テン・ジュニア FIP闘病記3

5月の末にモルヌビラデルの投薬を開始してから7週間。

現在の症状は、しつこい熱が下がった。
39度後半から40度を超えていた熱が39度1分。猫の平熱は38度ほどというから正常に近づきつつある。

腰のへたりを起こしていた神経症状はほとんど見られない。しかし高いジャンプは踏切りで躊躇するみたいだ。テンは生後8か月になろうとしているが正常なアメショーより後ろ足と腰はかなり華奢で細い。頭はでかいが、下半身が華奢なアメショーに育だちそうだ。

トイレの砂はオカラの砂に変えてしまったのでかじることはなくなった。
砂を食べることはなくなったが、時たま無機質の金属などを一心不乱に舐めていることがある。
ファンストーブの表面とか、キッチンのコンセントとかフローリングの床だとか。家のふき掃除はアルカリ水を使い最後は水で拭いてからから拭きをするようにしている。

前週の血液検査の結果を受け取ったのだが、蛋白分布はかなり正常に近づいていた。5月初めの検査に見られたFIP特有のM字グラフはなだらかな波のように見える。

熱が下がったのでテンは8か月の子猫に戻った。
紫音と追っかけっこをしソファーに飛び上がり猫じゃらしで遊ぶ。おじちゃんがキッチンにいるときに椅子からおじちゃんの背中に飛び乗り、それからキッチンのカウンターに飛び降りた。

3か月ぶりだった。
キッチンカウンターは子猫のテンにはジャンプが届かず、ず~と紫音だけの天下だった。唯一カウンターに飛び乗れるチャンスはキッチンでおじちゃんがかがんでいる時を狙うしかなかった。じつに3か月ぶりにテンはキッチンカウンターに飛び乗った。明け方の運動会も再開した。

夜半に起きると、テンはおじちゃんのベッドにいない。
トイレに向かうとリビングの足元で黒い影がするすると走る。キャットタワーを降りて猫タンスに向かい猫トイレの陰に身を沈めておばちゃんの動向をうかがう。楽しそうだ。
体重は2700gで停滞しているのだがこの夜遊びの運動量が多いのかもしれない。

モルヌビラデルは無味無臭(ドクターが言った)で何かに混ぜて飲ませて大丈夫ということだったので、皿にチュール小さじほど絞って薬を混ぜた。テンは朝晩今生の幸せ!と喜んでなめていたのだが、3,4日前から薬の粒が多そうな皿の中心に来ると、なめるのを止めてしまうようになった。チュールを皿に追加してもチュールだけ舐めるので、おじちゃんにテンを抱いてもらい皿に残った薬+チュールを指でこそげてテンの口を開け強制摂取になった。

薬が苦い?のかまずいのか気が付いてしまったのか?
子ネコ用チキンチュールなのだが、フレーバーを変えてみた。総合栄養チキンというのがあったがこのチュール自体が嫌いみたいで、皿によりつくこともしなかったから、またおじちゃんに抱きかかえられて強制摂取になった。

大人用マグロもあまり食いつきがよくない。大人用チキンだとチュールを追加しながらごまかしてなめさせることができた。チュールでごまかせなくなったらどうするか、まだあと5週間もあるのだ。ヤマザキのチーズ蒸しパンを買ってきた。

菓子パンやスポンンジの柔らかい生地で粉薬をまとめて丸にする。それを抱きかかえてもらった猫の口にポイして素早く注射器の水を飲ませる。猫の食道はデリケートなので飲み込みやすいように水分を補給してやるのだ。紫音に虫下しを飲ませるときに使った手だが、モルヌデラビルは何せ1mgいくら?という高い高い薬だから、取りこぼしなく飲んでもらわないと困る。いや足らなければFIPが治らない。

一服分の薬包に入った粉薬は、ワックスでコーティングされた薬包の四隅にまんべんなくへばりついているので、中指で薬包をピンとはじき、袋のボトムに粉を落としてから天辺をハサミで切る。慎重に皿にあけるのだが、薬包の内側には落ちなかったナノミリグラムの薬が落ち切らずに残っているのではないか?毎度気が気ではない。

テンの体重1gにつき15㎎なのだから1㎎でも減らしたらテンの命は終わるかもしれない。
くっそ~、丸薬ならよかったのに。毎回、数ナノミリgを袋に残している気がして精神状態がよくない。
あと5週間。

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テンJr.がFIP

ジュニアFIP モルヌピラビル 5週目

夫婦別申告すると国保税はどうなる

おばちゃんのマイクロ法人計画は進んでいない。

なんでかって言うと、マイクロ法人を設立して国民健康保険料は確かに減るが、その分税理士料金が増えてトントンになりそうだから。

法人の申告は面倒くさいとどのページでも書かれている。
そこをわけのわからん日本語を解読しながらおばちゃんが自分でやろうというだけの気力がわいてこない。

テン・ジュニアはFiPで闘病中だし、紫音は頻繁におなかを壊し検便をしても寄生虫は発見されない。寄生虫のせいでないなら詩音はなぜ頻繁に下痢をするのか。払っても払っても払っても、嫌な予感がわいてくる。怖すぎて鬱々としている。

どうだかなぁ。マイクロ法人なぁ。
マイクロ法人で節約できるのは国民健康保険税だけだ
そもそも雑収入の年金はその他の収支と損益通算できない。つまりどんな事業をしても赤字にしても年金収入は雑収入として申告せねばならない。節税するなら、住民税と国民保険税と介護保険税を個別に攻略する必要がある。

住民税はふるさと納税を使う。ちびっとだがふるさと納税のお礼を生活に充填する。本来の生活費が若干減る。つまり節税。

国保―これをマイクロ法人にするなら社会保険に強制加入だから料金が下がる。会社負担分があるが、。

介護保険―これはどうやってもどうにもならない。所得を減らさない限りいかなる節税技も無理。
ただし、介護保険は不思議なことに所帯収入から算出されるのではなく個人収入から算出される。なんでや?

