愛しのブルーベリー 

どこのホームセンターでも、園芸店でもブルーベリーの苗は大量に売られている。ブルーベリーが美味しく実のるには、日本の気候は少し気温が低いような気がするとおばちゃんは思うのだが、。

果物王国の南カリフォルニアの大粒ブルーベリーをどんぶりサイズのボールに入れて、ヨーグルトをぶっかけてワシワシ食べていたころを考えると、比べると残念ながら日本産は手が出ない。

おばちゃんはブルーベリーは嫌いではないが、かつて飛んでもなく高いブルーベリーを食べた経験があり、さらに日本のスーパーのお高いブルーベリーは見るだけ。

それは、6月の埃っぽい月曜日だった。内陸のTemeculaに観光農場があり、ブルーベリーのピッキングをしてアウトレットでご飯を食べて、ショッピングという予定を立てた。ナビはカサカサの内陸地方へ車を導き、白っぽい荒地のフリーウエイを走る。

内陸は暑い。
華氏95を軽く超えエアコンがフル稼働しても日差しが暑い。幹線道路からも離れた辺鄙な農場には、アメリカ人の肩の高さに剪定したブルーベリーの畝が、何列も並んでいた。

実を摘んでいる間はいくらでも食べていい。親指の先ほどあるふっくらと柔らかい実は、太陽に焙られて生あったかかった。熟した実を選んで、持ち帰り用コンテナに入れ、口に運びねぇ、あたしたちなんか、農作業してるみたいね。
ブルーベリー・ピッキングってこう何かファンシーでロマンチックにならないのかしらん?
私たち農夫じゃん。湿度は極端に低いので、汗をかくそばから蒸発してゆく。もういいや、ってくらい口とコンテナに詰め込んでから料金を払って、一路アウトレットへ。

フリーウエイの15番だかを北上しているときに、ホンダがグンと後ろに引っ張られた。回転数のメーターがスコンと左に落ちる。途端に車内が暑くなってきた。

エアコンが止まった。スピードも落ちてきて、アクセルを踏んでも反応しない。結局、車はフリーウエイを降りて停め牽引を頼んで近くの修理工場に入れてもらった。

「It’s a bad news, ma’am. 」
悪いニュースを伝える時、人はなんで嬉しそうなんだろう。
Alternatorが壊れていて替えの部品はないんだと。

ウチの出入りのガラージに再度けん引してもらうしか方法はない。本日二度目のAAAを呼んで、オレンジ・カウンティまで$320以上の牽引代。

Alternatorは工賃込みで$1700を超える支払いになり、我々は疲労困憊して、次の日にお隣のジャネットにおすそ分けのブルーベリーを上げるのだが
ジャネット、これは一粒2ドルか3ドルだから大事に食べてね。と弱弱しく言った。

魚を買いに行く

Newport Beachのピアの付け根にちっちゃな魚売り場がある。地元の漁師が自分の漁船をだして、捕れた魚をそこで売る。朝の7時か8時にはその日取れた魚が並んでいる。

日本のギンダラそっくりのButter Fish, タラの仲間のSand Bass真っ赤なキンキそっくりのCats Eye
ハマチYellow Tail いずれもサイズは30~50センチはある。

漁師のおっさんは、お客の注文に合わせて頭をゴンと落した後、よくしなうフィレ・ナイフでシュパッと両身をフィレにしてしまうと、頭と中骨は大きなまな板の下に置いたポリバケツに捨ててしまう。

これに悲鳴をあげたのが中国系。
なんてもったいない、白人の奥さんが要らないなら私に売って。
白人の漁師はこんなもん食うのか?と最初は我々を犬か猫のように見なしていたのが、アジア系が増えてくると、立派な商売になるのに気が付いた。

頭と中骨の扱いはもう少し上等になり、のこのこと昼過ぎに表われた我々は、皿に盛られた頭しかない時もあった。それでも取れたてのキンキやギンダラは美味だった。

早起きして丸ごとのキンキが手に入った時は、ウロコを落とし中身を洗って塩を振り、あからじめオーブンを上火に350度にセットして15分くらい温めた後に、オーブンの中段にキンキを入れて焼く。
新鮮すぎて身がハゼてしまうのだった。至福の時だった。

サンド・バスはおじさんがよく船釣り釣ってきたが、臭みがあって日本から連れてきた魚食専門猫も、フンと顔を背けてまたいで行った。

煮ても焼いても臭いので片栗をつけて空揚げにし、玉ねぎとトマトを乱切りにしたサルサに一日漬け込むとまあまあ食べられるようになる。

ギンダラは味噌に漬けるとうまい。
ただ、一般家庭だと切り身にして味噌だねを作って漬けて食べごろに出して、焦げやすいのを焼くのはかなり面倒だ。ギンダラを1本丸ごと買うと30~40ドルするのでハードルも高かった。

美味しい魚を食べるのは、中国人に買われないように早起きをしないといけないし、PCHの渋滞を潜り抜けないといけないし、なにかと大変なので魚から遠くなる生活になってしまった。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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