南カリフォルニア郊外の自然

ハミングバード

可愛らしくて美しいハミングバードはよく飛んでいたの。
蜂鳥と言われるくらいだから、甘い蜜を吸う。だからくちばしの長いハミングバードのために甘いシロップが入ったフィーダーを軒下に吊すの。

ハミングバードは赤と黄色が好きだそうで、吸い口は赤と黄色の花を模したプラスチックよ。
粉ジュースみたいなシロップを水で溶かしてフィーダーの胴体部分に入れてハミングバードが来るのを待った。

小っちゃいわよ。
小柄なものは100円ライターくらい。褐色や緑っぽい色や、日本の玉虫の羽みたいなメタルグリーンもいるから。鳥の鳴き声とは違うんだけど、ジジっとか、バチッとか音を立てるので、ハミングバードが来たなってわかるの。長~いくちばしをフィーダーの花に差し込んでホバリングしながら蜜を飲んでるの。

ちっちゃなハミングバードのさらにちっちゃな卵も見たことある。おばちゃんの小指の爪より小さかった。フィーダーが釣り下がっているのを覚えてくれて頻繁に来てくれると嬉しかったわぁ。

写真に撮るのはすごく難しかった。携帯なんてない時代だから、フイルムカメラを用意しておいて逃げないように素早くドアを開けて撮るのは不可能に近かったわよ。

動く宝石と言われて羽ばたきが撮れるような写真はものすごい値段がつくと言われてたこともあった。

ジャカランダ

ウチの目の前にも一本ジャカランダの木があって、家を買ったときにはまだ2メートルにも足らず、花も申し訳程度にしか咲いていなかった。帰国の前にはいつの間にか駐車場の屋根を超す高さに育っていてシーズンには空と地面が青く染まるようになっていた。

店の子の一人のアパートは植栽がジャカランダだったから、5月6に尋ねたときは、びっしりと花を咲かせたジャカランダアパートの敷地中に咲き誇って青紫の霞がかかったようになっていた。

落ちた花は地面を青紫と淡い青のグラデーションの絨毯を敷きつめたようになっていた。花にはかすかに甘いような香りがあって梢の花を摘み取ると、蜜よりももっと粘性の高いヤニみたいな粘りがあってこすっても落ちなかった。葉はねむの木に似ていて風によくそよいぎ、6月の微風にはさやさやと葉擦れがした。

カリフォルニアの初夏は気温が高くなることはあっても湿気が少なくて木陰は気温が下がるから、
肌もサラサラして過ごしやすい。ホントにスコ~ンと音がしそうなほど晴れた空、どこまでも青く澄んだ空。

カレッジに続く道路は中央分離帯に植えられたヤシの木が何キロも続いている。多分シティでも昔に植えらたと思われるヤシの木は手入れが行き届いていて一番太くたぶん根元は1メートル近く、高さは30メートル以上で、天辺のクラウンも大きく形よくティでは一番立派だったと思う。

この道とパシフィックコーストハイウエイをドライブするのはいかにもカリフォルニアと思われて快かった。

気候が変わると、爽やかな空気に心持も変わって明るい色彩の服を着たい、袖のない服がいい。襟元もあまり閉めたくない。

ヤシの木の根元の緑の芝生でゴロンとしたいと思うのだがこれだけはちょっと、お勧めしない。
乾燥している土地なので近づくと芝生はちょっとハゲちょろで、犬のXXXXの臭気がしたりするから。

草枯れる

ゴールデン・ステート州の気候は最高よ。カリフォルニアの夏の季語の一つは「草枯れる」
7月末を過ぎると毎日スコ~ンと青い空が広がり、まばらな雑草はチリチリと枯れ上がる。

フリーウエーから見える丘はまっ黄で夏の到来である。ヒートウエーブが襲ってきて唇は乾いて割れ鼻の穴も痛い。洗濯したジーンズを乾燥機に入れ忘れてうっかりベランダに置き忘れたりすると3時間後にはオブジェのように乾燥して固まっている。

雨なんか間違っても降らない。

ブッシュファイアー

こうなってくるとちょっとした不始末や雷で火事が発生する。ブッシュファイアーである。
93年?だかの時はひどかった。

大学の裏まで炎が迫ってきて、朝から灰が降り続け町はきなくさい臭いに包まれていた。

大学の裏の丘は火事の照り返しで赤く、テレビのニュースではそばの高級住宅地から住民が続々と避難してきて警察は住宅地の入口道路をブロックしてしまうのだった。

ペットのキャリアが見つからなかったのか、それとも動転するペットをキャリアに入れられなかったのかペットをカーペットでぐるぐる巻きにして逃げてきた住人もいた。

灰が降るアパートに一人、おばちゃんは真剣に避難を考えた。
炎がもっと近づいてきたらニャーにゃんをキャリアに入れ、おじちゃんの会社に避難しよう。

ところがおじちゃんが仕事から帰ってくると、会社のオフィスはすでに共同経営の会社の副社長一家が避難しているという。夜が明けると、消火隊は大学に迫りくる炎にバックファイアーを放射し炎の前線は燃えるものが無くなって止まった。