そこでおばちゃんは、去年税務署と話した会話がピコんと蘇った。
おばちゃんたちの年金はおもに海外年金である。
米国年金は源泉徴収がされていないので確定申告をする必要があるのだ。そのとき、税務署は夫婦別に申告してもらいますと言った。
おばちゃんは聞き流した。

なんでかというと、年金は今年2月からの支給で実は支給が1か月分抜けている。バイトは55万まで控除だから夫婦合算で申告してもおばちゃんはぎり非課税か少しでるかという金額であったから、個別で申告しようが夫婦合算で申告しよう所得税の納税額はたいして変わらぬと思われたから。

その時の会話を思い出して、、神が降り立った!
所得税は確かに変わらんが、夫婦別申告なら国民健康保険税は変わるのではないか?
おばちゃんが非課税なら、国保料も最低のはず。国保料の軽減も使えるはず。

さらに、、、素晴らしい!!のは高額医療限度額の限度額が世帯ではなく個人に応用されるならおばちゃんの窓口支払いは1割、限度額これまたひと月3万9千円の最低ランクになるはず!
私って天才!

さっそく夫婦別に税のシュミレーションをしてみると、国保は世帯割が増えて4万ほど増額になるが、所得割が下がる。究極の狙いは高額医療限度額制度。おばちゃんのガンが再発したら窓口1割、限度額も最低でないと。
ちょうど市役所に行く用事があったので、おばちゃんはわくわくしながら国保課に向かった。

おばちゃんは何せ背が高くて態度がでかくて田舎では目立ちやすいので、近頃はなるべく気配を消す訓練をしている。
目立ちたくないときは、猫背になり肩をすぼめて視線を落としぼそぼそしゃべるように努力している。

コロナの初期に国はコロナで収入が減った世帯のための住民税・国保・介護保険など減免の救済制度を打ち出した。おばちゃんはさっそく申請書をダウンロードして記入し役場に持参して手続きを要求したのだが、この田舎の役所で第一号だったみたい。

国が打ち出した救済制度というのに、しかも地方の窓口にもパンフレットがちゃ~んと置いてあるというのに、実際のケース処理が初めてらしく、どうやっていいかわからんと言うのだ。申請書さえ受け取らないというので、窓口カウンターでやりあったから人口の少ないこの町でこれ以上目立ちたくない。

それで今回は用心して目立たぬように国保の相談窓口に座った。
国保税の個別算出について窓口の平職員ではわからないので、納税課の課長を引っ張り出すことになった。課長が言うには、夫婦別の確定申告なら夫婦別の収入について確かに国保税の算出を行う、と。
やった!

おば:で、高額医療限度額も個別なんでしょう?
課長は記憶を確かめるように
課長:ええっと、たしか限度額は所帯収入で同じになると思います。
おば:はぁ?介護保険でも夫婦別々に収入に基づいて計算するんですよね?
課長:そうです。
おば:それで介護保険にも限度額制度があって、夫婦別ですよね?
課長:同世帯の課税者がいれば調整されます。
おば:で、国保の場合も別々に算出するんだから別々の限度額なんですよね?
課長:世帯に収入が多い人がいるとそちらに引っ張られます。
    ご主人の収入が高ければ、あなたの限度額はご主人に合わせて上がります。
おば:はぁ?(なんでや!)ぐぬぬ。
課長:そういう制度なんです。

ふん、2枚舌が
所得税は別々に取ったろ。国保は別々にしたら税収減るから世帯基準でとったろってか。

一緒に聞いていたおじちゃんは、ぼそっと、
だから、国は取れるところから取るんだよ。どうせ払うものだからしょうがないだろう。

そうか、じゃあ来年の税はおじちゃんの積み立て口座から現金をおろして、一括支払うことにするか、。一般徴収だからすべての税納付書が役所から届くのだ。
それは困る。

マイクロ法人作ったろ。
でもなぁ、税理士に料金を払うと結局同じだし、ただ、医療費の窓口料金と限度額は社会保険のほうが安くなるなぁ。
でも法人申告の税理・日本語がかけわからんしなぁ。

そのうち国はマイクロ法人の資格として最低売り上げを導入しそうな気もする。去年サラリーマンの副業で最低300万売り上げを導入して損益通算をつぶしたし。
国民の懐を狙ってくる国ってつくづく情けなくないか?

まあ、私が死んだらおじちゃんは国保料が安くなるからその時はマイクロ法人の必要もないし、
ああ、めんどくせぇなぁ

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米国年金をもらうー8

引退生活・シュミレーション・シート

やぶ蚊ホイホイ

気温が25度を超えると蚊が活発になる。
おばちゃんは血液型O型で何やら最新の研究によると蚊の喜ぶ匂いを放出しているタイプらしい。きっとそうだ。
足を洗ってもアルコールで消毒したとしても、山のやぶ蚊とブヨはおばちゃんを狙ってくる。やぶ蚊ホイホイ。

庭仕事に出陣するときは、まず膝までの長い靴下に履き替える。なぜなら短い靴下だと野良仕事用パンツの裾と靴下の境目の素肌を刺されるから。
野良用コットンのシャツを着る。
ワークマンの“着ると涼しいシャツ”は薄すぎてそのままブスブス刺されるから。
シャツから出ている首に蚊を寄せ付けないスプレーを擦り付ける。

野良用ジーンズをはく。薄い生地はかがんでピンと張ったときにお尻を刺されるから。

ネット付きの帽子をかぶる。ブヨはおばちゃんの瞼が大好きだから。
使い捨てのビニール手袋をしてその上から庭作業手袋をはめる。なぜなら庭仕事用手袋は手の候がメッシュでその上から刺されるから。
台所用のビニール手袋は刺されないのだが、真夏は暑くて手袋の中に汗がたまる。すぐ汗臭くなってしまうので、使い捨て+庭手袋が使いやすい。

