おばちゃん 時効の分だけ懺悔する

おばちゃんがリタイアをしてからだいぶ経つけど、お客も従業員もまだ現役かなぁ。遠い目。時効になった分だけ懺悔する。

一番の図々しい客は”初めて来てやったからまけろ、オマケをつけろ”といったメキシカンの2人組。
次は、”俺は年寄りだからシニアだからまけろ”と言った台湾人。あんたが”年を食っているからと言って、どうして私がディスカウントをしないといけないのか?”と、おばちゃんが目をじっと見て言ったらくじけて撤収した。

オープンしてまだ間がないときお客が電話オーダーの商品をピックアップに来て”これはオーダーの品と違う、俺はこれじゃないのが欲しいんだ!”でも電話を受けたのはおばちゃんで、絶対商品に間違いはない。客と言い合いになり、客が捨て台詞を吐いたのでおばちゃんもカッとなってそのレシートを丸めて

客にぶつけてやろうとしたら、おじちゃんが後ろから私の挙げた腕をつかんで、次いでおばちゃんの両肩をがしっと羽交い絞めにした。その間に客が悪態をついて外に出て行ったので、レシートをぶつけられずに誠に残念だった。とても客商売のオーナーにあるまじき振る舞いでした。
反省はしていませんが、やっと白状できてすっきりしました。

ローカルのフリーペーパーにディスカウント広告を出しました。店のチラシの金額を書き間違えて$1.50高く書いてしまいました。お客さんが手に取ったチラシを見て、あれ?おかしいな、という顔をした時に値段が間違っているのに気が付きました。アサちゃんにお客さんを任せて、チラシの金額を書き換えてプリントしなおし、お客さんの気がつかない間にこっそりチラシをすり替えました。

ウエブとキャッシャーの金額も書き換えて証拠を隠滅しました。
あれ、確か金額が違っていたはずのような?という顔のお客さんにどうしました?としらばっくれました。反省はしてますが、後悔はしてない。

昼寝の時に英語で電話がかかってきたら「No English」と一言
言って電話を切りました。眠かったんです。ごめんなさい。

C国人が電話予約をすっぽかし次はその旦那が別の電話番号でしれっと予約してきてあまりに腹が立ったので、出禁にしました。
店のWebのヘッダーにお客の名前と電話番号を2つ、しばらく晒しました。ウチ、AdSenceを張ってたのでトラフィックがあったと思います。
10年以上たっているので、時効ですよね?

〇山さんの目と鼻が整形だと噂を広めたのはおばちゃんです。マーちゃんが日本に行ってきてお土産と女性セブンを持ってきてくれて、雑誌は店に置いていたら、〇山さんが女性セブンの美容整形の広告をびりびり破って
持っていき、次に来た時に目と鼻が新品だったので整形だって広めてしまいました。もうみんな知っているから、無罪ですよね?

ドイツ育ちだと言うC国人がドクターのコンフェランスに来たといい、お会計でカードを出してきたけどDeclineされておばちゃんは、別のカードかキャッシュを出してんか?とゆうたら、お財布をホテルに忘れてカードはこれだけでキャッシュは”無い”と言いよるんですわ。

ドイツなまりの英語を話すC国人などという珍人やったけど、大陸産のC国人と同じように、ぐいぐい対応してしもうたんですが、ドイツ育ちのせいか真面目やったんです。

でもアメリカでカード一枚だけ、エマージェンシーのキャッシュも
持ってない。カードのカスタマーセンターに電話を掛けたら、ドイツ時間の夜中でカスタマーサービスがお休みなんや、言いよるんですわ。

カードのカスタマーサービスって24/7dayと違いますのん?電話が繋がれへんってドイツのカードカスタマーサービスあれへんのと違います。
ホテルに帰ってキャッシュを持って来てくれへん?金持ってきたら携帯電話を返すからと、携帯をカタに取りましてん。ちょっと、イケズすぎました?

もっと酷いのはどこで自白したらいいですか?

