税金申告のため予約していた税理士事務所は、電話をかけると外国年金は取り扱ったことがないのでわかりません。税務署に相談してといわれてしまった。
この税理士事務所は近郊3県にまたがる大手である。この山の住人も駐在帰りが多く住んでいるのだから、地元の大手税理士事務所が外国年金の確定申告を扱わないわけがないと思うのだが?
皆さん、ちゃんと申告してますか~?
米国年金の額がいくら少なくても、源泉徴収がされていない外国年金は確定申告をせねばなりません。“400万円以下は申告しないでよい“というルールの対象外ですよ。
さて、地元の税務署に電話をかけてみると、おばちゃんの狙い通り“みなし年金繰り下げ一括受給制度”はまさしくおばちゃんたちに適応されることが分かった。
年金の支払い年度が決定されていたら実際支払いの時期にかかわらず、決定年度で申告するのがルールです。
よっしゃ~。
次いで、為替レートは振り込まれる2023年度で計算されますががそれでいいですね?と聞いたら、
”本来振り込まれるはずの年の月のレートで計算して、実際の振り込み月でレートが上がったら、差益ということで申告が~~。”というのだが、
おばちゃんは、無~理ムリムリ、だって米国年金は毎月振り込みなので、8月から12月のあいだ、5か月にわたって毎月違うしそれが一遍に入金されるから私、もう計算できない。
雑所得だし。
”むふっ。まっ、それでもしょうがないですけど。”
や~れヤレヤレ。
外堀が埋まって、あとは振り込みがあればeTaxをするだけ。
おじちゃんの老後の生活の設計がこれで整ったから、おばちゃんは本当に肩の荷が下りた。
現役で商売していたころは、確固たる地位を築いていた日本人先輩諸氏が、時勢の変化で鳥が落ちるように商売がダメになったり、リセッションの時は誰もがうらやむほど勢いの良かった出世頭がビジネスを売ったり、安心だと思っていた日本企業が撤収したり、トヨタがテキサスに移動したりしてカリフォルニアの日系社会を大いに狼狽させた。
アメリカ社会と日系社会の激しい浮き沈みを見てきて、明日、会社がまだあるかどうかは誰も保証しない。老後の生活設計は闇の中で、今日をとりあえず生き延びることをまず考えて生きてきた。
この春から5年後、10年後の収入はもう心配しなくてよい。年金で大丈夫、息をしている限り年金が振り込まれるからもう将来の心配はない。おばちゃんが先にいなくなっても生活は回っていく。心の底から安心した。
夕方にはおばちゃんがバイトしていた事業所のマネージャーが入社手続きの時間を通知してきて、おじちゃんも一緒に面接をする。事態は順調に転がっていく。
山の梅園はピンクの紅梅が咲き始めた。コロナと経済の閉塞と長い長い闇のトンネルを抜けてきたような気がする。還暦も4年も前に過ぎたおばちゃんにとって、この3年は長かったが、
おおむね明るい希望が見えてきた。
たった一つ、猫のことを除いては。
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