真紅のコメリの長靴をはく。
なぜなら短い靴だと靴と靴下の間を靴下の上から刺されるから。
最後にアース製薬の最強蚊取り線香に火をつけ腰にぶら下げる。金鳥の普通の線香の場合、風向きによって頭側から襲ってくる蚊やブヨを追い払えない。

草取りに夢中でかがんでいると、おじちゃんが首!と言う。
帽子についているネットが前傾姿勢でかがんでいると垂れ下がってうなじが丸見えになっていたのだ。

ああ、あやうく那須与一になるところだった。那須与一?
違った。
耳なし芳一だった!
お経を書き忘れた耳を悪霊にちぎり取られた耳なし芳一。

これだけ用心してもおばちゃんの体には、いま3か所アンパンマンのかゆみパッチが貼ってある。お買い物だから薄めのパンツをはいてコメリに行ったら、売り場で太ももを刺された、パンツの上から。

昨日、卓球サークルの復活バーベキューに出かけて、誰一人刺されていないのに、靴下の上から足の甲を刺された。バレーシューズのせいだわ。腰の2か所は寝ている間に刺されたみたい。
おばちゃんはアンパンマンのかゆみパッチなしでは生きていけない。

おじちゃんはこの特異体質を笑うが、今年はスズメバチの発生も多いそうで、蜂アレルギーがあるおばちゃんがさされると、生死にかかわるかもしれないので楽天で新兵器をオーダーした。

昨日その「オニヤンマ」が届いた。
早速、野良用帽子に取り付ける。一匹1200円以上なのでとりあえず一匹だけ買って効果を試してみたい。もし効くなら背中用にもう一匹買おうと思う。イヤリング代わりに両耳にぶら下げてもいいかもしれない。

ジュニアFIP 闘病記 5週目

ひと月ぶり記事の更新です。

テン・ジュニアがFIPと診断され治療を開始してから5週間。
7か月の成長期なので、病気でも体重は徐々に増え2600gから2700gを超えた。体長は紫音と同じくらいになりつつある。

朝晩に投薬をし体重を計る。
動物用の体温計は先端がフレキシブルで曲がるのだが、嫌がるテンが暴れて肛門が切れてしまうことがあったので手のひらで頭の熱さを測る。
いつもじんわりと熱い。


1週間に一回の診察では体温が39.5分を切ったことがない。腰が砕けるという神経系の症状はウイルス治療薬(モルヌピラビル)3週間ほどでほとんど見られなくなったのだが、熱は下がらない。

涼しい朝型と夜は若干活発で、日中は寝ていることが多い。
食欲はあるのが幸い。先日は3回目の血液検査でたんぱく質の分布カーブは好転していた。ドクターの7週間の治療というのは、“最短ならと“いう意味で、完治を目指すにはやはり12週の投薬は必須だという。
まだ、やっと3分の1.

同じFIPの治療をした猫友に聞けば、彼女の猫はFIP中期で診断がついてから治療を開始したので、Mutian(中国製の特効薬)での投薬は4か月どころか半年以上続きCTスキャンは10日ごとにやったという。

余談:
FIP治療中のCTスキャンは本当に10日ごとに必要なのかと考えてしまう。彼女の猫はドライタイプのFIP中期で腎臓の腫れがあったが、10日でCTスキャンの所見はそれほど変わるとは思えないのだが、。

治療薬

さて、治療薬は猫の体重1gにつき計算されるので、症状が回復に向かい体重が増えてきた後半には、1回の服薬量も増え、一錠8000円、朝晩2錠で16,000円。10日分の治療薬が16万。
だったという。そのほかの診察料・検査代で軽く外車一台分かかったと泣いていた。

テンが服用しているのは国産のモルヌピラビル剤。これは中国製のムティアン(Mutian)の薬代の約半額。成猫のアメリカン・ショートヘアは4キロから5キロなので、テンの治療最終段階には、一錠4000円くらいになるのだろう。
おじちゃんと私はバイトのシフトを増やし治療代の足しにしてる。

発育不良で真菌がついていたテンはおばちゃんたちが引き取らなかったら、たぶんブリーダーで真菌症のために死んでいたと思う。チューブ入りの塗り薬を塗るだけで、薬はなめちゃうんですよね~といい、真菌治療薬も飲ませていなかった。体力があれば生き残るだろうと思っていたのではないか。獣医の診察を受けていたようにも思えなかったし。

そのブリーダーは知り合いから飼いきれなくなったFIPのシャムを引き取って看取りをしたと言っていたから、無論テンがブリーダーのもとでFIPを発症しても治療はしてもらえず看取ってもらうだけだったろう。

おじちゃんとおばちゃんは、テンに向かって言う。
発育不良でも高かったお前を引き取って、真菌症のケアをして治療費を払い、FIPの薬代のためにあんまり入れたくもないシフトを全部入れて稼いでいるのだから、頑張って元気になれ。元気になって心配しているお姉ちゃんの紫音と遊べるようになれ。

おじちゃんがいない時、おばちゃんはこっそりテンに言う。
もしもおばちゃんがいなくなったら、おじちゃんと紫音をかまってやれるのはお前だから。紫音は一人でいられないさみしがり屋のシャムだから猫兄弟がいるんだよ。おじちゃんは2匹の猫を面倒を見なければいけないなら気がまぎれるだろう。元気になれ。

おばちゃんは老眼でかすむ目で、高っかい粉薬を1ナノグラムでもこぼすまいと慎重にチュールの上に振りまいてテンがすべてなめきるように見守っている。
あと7週間。

余談:
FIPの診断がつく前に、テンは異食をするようになった。
壁やフローリングをぺろぺろ舐める。それはいいが、トイレの砂を食べる。

止めても止めても食べる。科学的に固まる砂であるから健康にいいはずがない。ドクターに相談したのだが、原因はたぶん口が気持ち悪いのではないか、ということだった。
FIPは消化器系にも炎症があるので気分の悪さを別の味で紛らわせたかったのかもしれない。ゼオライト系の砂は病気のテンには食べさせたくないので、紙でできたトイレ砂に変えることにした。

