日米年金 比較 インフレで年金はどのくらいスライドする?

日米の年金比較2である。
老後資金・年金はインフレに弱い。余生が20年あるとして物価の上昇に日米の年金はどのくらいスライドするのか?
この記事のポイントはインフレ・スライドに焦点をあてて日米の年金を比較してみる。
参考とするのは日本年金局とSSAからの統計

まず日本の年金はどうか。
厚生年金・国民年金の年金スライド率・改定率 推移統計を発見!
見やすく表にしてみた。

http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2008/04/post_138.html

2000年ごろから日本経済の沈下が顕著になったのだろうか。
令和になってから支給額上がったと思えばマクロ引き下げもある。

コロナとウクライナ危機、円安のせいで電気・ガス・ガソリン・灯油などのパワー、食品、物価すべてが上昇してる。今年来年にかけて果たして年金は実働どれだけ上がるのか。賃金も上昇しているとはいえ、上がっているのは大企業が主であって、下じもの民の時給が上がっているという実感はあまりない。
物価の上昇に時給はとても追いつかないが年金の調整はもっと緩い。

来年度の改定はどうなのだろう?
2024年度インフレスライドアップをすれば年金受給者すべての受給者が対象になるので、わずかな%でも政府は莫大な資金が追加必要になる。現役世代の社会保障費負担はすでに、いっぱいいっぱい。

日本の年金は来年インフレ加算があったとしても、まわりまわって物価・税金・社会保障費などで年金生活者の手元から搾りとられるのではないかと思う。

米国年金はどうか?
アメリカの年金Social Security にはSocial Security Cost-Of-Living Adjustments 略してCOLAインフレ・スライド制度がある。毎年10月に消費者物価指数Consumer Price Index/ CPIが発表されCPIが3%を超えるとCOLAが発動する。
https://www.ssa.gov/oact/cola/colaseries.html
COLA変動の推移を表にしてみた。

過去5年で米国年金は20.3%上がった。
今年2023年10月13日に来年の調整%が発表予定だが、前分析では3.2%あたりになるのではないかと予想されている。

アメリカ政府は死ぬまで年金を上げ続けてくれる。年金生活者に気前がいい。アメリカのほうが恵まれているかも、おっと?早まってはいけない。どうしてスライドアップが毎年のようにできるのか?

アメリカは若い国で老齢人口率も日本よりは低い。常に若年層の流入がある国。経済の新陳代謝が早い。―――そしてアメリカ人の平均寿命は短い!!!

アメリカ人の一般人の平均寿命は日本人よりず~~と短い。
男性の平均寿命73.5歳 女性79.1歳。80歳にも届かないのだ。

さらにアメリカの年金の受給開始年齢は67歳だが、毎年受給開始年齢が遅くなる。10年も年金を支給しないうちに国民が死んでくれる。年金のインフレ・スライドを十分享受しないうちに死ぬアメリカ人が多いということかもしれない。

やった!来年もCOLAで年金額が増える!と喜ぶアメリカ人年金受給者の寿命は日本人より短かった!あらま?

ただ~、この統計の平均寿命というやつはあくまでも統計。
アメリカ人の平均寿命が短いのは、実は若年層が若いうちに亡くなる率が高く統計上は平均寿命が短くなる、と言われていたりする。

実際のところアメリカ人でも富裕層は長生きだ。
運動をし健康的な食生活を心掛けカバーの厚い健康保険を持っている。
貧乏人ほどジャンクを食べ太って病気にかかりやすい。ろくな健康保険も入っていないので早く死ぬ。アメリカ人の寿命と資産の額は正比例すると思う。

年金をあてにしなくてもいい健康なジジババ富裕層がCOLAの恩恵を受けてますます年金を増やし、生活費ではなくて、お小遣いや投資用に回してたりしてね。

若いころからせっせと働いてきた庶民層は、きっとどの国でも節約や就労を強いられているのが実情かもしれない。抜け目なく強いドルを生かそうと思えば、通貨が安くて治安がよい国へ移住するが吉か。

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日本の年金だけで老後を生きようと思ったら無理。
それなりの老後資金の準備がいる。それが世を沸かせた2000万円問題だった。

では、アメリカの年金だけで老後を過ごせるか?ム・ム・ム無理かな?
実はアメリカで老後に必要な資金は50万ドルといわれる。高い医療費もあるしね。
$500.000、50万ドル、1ミリオンの半分。

半分の25万ドルでも準備ができているアメリカ人は少ないのではないだろうか?4人に一人は貯金が0といわれるアメリカ人であるし。

さらに、アメリカの年金額はどうか
日本の公的年金は国民年金+厚生年金。アメリカの年金はSocial Security Payment
統計では2023年 アメリカ人の平均SS受給額は月額$1,827/1人、夫婦なら$2700。都市部で住む家のローンがすでに終わっていたとしても夫婦での生活はできない。働かねばならない。

よく聞いたアメリカ人のリタイア・プランというのは、若いうちに都市部で家を買いチャンスがあればより資産価値の高い家に住み替える。年金だけではなく401Kなどがある会社で働く。
リタイアの時期が来れば、都市部の家を売って売却益をもって物価の安い州に引っ越して、貯金を崩しながら年金で暮らす。ソーシャルセキュリティで暮らすなら物価指数の低いテキサス州や市などの情報があるので住み替えの参考にできる。

自宅を持っているかどうか、がリタイアの大きなポイントであったと思う。
アメリカの住宅は2000年から比べて現在では3~4倍ほどの価格になっているはず。定石通りに家を売って物価の安い州に引っ越せば、年金が月3000ドルでも夫婦悠々の生活ができるかもしれない。

ローンが終わった家があってもそのまま都市部に住み続けようとするなら、夫婦月3000ドルの年金では生活は難しい。せめて4000ドルは必要。そうでなければパートタイマーで働くか。あるいはBobのように間借り人を置くとか。