リタイヤ後はプログラミング

おばちゃんはつくづくプログラミングが出来ればなぁ。とSharpのキャッシャーを嘗め回しながら切望したのだよ。Sharpのキャッシャー内部のメモリには商品のPriceLookUpTableや税の設定、トランザクション・ジャーナルなどのデータが保存されている。

このSharp、腹が立つことに2種類のトランザクションのカウント・ナンバーが組み込まれて、例えて言うと性質は車のマイレージ・カウントと同じなんだ。つまり1つは製造後からの通しナンバーね。キャッシャーがチ~ンと鳴ると数字が一つ大きくなる。こいつは電池を抜いて、全部初期化をすると0になるがそれ以外変えられない。チ~ン で一つ。Shit。
もう一つのマイレージはその日のトータル。集計をして印刷をすればカウンターはゼロに戻る。

もし、トランザクションを同じマシンで打ち直せば?マイレージ1のカウンターがチーンと鳴った分だけ回る。昨日の終わりのナンバーと今日の初めのナンバーは続きでなければIRS(税務署)が気が付く。

IRSというのはポス(キャッシャー)の印刷レコードを信じていて信頼が厚い。書き直せないことになってるからさ。隣のパン屋のクリスもレジからは凧の足みたいなレシートがとぐろを巻いていて、ギフトショップのブランドンのとこも長いレシートのしっぽが出てる。

業務が終わった時にキャッシャーを集計モードにして「ENTER」をパンチすると、印刷レシートがシュルシュル出てきて、おばちゃんは疲れた手で紙を巻いて充実した一日の営業が終わるわけだ。

Sharpはシリアル接続でWindowsXPに繋がっている。付属ソフトをいじり倒すとデータのトランスファーができることが分かった。キャッシャーからコンピューターのSharpのディレクトリ¥DATAに内容がコピーされる。ほう?
マイレージカウンター1は手が出せない。どこに格納されているかもわからない。

おばちゃんは全く同じSharpのキャッシャーをもう一台買った。(なんでや?キャッシャー1が壊れたら業務ができへんやんけ?)ウチのリビングに転がっている自作コンピューターに接続し、1台目の”DATA”を2台目のSharp¥Dataに上書きするとあ~ら、不思議! キャッシャー2がキャッシャー1そっくりになった。

面白いね。あたしって天才!
もちろんこのキャッシャー2も書き換え不能のカウントナンバーがある。チ~ン!

仕事のSharp1をジェーン、予備Sharp2をマイケルとする。おばちゃんは、商品値段や新製品をしょっちゅう変えるので、LUテーブルも編集する必要があるのだ。ジェーンを変更したらマイケルも更新しておく。

なんでや? 仕事のジェーン1のケーブルをネズミがかじって使いものにならへん日があるかもしれんやろ!そしたらマイケルをすぐ差し替えられるやんけ!

お客というのは値段表に紙を貼って書き換えたり、修正液で塗り替えたりして値段を上げると、ムカッとする。値段を上げやがって!と。レシートも値段表もSleekで修正などと影もなくきれいなレシートだと値上げしても案外気が付かないもんだ。ここまでいいぃ?

おばちゃんは、同じ仕事をするのが嫌いなの。だから、昔っから字が下手なの。お習字が嫌いなの。わかりきっている作業を、なんで?何度も繰り返さないといけないのか?
そんなわけで、毎年2月になる前にジェーンを眺めながらう~ん、エディターが欲しいなぁと真剣に思う。

知り合いの台湾人のエミーさんがプログラマーで、聞いてみたことがある。

おば:ねぇ、エミーさんこのSharpをクラックしてエディターを作れない?
エミー:言語のソースはわかる?
おば:言語がわかんないとダメ?
エミー:ソースを見せてくれれば何とかなるけど、なければ私には無理。ウイルスソフトを作っているような人ならできるよ。
おば:そっか、残念。プログラミングを勉強していつか自分でエディターを作れるようになるかなぁ?

一日の業務が終わったらエディターを立ち上げてトランザクションを編集する、Refundや打ち直しの跡もない綺麗なトランザクションを印刷をする。美しい仕事よ!