ところが、紙砂でも齧る。
再度相談すると、ドクターの猫はオカラからできた砂を使っているという。少し値段が高いがテンの健康のためオカラ砂にしてみた。さらに口の気持ち悪さを軽減するために猫草をトイレの前に置いてみた。
テンは猫草をちょいとなめそれからトイレに行くようになってオカラ砂は今のところ齧ってない。

胆嚢ガン ステージ2 術後1年2か月

昨日は血液検査とCTスキャンの検査日だった。胆嚢ガン拡大手術後1年と2か月になる。
おじちゃんには家で病気のテンを見ていてほしいと言ったのだが、おじちゃんは返事をせず一緒に病院に来た。

血液検査は40人待ちで、CTスキャンは予約時間を1時間オーバーしても呼び出しはなかった。一番長いのが主治医の診察までの待ち時間。血液検査の結果が出てさらにCTの解像を終えてから患者が呼び出されるのだ。おじちゃんが、ここんとこ俺たちはず~と病院で待ってるな。2週間のあいだ動物病院でも待って人間の病院でも待って。

経過観察の3か月ごとに、おばちゃんの近未来計画はリセットされる。
1か月か2か月先の近々未来はおおむね計画立案が可能。3か月目の血液検査でどうひっくり返るかわからない。

4種類のガン・マーカーは陰性だった。
CT画像でも肝臓やリンパの異常は見られなかった。

おばちゃんは主治医にこの病院で遺伝子パネル検査を受けられないか聞いた。切除した胆嚢ガン組織を持っているのはこの病院だけだし、公立だからパネル検査可能の病院かもしれない。

あれ~、うちの病院できたっけか?
タヌキ主治医は驚いた。


遺伝子パネル検査をやってくれという患者は私が初めてなのか?これは驚き。地域では肝胆膵の専門なんだが?

静岡県の人口は357万人 日本の人口1億2450万人 比率では0.286
胆道ガンの患者総数は発症22,159 (死亡17,773 実に8割が死ぬ)人口10万人当たりの罹患率は17.6人とする
すると静岡県の胆道ガン患者は628人となる。
さらに静岡市と浜松で県人口の4割を占める。これは東部の病院には来ない。

するとあとは大体半分の患者300人で、近くに有名ながんセンターがあるからそちらに6割流れるとすると、かかりつけのこの病院には年間180人くらい?

手術できない患者は腫瘍内科に回るから、実質 肝胆膵外科に回ってくる胆道ガン患者は100人くらいでここは専門が3人いるから、タヌキ主治医が診るのは年間12人から20人くらいか?
それでも遺伝子パネル検査を要求する患者が一人もいなかったのか?ネットの時代なのに?

遺伝子パネル検査をやれば胆嚢ガンの遺伝子異常の有無がわかる。
去年認可になった胆嚢ガン分子標的治療薬はFGFR融合遺伝子に変異がある患者に治療が見込めるという。ただこの遺伝子変異の可能性は胆道ガン患者の13~17%くらいらしい。遺伝子変異がある患者に対して分子標的治療薬が効くのだ。

分子標的薬が使えるかどうか知りたいというより、おばちゃんの狙いは好奇心と費用である。今年から来年4月まではおばちゃんの国民健康保険料と高額医療限度額は制度上の最低額である。遺伝子パネル検査が保険適応になった以上、次の定期検査の9月にパネル検査をすれば月の費用はすべて3万9千円ほどで済んでしまう。安い!

おばちゃんはどうしてこう言う風に頭が回ってしまうのだろうか?
再発した場合、医者は立場上抗がん剤を進めるだろう。おじちゃんはきっと縋り付くだろう。おじちゃんのために効きもしない抗がん剤を次々3種類試すのは御免である。

去年認可された分子標的治療薬の話も出るかもしれない。しかし分子標的治療薬は遺伝子変異があると効く。その遺伝子変異があるかどうかは遺伝子パネル検査で判明する。だから検査だけを安い時にやっておけば効率がいい。効きもしない選択肢を最初からつぶしておく狙いもある。

もう一つは好奇心。
おばちゃんは両親と姉妹の6人家族だった。
父と母と長女は胆石を手術した。家族6人のうち胆石にかからなかったのは(もしかしてかかっているかもしれないが、聞かされていない)次女と3女だけ。6人のうち4人が胆石持ちというのは遺伝子的に興味深くないか?

もし遺伝子変異があったとして、再発したときには分子標的薬だけの費用ですむ。確か加入している医療保険には先進治療の治療費カバーがあった気がするなぁ?また、給付金でプラスになるかもしれない。

テンJr.がFIP

テンが3週間前に膀胱炎を発症して、それは抗生物質と消炎剤で収まったのだが、私はどうしても疑問をぬぐい切れなかった。この子はどこかおかしい。何かが内臓に隠れているような気がする。
子猫ってこんなに動かないものだったろうか?
おじちゃんは、ちゃんとご飯は食べるよ。夜中に起きてカリカリを食べていたよ。というのだが。

紫音が午後四時にうるさく鳴いて遊べという。
キッチンカウンターに登って暴れまわる。テンと遊びなさい。テンは寝ていた。子猫にしては寝すぎではないか?土曜日の4時だった。胸騒ぎがするがこの時間に病院に連れて行っても予約がいっぱいだろう。

日曜日の朝、テンに呼び掛けても反応がなかった。
頭をもたげることもしんどそうだ。痩せて発育不良の体は冷たくて頭だけ熱い気がする。おじちゃんを呼んで体温を計ったら39度を超えていた。

もともと体力がある子ではないので、このままにしていたらきっと持たないだろう。病院の診察時間前で電話も保留だったが、連れて行ってドアが開いていたので診察をお願いした。血液検査をお願いします。二日なにもしなかったらこの子は死にますから。

血液検査の結果は数日かかるので、応急手当として抗生剤と消炎剤と点滴を入れた。
帰宅して午後にはテンは走り出してソファーに飛び乗った?!なんと!

