そこで里でチューリップやヒヤシンスが咲き始めたころに園芸店を回ると、売れ残りの球根がセールで見つかる。一つ50円!のカサブランカ、アマリリスの巨大な芋みたいな球根がなんと300円!

伊豆半島はぐるりと国道が取り巻いていて、あったかくなると関東ナンバーの行楽客がやって来る。135号線が渋滞で動かなくなると10分で行けるところが30分かかるようになる。
おばちゃんはコロナで出かけられないときに、山をぐるぐる回って、地図の中の糸のように細い国道を見つけたのである。

春と秋の山菜取りに地元の人が入る細い1本道。かなり昔に舗装はされたようだ。この木こり道は伊豆半島の中にいくつもあって地元の人が渋滞を避けて走る。

コメリに行くには木こり道を通って山を一つ下り、幹線道路を横切ってまた2つくらい山を超えると1時間ほどで着けるのだ。里に出るまでは信号は交差点の1か所だけ。

コメリの駐車場は軽トラと軽が主流だ。
道の駅にはオサレな4WDの別荘族が多いが、年に数回来るだけの別荘でガーデニングは出来ないからやっぱりコメリは近所の農家の御用達し。農耕器具や肥料がえっ?という値段で売っている。

引っ越してきたばかりのおばちゃんたちは免疫がなくてコメリで河津桜の苗を見つけて舞い上がってしまい興奮して庭に植えた。鼻の穴を膨らまして、家に桜!

庭木は吟味して植えたほうがいいね。心から忠告する。
河津桜は他の桜に先駆けて咲く。だから一刻も早く花見をしたいと思うのだが、河津桜は桃のようにピンクが濃くて小ぶりで枝にへばりつくように咲く。散り際には蕊が濃い赤褐色なのでちょっと見苦しいなと残念。
そんなことも知らずただ舞い上がって河津桜を植えてしまい5年で幹の太さは倍になったがまだ一度も咲いていない。

この梅も家に梅の木!っと興奮状態で買ってしまった梅の木。

あまりにも枝がくねくねしていて、剪定しても剪定してもクリクリ縮れた陰毛のような枝が出てくるので、おばちゃんは心の中でkinky plumと呼んでいる。

この梅も花がほとんど咲かない。一遍植えた木は断固として死守するおじちゃんがいるからこの先もkinky hairみたいな枝をさらすに違いない。

一昨年植えた姫こぶしが今年初めて咲いた。猫柳のようなポヤポヤしたつぼみが開くと赤んぼの手のひらくらいの可憐な花。あっ!だからコブシって言うのかな?

長~い海外生活から帰国

平成が始まるころ夫婦で米国に移住し平成が終わるころ日本に帰国した。

漢字も書けなくなるほど海外生活は長い間堪能した。還暦を前に日本に帰国するのにさて、どこに住もうかしら?

人間が作る美しい芸術は大都会にある。
たまには美しい物を味わえるように首都圏から1時間半のエリアで家探し。

できれば庭がついていて、畑が作れるところ。不動産屋さんに物件を案内された時に思わず「この物件を知ってる」と言ってしまったの。

アメリカでネットの物件を検索していた時に、手ごろな物件だと思ったのだけど、写真が魅力的でなく忘れていた家だったわ。

家の内見の後こちらが庭だと思います、と不動産屋さんに従って降りたところは、自分の足も見えないカヤとススキが肩まで生い茂った斜面だったわよ。

不動産屋さんがこっちこっちっと言いながらぐるりと歩いたのに、見えるものは雑草と枯れかかった木立だけ。

でもなぜか直感でこれは素敵な庭になるのではないかと感じたの。おばちゃんはビビっときたの。庭なんかいじったことがないのに。

段段庭ができるまで

引っ越しは5月15日。春は爛熟して山は藤やツツジが咲き乱れていた。
家の中の片づけが大体終わって次は庭よ。日本で一番素晴らしい季節なのに、庭?らしき荒地にはただの一輪も花が咲いていなかった。雑草すら花が咲いていなかったのは不思議。