人間のモチベーションとは意外なところから湧いて出るものだ。おばちゃんは割と根に持つタイプなので、商売をやめた今でもエディターの夢はあきらめていない。何年学校に行ったらいいの?

留学生あるある 恋愛と永住権

おばちゃんはこれから世界に羽ばたこうとしている若者の夢を壊すつもりもなければ、勇気をくじく意図があるわけでもない。どちらかと言えば、おばちゃんのこのブログを読んで異国の地で墜落や沈没せぬよう励ましのつもりである。

日本の最新ファッションはOCでもわかる。日系スーパーに行くと、その時々の日本の最新ファッションに身を包んだ留学生がいるからだ。ある時はみんなチロル帽みたいな帽子をかぶり、リュックを背負って底が厚い靴を履いた女の子が見られた。
ある時はショーツに黒いタイツでつま先をㇵの字して唇を突き出した女の子がいた。
元々曲がった足をㇵの字にすると、さらに姿勢は悪くなってただでさえ見苦しいスタイルがますます醜い。

この国では、小っちゃくて可愛い女の子を喜ぶひ弱でオタクな男はいない。いやん、と身をよじって上目づかいでシナを作っても、寄ってくるのは同じくスタイルの悪い日焼けでくすんだ駐在員だ。

なんだか勝手が違うから、ひらひらのスカートをやめ染めた髪も褪めるままに、化粧も変わり意思表示をはっきりし、気が強くなって現地化してゆく。

留学生は、語学学校からカレッジさらにユニバーシティとトランスファーしていかねばならない。現地の語学学校は最初こそ目新しいが、やっていることと言えば日本でもやった文法やイデオムであったりするから、ダレてきて休む。

休んでも学校は何も言わないからバイトに精を出したりする。学校としては、全生徒が出席するととても教室が足りないので、
適当に休んでくれた方がありがたい。留学生ビザをキープするためには語学学校に所属し、学校が発行するI-20に金を払わねばならない。留学生は大切なお客さんなのである。

志高く目的をもって来た留学生ばかりではない。おばちゃんが聞いた一番情けない例はバイトも見つからず部屋を追い出され、語学学校に泣きついて(経営者も日本人だったから無下にできなかったのかも。)

学校が経営する他分野のビジネスに留学生を雇った。食べさせて住まわせて働かせて給料はなし。何のことはない、無料の従業員を飼っているようなものだ。異国で生活していく最低限の才覚がない留学生なら、おばちゃん、「日本へケエレ」と思う。

日系人の家に間借りして、禁止されているのにボーイフレンドを連れ込んで追い出されたり、夏休みにルームシェアの仲間が一人帰り家賃増加分がなくて貸してクレクレ

DUIで捕まって違反記録を消すのに弁護士費用がなくてクレクレ交通違反でポリスに止められ、文句を言ったらペッパースプレーを掛けられた、、、あるある。

めでたく語学学校を出て多少英語に自信が付きとりあえずカレッジに入る。留学生の授業料は、アメリカ人の7~8倍に設定されている。クラスによっても授業料に違いがある。年間の必要ユニットを取得するには何クラス取ればよいか?自分のゴールを達成するための最短最低費用のクラスはどれだ。自分の懐具合と、カリキュラムをにらめっこである。

おばちゃん、麻雀はやったことがないが、上がりにはいろんな「手」があるそうね。上がるだけを目的にして、安い牌だけ集めても大した報酬になるわけではないそうな。

当たり前だけど、自分の後半生がこのクラスに左右されるわけだから何の手で上がるか考えようよ。誰もが取れるCommnicationの手は安いよ。

恋愛と永住権

おばちゃんは、金髪に惚れるなと若い子に教えていたが、アメリカ人と結婚して永住権(グリーンカード)を取ったとしても
グリーンカードはアメリカで安住して暮らしていけるパスポートではない、と繰り返し言った。