おかしい。抗生物質だけの場合はこんなに回復が著しくはない。消炎剤を入れたときに劇的回復を見せるのだ。ただ、腰が砕けて時々歩行がヨれる。血液検査の時に暴れたから血管や健を傷つけたのかもしれない。

次の日も朝一で診察をしてもらい同じ抗生物質と消炎剤を入れた。自宅に帰れば紫音と駆け回った。おかしい、あれほど消耗していたのに。

月曜日に血液検査結果がでてFIPと。
FIPにはドライとウエットタイプがあって、腹水やリンパに液が溜まるウエットタイプのFIPは貯留した体液からウイルスが検出されればFIP同定できる。ドライのタイプはどこにウイルスが潜んでいるかわからず検出が難しいが血液検査の蛋白分布から暫定FIPだと。発育不全はFIPの症状の一つでもあるんですと。

FIPか!?

猫のFIPは不治のエイズ診断と同じようなものだ、中国製の治療薬が輸入される前は。
治療薬が手に入るようになった今でも、薬を持っているクリニックの数は限られ、近いところでは横浜までいかねばならない。

なぜ知っているかというと、山の猫友のノルウエージャンがFIPを発症したからだった。
猫友にシッターを頼まれて世話をしに行ったら、あちこちに粘液を吐いた跡がありバスタブのふちにぶるぶる震えているノルウエージャンがいた。猫友にこの子はおかしいよと報告すると旅行を1日切り上げて帰宅した。それが彼女のFIPの始まりだった。

FIPの治療の問題は治療できるクリニックが限られているということだけではなく、治療薬の高さだった。国の認可薬がない。

猫友の場合は2年前なので84日間の治療薬だけで80万、診察料・検査・通院などでさらに倍かかる。FacebookでもアメリカのFIP治療のサイトがあって、7000ドル以上の薬をどうやって工面するかという問題が焦点だった。

インフレで値上がりして今年ではMutian薬だけで100万円。ペット保険はFIP薬は免責、ペットの売買契約でも、FIPの場合は免責事項が設けられているのが普通だ。FIP なら猫をお取替えします、と。

かかりつけのクリニックの獣医さんは若いが優秀だった。
Mutianでの治療を望むなら横浜の病院を紹介しますが、Mutianではないけどウイルス薬は持っています。人間用のコロナ治療薬を流用したものです。Mutianは84日間の連続投与が必要なのだが、後発薬なら7週間で費用は安くできます。

猫友が横浜のクリニックまで治療に通った苦労は聞いていた。
テンは発見が早かったから後発薬でもチャンスがあるのではないだろうか。6か月の子猫だから早く薬でたたけば治癒が望めるのではないか?

後発薬で治療をお願いした。
何よりも近場で急変があったときにすぐに見てもらえる。猫友によればFIPの治療には薬の匙加減がモノを言うという。猫の体重と体調を見ながら量を増減するのが重要。それならば、毎日でも通える地元のかかりつけなら体重を計りながら薬の微調整が可能だ。

テンが真菌症の治療を始めた時からテンの育成日記をつけていたので、表に手をいれてさらに書き続けることにした。腰が砕けて右足をひきずるようになったのは、血液検査の後からであった。
血管か腱を傷つけたのかと思ったが、先生によれば「左足」から血液を採ったという。FIPの症状の一つには神経系統に巣くって障害を起こす場合がありますと。腰のふらつきはFIPウイルスだったか?

月曜日に処方してもらって抗ウイルスの投薬を始めた。
同時に注射をしてもらった消炎剤の効果が切れ始めると、テンはまた動きが鈍くなってツグラで横になっていた。消炎剤は5日以上連続投与すると腎臓障害を起こすので、熱が高く炎症がひどそうな時に使い、後は抗ウイルスが効いてくるのを祈るしかなかった。

木曜日あたりから食欲が出てきて腰がふらつきながらご飯を食べる。
投薬時間は厳密に守らなければならない。
猫友の主治医は投薬時間の45分までの違いは許容内だが、それ以上の時間の狂いがないようにと指導があったと言っていた。

最初の投薬は朝10時だった、だから夜の投薬も10時。
しかし、私の通院のときに朝10時ではどうしても遅い。それで8日間かけて最大15分ごと投薬時間を早めていき朝9時―夜9時にセットした。

5日目の金曜日には腰のふらつきがよくなり消炎剤なしでも食欲があって元気が出てきた。診察した先生は体調を聞いて薬を増量した。9日目には体重が微増して2450グラムを超えた。

あと6週間。
今月末のジョイスのメモリアル・ランチには行けない。

親友は逝った

庭の東側でツツジの剪定をしているとき、
その花は何?と英語で聞かれたような気がした。
Azalea
これは?
わかんない。日本語で名前を覚えたから英語名は知らないんだ。
ジョイスが伊豆にやってきてくれたら、ライフワークの庭を案内するつもりだった。
ジョイスはどうしている

その晩、デイビッドからメールが入っていて、
Joyce left usカリフォルニア時間22日5時過ぎにジョイスは逝った。

マッディ・ベンソンのクラスにいつも遅刻して、マッディが始業時間を過ぎたら教室のドアに鍵をかけるといい始めたのも、遅刻癖のあんたのせいだった。
サンフランシスコの空港の売店で化粧品を探してフライトを遅らせたろ?
約束の時間にいないから電話をかけると、まだ家にいた。
こんな時だけ時間を守りやがって。

