ややこしい虫刺され

今日はおじちゃんを皮膚科クリニックに連れて行った。
毎年私が虫刺されでご厄介になるところである。

3週間ほど前におじちゃんがブヨだか、やぶ蚊に顔を刺された。この人は自分は刺されにくいとタカをくくってネット付き帽子をかぶらない。

刺された場所がややこしくて、顔の“ほくろ”を刺された。さほど大きくはないが茶色くてどちらかというとシミに近いほくろだった。20年ほど前からシミが出てきて私が毎日見ているから間違いない。

そのシミに近かったホクロが刺されてから小豆のようにぷっくり膨れあがり、皮がペロリと剥けてきた。しばらく触らずにいると皮が張るのだが、またかゆくなって掻くと皮がむける。

またややこしいところを刺されたものだ。
人の肌でゴム化しているような角質層の皮膚、例えば手の甲の関節の上だとか、かかとだとか、そんな場所を蚊に刺されると厄介なことになる。

おばちゃんが手の関節の皺の上を蚊に刺されたときは、普通の皮膚と違って塗り薬を縫っても浸透せず、はれ上がって何度も皮がむけた後は黒く膠のように、まるで空手をやっている人の関節のようになってしまった。6年前に刺されたのにいまだに夏になると皮がむける。

おじちゃんの顔のこめかみのシミは、確かにこんなアズキほど膨れ上がってはいなかった。それがかゆいかゆいとうるさくて四六時中触る。見てくれという。こんなに膨れ上がって異常ではないかと聞く。

ほっとけばそのうちかゆみはおさまるだろうけど、皮は剥けるね。気になるならホクロ自体をとってもらうとか。あんまり触るとガン化するかも。ガン化という言葉がおじちゃんの恐怖の引き金を引いたようだ。

皮膚科に行きたい。でも自分ではどう話していいかわからないのでおばちゃんが電話しろという。それが金曜日。

クリニックの受付はどうなさいました?
おばちゃんは、主人がややこしい場所を虫に刺されたので見ていただきたい、というと、
〇X〇ですか?と急に声を潜めて質問してきた。
おばちゃんは低い声を聴きとれず、あ~、はいはい。と適当に返事した。

何時おいでになりますか?というので、
来週の月曜日の早い時間で、と答えると、
そんなにゆっくりでよろしいのですか?と畳み込んでくる。
えぇ?だって顔だし、あれっ?なんか勘違いされていないか?
えぇっと、、、。
すると受け付けはさらに声を潜めて陰・部を刺されたんですよね、月曜日まで待って大丈夫ですか??
ああ、すいません、すいません、ややこしいといっても顔のホクロなんです。

このクリニックは患者の待合室と受付はオープンスペースで壁が一切ない。
だから受付や看護師の問診は待っている患者に丸聞こえな作りなのだ。患者さんに聞かれまいとして声を低くしたんだろうが、低すぎて耳が衰えたおばちゃんには聞こえなかったのよ。

田舎というのは虫刺されが多い。そりゃ自然がいっぱいだから。
洗濯物のパンツにハチが紛れ込んで、ふろ上がりにパンツを穿いたらハチに刺されたとか、バスタオルの中にムカデが紛れ込んで刺されたとか、ネットの書き込みでちょいちょい見かける。
予約ではそんな行き違いがあったのだが、月曜日にはちゃんと診察をしてもらえた。

ドクターは、ホクロじゃなくてこれはイボですよ。かなり荒れてますけど。
いや、刺される前はホクロでこんなに膨らんでなかったですけど。この人はいじりすぎるんでガン化したら困るから、。
おじちゃんの不安を取り除いてあげようとそう説明した。

ドクターは、ガン化はしないでしょうが液体窒素でイボ自体を取りましょうか?と聞いた。
なんという偶然!前の晩、液体窒素でスズメバチを退治する動画を見たばっかりだった。おばちゃんは内心、やった!見てみたいと思った。
お願いしますと即答した。

クリニックの看護師も優秀で、ドクターが液体窒素と言った瞬間にもうもうと煙が立つ容器を診察室に運んできた。手際がいい!

湯沸かしポットほどの大きさの金属製のコンテナからコップになにか少量そそがれた。煙が濃くて液体がよく見えなかった。ドクターは枝の長い綿棒をコップの底に浸すと、何の躊躇も衒いもなく、おじちゃんの顔のホクロに綿棒を押し付けた。じゅっと小さな煙が上がった。再度綿棒を浸して、顔に押し付けること7~8回。
スズメバチ退治ほど劇的ではなかった。

アメリカで知り合いのおばさんがお年でもシミ一つないきれいなお肌だったので、肌がおきれいですねと言ったら、シミは液体窒素で焼いたの。と答えたので、へぇ~どんなふうに焼くんだろう?と長年疑問だったが、実演を見せていただいて満足である。

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mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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