ビザしか持っていない間は、安心して滞在できて仕事を選べる永住権が欲しくてたまらないが、永住権を手に入れたとしても、永住権が食と職を保証してくれるわけではないのである。

手に職をつけること、スキルを身につけること。看護婦は職が安定しているし、会計士も固い。文章能力が高いならパラリーガルもねらい目だ。

結婚することと、自分の能力を磨いてスキルをつけキャリアを積むことは別物だ。
結婚したからといって、スキルもいらない日銭を稼げるだけの仕事になぜ流れるのだろう?誰でもができる仕事はすぐ見つかるが、すぐに無くなる仕事でもある。

リーマンショックで一番先に夜逃げしたのは、ネイルサロンだった。たった1か月のネイル・スクールで身に付けられる技術で一生食っていけると思うのがおかしい。

あなたが仕事を首になっても家や車のローンを助けてくれる親や親族はこの国に誰もいないのだ。学校に戻れるうちに戻れ、と。

元号が覚えられない カタカナが怖い

LAの総領事館のオフィスがまだ下方の階で、広くって超高学歴・完璧バイリン”風”の窓口の大使館員おばさんがいたころ、もっと偉そうでつっけんどんだったころ。
窓口には、戦争後に来たんじゃないかという、日本人のお婆様が申請フォームを手に、もう日本語なんか書けないし、言葉も色々忘れちゃってるから、バイリン風窓口のおばさん大使館員が、くどいくらいあれこれ日米両言語で問いただしてた。

窓口の上方の壁には横1メートル・縦50センチくらいのでっかいサインボードがあって、老眼鏡も絶対必要ないだろうという大きさで
「今年は平成 X 年です」と書いてあった。
まぁ私も見たときは ああ、もう X年なんだと思うのだが、次に領事館に来るときは当然ながら年が変わっているわけで、ああ、X年なんだ。とまた思うわけ。

日常生活で日本の年号を目にすることもないし、ネットはまだ黎明期で、Yahoo!か朝日新聞がようやく稼働を始めたかという時期だったから。日本は今、年号で何年になるのかさっぱり覚えられなかった。

渡米した日本人に共通していることだけど、渡米すると自分の中の日本の時が止まる。記憶の中の日本は昭和 X年、あるいは平成 X年なんだね。その代わり、渡米してからの経過年数は絶対忘れない。
自分の年を忘れても、アメリカに来てからの年は忘れない。死んだ子の年を数えるみたいに。

私も当時の窓口の婆様になりかかったころに日本に帰国してきたから、当然平成年号が記憶できていない。おばちゃん、平成が何年で終わったかも覚えてないから西暦でしか生活できない。
でも、年齢を引き算するには西暦の方が絶対便利よ?


実をいうと、日本語が書けない。
コンピューターのキーボードがないと書けない。手書きで書けるのは自分の名前と住所。これは帰国してから練習した。だって、アメリカでは日本語を書く必要がなかったから。

領事館で証明書類を申請するときくらいで、電話債権を売るのに在留証明を取らないといけなかった。その在留証明にはなぜ在留証明をとりますか、理由を書け、とかあった。

なぜ理由を聞く?。
と思いながら債権?そんな漢字が書けるわけもなく、こんなところで日本語を書かせるのがまず間違ってると、ぷんぷん怒りながらひらがなで理由を書いた。

仕事中に書くメモも日本語だったわけではない。頭が半部英語モードで動いていると日本語に切り替えるのがすごくつらい。
あの、ひらがなというやつが曲者だった。一番困るのは「な」「ね」「の」「ぬ」
止めのところがどちらかにくるっと曲がるのがどっちだったか?右か?左か?自信がない。「な」ってこっちに曲がるんだっけ?と従業員に聞いても、ん~ん、そのように見えますが、彼女だって自信がないのだ。

アルファベットだと文字数はたった26文字で全部書けるのにね。それにというものは何十年もやっていないと、書き方も忘れてしまうのだ。

ひらがなも困るが、カタカナは嫌いだ。
渡米する際には日本から文豪ワープロとインクリボンを持って行った。当時のアメリカでは日本語を書けるコンピューターがなかった。Windows 3.1では日本語が書けず、印刷するプリンターもなかった。Windows95が発売されてやっと日本語が書けるようになった。

