猛暑、FIP、闘病

体温以上の猛暑が続くこの夏はさすがにおばちゃんも庭仕事はへたばった。
早朝に水やりをして夕方4時過ぎから庭に出る。猛暑で雑草さえ伸びが遅いからさほど抜く草はない。

傾斜のある段々庭の水やりは、まず上の踊り場テラスの水栓で水を汲み、満タンのジョウロをもって段々庭を一番下まで下りる。葉っぱが黄色くなりかけた宿根草の根元にかけると水は吸い込まれて花の株元がわずかに黒いだけ。空っぽのジョウロをもって回廊を登って水栓から水を汲み、下から2段目の宿根草に水をやり、順次斜面を上がってくる。

宿根草の根本を覆っていたグレコマは枯れ、むき出しになった土は白くひび割れている。かわいそうな花たち。水をやるためによっこらせと坂を上がり水栓にむかう。シジフォスの神話みたいだ。

畑の水やりにはとてもジョウロが追っつかないのでおじちゃんはホースを水栓につないでしまった。斜面庭にある水栓は一つなので、おばちゃんは家の玄関の水栓まで汲みにいかねばならない。私は安寿か厨子王か!
暑さで頭はガンガン、心臓はドキドキして息切れもする。

ホースを持っているおじちゃんに、あとの水やりはあんたがやってと言い捨てて撤収する。汗でジャケットがぺったり肌に張り付いて気持ちがわるい。デッキからそのまま風呂場に向かってシャワーを浴びる。庭にでてから1時間もたっていない。

宿根草の弱いもの、水が足りないもの、炎天下に弱いものはすでに枯れた。
庭のあちこちに空いてしまった場所にさらに夏の花を植える気力がわかない。植えたってこの天気では枯れるし。残っている宿根草にがんばれよ!生き延びればまた来年咲ける。と心の中でエールを送るおばちゃん。種は取ってやるから。

FIPのテンの薬代を稼ぐためにおじちゃんともどもバイトをしてる。二人とも生活時間帯が朝型に変わってしまって6時半に目が覚めると、一日がひどく長い。

テンは生後9か月の虚弱で小柄なアメショーに育ち、顔がなんともあどけない子猫のままだ。遊び盛りの時代をもう一度楽しんでいる。何とかFIPを寛解に持っていけそうだ。あと3週間の投薬。

ここしばらくは集中シフトが入った。背中が痛い。
背中の右側下から3本目の肋骨あたりと左の胸。
右肋骨の胆嚢があったあたり。今はもうないが、残っているのは胆管だけ。

切除したあと再生した肝臓はデリケートらしい。タイトなジーンズなどで締め付けると痛い。だからゴムウエストのパンツをはくことが多くなっている。

褐色尿なし、黄疸なし、熱なし。
6月のガンマーカーは4種類とも陰性だった。CTには影なしリンパの腫れもなかったとタヌキの主治医が言ったし。定期検査は9月でまだひと月先だ。
でも背中が痛い。とりあえずSheinで夏用の服はこれ以上買うのをやめよう。

蛇足 闘病、ガンのステージについて
すい臓がんのUチューバーさん、ステージ4にも関わらず抗がん剤治療を経て膵頭十二指腸手術が成功し、念願の海外旅行を実現させた。

「後悔はがん保険に加入しなかったこと」と最新動画公開した。
これが記事としてYahoo に掲載されるとなんだか毀誉褒貶というか疑心暗鬼というか、否定的なコメントが散見された。

“うちの母はステージ4を宣告され治療の甲斐なく亡くなったのに、同じステージ4で抗がん剤が効いて、手術が可能で、術後1か月で旅行に行けたのが不思議、治療過程を公開すべきだ”、-とか。

このUチューバーさんにはいつも詐病のコメントがついて回る。気の毒に。
若いというのに膵臓がんのステージ4というのがまず悲劇感をそそった。クラウドファンディングを募ったこともあって、治療がうまくいくのか、非常に注目を引き動画再生数が増えた方であった。

幸運がかさなって治療が成功し、それがあまりにも映画のように劇的であるがために、詐病の疑惑が何度も提出されてきた。

詐病と疑いを招きやすいのはガンステージ4という分類方法だと思う。

「ステージ4は末期がんで手の施しようがない症状」と一般に理解されていると思う。
しかしステージ分類というのは転移の有無、転移の範囲で自動的にカテゴライズされるものである。進行度とは別。

例えば原発巣が卵巣で転移巣が肺にあるとすると、領域でない遠隔の臓器に転移がある場合は自動的にステージ4と分類される。原発巣や転移巣が小っちゃくて進んでなくてもステージ4。

進行度が低い小さな病巣に抗がん剤がよく効けば、手術で切除が可能となることもあるのだろう。彼女の場合は、膵臓がんでも抗がん剤がよく効くタイプでかつ手術が成功した。

見つかったらすでに進行がん=末期がんであるのが多い膵臓がん患者の家族してみれば、考えられないほどの運の良さが彼女にはあった。しかし、重要なのは同じステージ4の分類でも比較にならない進行度の違いがあった。そこんとこが世間に理解されていないように思う。

膵頭十二指腸切除術の1月後に海外旅行に行けるものなのか?という疑問は、おばちゃんは彼女の年齢を考えると行けると思う。

去年64歳のおばちゃんは腹腔鏡で胆嚢を取り手術後5日後に退院。次の日には庭の草取りができ2日後はコンビニまで運転した。
64歳なのに同月に今度は切腹手術だった。2度目の手術は開腹手術で、肝臓の3分の1、リンパを郭清したが9日目に退院して、3日後には庭を散歩して5日後には運転してた。術後の一月後では長距離は歩きたいと思わなかったが、30代の体力なら旅行に行けるまで回復していていてもおかしくない。

ガンは一人ひとり違う。
愛する人を同じ病で亡くした遺族の悲しさは理解できるが、ガンの理解が今少し必要ではないだろうか?
また、ガン宣告で動転していたとはいえ、動画の再生回数が上昇することでここぞとばかりクラウドファンディングなども募ったUチューバー本人も、悲劇を狙いすぎたあざとさを視聴者から突かれたのを理解すべきだと思う。

がんの宣告と治療がすべて事実であったとしても、動画の公開の仕方が見る人の不信感を誘発した責任の一端はあろう。

彼女が詐病をしているとは思わない。
彼女のすい臓がんはラッキーな種類ではあったが、再発のリスクなどを考えると人生に余計なストレスは抱えるべきではないと思う。
誹謗中傷をする視聴者へ法的制裁をするために戦うのは貴重な人生の浪費にしか見えない。

さらに言えば、Uチューバーとして自分の私生活を切り売りしていく生業が、果たして自分の人生のゴールであるのか?一般人の興味は移ろいやすい。動画は消費されて飽きられて忘れられていく。

自分の寿命が垣間見えたこの時に、自分の生きるべきことを見つめなおすいいチャンスではないのだろうか。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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