別荘地に冬の兆し

とうとう来た。
屋根の吹き替えである。

おばちゃんはこの家が気に入っているが築年数は経っているので、屋根と水回りと浄化槽の修理はそのうち必要になると心づもりしていた。

スレートの塗装は10年持つと塗装屋が言ったのに、台風や豪雨が多くて猛暑も劣化を速めたようである。そろそろヤバイなと思っていた。

台風は来んかな?集中豪雨は来ないか?
台風19号の時は、この別荘地でも被害があり水道が止まり、道路が崩れて家が一軒がけ下に落ちた。

災害である。
自然災害には火災保険が使える場合もある。税の控除も使えたりする。
経年劣化は何もない。持ち出し。うむ~。
助成金はないか?外壁塗装や耐震工事の助成金はあるが、屋根はない。何もないのだ。

去年と今年は台風が来そうで来なかった。
お向かいの桜の木は誰もトリミングをせず、電線ネット回線などの上に野放図に張り出しており、雨の後には枯れた枝が重くなりポキンと折れて電線を切断する。それで今年の6月には停電になった。また枯れ枝は道に落下して道路をふさいだりする。

バイト先の主任は雨上がりの朝いちに出勤すると山の生活道路(昔の樵道か?)に一抱えもあるブナの幹などがド~ンと落ちていて自分ではとてもどかせないので一本道をバックで麓まで下りていくのだという。山の生活あるあるだ。

台風などで風が強ければお向かいの桜の枝が吹き折られて、おばちゃんチに飛んでくることもあろう。
もし枝が飛んで屋根を突き破れば自然災害である。保険がきく。被害が広域であれば役所で災害認定・被災証明が取れる。税金が安くなる。
台風が来んかなぁ?と胸算用をしていたのだが、天はおばちゃんを中心に回ってなかった。

それでこの間の雷雨の時にとうとう雨が漏った。広域災害が出るような豪雨でもなかったから被災でもない。これはもう自分で治すしかない。うむ~。

家を買った時の不動産屋Kさんに電話をしてきてもらった。

ガリバリュウム合板ですかね。
そうなるよね。
おばちゃんたちもカリフォルニアでビフォア・アフターを見ていたのである。近所にも屋根の上にガリバリュウム屋根を張った家を見ていたので、一番簡単かなと思っていた。
屋根屋と工務店を連れて下見に来るという。

そうしたら数日後ワンボックスが道に止まり若い作業服の男の子が下りてきておじちゃんと話している。不動産屋手配の工務店ではなかった。流しの工務店であった。

この山の別荘地では塗装屋、屋根屋、工務店が流しているのである。別荘地の中を車で走りながら家を見てどんな修理が必要か持ち主と話して名刺を置いていく。

おばちゃんが見るところ、山の別荘地の住人(定住者)の1割は工務店である。
別荘の修理に必要な工務店がそのまま住み着いている。
別荘を建てたいと思う人は懐に余裕がある人であった。特に昭和末期から平成にかけて、バブルの資金にあかせて趣味や好みを詰め込んで建てた別荘地の家であるのだ。

今や持ち主も代が変わり、何度も補修やリモデルもなされた別荘であるが、その当時の建築や補修を請け負った工務店が、これぞという物件が売り出されたときに買って住んでいたりする。

話を戻すと、その流しの工務店の話には適当に付き合い、大雑把なところガリバリュウム屋根の相場を聞いた。やはりこちらの心づもりの金額と近い。相場が分かったから、あとはKさんと工務店と修理内容を詰めていくだけだ。

若い流しのお兄ちゃんは、不動産屋紹介の工務店だと不動産屋が手数料を取ってるでしょ。と言う。
それは承知の上だ。
工務店は仕事を紹介してくれたKさんにいくらか礼金を払うだろうが15%のアイ子ちゃんほどではないだろう。

Kさんは、この間亡くなったお向かいの順子さんに40年前に家を世話した不動産屋さんである。
以来、修理を手配し庭木の伐採までまるで便利屋のように順子さん使われていた人である。もう72歳でとっくに不動産会社は清算し、生活に不足はないので手数料が目的ではない。動いていないと死んでしまう人なのだ。
そのうち下見に来るだろう。年内に吹き替えが住むといいなぁ。雑損益は使えるかしらん?

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