老後のための投資は401K は?
アメリカ人の4人に一人は貯蓄がゼロ。
会社を首になったり。
会社は2 Week Noticeを出せば従業員を解雇できる。雇用を守る義務は会社にない。
働く会社自体がつぶれて消滅したり、配偶者が出産や病気で一馬力になったり、、そんなことはいつでも起こるアメリカ社会である。

会社が首尾よくつぶれもせず合併も売却もされず40年同じ会社で働いた、、などとはごくごくまれなケースではないか。波乱万丈のアメリカ社会を生き抜いて、お宝の貯蓄と投資を守り抜いた勝者は一握りかもしれない。
持つ者、持たざる者がはっきり分かれてしまうのがアメリカ

スーパーでも小売店でもアメリカ人高齢者は働いていた。
Marshallなんてレジはジジババがほとんどで、何をするにも遅くて愛想が悪かった。就労への敷居は日本より低いかもしれない。

富裕層は別にして、一般アメリカ庶民も年金が足りなければ節約して老後でも働かねばならない。物価の安い州あるいは国境を越えて引っ越すとか、アジア系なら子供と同居するとか、あれやこれやで何とか工夫して暮らす。

サブプライムからのリセッションでアメリカの中間所得層はかなり力を削がれ、Covid-19のせいでさらに中間層は沈み、アメリカは富裕層と下層に2極化がひどくなっているのではないか。
年金だけで暮らせるアメリカ庶民はたぶん多くないと思う。

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アメリカの年金を申請する

アメリカの年金をもらうー4

鬼のかみさん

CTスキャンをとって会計を済ませたら午後2時を回っていた。
病院の駐車場はアスファルトの輻射熱で温室の中を歩いているようだった。

おじちゃんとおばちゃんの前には160センチそこそこの老夫婦が駐車場の同じ方向に向かってゆっくりと歩いていた。足の長いおばちゃんは二人を追い越し、その時に小柄で総銀髪のおじいちゃまが妻に言っている言葉が聞こえた。

「お前はゆっくり歩いてくればいいよ。僕は先に行って車を冷やしておいてあげるから。」

まぁ、なんと麗しい夫婦愛!アンタ聞いた?
おばちゃんは声が聞かれない距離まで来ると、おじちゃんにささやいた。
おじちゃんは、ふんっ!と言った。

わたしの背中が痛いという訴えを主治医は割と真面目にとって、CTスキャンをオーダーした。CTの画像診断は放射線科の医師に読んでもらったそうだ。CT画像には胆管も腎臓にも何も異常なし。
診察室を出ておじちゃんに異常なしだったというと、殴られた子犬のような怯えが目から霧消した。帰りはスーパーに寄っていこうとおじちゃんはしゃいでいた。

おじちゃんは例えば、私の足が不自由になったとしても、多分「先に行って車を準備してあげてるから」とは言わないだろう。先読みをしてテキパキと計画を立てるタイプではないから。暑くても寒くてもとにかく自分より背の高い妻を抱えてゆっくり二人で車に歩くだろう。車についたら、じゃあ運転してね。というかもしれない。

私とおじちゃんが出会ったのは、大学の2年。私が19歳の時だった。まぁ、ずいぶん長い付き合いだ。大学を卒業して半年後に、おじちゃんと結婚すると言ったら親は泣いた。

結婚させるためにお前を大学までやったんではないのに、。
おじちゃんとは身長も育った環境も随分違い、親どころか同級生さえも驚いた。親が何を忖度していたか、友達が何に引いていたのか、そんなことはどうでもよかった。人間の価値は背の高さや学歴や職業で決まるものではない。“職業に貴賎なし”日頃の父の口癖であった。娘はそれを実行しただけだか。
スカーレットのように、私は決めた。私は結婚するのだ。“Merry she would!”

おじちゃんも若かったので、まさか世間知らずの大学生がタケノコの皮を剥ぐようにアマゾン族の戦士まで化けるとは思ってもみなかったに違いない。おばちゃんは自分でも化けた自覚は大いにある。

プライドと夢は高いものの、実現するための地道な努力は大嫌い。
ものぐさで本や酒に逃げ込んで自分の置かれた現実から目を背けるのは得意。実務の才能はゼロ。人付き合い経験値は地を這う。頭を下げるのが嫌いなかたくなで独りよがりな性格。集団になじまない異分子の小娘。それが10代20代のおばちゃんだった。

タケノコは竹に成長するが、私はどう成長するか自覚もないまま脱皮と変体を繰り返してきて60代のバアになった。30代で日本に居たままだったら間違いなくアル中になり結婚も人生も無駄にしていただろう。

おじちゃんと結婚したあと、変わらない自分と日本の社会の閉塞感に窒息しかけていたから、おじちゃんの尻を叩いて日本を脱出した。

この間、山の卓球サークルのバーベキューがあり、そこでなんでまたアメリカに行ったの?と聞かれたので、
日本では窒息しそうだったので、ダンナの尻を叩いてアメリカに連れてった。と答えたら、
間髪入れず、「それはご主人がかわいそう」と声が飛んだ。
そうなのか?!
おじちゃんはかわいそうな子だったのか?

