テン・ジュニア FIP闘病記10 あっちのほう

診察から帰ってきた月曜日、ドクターから夜8時に電話があった。
Mutainで治療を行っている懇意の同業者に聞いてみたら、あっさり薬の輸入情報を教えてくれたそうである。

言ってはみるもんである。
後発のモルヌピラビルで投薬の15周目を過ぎ、完治まであとどのくらいなのか、あるいは完治を目指せるのか不安がある。FIPウイルスのトドメを指すために最後の2週間ほど特効薬中の特効薬Mutianを使えるならなぁ、とドクターに言ってみたんだが。

おばちゃんがそそのかしたドクターはMutianを持ってるクリニックの先生と入手法や治療の話をしてみたところ、第一案:Mutianに変えるなら追加で6週間と言われたそうである。

規定の12週間の半分?長すぎやしないか?
モルヌピラビルでは追加もいれてすでに15週間を治療中である。
薬を変えてさらに6週間というのは絶句。都合15+6で21週 都合5か月ではないか。

おばちゃんの思惑を感じ取ったか、ドクターは次にこんな提案をした。
第二案である。
FIPの専門家がいうにはモルヌピラビルで15週間治療中なら、ステロイドを併用してはどうか。
テンの右後脚に巣くっているかもしれないウイルスを叩くために、まず神経症状や炎症をステロイドで抑え、モルヌの効きをよくする。ステロイドはウイルスをたたくわけではないが、ステロイドで神経系の炎症を抑えてその分ウイルス薬が十分効果を発揮できるようにしてやる。
なるほど。

対症療法ではなく、ステロイドをウイルス剤のブースターとして使うのか。
でも薬の量が重要ではないか?
どのくらいの量のステロイドが炎症や神経症状を抑えて、ウイルス薬の効き目を最大限に引き出せるのか?

我がドクターはステロイドならすぐ処方できます。何なら明日にでも取りに来られたら、などと提案された。
おばちゃんは電話では決断したくなかった。来週の月曜日に2案の詳細をさらに詰めたい。ステロイドはそれからでも遅くないのではないかと思った。

何故かというと、テンはめっちゃ元気なのである。
それもあっち方面が、、。
先週は詩音のお姫様ソファにオシッコをかけられて、カバーとクッションをおじちゃんが洗濯をしたあと、またやられた。匂いが完全に抜けていなかったのだね。

テンはもう11か月である。華奢な後ろ足に似合わずタマタマはますます充実してきた。ぷっくりと可愛い、スプレーをしなければ。
次にやられたのは、おばちゃんのジャケット。
急に涼しくなって夜卓球にウインドブレーカーを着て帰ってきてソファの上に置いた。

テンが見慣れないジャケットを珍しがってソファに上りしきりに匂いをかいでいたのを見ていたが、妙に下半身がモゾモゾするのでおかしいと思ってチェックしたら見事にやられた。

次の日も同じソファのクッションにやられた。ウインドブレーカーにした時の臭いがクッションについていたのかもしれない。
お気に入りのクッションだったのに!中身のワタは捨てた。ソファ自体にも3か所シミがついてた。ソファは洗えないので捨てるしかない。それまでは防水シートをソファにかけ、
特大版のペットシーツで覆った。

保護猫でアメリカに連れて行ったニャアニャン(去勢済み)は心理ショックでスプレー行動が復活し、カリフォルニアで猫専門の有名医からいろんな薬の処方とカウンセリングを受けたが、亡くなるまでの10年間とうとうスプレーはやまなかった。

彼のためにカウチを2つ捨て、アパートの敷金は洗浄費用で戻らなかった。家を買ってアパートから引っ越すときに、引越屋の白人のチーフがカウチを運ぶときにニャアニャンのオシッコがついたところが顔に当たったと激怒した。

わざとやったわけではないのよ。おばちゃんが謝って洗濯代にしてねと彼のシャツのポケットに20ドル札を入れた。100ドルにしたほうがよかったのだろうがもったいなかったのだ。猫のオシッコのせいで危うく引っ越しが中止になるところだった。

オス猫のオシッコはあまりにも臭いので家一軒がダメになると言われたりする。
ニャアニャン10年間の悪夢がよみがえってきておばちゃんの心は深く沈んだ。

おいコラ、テン! ション〇ン太郎、お漏らし小僧。おまえ、FIPはもう治ったん違うか?

FIPが完治したとしてもテンの免疫系統にダメージを与えないためには、最低2か月避妊手術はできない。その間、元気でスプレー行動が定着してしまうと、去勢手術をしてもスプレー行動だけ習慣で残ってしまう恐れがある。

フライパンから脱出するとそこは火の上、というか。
おばちゃんは頭がくちゃくちゃに乱れている。
ステロイドを併用したら完治するかもしれない。薄氷を渡るようにテンの体調を見張りながら去勢手術をして、時期を図りそこなうとFIP復活してテンは死ぬかもしれないし、治っても家はスプレーでダメになるかも、。

ロシアン・ルーレットでんな。
おばちゃんの人生はこんなんばっか。

関連記事

海外から猫を連れて帰国する ワクチン 

液体ムヒ

ニャ―にゃん 6 ぬいぐるみになる

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
ブックマークする パーマリンク.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  • footer