海外の嫁姑事情

海外にも嫁姑問題はあるのか?
ある。

親友ジョイスは大雑把に言えば台湾系で、カナダ経由でカリフォルニアに渡った。ダンナも同じく台湾系だが上海出身でやはり台湾からカナダに流れた。

台湾というか、中国も日本の戦前の家族観が続いていると思ったらよい。家族法も日本でいう旧法のようで相続は長子の男子総取だったりする。親友のジョイスは、実はバツイチで一子あり、ダンナより4歳年上。
このジョイスが結婚するとき、ダンナの母(姑)は荒れに荒れた。新婚旅行に同行し、夜は嫁を別室にして自分が息子と眠った。

面と向かえば非難と批判に糾弾である。新婚家庭に数か月居座り、彼女が料理をしても食べない。中国女は気が強いが、ジョイスは儒教に縛られていて姑には言い返さなかった。ビザがない姑が長くいられるわけもなくアメリカと台湾で別居したところで東西冷戦状態に突入した。

ダンナの父が亡くなった時は、葬儀に台湾に帰ったがジョイスはホテルに滞在した。彼女は葬儀には出ず先に帰米した。葬儀が終わってダンナも帰国してきたが、ダンナが持ち帰ったお土産がJを大爆発させた。これは嫁にやれ、と壊れたドライヤーを姑に持たされたのだ。

「ねぇ、どう思う!どう思う!」ダンナがアホじゃないかと思うのだが、
ん~とか、あ~とか冬彦さんはアメリカにもいるのかと思った。ちょうど日本でドラマになったころである。

その他家族事情中国人の家族「ファミリー」の観念はちょっと日本と違う。父方か、母方か従妹の関係を一言で表す言葉が豊富らしい。

ジョイスには姉が何人かいて姉の一人が結婚した。ダンナには幼い妹がいて、ジョイスの姉が母替わりで養育した。ところがダンナのギャンブルと酒が問題で結婚は破綻した。

ジョイスの姉の元ダンナの妹は、のちにカリフォルニアの中華系と結婚し、この中華系がIC製造で大成功して長者になる。パシフィック・パリセリードで大豪邸を構え、クルーズ船をチャーターして、一族をクルーズに連れてゆくのである。

ジョイスも一族としてヨーロッパを回り、私はイタリア土産のバルサミコ酢をもらった。

姉の元夫の妹は、IC富豪が自分の親族にバカバカ金を使うのに心穏やかでない。係累が少ない自分の親族をあらん限り呼ぼうとする。自分の兄の元妻の妹も親族として大盤振る舞いをしないと公平ではないと思う。

だからIC長者からすると、自分の妻の兄の元妻の妹も十分にファミリーとして範疇になるらしい。

時は過ぎて、ジョイスの知り合いの中国人が娘を持ち娘は大学の同級生の韓国系2世と結婚した。両民族(ファミリー)は結婚を祝福したのであったが、アメリカ育ち2世の結婚は最初はうまくいっていたのだが、韓国系ダンナが中国系妻を殴り、気の強い中国系妻が親に泣きついて、一挙に民族闘争と化すのであった。

中国系は親戚の男手を集め、ついでに得物(火器ではない、捕まるがな!)としててんでにバットや棒を持ち、中国系は韓国系実家に殴り込みに行ったのである。20世紀が終わるころの実話である。

アサちゃんの場合は

ウチの仕事に来た時、アサちゃん(仮名)はすでに子供が一子いた。アメリカ人のご主人は、彼の母親のお気に入りのBoyらしかった。ストレートでダイレクトなアメリカ人が、歯に絹きせずに物いうとどうなるかというと。

I hate you。と
私のお気に入りの息子を取ったお前が嫌いだ。銃があるなら撃ってやりたいよ。アサちゃんも、アメリカにもまれて経験を積んでいる。

姑の顔に触れそうなまで自分の顔を近づけて、そうか、撃てるもんなら撃ってみな!そう言ってやったんですよ。アサちゃんは鼻息を荒くして私に言った。

二人の女は天敵である。同じ部屋にいることはない。アサちゃんは子供の数は増えたが、ダンナはアリゾナに行き、今は離婚して平和だ。

ミドリちゃんは、バイトの同僚だった金髪ブルーアイズと結婚した。ダンナが日本趣味でわざわざしゃぶしゃぶ屋でバイトをしたのだが、実は、金には全く困っていなかった。

海岸沿いの広大な土地に代々の墓があるような、地主の息子だった。シンデレラの物語は本当にあったが、結婚生活には鬼婆の姑がもれなく付いていたのである。

鬼婆はミドリちゃんにむかって、ストレートを撃つ。
「あんたはウチの金が目当てで息子と結婚したのよこの ビッチ!bitch」って言うって。ミドリちゃんは子供を抱え、撃たれっぱなしだった。

自分が戦って強くならねば、誰も守ってくれない。子供ものためにも強くならねば、国を撤退することにもなりかねない。戦え!戦って強くなれ。

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