アンタは私と結婚しなかったらアメリカに行くことはなかったね。と言うと素直に「うん」と言い、アメリカ生活も日本では絶対できなかったことを経験してきたから満足に思っているようだった。

アメリカの社会は自由に呼吸できた。その代わり未来は全く見えなかった。
未来は自分で切り開いて作るしかなかった。政治経済には全く興味がなかったのに、生きていくためにはファイナンスやビジネス・マネージメントを学ぶしかなかった。アメリカの社会でみじめに野垂れ死にたくないと思えば、自分を変えて戦うしかない。

かっと目を見開いてチャンスが漂ってくれば掴む。
ワラでも小枝でもつかんで自分の巣を作ってゆくのだ。理想の巣を作るためには戦うのは必須だった。

平成が終わるころ日本に帰国して人生の第四コーナーが始まった。
日本に帰ろうか?と言ったらおじちゃんは「うん」と言ったからだ。

年金を請求するまで山でバイトをした。コロナが拡大していくさなかで、おじちゃんのバイトの事業所は素早く廃業解散を決めた。オーナーが中国人だったのでやはり決断が速いと感心したものだった。中国人とアメリカ人は同じくらいビジネスの見極めが早い。

おばちゃんは下手に動いてもいいことは何もなさそうだと判断して、日夜ネットで政府の支援策やコロナの給付政策をチェックしていた。
おばちゃんたちが使えそうな支援策は申請した。
山で親しくしていた人も仕事がなくなり萎れてきて愚痴をこぼすことが多くなったから政府の支援策を教えて応援した。

現役時代は大企業の総合職で優秀な人だったらしい。細腕一本で山に自分の家を建て、都会の駅近マンションは貸し出しているはず。自分と同じ匂いがする。戦ってきた来た人だと直感して親近感を覚えた人だったのさ。様々なメディアで政府のコロナ支援策が発表されているのに、それも日本語で、なぜ情報が取れないのだろうと不思議だった。

その彼女とこの間お茶をしたら、おばちゃんを評して「肉食系」と、、。思わず口が滑ったようだ。


言いたいことはわかる。
おばちゃんは誰かを狙って食いついたわけではない。上昇するために誰かを蹴倒したこともない。

自分の家族と猫を守る時には(誰かを傷つけるのではなくて)条件があれば、条件を合わせて、利用できる制度があれば利用する。それだけだ。
傍から見ればぬるい湯につかって愚痴をこぼしあう中で、欲しいものをぐいぐい切り取っていくおばちゃんの行動力が肉食系と映るのかもしれない。

自分を憐れんで愚痴を言って泣いている暇があったら、自分たちを生かせる方法を探す。それが平成の間アメリカ社会で学んだことだと思う。

山のサークルの爺様あたりからは、ひそかに鬼嫁と呼ばれているかもしれない
うっせいわ。

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テン・ジュニア FIP闘病記8

獣医は3日前の血液検査の結果をひらひらさせて、
「何もないんですがねぇ。」と思い切り悪く言った。
しかし診察テーブルで計ったテンの体重は3キロ。
投薬終了宣言をしてからわずか7日で200g落ちた。
3200gしかなかったテンにとって200gの体重は大変なロスだ。しかも熱は39度5分ある。
「待合室でずいぶん待たせましたからぁ」と言い訳がましく獣医が言ったが、猛暑の外と違って待合室はキンキンに冷えていた。

諦めが悪い。
獣医は初めてのFIPの治療は見事成功!と夢にしがみつきたかったらしかった。ここで見切り発車してもねぇと、まだ名残惜しそうだ。

そこでおばちゃんは、確かに見切り発車かもしれないが、いま薬を再開しないとさらに症状は右肩下がりになって治療は難しくなる。テンは死ぬと思います。見切り発車でいいので今投薬を再開してください。投薬をしても害はないじゃないですか?

「ですかねぇ。
それでは16mgで薬を3日分出します。3日後にまた診察をいれて様子を見ましょう。」

その晩からウイルス薬を再開し、獣医から勧められた高栄養食をテンに与えた。Hills のadとういう栄養食は犬猫兼用で、小さなお試しサイズが無かった。幸いテンの好きなチキンフレーバーだったので普通食に追加して2日で1缶を食べさせた。3日目の診察では50gだけだが体重が増え熱は38.5分に下がった。

やっぱり。
虚弱で体力のないテンは体力をつけ薬の効果をブーストする必要があったのだ。
次の診察では薬の容量を18mg/体重に上げることにした。5日分の処方だ。
4日目に体重は3100gに戻ったので、次の週の処方量は20㎎で1週間分。
Adの栄養食とウイルス薬のおかげでテンはまた活発になり、毎晩紫音と運動会を繰り広げるようになった。薬が20㎎に増えてから2日目には体重が3300gに到達した。

テンの父はクリーム・タビーの大きなボスで、母はオカメ・タビーの胴の長い毛並みのつやつやした子だった。テンは発育不良でFIPを発症したが、遺伝子的には小柄な猫ではないのだ。

テンの体長は9か月で紫音とほぼ同じ、ただ、背骨と肋骨が浮いて見えるやせた体だった。高栄養食を食べさせ紫音と遊んで運動をして、投薬を再開してから2週間。体重はついに3400gを超えた。

うれしい。
薬はウイルスを抑えているようだ。
FIPを抑え込んで駆逐してウイルスから逃げ切るためには体重4キロを目指そう。しっかり発達した筋肉と脂肪を蓄えた基礎体力のある猫に育てればきっとFIPから逃げ切れる。

9・19 今日は再診で、体重を確認した獣医は驚いた。
FIP の猫は子猫が多くて3キロ後半を超えるような子はほとんどいないのだという。
FIP症例では体重3.8キロがモルヌピラビルの処方上限体重として載っているらしく、それ以上の体重のFIPの子を想定していないみたいだった。

FIPの発症が子猫に多くて、またFIPは発育不良を誘発するのでそもそも大きな猫に育ちにくいという理屈があるのではあったが、。

私としては症例にかかわらず、療養食とケアでテンを4キロ半に育てるのも夢ではないと思う。大きくして見せる。FIPを克服して丈夫な男の子に育てるのだ。

体重が増加するにつれて薬の処方量gと薬の料金が上がっていく。
今日でペット保険の使用上限に達した。来週から自費になる。

体重が4キロを超えると多分一日の薬代+高栄養食で4500円以上なる。2週間ごとの血液検査も簡易検査と精密検査では倍の違いがある。

ワッハッハ。
おじちゃんとおばちゃんのバイト代を足しても半月分に追っつかない。幸い為替はここ最近147円台に張り付いているので誠にありがたい。
年内はこのレートでいっていただきたいものだ。