また会おう。

ああ、税の季節

今週は税関係の通知がごっそりとやってきた。
介護保険料、固定資産税、自動車税、そして年金決定通知。

おじちゃんが私宛の年金局からの封筒を渡して、また年金?
2月前に請求手続きをしたから金額決定通知が来たのだ。今までは特別支給の厚生年金というミミズの涙のような年金を支給されていたので、満年齢からは基礎老齢年金になったはずである。

封筒を開けると、ミミズの涙は猫のごはん代くらいに昇格していた。
自作の年金・税シュミレーション・シートの年金額セルを最新の数字に書き換えたら、おばちゃんの基礎老齢年金=猫のごはん代の結果、扶養からはずれ、所得税が10%レンジに突入した。所得税が一気に2倍になったのだ。

まだバイト代が加算されていない。
バイトも猫のごはん代くらいの予定だがすべて税金に払っても絶対足りない。やっぱりのぅ。所得税と住民税、国保、介護保険などの社会保障を全部ひっくるめると、まい年、中古の軽自動車を1台買って捨てるのと同じ。せめて国民保険は半分にならんか。
現在とまったく同じサービスを受けるのに、来年からは国民健康保険の掛け金が8倍になるのだ。

これがアメリカなら削減できるものを削減しなかったあなたはバカ、って言われるかも。クーポンを使えば10%引き、あるいはアプリを入れて会員登録で8%引き、とか、アナタ知らないの?バカね。と言われてしまう。

Souplantationで定価を支払う人は能力を疑われてもしょうがない。“あんたはバカ”っていうラベルを張られるのが嫌、オイオイ(泣き)
正直であることと、社会を渡っていく能力があることとは矛盾しないのだアメリカでは。

マイクロ法人を作るか、それともオンラインのサービスを使うか。
オンラインの国保削減サービスは胡散臭い。ぷんぷん臭いがする。

個人情報は出さない範囲でサービスを使うとどのくらい削減できるか、シュミレーションできるといいんだがなぁ?

ライン登録で質問できた。

業者個人企業ですか?法人ですか?
私:どちらでもないです。

業者:去年の所得とお住まいと家族構成をお願いします。
私:おおよその税と国民健康保険料は算定しています。
うちは特殊なのでそちらのサービスを使うと削減できるかどうか知りたいです。
夫婦65歳以上 リタイア済、ほとんど公的年金のみ収入XXX円 国保XXX円

業者:しばらく放置
私:だからうちは特殊なの。冷やかしてるわけではないのよ。

業者;マイクロ法人をつかうか税理士に相談したほうがいいです。

やっぱり税理士の予約をとるかな。

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おばちゃんが美しい5月の今日に、記事をしばらくぶりでアップする理由は、庭仕事が好きな人にはぴんと来ると思う。
雨だからで・す。

そうなんです。雨で明日も雨で庭に触れません。五月は1度しかないのに。
去年の今頃は手術が終わって退院したばかりかなぁ。今年はリベンジのために毎日お庭に出ずっぱり~のつもりだったのに。雨!
明後日にならないと雨がやまないらしい。つまらない。

ただ、ここんとこあちこち体に支障が出てるので2日くらい休養もいいかな。
右手首がすごく痛くて手箕を持とうとすると痛みが走る。ハサミの使い過ぎだろうか?毎日花柄を切ったり、グラスを切ったり、切りすぎ?
昨日は右耳の後ろがズキズキと痛くて、吐き気もしたので昼食を飛ばした。Advilの片頭痛用も効かなかったので、夕食後におじちゃんにマッサージをしてもらったら左の肩が特に凝っていたようだった。

園芸動画では、終わりかけの芝サクラは花柄を切ったほうが次の年きれいに咲くというので、バリカンでやれば一気に終わってしまうから、夜なべにシュルシュルとお婆が研いだ花切狭でサクサクと芝サクラを切ったね。

汚い花びらを残すよりハサミで切り落とすとすっきりする。冬の間、コタツ寝たきり老人で動かなかったのに、いきなり朝から晩まで好きに手や足を動かしたので体が悲鳴を上げたのかもしれない。


園芸はN〇KよりUtube
動画は勉強になる。
6年前、山の家を買うまでは雑草一本抜いたことがなくて、宿根草も1年草の違いも知らずに、花というのは咲けば種をつけて次の年にまた出てくるものだと思っていた。
それは大いに間違いだったのだが、勉強になると思った日曜日の朝のN〇K―趣味の園芸を毎週5年間見てもちっとも勉強にならなかった。N〇Kの番組はどうしてあんなに退屈なのだろう。

園芸王子の三上君はかわいかったが、彼から覚えたのは「植えるときは3角形」だけ。
おじちゃんはそれすら覚えず、ユリとチューリップを植えるときはいまだに碁盤の目だ。きっとかわいい三上君に嫉妬を覚えていたためだろう。

おばちゃんはコンピューター・オタクだったのに、Utubeの動画は苦手だった。
せっかちだからだ。

文字であれば要点だけを抑えてあっという間に情報をとれるのに、動画ときたら本題に入る前ダラダラと前振り。要点がどこから始まるかわからず、イライラして見てられないのよ。
30分の動画があっても重要な情報・画像は3分くらいだったりする。ちがうか?

