日本の洗濯物は臭い

手続きのために一時帰国して、主人の兄の家にご厄介になった時。使ってね、と渡されたバスタオルは臭かった。あら、お義姉さん几帳面な方なのに、使用済みと間違ったのかしら。忙しさにまぎれて深く考えなかった。

一か月後猫も引き連れて永久帰国して来ると、主人の実家の空き家に落ち着いた。縦型の洗濯機があった。乾燥機はついていない。
洗濯が終わったら干すんだっけか?なぁ~んだろう?なんか変なにおいがする。ず~と昔昭和の子供のころ、こんなニオイを嗅いだ記憶がある。湿って酸っぱくて雑巾のようなニオイ。

アメリカの洗濯物は全くニオイがしなかった。お兄ちゃん猫にアトピーが出たため、家庭内の要らないケミカルを排除したからウチは柔軟剤も使っていなかった。だから、乾燥機から出した綿製品はコットンの匂いがするだけだった。

縦型洗濯機だから臭うのだろうか、イヤだなと思いつつ家を買って引っ越すと、先代のおばちゃんが残した東芝のドラム式乾燥機つき洗濯機があった。

山の生活では、ガス乾燥機を取り付けるのは現実的でないと分かったので、ドラム式乾燥機付きで気楽な洗濯生活ができるとホッとした。

ところがである。
最初うっすらだったニオイが洗濯機を使うにつれて強くなってきた。洗濯後に臭う物は、乾燥機をかけても畳むころには、また雑巾のニオイがしてくる。コインランドリーで洗濯するときはほとんど臭くないから、洗濯ものが悪いわけではなく、洗濯機が原因なのだ。

その時初めて、テレビの洗剤・漂白剤・柔軟剤のCMがうるさいほどにぎやかなのに気が付いた。

日本の洗濯物はくさい一体何が原因なのだろう?ドラム式のふたを開けて、中をのぞいてみた。なんとなくドラムにさわって揺らすとちゃぷちゃぷ音がする?
洗濯槽の水が抜けていない!

水がある限り日本の湿度の高い気候では、バクテリアが繁殖するに違いない。水を抜かなければ。ところがいくら脱水をかけても、水は抜けず、壊れてると思っておばちゃんは東芝に電話を掛けたのであった。

カスタマーセンターのお姉ちゃんは、水は抜けません。設計でそうなっているのです。仕様です。
おばちゃんはコンピューターでさんざん経験を積んでいるので、この「仕様です」という言葉は自分の設計の失敗を開き直って、使用者にすべての責任をおっつける言葉だと知っている。

おばちゃんは、ホームセンターで一番細くて長いスポイドを買ってきて、ゴミ取り口から水を抜こうとした。出来なかった。
その時、洗濯機に洗濯槽のクリーニングスイッチがあるのを発見し6時間のクリーニングの結果、ニオイはややましになった。

そのうちに、先代の洗濯機は壊れた。
おばちゃんは、期待をもって新しいドラム式乾燥機付きを買った。


余談だが、「ざぶ~ん」というネーミングは秀逸だと思う。ネーミング大賞をあげたい。コインランドリー「しゃわしゃわ」という店もあったがこれも好きだ!

無臭だったのは最初の2か月だけで、新品の東芝はまたニオイ始めた。大体、原子力プラントを買ってコンピューターを作る会社がどうして、洗濯機から水がぬけないのだろう?バクテリアが繁殖しない温度で洗濯できる洗濯機が作れないのだろう?

東芝8社とか言って東芝の駐在員は、アメリカで洗濯機は売っていなかったがテレビとかコンピューターは売っていたね。東芝とソニーのテレビは一番高くて手が出なかったね。性能も素晴らしかったし。


8社の颯爽とした駐在員は、熱いお湯で洗濯ができる大容量のアメリカ製の洗濯機とドライヤーで、快適な洗濯生活を楽しんでいたと思うが、日本に帰国したとたん、自社製の洗濯機で洗濯をして何やら臭いに困惑しないのだろうか?
できるなら、日本初の熱いお湯で洗濯ができ雑菌が繁殖しない洗濯機を開発していただきたい。ついでに乾燥機のオプションには「高温ダニ殺し」スイッチをつけてください。
おばちゃんからのお願いです。

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