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FIPは甘くなかった。

これで84日、12週が終わりました。治療完了ですねと、獣医が宣言したのが先週の月曜日だった。
天が薬を吐いた時用に予備でもらっておいたウイルス剤がまだ2日分残っており、何せ高い薬を捨ててしまうわけにもいかず、獣医が言うには2日分くらい飲ませても差し支えはないだろうというので水曜日の夜まで飲ませた。

これで本当におしまいなのか、何か気が抜けるような気がしたが子猫に返ったテンは「アン、アン」と上機嫌で鳴きながら紫音と走り回っていた。

木曜日も本当に治療はこれで終わったのか、テンのはしゃぐ姿をずっと目で追っていた。
金曜日は運動会のあとスイッチが切れるのが早く、土曜日の夜はお気に入りの場所の猫タンスの上に飛び乗ろうとして右後ろ脚が滑ってよろけた。

日曜日は昼寝が長く、夕方も昼寝してご飯を食べるときは起き上がるが、座っている後ろ右足がかすかにふるえていた。体重は3.1Kに減った。寝ているテンの頭に手をやると熱いようだ。寝てばっかりいて一緒に遊ばないテンに不満な紫苑が、人間に向かって遊べとヒステリーを起こす。FIPが発覚する前の5月と同じ状況がよみがえってきた。

次の月曜日に診察。
熱があるかもしれないこと。体重が減ったこと。昼寝が増えたこと。元気がないこと。足が震えること。獣医に説明してもう一度血液検査をしてもらった。総蛋白とアルブミンのバランスがわずかだが下がっていた。

獣医はこの数値の下がり方ではまだ再発とも言えません。さらに血液検査を外注の精密検査に回してもらう。投薬が終わったのはわずか5日前だ。数字に出てくるだけの違いはないかもしれない。
獣医が再発と考えたくない気持ちはわかる。

私は再発ではないと思う。これは再発ではなくてFIPウイルスを完全にたたききれなかった完治していない状態なのだろうと思う。完治してはいなかった。

考えてみれば、テンは2か月の時に600グラム足らずでうちにひき取ってきた。手だけに真菌があるというブリーダーの説明とは裏腹に体中に真菌にまみれていた。獣医の診断では発育不良で無事に育つかは半々と言われた子。

おじちゃんと二人がかりで薬を塗り毎日マットを消毒して4月でやっと2キロを超えた。隔離を解いて紫音とやっと遊べるようになったテンは標準体重の子猫にはとても追いついていなかった。5月には寝るのが多くなり膀胱炎になりそのあと高い熱を出した。
この子は健康で体力がある時期がほとんどなかったのだ。

FIPの診断が出た後、発覚が割と早かったし若いから治療のチャンスがあることに賭けた。
モルヌピラビルは効いた。ただ、FIPも甘くなかったのだ

猫の死病FIPは食欲不振、貧血、嘔吐、神経症状、発熱、臓器の炎症、腹水などと様々な症状となって現れる。腫瘍を切除して寛解というわけにいかない病気なのだ。ウイルスが神経あるいは臓器のどこかに潜伏していても現在でも検査の方法がない。テンのように腹水がたまらないドライタイプでは臓器の所見も異常がなければ判断が難しいのだろう。
FIPはそれだけ一筋縄ではいかないとらえどころのない病気だ。

念のためにエコーを取ったのだがやはりエコーでは異常が見当たらなかった。テンの神経症状が一番ひどく表れているのは右後ろ脚である。再び現れた右足の弱りはウイルス以外では考えられない。

私の思うに薬を再投与しなければテンは助からないだろう。
投薬再開に一番のリスクは肝臓障害。渡された血液検査の結果には肝臓数値は平常値より若干高い74で「H」がついていた。
この肝臓の限界数値はどのくらいイケますか?と質問すると、猫の場合は意外と耐えられて200くらいでも平気です。と。

神経系統に巣くっているウイルスを撲滅するために、もっと効果的なウイルス薬の投薬方法として注射や点滴はないだろうかと聞くと、人間コロナ用のレムデシベルはあるという。ただ、人間用で入手が困難だし恐ろしく高価につくだろうと。

獣医は投薬を再開とは言わず、もう少し様子を見させてくださいというのでさらに4日後に診察の予約を取った。

毎日、テンの昼寝時間は長くなってきた。
お気に入りの猫タンスにはもう登る気配を見せない。ソファには踏み台を上がってやっと登る。詩音との運動会は発作的に起きるが、ジャンプはしない。後ろ脚が踏み切れないからだ。食欲はあるが、体重は3キロに落ちた。

発育不良で体力のないテンがFIPを打ち負かすにはウイルス薬のほかに何かいる。薬の効果をブーストする体力とエネルギーの塊の何かがいると思う。高栄養の療養食とかビタミンやサプリ。テンの体力を強化する何かがいる。

明日獣医に聞いてみよう。

テン・ジュニア FIP闘病記6

投薬はあと10日。
テンの体重は3.1キロに到達した。
ドクターから3薬の容量/kgは15㎎で3.3キロまでは変わらずと言われているので、あと10日足らずでこれ以上ウイルス薬モルヌピラビルの量が増えることも、お会計が増えることもないだろう。この薬は人間のコロナの治療薬で動物に使用する許可は下りていない。未認可。それでもMutianより安い。一週間の薬代はおじちゃんとおばちゃんのアルバイトの総シフトより高いので暑さだけでなく消耗する。