それでも見る価値がある動画はあったわけで、おばちゃんは庭から引き揚げて記事を書いていた時間のかわりに、ずっぷし園芸動画にはまるようになった。
土の選び方とか、差し芽の仕方とか、たい肥のやり方とか。

個人庭拝見!なんて思いもかけなかったものも発見。
個人の庭だから何が出てくるかわかんないから。120年経ったサイロが庭に2塔あるとか、川が流れているとか。バラが屋根まで覆いつくそうとしているとか。うむ~、深い。

ブームと本物
日本というのは流行があれば日本全部が染まってしまう。
憧れの木がブームになると、園芸屋さんではブルーベリーの苗とオリーブとオーストラリアの樹木でいっぱいになってしまう。

おばちゃんはカサカサの元砂漠の州から帰ってきたから、今更オーストラリアの樹木を見てもこれは乾燥した土地に合う木だから、雨の多い伊豆にはそぐわないと思う。ブルーベリーには苦い思い出があるので育てたくない。日本で育てるブルーベリーはあまり大きくもなく甘くないし。

オリーブの木は乾燥しているカリフォルニアには気候も合ったのだが、ショッピング・モールのオーナーは、リモデルの後植えられた駐車場のオリーブの木を見てIt’s not enough fancyといいやがって、オリーブは全部引っこ抜かせた。

代わりにマグノリア(風と共に去りぬかよ)で陰鬱な黒い葉っぱだけの木が植えられた。
正面にはCherry Treeなら素敵というので、どんな木かと期待したら馬酔木だった。
なんだこれ。Marina Del Reyのヨットハーバーのロット付きの豪邸に住む現役の弁護士で、モールのオーナーにはオリーブの木より馬酔木がおしゃれだったのさ。

んで、憧れというのは人それぞれ違うもの、だが日本の気候風土を考えず憧れを植えてしまうのは感心しない。だって、似合わないもの、周囲に。

家の反対側にはエノコログサやスカンポやススキが生えてんのよ。道の向こう側は日本よ。
自分の庭だけイギリスやオーストラリアにしてもね。

正直、カリフォルニアの植物相は美しいとは思えなかった。州の州木はJoshua Treeで15号線の砂漠で見たけど、禿げかけの病気のサボテンかよって。

カリフォルニアの日系テレビではあるCMがあった。
「あなたの中の日本が不足してませんか」っ~の。


このCMを聞くと、そういえばしばらく日本食を食べてないけど明日のランチはお蕎麦を食べに行くか、とか、xx Gardenに和風庭園があったから久しぶりに行ってみるわけだ。

すると、妙にピンクが濃い桜があったり、日本灯篭が白っぽくカピカピで、これまたヒネこびた松のそばに建ってたりするわけ。盆栽を並べている有名庭園もあったのだが、20鉢ばかり並んだ松柏の盆栽は正視に堪えなかった。あまりにも過酷なカリフォルニアの直射日光にさらされて化石みたいに見えた。カリフォルニアに盆栽は似合わないよ。乾燥しすぎているから。

日本の梅の木はカリフォルニアに植えると、実はうす甘くなってしまう。梅よりPlumになってしまうのよ。梅干しにはもうできず梅酒にするしかない。

形だけ物を別の国に持ってきても風土気候に合わない。そこには薄まった日本や偽物の日本があるだけ。CMが言う“薄まった日本”になっても、偽物の日本はいっそ見ないほうがまし。

イギリス人のポール・スミザーが清里に作った「萌え木の村」の植栽は地元の植物で作られているという。バラも日本の野バラの子孫のようだ。だから周囲の山や自然と乖離していないし気候に合っているので病気にもならないらしい。すごい人だね、一度行ってみたい。

日本の庭好きがコッツウォルズの壁を作ったり英国のオールドローズを植えたり、パーゴラを作ったり、そこに英国(日本人が思うところの)を再現しようと思うわけ。

おばちゃんは日本人の熱意と執念で、これでもかぁとイギリスを再現しようというその熱意に胸が詰まってしまう。
ただ、イギリス人がそんな庭園を訪ねたら、“ちょっと違う“と思うのではないか。
まず、空が違う。空気が違う。芝生が違う。
レンガの壁と英国製手作りの鉢を飾っても亜熱帯の日本の空気は湿って重たいと思う。

じゃあ、日本ではどんな草木がいいのさ?
といってもおばちゃんは園芸素人なので、日本の園芸店で売っている草木のどれが日本の気候から生まれた日本種なのかわからない。デルフィニウムが青がきれいだから毎年植えたいし、アカンサス・モリスはその堂々たる花をみてひとめぼれした。

ただ、おばちゃんはカサカサ乾燥育ちのカリフォルニア人が日本の何(本物)に反応するかはわかる気がする。それは雨上がりのしっとりした苔だったりシダだったり。湿気が多い日本の空気だからこそ育つ植物。

おばちゃんも、家を買って庭を発掘した後、先代のおばちゃんが築いた溶岩石に苔がついているのを見て狂喜した。これこそ日本よと思う。しっとりとした雨と黒い土。
これから梅雨で苔はますます美しくなる。隣はヒノキの林なので、細かいヒノキの落ち葉が入り込んだりすると苔が痛むから、ダイソーで買った洋服ブラシで苔についた落ち葉を払い、大事に大事に育てていくの。

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馬酔木

●梅は海外で育つとプラム(Plum)になる

文化のはざま

2023年 黄金のシーズン5月がやってきた

園芸店とホームセンターを走り回っていたおばちゃんです。
お花を植えるためのいいデザインのポットも欲しくなったんだが、高いのぉ!
それで巡回コースにはリサイクルショップが組み込まれて、よさげな傘立て500円!やら花生けを買い、底に穴をあけて器にしようと思っている。

このポットに何を植えようかと思うとワクワクするわ。
山は地上より4度低いが、チューリップも終わって宿根草が伸び始めた。先月からメルカリで買ったペンステモンの種も芽を出したので、朝晩成長を見守っている。あったかい目をかけてやれば植物だって多少早く成長するのではないか?
だから3週間ほどとっても忙しかった。

朝起きれば、ハサミをもって庭を巡回し花ガラを切り、嫌がって抵抗するクレマチスの茎をなんとかオベリスクに誘引しようとし、増えすぎたグラスの小株を分けて鉢に植え、百日紅の下は石と流木で廃墟風にアレンジし、シレネを隙間なく植え込みたいが高いので、あっちの店で2株、こっちのセールで2株と順次増やした。貧乏性のおじちゃんは一度に大枚を使うとうるさいので、少しづつ何回も買う。

おじちゃんが引っこ抜いてしまった河津桜の後には何を植えるべきか、
ネットで検索したんだが伊東の植木市で、カリフォルニア何とか?を買ってしまい(もしかしてアメリカ何とかだったかも。もう名前が覚えきれない)ついでに地上から2メートルは丸坊主で、3メートルのてっぺんにしょぼしょぼ葉がついている畑の霜よけにもならない雑木を切ってもらった。

真夏の暑さを遮るサヤサヤとした葉が茂る常緑木(落葉樹では畑に落ち葉が落ちるので大変)で、かつ大きくなりすぎない2メートルくらいの木。あと5年たったら脚立をつかった木の剪定なんか自殺行為だわ。
花は咲かなくてよくて立ち姿と葉が綺麗な木を植えたい。またまた園芸店と植木市を回っておじちゃんがハナミズキ?を気に入って買ってしまった、3本も!

