日本とカリフォルニアの美しいもの

硬膜下麻酔が切れてお代わりが届くまでの半日ほど痛みに耐えていた間、気をそらすために考えていたことがある。

思い出せる一番古い記憶から、美しかったもの、楽しかった思い出、うれしかったシーンなどを一つ一つ思い出して意識を飛ばしていたのだよ。
おばちゃんの人生は日本・アメリカと真っ二つに割れている。幼少から青年期までは日本。社会人からリタイアまでアメリカ。

不思議なことに幼少期の日本の記憶のほうが鮮やかで、楽しかった感情も生き生きとして思い出せる。家族でバーベキューやいちご狩りに行った思い出。その時に着ていたお気に入りの服とか。からし色でジャージの生地まで思い出せる。
ああ、そうだった。炭火で生のシイタケを焼いて醤油だけの味付けなのにこんなにおいしいものか驚愕だった。あれ以上のおいしさのシイタケには出会ってない。

日本の自然は美しいんだ。
清冽な水の流れがあって、翡翠の新緑があって。前半生の美しい記憶は自然の美しさが必ずバックグラウンドになっている。

西海岸の思い出は自然ではなかった。元が砂漠だからさ。
ジャカランダの花のカーテンが美しくても背景の一か所の感じ。カリフォルニアのばさついた大地と植物フローラを美しいと感じる感性はどうしても生まれなかった。

これがカルフォルニアの木「ジョシュアツリ・ツリー」ですってガイドに言われたときは、がっかりして石をぶつけたくなったさ。
4季がある中西部から東海岸ならきっと雄大で目を見張る自然の美しさがあったに違いない。

アメリカの美しい記憶楽しかった思い出は人間が作った美しいものだったね。
建築物の壮麗さと美的センス。計画されて建築された都市の整然。デザインの美しさ。色彩の統一感。

おばちゃんたちはLACMAが好きで、あそこのホールの円天井のタイルはすごい。ゲッティセンターもそれなりの規模なんだが、LACMAの重厚さはやっぱり税金をたっぷりかけただけあると感心していた。
美術館の収集品もLACMAとゲッティは豊で、一日文化の粋に囲まれて過ごせる静かなところだった。

LAのサイエンスミュージウムは人類に感動するところだ。
人間が作ったスペースシャトルに感動する。スペースシャトルの打ち上げのナサのビデオで臨場感を高めて、スペースシャトルが「おんぶ」でLAに飛んできてサイエンスミュージアムまでの路上の牽引されて無事ミュージアムのスペースに収まるまでの動画。最後に実際のスペースシャトルと対面できる。

スペースシャトルの外装がタイルと石綿だと自分の目で確認出来て、それは衝撃だった。これで本当に宇宙を飛んだのか?!ああ、すごいものを見た。
シャトルを路上けん引したトラックはToyota Tacomaだ。日本でもトヨタのピックアップトラックを見ると無条件に好感を持つ。

人間が作った美しいものと、日本の自然の美しいものともう一度見てみたいと思う。
滋賀県の醒ヶ井という古いマスの養殖場があって俗化はしているのだが、山の清流と魚が美しいんだ。
明後日、再診の予定。
肝臓とリンパ腺と大腸のポリープの細胞診の結果がわかる。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. りんどう

    記事のアップありがとうございます。

    「梅」  八木重吉

    一つの気持ちをもっていて

    暖かくなったので

    梅の花がさいた

    その気持ちがそのままよい香りにもなるのだろう

    この詩が大好きです。
    お国それぞれの表現の美しさも味わい深いですね。

  2. 私の夫は子供の頃に家族でアメリカに旅行し、色々な所を回って、フロリダのNASA、Cap Canaveralにも行ったそうなんですが、とても感動したそうです。戻ってきてからも、暫くはNASAの帽子やTシャツを着ていたそうです。私の友人でロシアのスぺ-スシャトルの関連の施設に観光で行った人もいましたが、とても良かったとか。。スぺ-ス関係って、壮大で、何かロマンがありますね。Gravityと言う映画も好きでした。

    私は個人的にはアメリカでその景色に圧倒されたのは、セドナかなって思ったりします。何か、スピリチュアルな感じがして良かったです。

    自然の美しさも、人間が作った美しさも両方好きです。美しいものをずっと保護して欲しいです。

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