テンは3キロを超えたが抱き上げるとフワフワと軽い。
毎日うれしくて短く鳴きながらリビングを走り回っている。血液検査の結果も異常な数値は見当たらない。熱もなく痩せて小さなことを除けば、ほとんど普通の子猫と変わりがない。

FIPは特効薬がなければ回復が見込めない猫の難病だ。
特効薬さえ服薬させれば完治が見込める。
5月の末の診断ではFIPの初期と思われた。しかし発熱と後ろ足に神経症状がでていたことを考えると初期というより中期にかかる状態だと、総合的に判断された。

これまでの治療は、血液検査の結果を見ながら体重の増加に合わせてウイルス薬を投薬してきた。6月に入っても薬の効果がなかなか現れず、熱が高い状態が続いたのでやむえず消炎下解熱剤を使った。
ぐったりしたテンが消炎剤の効果で一時的に元気になる。ただ、消炎剤は肝臓に負担がかかるので、5日以上連投すると肝臓障害が起きるリスクがある。そのため、テンの様子を見ながら消炎剤の量を半分にしたりして投与をした。

ウイルス剤の投薬時間はきっちり守る。
おばちゃんたちは半ばリタイアした“ぷー”(年金生活者とも言うが)毎週の診察や投薬時間を守ることは比較的容易だった。

ただ、これが仕事をしている現役だったら、。
投薬後にテンが吐かないように見守ってから出勤する必要があっただろう。朝の投薬時間を早くすれば、夜の投薬時間も早くなる。朝が7時なら、夜は7時前に帰ってこなけれ間に合わず、誰かが代わりに薬を与えなければならない。

毎週の診察もかなりの負担になっただろう。
FIP闘病の山の猫友は一人暮らしだったので、朝にMutian(中国産純正ウイルス薬)の錠剤をのませ夕方帰宅すると、床に干からびたウイルス薬を発見したことがあったという。彼女の猫は中期で容量が多く、一回の薬が8000円だったから、その時のショックは想像できる。一人暮らしでは84日間の朝晩2回の投薬時間を守ることや、毎週隣県に診察に通うことは非常な負担になる。

クリニックについて

中国産Mutianで治療できるクリニックは限られているが、獣医から紹介を受けることもできるしネットでもクリニックのリストがあったと思う。毎回CT・MRIや血液の精密検査を求めてくるクリニックもあるようで、患者のネットワークなどから評判を聞いてから診察を求めるのがいいかもしれない。

治療費

Mutianの12週間84日間分の薬代のみで現在約100万円 
さらにCT・MRI・血液の精密検査などの追加費用が掛かる。ざっと新車1台分か。
もし、クリニックの経営者が利益の追求に熱心であれば、新車でも輸入車が1台。良心的なクリニックなら国産車1台分くらいの違いがあるかもしれない。

FIPは腹水がたまったりするウエットタイプと粘液が顕著でないドライタイプがあるが、ウエット・タイプなら、CTやMRIは診断に必要だろう。定期CTも致し方ない。一般にドライのほうが予後も良いという。

ペット保険
FIPは子猫に発症することが多い。
子猫を求めたときペット保険に加入できることが多いが、FIPの治療薬は保険対象外の場合がある。ただ、診察料、検査料はカバーできるので治療費の軽減が期待できる。

生体譲渡の契約書では、大抵FIP条項がありFIPが発覚した場合は「お取替えします」と書いてある。「お取替えします」って?!不良品かよ?!ウチに来たらうちの子!
相手方はFIPの治療費は負担しないしまして購入代の返還もない。

総費用

おばちゃんがかかった費用総額は:
先代猫からのかかりつけ、若き熱血獣医がウイルス薬を持っていて治療意欲が高かったので治療をお願いした。モヌルピラビル薬と検査・診察料の総額はおよそ50万ほどになると思う。

予後

FIPの元であるコロナ・ウイルスは猫の半数が体内に持っているらしい。
特効薬で治療の後に、ストレスなどで薬で駆逐しきれなかったFIPウイルスが再度活性化し始める可能性や、免疫が落ちた時にコロナ・ウイルスから再度FIPに変異する可能性もある。

そういう意味では「完治」というより「寛解」と言ったほうがいいかもしれない。
終わりが見えてきておばちゃんはホッとしている。

One down, another to go.
今度はおばちゃんに火がついているかもしれないから。

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猛暑、FIP、闘病

体温以上の猛暑が続くこの夏はさすがにおばちゃんも庭仕事はへたばった。
早朝に水やりをして夕方4時過ぎから庭に出る。猛暑で雑草さえ伸びが遅いからさほど抜く草はない。

傾斜のある段々庭の水やりは、まず上の踊り場テラスの水栓で水を汲み、満タンのジョウロをもって段々庭を一番下まで下りる。葉っぱが黄色くなりかけた宿根草の根元にかけると水は吸い込まれて花の株元がわずかに黒いだけ。空っぽのジョウロをもって回廊を登って水栓から水を汲み、下から2段目の宿根草に水をやり、順次斜面を上がってくる。

宿根草の根本を覆っていたグレコマは枯れ、むき出しになった土は白くひび割れている。かわいそうな花たち。水をやるためによっこらせと坂を上がり水栓にむかう。シジフォスの神話みたいだ。

畑の水やりにはとてもジョウロが追っつかないのでおじちゃんはホースを水栓につないでしまった。斜面庭にある水栓は一つなので、おばちゃんは家の玄関の水栓まで汲みにいかねばならない。私は安寿か厨子王か!
暑さで頭はガンガン、心臓はドキドキして息切れもする。

ホースを持っているおじちゃんに、あとの水やりはあんたがやってと言い捨てて撤収する。汗でジャケットがぺったり肌に張り付いて気持ちがわるい。デッキからそのまま風呂場に向かってシャワーを浴びる。庭にでてから1時間もたっていない。