ススキ、カヤ、シダ、ドクダミ、クズやヘクソカズラ、落ち葉。茶色と緑だけ。おじちゃんと二人で長靴を履いて帽子をかぶり手袋をして、さて、まずススキとカヤを刈らなきゃ。

抜けない雑草はカマで刈って、ススキは切った切り株に除草剤をハケでペタペタ塗った。むか~し、TVチャンピオンのDVDを借りた時にミントの駆除にそんなことをしてたのを覚えていたの。

ススキは除草剤にも負けず、若芽を生やしてくるからそこをまたハサミでチョキチョキ切って除草剤を塗る。しばらくすると、また青い芽が、、、で3回くらい除草剤を塗るとまっ黄色になって根まで死ぬ。

力を入れずに株がぱさっと抜けるの。午前中に3時間、午後に3時間夫婦で刈り、落ち葉をかき掃き、3週間後!45リッターのゴミ袋に80袋の枯れ枝落ち葉を処理して、庭のコンクリートデッキが出てきたわ。

izu garden
my hidden garden 2017

先代おばちゃんが段々庭の境目にツツジとサツキを植えていた。おばちゃんが亡くなって草を取る人も居なくなって、庭はススキに埋もれてしまってツツジが咲くことも何年もなかったんでしょう。

枝が伸びすぎだったから、素人がめちゃくちゃな剪定をしてみて、気がついたらツツジが一斉に咲きだしていたのね。

素人のDIY

あこがれていた藤棚を作って?とおじちゃんに頼んだら、伐採してためておいた雑木で作ってくれた。素人で枯らしちゃったら嫌だから藤を4本それぞれの支柱分植えて、お向かいさんから笑われたわ。

藤は一本でも十分なんですって。4本も植えたら棚が重さで持たないわよって。
おばちゃんたちは知らなかったけど、伐採した天然木はそのまま使うとすぐに傷んで朽ちてしまう。

最初に作った藤棚は3年で痛んで、製材した材木を使って作りかえたの。1本の藤は玄関先に移して、あとの3本のつるを外してまた絡ませるのが大変だったわ。まだ3本は生きていいて、おじちゃんが切るのを可哀そうだと言うから。

同じく生木で作ったラティースもまず皮がはがれ、腐って2年でおじちゃんが作り替えた。伐採した生木を使うなら、まず枯らして皮を剥いでそれからペイントをしないと耐久力が無いみたい。

太い切り株は二股のところを加工して、おじちゃんがスツールを作ってくれた。

引っ越して1週間目にイノシシが家の床下に入り込んで、猫がおびえたから家の足をラティースで囲い敷地もフェンスでぐるりと囲んだ。多分山の生き物は人間より野生の人口が多いわよ。

おじちゃんは物を作るのが好きで、昔から自分で野菜を育てて自給自足したいねと言っていたの。最初の年に葉物を植えたら山中の虫が寄ってきて食べられちゃったわ。

レタスなんかは地植えはムリみたい。白菜やキャベツなんか超難しいわよ!

おばちゃんたちは人生の第三コーナーを回っちゃったから、おじちゃんはキュウリやトマトを作って、おばちゃんはお花をうえて家が朽ちるのが先か、おばちゃんたちの体が衰えるのが先か、出来れば先代のおばちゃんのように、ある日この地で倒れて旅立ちたいわ。

山の家には四季があった

何がびっくりしたかというと、山に雨が降る。

それはもう、雨が降らない月がない!
湿った草の匂い!滴る水滴!トンボが飛んでる。

30年ぶりに見たトンボかも。南カリフォルニアの家では植木鉢に花を植えあった。青いロベリアで、咲いてはこぼれ咲いてはこぼれ。

花は一年中咲くものじゃない?違うの?この庭がどんな庭になるか、草取りをしたこともなかったおばちゃんには分からない。

移住してから知ったけど、静岡県は年間降雨量が日本5位だそうだ。

雨が降ると檜の森に靄がかかる。早朝などは音もせず霧が流れる。

檜に絡みつくツタは、ノウゼンカズラで先代の持ち主のおばちゃんが植えたという。

茂みは6月になるとミョウガの林になる。夢みたいだ。カリフォルニアで宝石のように珍重した一本1-2ドルのミョウガがタダで取り放題!