キーボードがあれば日本語メールを書くのに不自由はなかったので、買い物メモもToDo Listも日本語である必要がなかった。
ジャガイモはPotatoって書けばカタカナより早いし。周りの日本人はみんなそうだったからね。中国人のサマンサだってジョイスだって、漢字は書けないって言っていた。日本語のニュースはネットや書物で読んでいたから、読む能力は衰えていなかったが。

何年かに一度、親戚友人などがやってくるとディズニーランドへ案内した。親戚・知人は日本語の園内地図を選びおばちゃんは英語を選んだ。カタカナが読めないから。

おばちゃんは、カタカナしか書いてないMapを見るとパニックになってしまう。「ウエスタンランド」というカタカナの音がWestern Landだということを変換するのに時間がかかるから。すごくつらい。

日本語のつづり(カタカナ)は英語の音をあらわしていない。
ラリルレロの綴りは 「L」か「R」かバビブベボは 「B」か「V」か「th」はどうするか?だから頭がフリーズして日本語への変換を拒否していたのだ。

日本で一番の恐怖の場所はDVDや音楽CD売り場。
頭痛と吐き気が止まらない。パッケージのラベルがカタカナ表記で、さらに日本語語順 ア イ ウ エ オでカテゴライズされてたから。Tayler Swiftが「」行にあるんだよ?

アメリカのお役所と戦う

日本は物事がするする運んでスペースシャトルを打ち上げるアメリカが、なんでトラブルばっかりだったんだろう。役所のミスも多かった。

友達はDMV(免許車両登録局?)で免許試験をパスし、1月経っても免許が届かないのでアメリカ人の夫とDMVに問い合わせに行った。
窓口のおばちゃんは「アンタは試験に落ちてる」と言うのである。彼女はテストに受かった時にくれる引換証を見せても、とにかくDMVのコンピューター・システムには彼女がパスしたというレコードがない。
でもここにパスした引換証があるじゃない!と言ってもとにかくシステムがそうなんだからどうしようもない。

そんなのおかしいわ。彼女は窓口で激高して、だが旦那はあきらめた。6フィートのスカンジナビア系の旦那に襟をつかまれてズルズル窓口から引き離されて、その間中、彼女は:I hate America. I hate Americaと叫び続けたという。

結局彼女は、DMVがテストに落ちたと主張する日には日本にいたという証拠のパスポートを提出して無事免許証を手にした。

私が何回目かの免許更新の時、写真撮影のラインに並んでいたら隣のカウンターに80歳くらいのよろよろしたじい様が、紙切れを持ってカウンターの女の子に差しだした。アジア系の女の子は受け取って、ポンポンハンコを押しテストに合格したから、これは本免許が届くまでの臨時のレシートよ、と2枚つづりの一枚をじい様に差しだそうとしたときには、じい様すでに踵をかえして出口に向かおうとしていた。

女の子はヘイ!グランパ、と呼びかけたのだがじい様は止まらなかった。耳が遠かったのだ。女の子はハンコを押した紙をなんと、Whatever!ひらッとその辺にほかしたのだ!

移民局には書類を無くされた。プロセスの最後の健康診断をパスして、書き留めで移民局に送り無事配達のレシートも届いている。それなのに移民局からの通告書には健康診断書が提出されていない。
提出せねば移民申請を取り消すなどと高圧的な通知を送ってきた。移民局と争っても無駄だから健康診断書をもう一度送んなさいとアドバイスされた。

おじちゃんの場合はもっとひどかった。グリーンカードも受け取っていたのに、移民局はビザから永住権にレコードを書き換えるのを忘れた。おじちゃんは知らない間に、ビザ切れで違法状態になっていたのである。