毎年夏のブッシュファイアーは慣れっこになってしまったが、2015年を過ぎて、干ばつはますますひどくなった。おじちゃんは町の東側の山の上にある湖で釣りをするのが楽しみだったのに、毎年岸が後退して水を追っかけて10メートルも下がらなけばいけなくなり、浅くなった水に藻が大量繁殖して、お魚さんも水を求め一番深い湖の真ん中に避難してしまった。

岸からの投げ釣りにはもう藻しか引っ掛からなくなった。2年前は30センチを超えるブラウントラウトやレインボーが釣れたのに。次の年には釣り場は閉鎖された。寂しかったね。

アソシエーション

おばちゃんが住んだOCの町はどの通りも絵葉書のように美しかった。
ヤシの木やジャカランダの街路樹にトリミングされた緑の芝生。

落葉樹はそれほどなかったが、道路はローラー付きのバキューム車が定期的に清掃する。商業エリアと住宅地は厳密に分かれているので、車で走ると様々な色やデザインの商業看板が道路沿いにあふれたり季節商品の旗がはためいたりすることはったくない。

おばちゃんが後にビジネスを立ち上げる時も、看板の大きさデザイン素材など、シティの規格にあっていないと申請が却下される。好き勝手に旗や看板を出すことは出来なかったし、公共の道路に何かの看板を出すことは公式にはほぼ不可能だった。

きっと信じてもらえないかもしれないけれど、おばちゃんが住んだコミュニティが外観の修復をしたとき、ドアも外側を塗り直すから、希望の色を3種類から選ぶように通知が来た。

カリフォルニアのランチスタイルの建築で屋根はオレンジがかったレンガ色、外壁はオフホワイトだったので、それに合わせるドアの色は:モスグリーン、テラコッタ、白。自分の好きな色を塗る選択肢はなかった。

前庭に植える植栽もコミュニティが選んだ植物がリストになっていて、その中からしか植えられない。
家の外の構造に手を加えるのは許されていなかった。

最初に引っ越した時に玄関にスクリーンドアをつけ、窓の外にラティースを立てかけ朝顔を植えようとしたら、アソシエーションからラティースを撤去せよと通知が来た。

3メーター近いラティースをホームセンターからウチのセダンで運ぶのは大変だったのに!ニャーにゃんをフロントデッキで遊ばせるのに、デッキの入口にペット用の柵を取り付けたら、いつ見られたのかそれも撤去せよと通知が来た。
アソシエーションの規則は住んでいるうちにだんだん厳しくなり、家に何かを追加するような変更を行うときは、
まず、アソシエーションの申請書を取り寄せ、変更する場所と追加の施工の内容と設計図をつけ、左右隣お向かいの4軒のOKをもらって、申請料200ドルをつけてアソシエーションの許可を取ること。
に進化した。

ウチはホリデーのしつらえはそれほど奨励されていなかったので楽だった。
知り合いの家のアソシエーションは、ハロウイーン、サンクスギビング、クリスマスは必ず前庭にホリデーのデコレーションをすることの規約があって中々大変だった。

外見を美しく整えること。そのためには色も規制し絵葉書ができるくらいに美しい景観が誕生するね。厳しいアソシエーションの規約があるコミュニティは外観が美しく保たれて結果財産価値も低下が食い止められる。

美しい家、美しい街路、美しい街を作るにはシティの規制とコミュニティの規制の上で、住民一軒一軒が
アソシエーション費用を毎月払うことで成り立っている。

アソシエーションが嫌で何も規制が無い住宅地に住むと、それぞれの家は好き勝手に色を塗り構造を変え通りの統一感は全くなくなりなんとなく”荒れ”が感じられるようになる。

すると敏感な白人層が逃げ出し、次に買って住む人は外観を気にしない傾向があって、ますます手入れをしなくなり”荒れ”が加速するようになり、ついには不動産価格が落ちてスラムとは言わないが低い下層が住む通りになる。

住人の肌色がだんだん濃くなるという傾向もあるのが事実だ。

おばちゃんが伊豆で家を買ったとき、環境保全費があって月額が高いね!と聞いたら年額だと!びっくりした。

OCの町の2か月分だった。その金額でこのコミュニティを美しく維持できるのだろうか?
雑草を刈り街路樹をトリミングし、ゴミ捨て場を清潔に保つ。これら最低の環境を整えるには費用が掛かるのだ。

自分の門の中だけをきれいにしても街並みは美しくならない。
日本の家も屋根の色と壁の色を3種類くらいに制限して商業用の看板は建物の外壁上だけに(飛び出さない)とどめるようにすれば、ぐちゃぐちゃした日本の街の外観も随分変わるのじゃないかしら。

黒瓦に白壁の伝統的日本の町並みと言うもなかなかすがすがしい光景だと思うわ。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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