遊園地で結婚式

始めて招かれた結婚式は遊園地のKnott’s Berry Farmナッツベリーファーム)だった。
おじちゃんの会社の女の子がアメリカ人と結婚するのだった。遊園地のゲートでカジュアルな服装の来園者に混じって列に並び、窓口で招待状を見せると中に入れた。池の近くに小さな教会があるから、興味があるなら探してね。

おばちゃんはどちらかと言うと、コマーシャリズムたっぷりのディズニーより、ナッツベリーの方がアットホームで好きだったし、遊園地で結婚式だなんていかにもアメリカで良いじゃないと思った。

ドレスコードにはいつも悩まされた。おばちゃんたちの服装はアメリカ人より2段階くらいかしこまって周囲から浮き気味だった。だらしない恰好よりはましだったが、周りがTシャツなのに、ジャケットをきて革靴を履いているとバカみたいに見えるこの時も招待状をもらってからほかの出席者に聞きまくったのだが、聞かれた方だって結婚式だからね、と言うばかりで具体的なアドバイスがなかった。

日本の結婚式より2段階くらい落して、おじちゃんはドレスシャツにネクタイで紺のジャケット、私は紺のワンピースに白のボレロという服装で教会に入ってみると、参列者にネクタイをしている男がいなかった。20代のカップルの参列者は、男はアロハに短パン、女の子は短いコットンのワンピース。
しまったぁ!またやられた。遊園地だし!パーティの後遊んでいくつもりだぁ。カジュアルな参列者に混じって、かなり居心地が悪い。

牧師は国際結婚ということで、文化宗教や人種の違いなどを心配しているのか、長々とつまらんことを言い募り、アメリカ人側の参列者だって、退屈のあまりじっと押し黙って膝を見ているのだった。

アメリカの結婚式も様々だし、予算の関係で色んなパーティがあるわけだが、この時は参列者が臨時のバーカウンターに並んで、アルコールの飲み物をキャッシュで買うのだった。テーブルにはアペタイザーがすでにセットされていて、これが生野菜だった。

人参、セロリ、ブロッコリ。おばちゃんが生のブロッコリに目をむいていると、隣のポロシャツのアメリカ人のおっさんがどうしたの?と聞くので
ブロッコリを生で食べるの?
おっさんはガハガハ笑って、魚を生で食べる日本人が何を言う。
野菜の生の方が魚の生より敷居が低いだろう?

dresscode

おっさんのカミさんらしき女性が、私は絶対生のブロッコリを
食べないわよ。いつだかサラダバーで生のブロッコリーをよそって食べようとしたら青虫が出てきたから。おばちゃんはセロリだけ食べた。

それから参列者はテーブルの順番に立ってまたもや行列を作りバフェテーブルから好きなフードをよそってもそもそと食べるのだった。ランチが終わって外に出ても、ネクタイとワンピースではライドに乗る気にもなれない。最初から新婦に聞いとけばよかったね、遊園地で遊んで帰っていいのか。

ドレスコードの悩まなくていいのは、ビーチのレストランだ。「裸足で来ないで、上半身に何か着て」以上。

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