おばちゃんは偽札を受け取ったことがある

偽ドル札を3回受け取ったことがある。
1回目 100ドル
おばちゃんは店をやっていて、従業員もいたからこのときは誰が100ドル札を受け取ったのか分からなかった。給料として従業員に支払い、従業員が日系スーパーで使おうとして突っ返された。「全~然だめですって、この札。さわった瞬間ニセだって。」

おばちゃんは瞬間血が上り、何回もさわっているのに気配が分からなかった自分を恥じ、給料分としてさらに100ドル渡さねばならず、商品分と合わせて損したことが焙られるように悔しかった。もぉう、くやしかった。すぐポリスに連絡し、次の日ポリスはやってきた。

偽札を出してどこがダメなのか聞くと、
「ほ~ら見てここ。すかし。この透かしリンカーンじゃん」
「リンカーン?ってか」
100ドル札の大統領は太ったおっさんのワシントン。
透かしもワシントンであるはずが、5ドル札の痩せたリンカーン?
ポリスはニカニカ笑って
「まず5ドル札のインクを落として、その上に100ドル札を刷ってんの」
だから、偽札チェックペンでこすっても、本物の反応しか出んのよ。これは証拠として押収するから。
「ウチの偽札はそれからどうなるの?」
ニセ札づくりは連邦犯罪なので、FBIに渡すんだと。被害届のコピーをくれて帰った。FBIが来ればいいのに、テレビでしか見たことないから。

ウチの損害は事業保険でもカバーできなかった。保険屋のジェフが知らない間に、免責額をあげて250ドルにしてたからだ。

2回目は50ドル。
これは女の子が受けとったと思う。偽札チェックペンは通用しないから、必ず透かしを確認せぇと周知させたつもりで、忙しいところを狙われた。この時も泣いた。

3回目の100ドル札は
忘れもしない私がつかまされた。
木曜日だったか、従業員はアサインしてなくておばちゃん一人で切り盛りしていたが、お客が立て込んでいた、6時半ごろふらっと見たことがないスレンダーな黒人女性が入ってきた。安い商品で持ち帰りオーダー。

オーダーができるまで、女性は静かに座っていた。現金を受け取った瞬間、あれっ、分厚いな?と思ったのだけど忙しさのあまりレジに入れてしまった。その夜のレジ締で100ドルをさわった瞬間、やられたと思った。おばちゃんはその頃にはベテランになっていたので、札をさわったたら、この紙は違うと思った。透かしがそもそもなかった。おばちゃん、脱力。

以降、ウチのビジネスはホログラムのある”50ドル100ドル札以外”の高額紙幣は受け取らないポリシーを発令した。さらにFry’sでウエブカムを買ってきて、配線しドアに向けて設置した。

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