それが分かったのは、おじちゃんの働いていた会社が日本に撤収し失業保険を申請したときだった。EDD(労働局?)は何度移民局に照会してもおじちゃんの永住権ナンバーはなくて、ビザは失効しているからケースはクローズすると。そんな馬鹿な。

事情を確認するためにはまず移民局に行かねばならない。移民局の予約を取るのは大変だった。予約を取るだけのためにオフィスの玄関にある予約システムで予約を取って、当日にまた来てやっと建物に入れる。おばちゃんは、永住権を申請していた3年間の移民局とやり取りした書類をすべて持参して窓口に辿り着いた。

窓口の女は、コンピューターを検索しておじちゃんのレコードは永住権が取れたときにビザから永住権に書き換えるのを忘れていたようだと言った。
そうか、おじちゃんはもう一度EDDに失業保険を申請するので、移民局がステイタスのアップデートを忘れたというステートメントを書いてくれと職員に言った。
やらない、と職員は言った。
では、移民局が間違えたのだという証拠を出してくれと言った。
ありません、と言った。

ねぇあんた、移民局が間違えたのは確かで、おじちゃんはEDDに失業保険を再申請するためには移民局のミステイクだと証明しなくちゃいけないのよ。分かる?

すると、窓口は移民局はいかなるステートメントも書かないし出しません。と言い切った。
じゃあ、どうすんだよ。あんたたちが間違えたんじゃん。職員はさすがに可哀そうだと思ったのか、ガバメントはいかなるステートメントも書かないけど、この窓口の私XXXという名前の職員が、レコ―ドのアップデートを忘れたようだと言っている。
と、アンタが自分でステートメントを書け。と言った。

おばちゃんはふざけるなと思ったのだが、じゃあ、おじちゃんのステータスはアクティブな永住権であると証明をしてくれと言った。そうしたら、レコードはすでにアップデートされている。証明も出す気がないのだった。

EDDの失業保険の再申請を認められるためには、最終的に裁判をするしかなかった。

EDDを訴える

EDD(労働局?)を訴える以外失業保険の再申請が出来ないと分かったので、おじちゃんは裁判をファイルした。大事な裁判だし、ここは通訳を頼んだ方がいいだろう。ガバメントのインナー裁判なので言語サポートとして料金は無料だった。

おじちゃんとおばちゃんはジャケットを着て、指定されたガバメントのビルの一室に辿り着いたのだが、そこは、、、、、。

チェックのシャツを着て袖をまくりあげてジーンズを穿き、ぶっといベルトをしたどこから見ても建設作業員みたいなおっさん達がうろうろしていた。誰もジャケットを着ていない。ここは本当に裁判室なのか?

時間になると別室に呼ばれて、そこには太った白人の裁判官?がいた。紺色の幼稚園児が着るようなフロックを着ている。普通のオフィスのようでデスクが一つ部屋の真ん中にあり、イスが向かい合わせに置いてあった。

通訳はどこだろう?後から来るのかな。裁判官はおじちゃんのファイルを取り出すと、氏名を確認した。おばちゃんは通訳を頼んだのですがと言うと、
そうだね、ではとデスクの上の電話の受話器を取り上げた。
えぇ?電話?!
ああ、君が予定の通訳かな?スタンバイしてくれ。では始めよう。
と電話の3ウエイボタンを押した。

裁判官は私たちに向き合ってこう言ったのである。
Well, appellant 何が起こったか説明してください」
それから電話のスピーカーがたどたどしい日本語で
お客さん、今日はジャッジが聞きたがってあります。しゃべるあります」

おばちゃん、椅子から転げ落ちそうなほどびっくりした。原告・訴人Appellant が“お客さん”!?法廷通訳が法廷用語を知らずにどうして、通訳ができるのだ?こんな通訳に任せたら勝てるものも負ける。
真っ青になった。

それでジャッジに、私はこの通訳がしゃべっている日本語が分からない。この人の日本語より私の英語の方がましだから、私が英語で話します。すると、ジャッジはあなたはすでに通訳を選んだのだから、認められない。と

