野茂とアリスクーパー 

大リーグの大谷選手が大人気だ。日本人の活躍が嬉しい。
彼のすごい才能が認められてとても誇りに思う。大リーグは登板回数が多いから華奢な日本人は無理をして体を壊しやすい。どうぞ気を付けた活躍してください。

ゴジラやイチローが来るず~と前。野茂が大リーグにやってきた。でっかい体の大リーガーに比べると、華奢でほっそりして寡黙で伏し目がちな彼が心配でならなかった。

若きおばちゃんは、アメリカに少し慣れたとはいえ、永住権が取れるのか、この国に残れるのか不安な毎日だったから華奢な野茂が思い切って大リーグに乗り込んで、真正面から戦いを挑む姿がまぶしくて
NBCのスポーツ・ニュースで名前が呼ばれたりすると、テレビの前でどきどきしたものだった。
野茂の爽やかさがアメリカ人にもわかるのか、人気は上昇していった。

おばちゃんのその当時車では大抵ラジオのFMをつけていた。DJがべレベラ話すこともなく、時の人気ポップをずっと流しているので今でも好きだ。おばちゃんとおじちゃんが驚いたのは、野茂の歌が人気チャートに躍り出てきたことだった。

ああ、これは野茂の応援歌だね。
ほら、”野茂ナイスガイ”って歌ってる。
悲しいかな、歌の歌詞の細部が聞き取れないのである。
彼が頑張っているから、ドジャーズ球団が作ったのかもしれない。!

今の時代のようにアプリもなければ検索もない時代であったから、題名が分からないことが大変残念だった。おじちゃんとおばちゃんは、意を決して一番大きなモールのレコード屋さんに買いに行った。
歌手も題名も分からないのだから、店員に説明するのも大変だった。

ついに、おばちゃんはあきらめて店員の前でサビんとこを歌ったのだね。[Nomo is the nice guy~~~]
店員は分かってくれなかった。おばちゃんたちはすごすごと帰ったのであったが、
のち々 おばちゃんはギャッと叫んで赤面したのである。

No More Mr. Nice Guy  Alice Cooper

ハンバーガー

In & Outのハンバーガーが一番おいしかったと思うのだが、ダブルダブルを食べると猛烈な胸やけに襲われてその日一日役に立たなくなるので、普段は通り道にあるJack In The Boxのバーガーをよく食べた。ちなみに胸やけとは Heart Burn と言う。

その日は私一人でバーガーをToGo(テイク・アウトのこと)するためにJack In The boxへ寄った。
ぶっきらぼうなメキシカンの女の子に、ダブルチーズバーガーを2つ持ち帰りでとオーダーを頼むと、ウェイティングの四角いプラスティックのカードをくれた。96と書いてあった。

おばちゃんピックアップカウンターが見える店の隅に陣取った。斜め後ろにはやはりピックアップを待つ白人の背の高いおじさんがいた。メキシカンのおねぇちゃんがナンバーを読み上げ、
紙袋を客に渡していく。後ろのおじさんも辛抱強く待ってる。

メキシカンが次にナンバーシクスティ・ナインと呼びかけた。
おばちゃんはではない。
メキシカンのおねぇちゃんは客に何度も呼びかける。誰もピックアップに行かない。

おねぇちゃんはカウンターから出て、わざわざおばちゃんの前に来て
シクスティ・ナインだろう?と聞くので
おばちゃんは力強くNoと言った。おねぇちゃんは首をかしげながらカウンターに戻るのだったが、

おばちゃんは手に持ったナンバーカードを確かめて、
ほ~ら「96」じゃない。
後ろから白人のおじさんも覗き込んでいるのが分かった。おばちゃんはカードを見ながら、何気なく左に回転させた。
「69」
おばちゃん、思わずOh!と言いながら顔を上げると1連の動作を見ていた背後のおじさんと目があった。おじさんもOh!と口を開けていた。

