白アリと戦う

Fumigationという言葉を聞いたことがあるだろうか?
日本語だと燻蒸消毒とかなるのかな。シロアリを駆除するために家を丸ごと包んで消毒するのである。ウソやおまへ!

カリフォルニアの気候は乾燥してあったかくアリの天国である。もともとアリがカリフォルニアの原住民と冗談を言われるほど、アリはどこにでもいてシロアリもそのへんにいるのである。

おばちゃんが最初にウチのガレージ・ドアの前にパラパラと粉が落ちているのに気付いた。粉末の”本だし”そっくりの粉。おばちゃんはもしやと思って、家のアソシエーションに連絡した。

アソシエーションの返事は:シロアリの穴がどこにあるか調べて。ガレージのドアでも中心から内側ならあんたが自分で消毒して。外だったら消毒を予約して。

ガレージドアの厚みはだいたい8センチくらいだが、厚みの中心4センチより内側なら、住人の管理責任がある。消毒は自腹でせよ。と言っているのだ。

おばちゃんはドアを詳細に調べたが微妙だった。とりあえずアソシエーションの消毒を呼んだ。消毒のおっさんはドアの穴を調べて、地面に落ちた糞を調べて問題個所はかろうじて「家の外側」と判断してくれた。

おばちゃんは、念のためにガレジドアが接地する地面にも消毒してくれと言った。地面下にもシロアリは巣を作るのである。アスファルトの上から地下30センチくらいにぶすっと針をさしてガスを注入する。その後、家には問題が起きなかった。

ところが、ウチがテナントになっているモールがリノベーションの際にFumigationをすることになった。何せ、築40年は経っているビルである。パン屋のジャネットがモールのそばに家を買ったとき、すでにモールは20年も営業しており、この辺はシロアリにやられている家が多いのよと言った。

建物のどの辺がシロアリにやられているかもう調べない家丸ごと消毒してしまうのである。
ファミゲーションはまず建物をすっぽりテントで覆う。このテントが何を思ったかサーカスのテントのようにカラフルな色なのである。
町中をドライブすると、こんなところにサーカスが??と思った経験があるが、やっとそういであったのかとフに落ちるのである。

消毒会社からファミゲーションの手順と準備の手引きを渡される。猛毒ガスを密閉したテントに吹き込んで一日置くのである。毒性のガスであるから、ガスの送り込みが始まったらテントはシールされ内には一歩も入れない。死んじまうから。

テナント内部のすべての食品は2重のビニール袋に入れて、さらに冷蔵庫か冷凍庫で保管する。
ガスは壁、ガラス、家具には表面に付くが滞留はしないので仕舞う必要はないと。

食品を一つ一つビニール袋(消毒会社から支給された厚めのもの)にいれ口を絞ってクルクルひねる。さらに輪ゴムで縛ってそれをさらに2枚目のビニール袋にそっくり入れ口を絞ってクルクル、、2重の袋入れ完了。その作業が延々と続くのである。

お向かいのロミオのイタリアンはそんな面倒くさい仕事ができるかい!と、冷蔵トラックを1台レンタルし在庫をボンボン放り込んで準備を済ませた。

ファミゲーション前日、くたくたに疲れて帰宅して眠ったが、おばちゃん、午前3時ころふと目が覚めてしまいそういえば、なんか包み忘れたものがあった!おじちゃんを起こさないように、そっと着かえてそっと車をだし、モールに着いて包み忘れたものを始末して

帰ってきたら、おじちゃんが目を吊り上げて怒った。だって、忘れてたんだもん。

ファミゲーションは無事に済み、猛毒ガスは表面に滞留しないと言われていたが念のためあちこち拭き掃除して、ホッと一息つくと目の前にしまい忘れた爪楊枝があった。食品でもないわけだから、何気なくおばちゃんは爪楊枝を一本抜き咥えた。

次の瞬間、爪楊枝を吐き捨てた。爪楊枝は変なケミカルの味がし、ぶわっと唾液が湧き出しておばちゃんは水道に走った。口を念入りにすすいで、さらにすすいで恐怖にハアハアした。危うく”耳なし芳一”になるところだった。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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