しかし、ジャッジの質問ひとつ毎に通訳からはファニエスト外語学院みたいな日本語が電話から流れてきて、おばちゃんはおじちゃんと顔を見合わせ、ジャッジに英語で何を言っているのか分からない、ジャッジに直接英語で質問に答えた。

EDDは主人の永住権ナンバーがないと言っているのですが、主人は永住権を持っていてこれがグリーンカードです。移民局で確認したところグリーンカードに切り替える時ステイタスのアップデートを忘れたのです。

EDDの間違いではなく、移民局がミステイクをしたのです。
その頃にはジャッジは電話から聞こえる通訳の英語を無視して、何だと、グリーンカードがあるのに失業保険を拒否しただと!
話にならん。馬鹿げてる!木槌をバンと叩いておじちゃんのケースは決着した。

ポンコツ従業員

Don’t scream at me!
とマネージャーは言ったけど、これが叫ばずにいられるかって。客のオーダー表を無くしたのは一体誰なんじゃい。日本では考えられないことが起こるんである。

おばちゃんはビジネスのオープンに向けて発注した機器の納期を何か所かに順番コンファームしていたのである。
ベトナム系や中国系の場合、返事は軽いが仕事はいい加減なので直前でまた確認を取らないと納期に配達されるか確証がない。

アメリカ系の大手チェーン店はまだ仕事がしっかりしていたが、命令系統の中に仕事ができない奴が入っているとどうなるかわからない。カタログを見て機械を決め店舗に現在在庫はないけれどオーダー表にモデルナンバーと連絡先を書けば取り寄せると店員は言ったのである。

おばちゃんはバインダーに挟まれたスペシャル・オーダー表に記入した。ぺら一枚の紙だったがそれまでに20以上のオーダーがすでに書き込まれていたそれがひと月前。

なのに店舗に確認の電話をしたら、スペシャルオーダー?それなんのこと?知らない。聞いてない。分からない。だったので、おばちゃんは激怒して
”マネージャーを出せ”と叫んだのであった。マネージャーが出ると、オーダー表を誰が管理してたのさ。私のオーダーは1週間後に必要なんだから。

そしたらマネージャーが
”私が無くしたんじゃないのよ。怒鳴らないでよ。”
あなたがマネージャーなんだから責任を取ってよ!
分かったわよ、マネージャーの声が裏返っていた。

おばちゃんだって怒鳴りたくは無い。店員を問い詰めても金輪際解決しないし、マネージャーに変わった時点で不満(怒鳴る)を表明しておかないと、後回しにされる。
なんたって私の他に同じ事情の客が20人はいるのだから。修羅場の時には静かな客ほど対応は後回しだ時と場合によって怒鳴るというのは解決の一番の早道だったりして。

アメリカの会社と言うのは問題の塊だったりする。従業員の能力に差がありすぎるのである。一握りの有能な人材が、無能と普通を引っ張って会社が成り立ってる。信じられないかもしれないが郵便局で簡単な掛け算・暗算ができないのが窓口にいるから。
数学のテストでは電卓持ち込みOKで九九を覚えていないアメリカ人はごろごろいるから。

人材会社?のスキル判定のためにいろいろなテストがあるがこんなテストもある。
・アルファベット順にファイリングをします。
・次の5つの名前のファイルをABC順に並べてください。
な~んてね。アルファベットの順番が分からないという人がいるわけ信じられないかもしれないが。

アメリカ人の自己評価だけはすごく高い。スペイン語とフランス語の挨拶くらいしか知らないのに語学できますと平気で言っちゃう。仕事ができるだろうと思っていると、とんでもないポンコツが混じっているの。

で、マネージャーは次の日に電話をかけてきて機械は探したのでXXの店舗あったから。行ってピックアップして。どうやら彼女は有能の方だったようだ。当たり前だけど、ごめんなさいとか申し訳ないとか謝罪は一切ない。
やればできるじゃん。