赤面しながらメキシカンのお姉ちゃんにIt’s mine.と言って素早く紙袋を受け取った。

ナンバーカードは天地が分かるものにしましょう。お願いです。


ハンバーグは何料理

試しに Hamburg Steak と英語で検索をかけてみると。

検索結果:
生肉のタルタルがドイツに紹介されると、いろんなスパイスを加味して焼いてハンバーグステーキになり、それがドイツ移民とともにアメリカに入ったとか、検索結果:ハンバーグというと”焼いていない生のパティ”という意味。

あれ?と思うかもしれない。
アメリカでは牛肉100%のバーガー・パティは冷凍でも生でもスーパーでいくらも売っているが、アメリカ人はパティを焼いて誰もおかずとしては食べない。焼いてパンにはさんでバーガーとして食べる。
なんでか?
ハンバーグの検索のページをもう一度見てみよう。

Why is Hamburg steak popular in Japan?
Hamburg steak or hambagu became popular in Japan in the 1960s because of it was a more affordable way to serve meat by mixing it with other ingredients,,.

なんで日本ではハンバーグが人気なんだ?(お高い)肉が手に届く値段で食べられるように混ぜ物をして、、ハンバーグという料理になった、、

ハンバーグはアメリカ料理じゃなかったのか?!
そうなんです。
アメリカではハンバーグ・ステーキという料理はまずない。日本のハンバーグがアメリカで食べられる所は、アメリカの日本洋食レストランか、もしかしてドイツ系移民の家庭か。

それでも、どうして?とと思うあなた。アメリカの牛肉は安い。日本で食べる魚より安い。豚肉を混ぜなくても、パン粉で増やさなくても肉が食べたければ牛肉100%のステーキ肉をそのまま焼けばよい。牛ひき肉にしちゃったらパンにはさむものなんだよ。

カリフォルニアロールはカニカマ

おばちゃんはある日、金髪の若いお兄ちゃんに日本人?って聞かれてそうだよと答えると、切羽詰まった様子で質問された。「本物のカニでできたカリフォルニアロールが食べられる日本料理店を知らないか?」

いきなりの質問で面食らったが、アメリカンの聞きたいことはよくわかる。何故ならたとえ日本人が経営する純粋の寿司屋でもカリフォルニアロールはイミテーションクラブミート(カニカマ)をマヨネーズで和えてカリフォルニアロールを作るから。高い店はカニ缶を半分くらい混ぜるかも。

この若い兄ちゃんは、カリフォルニアロールが好きで、もし”本物のカニとアボカドだけ”で出来ているカリフォルニアロールなら、きっと比べ物にならないほど美味しいのだろうと思ったに違いない。だから本気で探し回っているのだ。

残念ながら、当時お兄ちゃんの願いをかなえるお店はOCにはなかった。
懇意のすし屋でなじみになって、スペシャルオーダーが頼めて、キングクラブがある時で、さらに寿司シェフがYesといえば、作ってくれる可能性はないわけではないが、一口10ドル、一人前$50はくだらないだろう。

純粋日本人にしてみれば、いい新鮮なカニがあるなら、カリフォルニアロールみたいな”ゲテ物”にせず、そのままカニを味わえる調理法で食べない?と思う。
おばちゃんは、そんなことをお兄ちゃんに説明してもわかってもらえないと思い、素直にNo such restaurants.と夢をぶった切った。

アメリカでハンバーグがないのは、いい肉ならステーキで食べるからだ。
わざわざミンチにしてパン粉と卵をいれて嵩マシマシにしなくてもそのまま焼いてうまい牛肉を食べればよい。いい蟹はカリフォルニアロールにしないのと同じ。

この前、テレビで人気高級ハンバーグ店のオーナーが、これはA5ランクの肉なんです。とせっせとA5をミンチにしていておばちゃんは、ちょっと唖然とした。A5ならそのままステーキで旨いよ?あたし、ステーキでいいし。

ん~、ただ、日本人の食欲というか料理道とか探求心とかこだわりとか粘着質とかが、日本のハンバーグ・ステーキを嵩マシの救荒肉料理から、完成された別の天体に仕上げてしまった。
アメリカ人に食わせれば大抵うまいと言うと思うが、豚肉とパン粉を混ぜるのはやめてほしい。

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