ハナミズキは確かにかわいい木だが、冬は落葉して丸裸になるから畑の霜よけにならんだろ!赤と白の2本を畑の境目に30センチ間隔で2本植えたのを発見して喧嘩になった。

お向かいのおばちゃんのハナミズキを毎年見てるだろうが?高さは確かに高くないが、横は1メートルも張り出してるだろうが?育ったらお互いの枝がぶつかる近さ。あんたは今見える植物の姿しか見えんのか?

さすがにまずいと思ったのかおじちゃんは植えなおした。その距離50センチ。
5年後はきっとぶつかるだろう。それまでおばちゃんが生きているかどうかは知らんが。

もう一本の白のハナミズキは玄関先に植えるとかで、おじちゃんは玄関横の庭で動いていた。
おばちゃんは表のダンダン庭で忙しかったので、おじちゃんの監督をしきれなかったが、玄関先でゴンゴンやっているのは聞こえていた。夕方撤収するときに、おじちゃんがコンクリートが足りないので、明日はホームセンターだな、というので何がそんなにコンクリートが必要なのかと疑問に思った、
ら、、、。

玄関横の庭がとんでもないことになっていた。
玄関の庭もやはり段々でおじちゃんがハナミズキを植えようと掘ったら、50センチで湿った砂利とコンクリート層にぶつかったそうだ。
先代のおばちゃんがコンクリートを張って水はけのために砂利をいれその上に土を乗せた段々庭だったらしい。

おじちゃんはそれでハナミズキの地下植えをあきらめ、ついでにすべて玄関庭の花木の直植えもやめることにしたらしい。なんでや?
どこを掘っても結局砂利とコンクリートで水はけが悪すぎるから。

そして大・土木工事が始まった。
剪定をしすぎて年々花付きが悪くなるカシワバ・アジサイ3メートルを引っこ抜き、特大漬物バケツに養生された。
おうちの基礎タカイタカイ足を隠す柘植の垣根もすべて引っこ抜かれ、おじちゃんがセールで買って植えた30本くらいのユリ~すでに30センチに育ってた!もプランターに植えなおされた。球根の根っこは一度ダメージを食らうと二度と再生しないという。
きっと今年のユリは絶望的だろう。

おばちゃんがせっせと植えたグランドカバー3種、グラス類は見事に引っこ抜かれプランター2個に養生されていたが、どう見ても株が少ない!すべての植物はみ~んな抜かれて石垣と地面。
おじちゃんは引っこ抜いた草木に花がつくかどうか気にしてもなさそうに思える。来月にはカシワバ・アジサイが咲くはずだったのに。

先代のおばちゃんが土台を作った石垣段々はまだしっかりしていそうだったから、おじちゃんは石の垣の間をレンガで補強してすべてコンクリートで張ってしまった。どれだけコンクリートを使ったかもう知りたくない。

おじちゃんは満足そうだったが、そこでハタと気が付いた!
カシワバ・アジサイやハナミズキは何に植えるのだ?
大きな木を植える大きな鉢は高い!タカイ!
そうしたらおじちゃんは俺が作ると言う。

はぁ?
溜め込んでいた木材でコンテナを作るという。アンタいくつ要ると思ってんのさ。3段の庭よ!
ってなわけで、ホームセンターには今度は不足の材木やらペイントやらを買い出し、園芸土を都合12袋も買った。うちの軽自動車は明らかに後ろがかしいでいたぞ。

土木工事は完了し手製の木製コンテナも完成した
いくら防腐ペイントを塗っても木材というのは土を入れると痛むのだが、おじちゃんは内側にプラケースを仕込んでいた。ビールを入れるみたいなやつ。6年の経験がおじちゃんを育てたか。

カシワバ・アジサイもハナミズキもユリもそれぞれのコンテナに収まり、おばちゃんは足りないグランドカバーを園芸店で買い増ししてこんどはカラーリーフとグラス類にはまりそうである。

渋い色のカラーリーフを渋い鉢に植えたい。おじちゃんが幼稚園の花壇にしてしまったコンテナを流木とグラスでなんとかオサレにしたい。いぶし銀のようなシルバー・リーフを集めたい。 “5月にやるべき庭のお手いれ“などの動画を見ながら寝落ちする。夢はまだ広がるのだ。

蛇足----
ゴールデン・ウイークに入り、お向かいのおばちゃんは東京から避難して来た。
お揃いの真紅の長靴を履いて、この前植えたポンポン・ダリアの芽が出たか、ピンクのクロコスミアの芽がでたか、しゃがんで二人でおしゃべりをする。

中野のおばちゃんはうちからお宅の芝サクラがほんとにきれいに見えるわよ。と褒められたのだが、、、
芝サクラ?さて?確かに無事に咲いたが、草取りや植え替えや種まきに忙しすぎて花をじっくり見てない。観察はしたが、見てない。

花が終わった枝はないか、あれば切る。樹勢はいいか、切り戻しはすべきか、株分けはしたほうがいいのか?そんなことばっかり見ているので花を観賞する暇がない。ああ、。

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