宿根草の弱いもの、水が足りないもの、炎天下に弱いものはすでに枯れた。
庭のあちこちに空いてしまった場所にさらに夏の花を植える気力がわかない。植えたってこの天気では枯れるし。残っている宿根草にがんばれよ!生き延びればまた来年咲ける。と心の中でエールを送るおばちゃん。種は取ってやるから。

FIPのテンの薬代を稼ぐためにおじちゃんともどもバイトをしてる。二人とも生活時間帯が朝型に変わってしまって6時半に目が覚めると、一日がひどく長い。

テンは生後9か月の虚弱で小柄なアメショーに育ち、顔がなんともあどけない子猫のままだ。遊び盛りの時代をもう一度楽しんでいる。何とかFIPを寛解に持っていけそうだ。あと3週間の投薬。

ここしばらくは集中シフトが入った。背中が痛い。
背中の右側下から3本目の肋骨あたりと左の胸。
右肋骨の胆嚢があったあたり。今はもうないが、残っているのは胆管だけ。

切除したあと再生した肝臓はデリケートらしい。タイトなジーンズなどで締め付けると痛い。だからゴムウエストのパンツをはくことが多くなっている。

褐色尿なし、黄疸なし、熱なし。
6月のガンマーカーは4種類とも陰性だった。CTには影なしリンパの腫れもなかったとタヌキの主治医が言ったし。定期検査は9月でまだひと月先だ。
でも背中が痛い。とりあえずSheinで夏用の服はこれ以上買うのをやめよう。

蛇足 闘病、ガンのステージについて
すい臓がんのUチューバーさん、ステージ4にも関わらず抗がん剤治療を経て膵頭十二指腸手術が成功し、念願の海外旅行を実現させた。

「後悔はがん保険に加入しなかったこと」と最新動画公開した。
これが記事としてYahoo に掲載されるとなんだか毀誉褒貶というか疑心暗鬼というか、否定的なコメントが散見された。

“うちの母はステージ4を宣告され治療の甲斐なく亡くなったのに、同じステージ4で抗がん剤が効いて、手術が可能で、術後1か月で旅行に行けたのが不思議、治療過程を公開すべきだ”、-とか。

このUチューバーさんにはいつも詐病のコメントがついて回る。気の毒に。
若いというのに膵臓がんのステージ4というのがまず悲劇感をそそった。クラウドファンディングを募ったこともあって、治療がうまくいくのか、非常に注目を引き動画再生数が増えた方であった。

幸運がかさなって治療が成功し、それがあまりにも映画のように劇的であるがために、詐病の疑惑が何度も提出されてきた。

詐病と疑いを招きやすいのはガンステージ4という分類方法だと思う。

「ステージ4は末期がんで手の施しようがない症状」と一般に理解されていると思う。
しかしステージ分類というのは転移の有無、転移の範囲で自動的にカテゴライズされるものである。進行度とは別。

例えば原発巣が卵巣で転移巣が肺にあるとすると、領域でない遠隔の臓器に転移がある場合は自動的にステージ4と分類される。原発巣や転移巣が小っちゃくて進んでなくてもステージ4。

進行度が低い小さな病巣に抗がん剤がよく効けば、手術で切除が可能となることもあるのだろう。彼女の場合は、膵臓がんでも抗がん剤がよく効くタイプでかつ手術が成功した。

見つかったらすでに進行がん=末期がんであるのが多い膵臓がん患者の家族してみれば、考えられないほどの運の良さが彼女にはあった。しかし、重要なのは同じステージ4の分類でも比較にならない進行度の違いがあった。そこんとこが世間に理解されていないように思う。

膵頭十二指腸切除術の1月後に海外旅行に行けるものなのか?という疑問は、おばちゃんは彼女の年齢を考えると行けると思う。

去年64歳のおばちゃんは腹腔鏡で胆嚢を取り手術後5日後に退院。次の日には庭の草取りができ2日後はコンビニまで運転した。
64歳なのに同月に今度は切腹手術だった。2度目の手術は開腹手術で、肝臓の3分の1、リンパを郭清したが9日目に退院して、3日後には庭を散歩して5日後には運転してた。術後の一月後では長距離は歩きたいと思わなかったが、30代の体力なら旅行に行けるまで回復していていてもおかしくない。

ガンは一人ひとり違う。
愛する人を同じ病で亡くした遺族の悲しさは理解できるが、ガンの理解が今少し必要ではないだろうか?
また、ガン宣告で動転していたとはいえ、動画の再生回数が上昇することでここぞとばかりクラウドファンディングなども募ったUチューバー本人も、悲劇を狙いすぎたあざとさを視聴者から突かれたのを理解すべきだと思う。

がんの宣告と治療がすべて事実であったとしても、動画の公開の仕方が見る人の不信感を誘発した責任の一端はあろう。

彼女が詐病をしているとは思わない。
彼女のすい臓がんはラッキーな種類ではあったが、再発のリスクなどを考えると人生に余計なストレスは抱えるべきではないと思う。
誹謗中傷をする視聴者へ法的制裁をするために戦うのは貴重な人生の浪費にしか見えない。

さらに言えば、Uチューバーとして自分の私生活を切り売りしていく生業が、果たして自分の人生のゴールであるのか?一般人の興味は移ろいやすい。動画は消費されて飽きられて忘れられていく。

自分の寿命が垣間見えたこの時に、自分の生きるべきことを見つめなおすいいチャンスではないのだろうか。

テン・ジュニア FIP闘病記 5

猫の半数はコロナウイルスを体内に持っているという。
コロナウイルスは病変性に変異しない限り無害だが、変異の引き金を引かれてしまうとFIPとして増殖し発症することになる。

おばちゃんが懸念していたのはこのFIPウイルスはインフルエンザ・タイプ(ウイルス駆逐して快癒)か水ぼうそう=帯状疱疹タイプ(快癒しても長年体に潜伏)なのか。悲しいことに後者の帯状疱疹=ヘルペスタイプだそうだ。

