小説・フォーダム大の子猫ピロ氏

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弁護士とパラリーガルの間には深くて渡れぬ谷がある。
どんなに有能で案件の下処理をこなしても、所詮弁護士の下男・下女がパラリーガル。

せっかく彼女の父の伝手で、法律事務所に押し込んでもらったところで、事務所の弁護士に顎で使われ、ピロ氏は腐っていた。

俺は本当はもっと出来るやつじゃん。入学した大学と専攻の入り口でちょっと足を入れ間違ったというだけで俺がこんな奴らに、顎で使われるのはおかしいし。俺は本来あっち側にいる人間じゃね?

俺ならこんな煤けたビルにいる代わりに、ニューヨークに行って国際弁護士になってやろう。英語もできないこいつらにはとても真似できないだろう。俺はニューヨークで弁護士になるんだ。

僕は弁護士になります。
まぁ、そうだな。そのくらいにならないと、うちの娘と釣り合わないし。

早速、超有能な策士が招集されピロ氏のために作戦会議が始まった。

日系の現地参謀は、
ピロ氏をニューヨークの法律大学にいれるんでっか?
ホンマでっか?ちょっとムリ目やおまへんか?大学はICUでっしゃろ?

この人は2世だが、結婚した奥さんが大阪生まれだったせいで、大阪弁が混じっているのだ。

夜学で一橋のビジネス・ローも行ってるぜ。

ビジネス・ローちゅっても法科とちゃいますやん?

そこを何とか

ピロ氏はSATの点数はどのぐらいでしたん?

SATってなんや?

アメリカの大学の入学するときの統一試験みたいなもんですわ。この点数が低いとろくな大学に入学できまへん。

あ~、俺はそんなSATって知らんし。お嬢さんはできるだけ最短距離で最速にNYに移住したいと仰せられておる。

え~?アメリカの法科大にいきなり入学するにはLSATちゅうて、さらにSATよりもっと難しい試験をパスせんと入学でけんのですわ。
LSATを突破するまで3年かかると違います?そんなん、面倒見切れんし。

そこを何とか

とにかくピロ氏をアメリカの法科大学に入れて弁護士資格試験の受験資格ができるとこまで、
最短でもってって欲しい。

Oh,my goodness! おかあちゃん、。
横浜のインターナショナル出たちゅーても、中学高校でしょ?
群馬育ちのブラジル人がいくら日本語がぺらぺらでも、司法試験に通りまっか?
別の話でっしゃろ?

そこを何とか

どうせっちゅうねん。
子猫をオリンピックに出せってか?LSATパスさせてJDに入れて試験受けさせるまで10年かかるがな。

そや、LLMがあったな。
一橋のビジネス・ローを、なんとかロー・スクールや~って言いくるめて、パラリーガルを2年やってるやて?それも+資質ということでおまけしてもろうて。LLMやったら何とかなるやろ。

やすそうな敷居が低いLaw Schoolってどこや?あまり安いとお嬢さんと釣り合わんし。てけとうに安うて、ビジネス・ローのクラスと法科大の違いに目をつぶってくれそうな、、、あったがな。Fordhamってどや?

なに、知り合いがFordham出て先生も知ってるってか?ボードと知り合いの弁護士もいるってか?ちょっと紹介してんか?
Next Japanese 〇mperor’ brother in lawがFordham大学へ入学したら、ちょっとしたもんやろう。学長の耳にこしょこしょしたろ。

なんとか道はつけましたが、弁護士試験に受かるかどうかは知りまへんで。

ありがとうね。まぁ、最終的に受からんでもニューヨークで暮らしていけたらいいでしょう。

暮らしていけたらゆうて、あんさんビザはどうしますんの?日本人が米国に住むゆうて、ビザがいりまんがな。
え?それも手配しまんのか。
まあ、通常の料金とそちらがスポンサー会社の運営をやるなら別にええですけど。

それで何とか

LLMは卒業した。やりぃ!
JDにトランスファーはできないけど、Auditで受講することは禁止されてませ~ン。受験資格要綱にある24 credit hoursをとればいいのさ。俺って頭いい!
日本人はテストはいいけどparticipantsがいつも低いから、俺クラスで質問しちゃう。
いえ~い。俺目立ってる?

インターンは参謀の法律事務所でやりやり。俺って超順調じゃん。参謀がOPTはもっと大きい事務所に申請してみなって言ったから、履歴書モリモリ。

JDはちゃんと聴講したから、JDって書いた。JD卒業って書いてないからセーフかな。

クリントンだって、ルインスキー事件の時に議会で質問されて
「やったけど入れてない」って言ってたじゃん。俺、嘘言ってないし。弁護士答弁だろ。

やっば、試験ぜ~んぜんわかんなかったわ。でも結婚すりゃいいのよ、。試験はぼちぼちやってくから。

僕は絶対自信あります。手ごたえがありましたから。

セーフ、セーフだよ。危うく彼女のおじいちゃんの葬式で延期されたらアウトだった。
やった、俺、次・次期〇〇の義理兄!あ~試験落ちたってか、危なかったな。

いえ~い、ニューヨーク凱旋。マンハッタンを闊歩する俺、かっこいい?試験勉強?ぼちぼちやってっから。
落ちても、参謀がビザは確保してくれるから心配するなって。我が世の春じゃん~。

猫、落ちたか。そやろな。
こっちは頼まれたことをするだけや。あとは会社を登記してビザを手配してやって、お嬢さんと美術館のつなぎをすりゃええんやろ?あとは知らんで。

モデルは、いっ~~~さい無い。ただの架空の笑話であった。

この「小説」はジャーナリスト篠原氏の「激おこライブ1・9日」より以前に書かれたものである。

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