コタツよ永遠に

コロナでリモート暮らしを選んだ人はご存じだろうが、田舎暮らし、それも山の一軒家は湿気るだけでなく冬は寒い。
山は景観がいい崖地か、安定の平地で隣の家の屋根が見える場所。家が建つ場所は二者択一である。

おばちゃんは庭があるのを選んだので、がけ地。そんなに急な斜面でもない。どちらかというと高所恐怖があるので、飛び降りて足を折るくらいの高さなら大丈夫。
だから斜面に段々を作れば庭も作れる。ただし、家の半分は斜面に乗りだして立っているので、床下は空気。冬もシミシミとした冷たい空気。だから床下から冷える。

絨毯を買って、寝室からリビング手洗いまで引くと猫も絨毯の上しか歩かない。

最初の冬は雪が数回降って、猫も人間も震え上がった。
どのくらい寒いかというと朝にはベッドルームで吐く息が白い。首から下は羽毛布団で、ぬくぬくしているが鼻が凍れる。ナナちゃん、生まれて初めておねしょをした。猫のトイレはベッドルームにも一つあるのだが、あまりの寒さにお布団から出るのが嫌で、一緒に寝ていたお布団の中でやってしまった。

これは、おばちゃんも大ショック。
何とかせねばならない。もともとカリフォルニア育ちで、帰国して気温が20度を切るとおなかを壊すようになったから。寝室を温めないと。

ここで厄介なのは、おじちゃん。
とにかく目ざとい、耳聡い。ファンの音がするのは嫌。風が来るといや。匂いがするのは嫌。

それじゃあ、オイルヒーターしかないやんけ。それでデロンギのオイルヒーターを買って、寝室に置き襖を締め切りに近くするとあったまる。電気代が高いというので、買うときに質問したら24円/時間だという。一晩200円か。

次の月に電気代の領収書を受け取って開いたら、これまでの人生で見たことがない5桁の数字が並んでいて、領収書を持ったまま固まった。
カリフォルニアの家なら全力で24時間ACをつけっぱなし、毎晩ご飯にオーブンでチキンの丸焼きを作ってさらに、毎日洗濯乾燥機をぶんまわすとこんな金額になるかもしれない。
日本の電力基本料金はアメリカの3倍になるから、昼間はコタツがつけっぱなしだったしな。

さて、おばちゃんはまた考えた。
保温をするにはどうしたらよいか?熱が逃げるところはどこか? 窓。

景観を味わうお家の作りで、ちっちゃいくせに家には12個の窓がある。
窓際に立つと空気ははっきりと冷たいのがわかるのだ。
すべての窓を断熱ガラスに取り換えれば保温に効果があるだろうが、コストパフォーマンスに人生の指針を切り替えたので代替えの策を考えた。

里のホームセンターには様々な防寒用品がある。目を付けたのは、ウレタンの屏風のようなパネル。普段は窓の両脇に畳んで置き、夜は繰り出して寒さが和らぐ。ちょっとだけ。

パネルを伸ばしたり畳んだりしているときにピカリとひらめいた。おばちゃんは雨戸を引き出すと裏側からパネルをあてがってみた。やっぱり!サイズがピッタリ!
うれしくなって、ホームセンターでパネルを買い込んで、すべての雨戸の裏に張り付けた。さらに断熱効果が抜群であるという窓にはる透明なビニールシートを買い小窓を残して窓に張った。
比較に100均で買えるエアシートも張ってみたが、効果はほとんど同じ。
夕方冷え込み始める時間には雨戸をしめ、さらにウレタンシートの屏風を伸ばすと格段に保温効果が上がった。

寝室のデロンギをかたづけ、寝具も毛布が一枚に羽毛布団だけで十分な温かさになった。

さて、リビングの暖房器具はファンヒーターである。それも灯油タンク90リッター外付けのファンヒーターで朝起きた時から寝るまでつけっぱなし、。それにコタツ。

ああ、炬燵・コタツ!この暖房器具は天才日本人の究極の発明だわ!
人間疲れて帰ってきた時、アームチェアにオットマンを足して、どかっと座っても、カウチにごろっと寝っ転がってもなんだかもう一つ体が弛緩しない。いまいち体から最後の緊張が解けないのである。

ところが、コタツは違う。
寝そべる。基本床に寝そべって、ごろ寝体制。
半身起き上がるにも、ビーズクッションから。
この人間をだめにするクッションという名前にまずほれ込んで、日本から輸入しようとしたのだけど、商品より高い送料にあきらめていたクッション。

引っ越してコタツを仕立てて、人間をだめにするクッションを置いて、ずっぷりクッションに潜って寒い時はそのままこたつに潜って、緊張という緊張はなくなった。怠惰。ああ、幸せ。

キリッとまなじりを決して戦う生活は終わったのである。人生は別のフューズに入ったのである。戦士は山の隠れ家にこもって日々ラップトップを置いて好きなことをしてよいのだ。おばちゃんはこの先、少しづつ欲を捨てて仙人になるつもりだ。

ただ、いまは一つ欲しいものがあって、それはマジック・ハンド。
コタツから出たくないので、ティシュでもミカンでもなるべくマジックハンドで取れるものならみんな取りたい。


mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. いつも楽しく拝見してる。
    さて、現代の日本に於いてマンションに限らず一戸建ての家で中でも新築に限っては和室は殆ど無く、フローリングが主流のようだ。
    施主が和室を希望してわざわざ施工するものらしい。和室も見かけなくなったが、炬燵を置いてる家も珍しくなった。
    しかしホームセンターに行くと必ず炬燵が売っているので、需要はあるものと見る。
    我が家ではホカホカカーペットの上に炬燵を置いて過ごしている。こうすると床はホカホカだ。
    炬燵は飾りものだ(笑)
    今年の冬はネコが炬燵からトイレと食事以外は出て来ない。余程居心地が良いのだろう。
    付けっぱなしで低体温症なる症状を出し、獣医にかかり小遣いが吹っ飛んだ(苦笑)
    呉々も温度管理は気をつけねばならないが、それでも快適である。
    《炬燵にネコにミカン》は日本人には切っても切れない歳時記なのだと痛感する今年の冬であった。

  2. コメントをありがとうございます。
    駄文を読んでいただけてうれしいです。
    庭は冬眠していてコロナでサークルはお休みなので、婆は書くことしか残ってません。
    たま~に、これはヒットと思える記事が書けるのですが、毎回ではないのが残念。これが才能なんでしょう。

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