ウイルス剤でFIPウイルスをたたいて緩解に持っていけたとしても、体内のコロナウイルス(悪さをしないほう)がなくなったわけではない。症状が出ないほどFIPウイルスが少なくなっても、ストレスなどからくる免疫が低下したときにFIPが再び増殖する可能性があること。つまり再発。

もう一つのセオリーとしてはFIPウイルスを駆逐して、無害なコロナウイルスだけになったとするも、免疫が落ちた時にコロナが再びFIPに変異・再発する場合が考えられるーーということらしい。

ドクターが診断した別の生後4か月の猫は、特効薬Mutianを持っている横浜のクリニックで治療緩解にもっていけた。緩解後は彼女の免疫体系にストレスを与えないために、定期ワクチン接種も控えているという。単独飼い+完全室内飼いなので猫エイズや伝染性疾患に触れる機会が少ない。普段の検診は地元のこのドクターなので状態を理解したうえでワクチン接種なしでも診察をしてくれている。

もう一つは去勢の問題。
ワクチン接種も控える状態で去勢手術の侵襲は非常にリスキーだ。
彼女の飼い主は2年間発情期に耐えたのだが、それ以上は無理ということで生後2年で去勢手術をした。メス猫の場合は普通は開腹手術なので一晩クリニックで泊りのはずが、彼女の場合は日帰り手術!にしたのだという。

テンの血液検査の結果はドクターが驚くほど好転し体重が増えている。体重も増えているがタマタマも増大しているのだ。先々代の雄猫には十年以上スプレー問題に悩まされとうとう解決せず亡くなるまで十年耐えた。前面のFIP後面の去勢問題とおばちゃんの猫生活は穏やかでない。

投薬も問題がある。
モヌルディラビルは無味無臭というのでチュールに混ぜて食べさせていた。
最初は喜んで、えぇ~僕 朝晩チュールを食べられて幸せ~!と楽勝だったのだが、最近はなめている最中に、ん~、なんか僕もういいや とプイとそっぽ向いて歩き去ってしまうことが増え、これはイカンとチュールを足し足しになることがあった。

朝ごはんを食べた後などには、足しチュールもそっぽ向かれることがあるのだ。その場合は残りの薬入りチュールを指でぬぐい取ってテンのお口に強制摂取となる。

朝ごはんを食べさせず空腹で薬をやったらどうだ?と
9時の薬の時間までカリカリ以外ご飯なしを実行していたのだが、昨日は別の問題が発生した。

お皿の底のチュールを嫌々食べて、そのあとの朝ごはん猫缶をがっついて食べて10分後にすべて吐いた。
おばちゃんは薬~と叫んで再度チュール+薬を用意した。


空腹すぎても朝ご飯を急いで詰め込みすぎるのでよくない。9時に投薬したあと、すぐに外出をするのも控えたほうがいい。食後、最低30分は用観察である。

投薬9週目に入ってあと一息である。

テン・ジュニア FIP闘病記4 そっちか!

治療薬の投薬は8週目に入った。
熱は39度を割り、ついに平熱レンジに下がった。
体重は2900gを超え回復期に加え成長期にあたったようで毎日のように増加しつつある。来週はまた薬の増量があるかもしれない。

体調は好調。
テンは生後2か月半の真菌付きでうちに来た。真菌は人畜感染の危険があるから一月ほど隔離生活だった。病気が治って紫音と遊べるようになったのに5月の初めくらいから昼寝が多くなっていた気がする。生まれついての発育不良でドクターから育つかどうかは半々といわれたテン。FIPもしょっていることが分かったのが5月の末。

投薬を開始してから8週目だがモルヌデラビルのおかげで回復してきたテンは子猫時代をもう一度楽しんでいる。熱もなく気分も悪くなくて歩き回るテンは幸せそうだ。

詩音とじゃれあいピンポン玉を追っかける。
一番好きなのは夜歩き。
みんなが寝静まったあとにリビングをひそひそ歩く。おばちゃんがトイレに起きるとリビングのキャットタワーの根元に小さな影があり、するすると猫トイレの影に隠れごみ箱に回り込んでこちらをうかがっている。楽しくてたまらないのだろう。

おじちゃんとおばちゃんは頻繁に猫たちのごはんを買いに行くのだが、ついつい生体ペットコーナーを覗いてしまう。テンと比べるためだ。
ケージの中にいるのはほとんど3か月前後の子猫たちだが、子猫の誕生日とか大きさとか運動能力とかをチェックしてしまう。ほとんどの子猫はテンよりエネルギッシュで活動的だ。悔しい。

それでもテンは体調がよくなって尻尾をまっすぐ上げ、ぴんぴん揺らして上機嫌でリビングを歩く。肛門とタマタマが丸見え。5月のころにタマタマが目立つようになってドクターに近頃発達してきましたが、、と言うと。

ドクターが、いやいや、テンちゃんは今年いっぱいは去勢手術の心配はないですよ~、ひょっとしたら一生。との診断だったのだが。

腰から後ろ足にかけては肉がついておらず華奢なんだが、リビングを歩く後ろ姿でタマだけは存在感がある。

生育不良の猫でもFIPでも、生物として子孫を残そうという本能はあるわけで、なまじ病弱だから、生命力を全力で生殖能力に振り向けたのかもしれない。8か月だし。

健康な猫なら8か月で去勢手術は遅くないからなぁ。
おばちゃんは嫌な予感がする。

投薬は12週間目が節目でそれは8月の終わりになる。
投薬が終わったイコール寛解というわけではない。
FIPの抗体値が正常値に下がってタンパク分布や血液検査の分析が正常値になるなら、一応寛解と見ていいかもしれない。


