ガス代の攻防

今朝のニュースは電気代の高沸
九州の一般家庭で電気代が3倍になったという。増えたね、この手のニュース。

「ウクライナ侵攻から1年も経つのにまだ新興電力を使っているのか?危機感なさすぎ。馬鹿じゃねぇ?」とか言っていたら、おじちゃんが うるせえ!とチャンネルを変えてしまった。

山に引っ越してきたとき前の持ち主は東京電力だったのだが、不動産屋と一緒に来たガス屋が”キッチンのレンジを新品に取り換えしますぅ、うちは新電力と提携してますのでプロパンと電力を同時契約してもらえば、電力も安くします” つ~ことでおばちゃんは電気とプロパンの契約をした。

新電力に留意しないといけない。
発電設備も送電設備を持っていない。大手電力会社から卸値で電気を買い、ペーパー操作だけで使用者に電力を小売りする「新電力会社」がまっとうなわけがない。アメリカでも電力の自由化があったがうまくいかなかった。
黒木亮さんの「小説エンロン」は面白かった。

「電力の自由化」の標語のもとに、大手の電力会社がペーパー新電力会社に電力を卸してやる。
この時点でおかしい。利権のにおいがプンプンする。東京電力から卸しで電力を買って、それを使用者に小売りにして、東京電力より安くできるのがまたおかしい。東京電力がボリ過ぎ!ってワケでなければ、なにかカラクリがあるのだ。すべておかしいが、安い間は新電力でとりあえず契約した。

去年、ウクライナの侵攻の後に新電力会社から、“料金の上限制限を撤廃することになりました” とできるだけわかりにくい表現でお知らせが来た。おばちゃんはさっさと東京電力に契約しなおした。

プロパンガスは徐々に金額が上がってきた。ガス屋のおにいちゃんはおばちゃんより華奢で小さいので呼びつけて契約解除をすると、弱い者いじめをしているような気分になりそうで、後回しにしていたのだ。

ところが先週、家の前に車が止まると二人組が下りてきて、どうもXXガスですという。山ではあまり見たことがないガス屋だ。この先で、ガス工事がありまして、ご近所に挨拶がてらうちのうちガスの契約のご案内に来ましたという。

山のガスは100%プロパンで、都市ガスでもないのに工事なんて考えにくいが、これはガス会社の契約を切り替えるいいチャンスかもしれない。
おばちゃんは二人に、これからうちはお昼ごはんだからそこらを一回りして1時過ぎに来てといった。

お昼はなるべく早く済ませ、オンラインでプロパンガスの値段をリサーチした。山で見かけるのは4社。2つ見積もりをとって、営業に来たXXガスの値段も調べ、うちのプロパンの請求書を比較しようと見たらガス代の明細が書いてない。総請求金額だけ。

これはダメだと営業所に電話をかけ、ウチんちの基本料金と料金体系を聞く。基本料金が1800円で3段階の料金?なるほど。

今XXガスの営業が来て、基本料金が1000円とか言ってるからオタクより安いので契約を解除するかもしれないけど、解除にあたってペナルティなんかある?

1000円は安すぎて異常です。解約料については上司に聞いてきますというので、おばちゃんは2時過ぎに電話をくれと言った。

xxガス屋が1時に戻ってきたので、宿題はやっておいたから、とハナにかまして、他社2社の見積もりと今の契約している△△の料金を言った。で?お宅は?

XX社は基本料金1000円で1m3で376円だという。お宅はネットでは280円/m3とか書いてあるけど、これは異常安値だよね。呼び込みの金額でしょ?ご近所のN社は477円/m3だって。

二人のうち、元はヤンキーみたいな小太りの営業が、奥さんそれこそ呼び込みの金額ですよ。最初は本当に477円かもしれないけど徐々に上げてくんですよ。
それはお前んとこも同じじゃね?とおばちゃんは密かに思った。

現契約の△△がいくらにするかわかんないので、見積もりが出そろってお宅が安かったら電話するから。営業はあっさり帰った。食えない婆と思ったのだろう。

2時に契約中の△△ガスから電話が来て、xxの値段はおかしい。呼び込みに違いない。
ネットの書き込みで、田舎のプロパン屋はお互いの悪口をいい、客の取り合いをしているというのは事実かもしれない。

xxガスが376円というなら、うちは基本料を下げて、従量制で1m3 520円にします、値上げはしません。どうでしょう?というので、じゃあ従量制に変えて。
では、これからも契約していただけるんですか?ありがとうございます。というわけで、ガス代は来月から4分の3になる。
今までの経験で、一番安いのにするとカスをつかむ、というのが多かったから。

しかし、日本の消費者はずいぶんおっとりとしているものだ。
値上げの通知が来なかったから、高い料金を払い続けて怒ってみたり。おばちゃんには理解不能だ。

アメリカで90年代にオンライン化がまだ進んでいなかった時代だったが、口座引き落としを嫌がる人は多かった。料金のチェックをする前に、口座から勝手に金を落とされるのが嫌!という理由で。

請求書を毎月確認し、チェックを書いて支払うというスタイルに固執するのも、相手の会社の計算が間違っているときにまず支払わずに済む。サービスに不備があったとき、まず電話で文句を言って割引の交渉をする。安くなればこっちのものだ。
口座引き落としでは交渉前に引き落とされてしまう。不利。まずは、交渉だ。

さらに、相手が用意した契約書に自分に有利なことは何にも書いてない。
この場合、値上げに政府の許可がいらない新電力が契約書にどんなことを書いているか。値上げの通知が来ないからって、値上げできないわけでなし。消費者がウブすぎ。

おばちゃんも含めて日本人は交渉ごとが下手だ。
田舎育ちのおばちゃんなんか、アメリカでは最初のころ相手の言いなり放題で、あとからどんなに悔しい思いをしたことか。

日本人には交渉ごとの修業が必要だな。
タイだって、一生のうち一度は出家して僧侶として修業を積むように、日本人も海外にでて修行したほうがいいのだ。国家事業として世界193か国に全国民を留学/就業に送り出す。とりあえず3年。
修行先の国は指定できない。世界193ケ国をランダムに選んでこれまたランダムに選んだマイナンバーの国民を送り出す。

ついでに人生1度は起業して自分のビジネスを経営してみる。そうすれば、必要な人材とはなにか、企業が生き延びるにはどうすればいいか、など骨身に染みるほどわかるかもしれない。会社はお父ちゃんと違うよ。あなたを死ぬまで雇う扶養義務はないよ。税金は自分でチェックしてから払うもんだ。


労働基準法を修正する。年末調整を撤廃して皆国民確定申告にし節税に励む。
そうすれば国民全員タフになって、外資系のむこうを張って、有利な交渉ができるようになる、、、かもしれない。

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mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. アメリカに住んでいた頃、電気代ガス代は日本よりもずっと安かったような記憶があります。最近アメリカ在住の人のTwitterでもそのように言っていたので、例え交渉しなくても日本よりも安いのではないかなと思いますが。アメリカは資源があるので、安く提供できるのではないでしょうか。

    アメリカのアパートはセントラルヒーティングで、暑すぎて冬場でも室内はTシャツ一枚でも平気でした。日本は夜は暖房を消して寝るので、布団を厚めにしたりして、朝も起きるのがつらいし、帰宅してから温まるまで時間がかかるんですよね。日本の光熱費は海外、特にアメリカと比べると高すぎで、少ない年金だけで暮らしている人たちにとっては厳しすぎだと思います。

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