庭に転がっていた岩を寄せ、コンクリート管を立ててみた。溶岩石を積んでみた。

一年草も多年草もどう違うか分からないので、とりあえずホームセンターで売っているよさげな花を植えてみた。

花の名前はカタカナなので、悲しいかな年のせいで覚えられない。80円だったので、80円と呼ぶ。この80円はよく茂ってよく増えた。困ったくらい増えた。

雨が大地を潤し、黒い芳醇な大地が形成されていく。
土は湿った匂いがする。雨上がりは草いきれがする。もと砂漠のようなぱっさぱっさで白っちゃけて石っころだらけの南カリフォルニアに黒い芳醇な大地はなかった。

雨が大地を作る。静謐と山の自然が大好き

毎日季節が動いていく。
駿河湾から雲が流れてくると、天気は下り坂になり気温が下がる。

秋はものすごく短い。紅葉が見られるかどうか、3週間もたつと初冬に突入していく。

11月に入ると散歩の際にふと木が燃える臭いが漂う。

山の住人が薪ストーブを焚き始めるのだ。

家の軒下には乾燥させるために薪が積んである。脹脛くらいの太さの薪がぎっしりと棚に積まれている。

移住して初めての冬には雪が10センチ積もった。気温は零下に3度まで下がり、おばちゃんの車のワイパーはフロント・シールドに張り付いて凍った。

冬は車のワイパーを立てるのだという。1月も2月も寒くて庭は眠っている。

2月の終わりになると、そろそろ土が呼吸をし始める。日なたは霜がつかなくなって、ムスカリが青い芽がのぞかせる。急がないといけない。急いで枯れ枝を払って園芸用の土を追加して肥料をあげないと。春が来る!

四季?そんなものがあったのをすっかり忘れてたわ。

春にもクーラーを使い、焼け付く夏と熱い秋と涼しい冬があって、3月のアカデミー賞の頃には空は明るくまた春・夏になってクーラーを使う。

一年中スーパーにはスイカとトウモロコシがあった。帰国したら、毎日お天気が変わり、季節は毎日進んで日本の自然はこんなに美しかったのかとおばちゃんは感動した。

別荘を建てる時は

別荘を建てるというと、日本人はテンションが2目盛りほど上がってしまうらしい。この伊豆の山でも、夢と妄想が爆発した家が散見されるわ。

定番のログハウス。 丸太を割って張り付けログ風など段階様々。メルヘン調 丸いとんがり屋根とか。

メキシコ風のパブかレストランのような洋風。レンガ造りの洋館~ 程度さまざま。

山は里と比べ物にならないくらい湿気が多く、本物の丸太は湿気を吸うし朽ちやすい。

下駄箱の革靴は白くカビを吹く。立ち木からの落ち葉が、雨どいやバルコニーの排水溝をふさぎ屋上がプールになったあと、天井がおちるらしい。だから山の家には雨どいがない。

山で家を建てるときは究極の選択をしなくてはならない。おじちゃんと二人で挙げるポイントは、景観と立地。もし、眺めを優先したら、そこは崖地。

安定の地盤を優先したら眺望がない。

隣の家が見えるか檜に埋もれているか。

眺望がよく安定した平らな区画はとっくの昔に売れて豪奢な別荘が立っている。

眺望がいいお家は確かに素晴らしい眺めで富士山も絶景もウチの!と言いたくなるが、台風と豪雨の時は真剣に怖い。2019年の台風で家が一軒がけ下に落ちた。

朝起きてカーテンを開ける時が幸せ。

アデルのRolling In The Deepを聴きながら庭で草取りをしたって、ご近所には聞こえない。日が暮れて檜の林が黒々と沈んでいくと明日は何をしようかと思う。

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