ただ、FIPの抗体値は一生下がらないらしい。
つまり一度発症してしまうと感染したという抗体値が常に検査値に出てしまう。FIPの数値は寛解の目安にならんのだ。おばちゃんのガンと一緒で経過観察で見ていくしかないのだろう。

猫のコロナウイルスがどんなタイプのウイルスなのかそれも心配。
水ぼうそうは発症して治ったとしてもウイルスが人体のどこかに潜み、免疫が衰えた数十年後の老年に帯状疱疹として再発したりする。今は、帯状疱疹ならワクチンを接種すれば発症がおさえられるのだが、猫のFIPは治療薬でさえ認可されてないから。

困ったなぁ。
8月過ぎでもテンの体にメスの侵襲はちょっと恐ろしい。どんなリアクションがあるか、。
今は困る。

しかしながらオス猫の去勢は非常に重要なのだよ。
オス猫を飼ったことがある人ならわかると思うが、タマタマが発達してくるとオスの縄張り意識としてスプレー行動が起きてくる。オス猫のオシッコで家一軒ダメになることもある。メスと一緒なら求愛行動もある。詩音は去勢してしまったので、求愛行動は迷惑でしかない。うまくいっている二匹の関係がおかしくなるリスクもある。ああ、困った。

ドクターは1週間ごとに好転してきたテンの症状に感激している。ドクターが手掛けた最初のFIP治療の猫でもあるし、順調によくなってきて嬉しいのだ。

先日の診察で、何か質問とか気が付いたことはありますかと聞かれ、
実は、、と切り出すと
えぇ~っ、そっちかぁ?!

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5月の末にモルヌビラデルの投薬を開始してから7週間。

現在の症状は、しつこい熱が下がった。
39度後半から40度を超えていた熱が39度1分。猫の平熱は38度ほどというから正常に近づきつつある。

腰のへたりを起こしていた神経症状はほとんど見られない。しかし高いジャンプは踏切りで躊躇するみたいだ。テンは生後8か月になろうとしているが正常なアメショーより後ろ足と腰はかなり華奢で細い。頭はでかいが、下半身が華奢なアメショーに育だちそうだ。

トイレの砂はオカラの砂に変えてしまったのでかじることはなくなった。
砂を食べることはなくなったが、時たま無機質の金属などを一心不乱に舐めていることがある。
ファンストーブの表面とか、キッチンのコンセントとかフローリングの床だとか。家のふき掃除はアルカリ水を使い最後は水で拭いてからから拭きをするようにしている。

前週の血液検査の結果を受け取ったのだが、蛋白分布はかなり正常に近づいていた。5月初めの検査に見られたFIP特有のM字グラフはなだらかな波のように見える。

熱が下がったのでテンは8か月の子猫に戻った。
紫音と追っかけっこをしソファーに飛び上がり猫じゃらしで遊ぶ。おじちゃんがキッチンにいるときに椅子からおじちゃんの背中に飛び乗り、それからキッチンのカウンターに飛び降りた。

3か月ぶりだった。
キッチンカウンターは子猫のテンにはジャンプが届かず、ず~と紫音だけの天下だった。唯一カウンターに飛び乗れるチャンスはキッチンでおじちゃんがかがんでいる時を狙うしかなかった。じつに3か月ぶりにテンはキッチンカウンターに飛び乗った。明け方の運動会も再開した。

夜半に起きると、テンはおじちゃんのベッドにいない。
トイレに向かうとリビングの足元で黒い影がするすると走る。キャットタワーを降りて猫タンスに向かい猫トイレの陰に身を沈めておばちゃんの動向をうかがう。楽しそうだ。
体重は2700gで停滞しているのだがこの夜遊びの運動量が多いのかもしれない。

モルヌビラデルは無味無臭(ドクターが言った)で何かに混ぜて飲ませて大丈夫ということだったので、皿にチュール小さじほど絞って薬を混ぜた。テンは朝晩今生の幸せ!と喜んでなめていたのだが、3,4日前から薬の粒が多そうな皿の中心に来ると、なめるのを止めてしまうようになった。チュールを皿に追加してもチュールだけ舐めるので、おじちゃんにテンを抱いてもらい皿に残った薬+チュールを指でこそげてテンの口を開け強制摂取になった。

薬が苦い?のかまずいのか気が付いてしまったのか?
子ネコ用チキンチュールなのだが、フレーバーを変えてみた。総合栄養チキンというのがあったがこのチュール自体が嫌いみたいで、皿によりつくこともしなかったから、またおじちゃんに抱きかかえられて強制摂取になった。

大人用マグロもあまり食いつきがよくない。大人用チキンだとチュールを追加しながらごまかしてなめさせることができた。チュールでごまかせなくなったらどうするか、まだあと5週間もあるのだ。ヤマザキのチーズ蒸しパンを買ってきた。

菓子パンやスポンンジの柔らかい生地で粉薬をまとめて丸にする。それを抱きかかえてもらった猫の口にポイして素早く注射器の水を飲ませる。猫の食道はデリケートなので飲み込みやすいように水分を補給してやるのだ。紫音に虫下しを飲ませるときに使った手だが、モルヌデラビルは何せ1mgいくら?という高い高い薬だから、取りこぼしなく飲んでもらわないと困る。いや足らなければFIPが治らない。

一服分の薬包に入った粉薬は、ワックスでコーティングされた薬包の四隅にまんべんなくへばりついているので、中指で薬包をピンとはじき、袋のボトムに粉を落としてから天辺をハサミで切る。慎重に皿にあけるのだが、薬包の内側には落ちなかったナノミリグラムの薬が落ち切らずに残っているのではないか?毎度気が気ではない。

テンの体重1gにつき15㎎なのだから1㎎でも減らしたらテンの命は終わるかもしれない。
くっそ~、丸薬ならよかったのに。毎回、数ナノミリgを袋に残している気がして精神状態がよくない。
あと5週間。

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