プラマーの子

アメリカの水回りは要注意だった。
新築だって油断はできない。ウチの風呂の蛇口は赤いラベルが水で青から熱湯がでた。代々の持ち主は気にしていなかったが。

友達の家はコンドで隣の住人の部屋から水がしみ出てきた。さあ大変である。どこの水道菅が悪いのか。コンドの共有スペースの菅か、個人の所有権のある部分の水道菅か?
壁の中なので壁を壊すしかないのだが、水道や(プラマー)を呼ぶ費用、壊す費用をだれが持つか?誰も払いたくないので、誰もプラマーに電話してないのである。
結局、全員でミーティングしてプラマーを呼ぶ費用は壁を接するオーナーで負担して、修理箇所のオーナーが修理費を持つと決まった。

電話帳にはプラマーのナンバーがずらずらある。
おばちゃんもいろんなプラマーに来てもらった。おっさんが一人で人の家を訪れるとしたら、それはプラマーである。

「お前はプラマーの子」というアメリカのジョークがあったりする。アメリカの家は新築は少なくて、代々家に手を入れて売買するのが普通であったからどの家も、密かに爆弾を抱えているのだった。バケーションから帰ってきたら、リビングがプールになっていたという話もよく聞いた。

ジャネットはリビングの床下の水道菅が怪しくて掘り返さないといけなくて憂鬱そうだった。

ショッピングモールはジャネットの家より古いからもっと大変だった。リセッションで空いてしまったテナントを2か月無料にするとかあの手この手のプロモーションで広告した結果、大手のエクササイズ会社が2つぶち抜きで借りることが決まった。内装はほとんど終わりシャワールームとトイレの設置が残っている。

エクササイズ会社のマークは壁の中を走っているサビだらけの水道管を見て、危機感を覚えたに違いない。管理会社のフレッドにこのユニットの水道管は古くて信用できないと文句をいったのだろう、フレッドは安請け合いしてもしだめなら大家が修理費用を持つと言ったらしい。

新しいシャワールームとトイレの配管が完了して、蛇口をひねったら、壁から盛大に水が噴き出したそうだ。
もう一人のフレッド(同じ名前が多すぎ!)はプラマーでパン屋がたまに使っていてた。

このフレッドが恐るべきことに、このショッピングモール建設当時に水道管を設置した本人だった。ジャネットが聞き出したところ、ビルの建設当時から水道管の配管はヘンテコリンで、あっちこっちにつながっていない?行きどまりの?配管があるのだという

。二つばかりパーキングロットまで伸びてそこで盲菅なのだそうだ。ウチのユニットからも建物の外にでる菅があるそうだ。40年前の盲菅が地面の下でどうなっているかただ怖ろしいことである。

さらには、代々のテナントが水道管を継ぎ足し、合流させ、カットし、はては二つのテナントをぶち抜いた後に、また分割したりすると2つのテナントにまたがった管があるわけで隣のビジネスが水を流すと、こっちの水道管から下水に行くとか長年この建物の水道管を扱ってきたフレッドももう何が何やら分からんのだそうだ。

2年後、3つ隣りの本屋のブランドンのトイレが爆発し、ブランドンは新トイレと配管に2万ドルをつぎ込んだのであった。

West Court モールへようこそ

南カリフォルニアの小さなショッピングモールに、おじちゃんとおばちゃんが二人で開いた小さなビジネス。
West Court Mallウエスト・コートモール そこで起こった様々な事件と人々。おばちゃんたちはモールを愛し、人を愛し、そして戦った人生の記録。

エピソードはすべて事実に基づいていますが、名前や時系列は変更してあります。くれぐれもモデル探しなどをしないように。カテゴリごとに分かれています。

戦闘系

おばちゃん役所で暴れる

アメリカ人は大概フレンドリーで嫌な奴もたまにはいたが、役所の奴は違う。一番不快で下劣な奴がそろっているのが移民局で次が税務署、市役所はややましだったライセンスの役所は電話をかけても待ち時間が長く、今どんな課程にあるの質問してももうちょっととか、。

人 テナント

生き延びる

修羅場

おばちゃんはニセ札を受け取ったことがある

  • footer