逆鱗に触れる

誰だって触れられたくないウイークポイントはある。
出身地や家族や民族やそれ程重大な要素でなくても髪の生え具合や足の長さや、言葉の訛りが触れられたくないことなんて場合もある。ある日、おばちゃんは中国人の代理教師の逆鱗に触ってしまった。

アカウンティングのテリー先生が都合が悪くて、中国系の代理講師が来たことがあった。講師と言っても卒業生に毛が生えたくらいの年で彼はまだ20代の後半くらいだったと思う。まるっちい顔をした小柄な普通の台湾系。

いつもの生徒を当てまくるテリーではなかったこともあって、おばちゃんはちょっと彼を侮っていた。席の順番に質問を当てるのではなく、適当に目についた生徒に質問を振るので、自分に当たるまいとタカをくくっていたのもあった。

気を抜いて聞いていたので、代理教師が私を指して質問していたのに気づくのが遅れつい正直にすいません、あなたのアクセントが耳慣れないので言っていることが分かりませんでした。もう一度お願いします。

その瞬間、おばちゃんは代理教師の逆鱗に触れ導火線に火をつけてしまったのだね。多分大学を優秀で卒業しアカウンティングを専攻しテリーの代理を任されるくらいにイケイケGoGoだった彼にアンタの英語は分からんよ。と正面切って言っちゃったんだわさ。

それから代理教師はすごかった。敵意丸出しで、ヘイ、ミスMこの問題3の答えは?
ヘイ、ミスM この項目はアセットなのそれともイクイティ?
へい、ミスM 減価償却が経費になるのはいつ?

他の生徒を差し置いておばちゃんを集中攻撃する。白人の生徒からしてみれば、何やら外国人代理教師がヒステリックに外国人をいじめている図。勝手にやってと、誰も介入しない。

果ては、ミスM ホワイトボードに書くマーカーのインクが切れたから隣の教室から持ってきて、と。おばちゃんは席から立ちあがって、正直このまま退室しようかと思わないでもなかった。

ただ、おばちゃんの中の大人が、この代理教師はそんなに英語のアクセントにコンプレックスがあったのかしら?私を攻撃すればするほどそのコンプレックスが生徒全体にあらわになるわけだが、。外国人だから英語のアクセントがあるのはお互い様なのに、色んな考えが渦巻いていた。

おばちゃんは衆知に辱めを受けていたわけだけど、最後まで授業を受けた。

正直に言えば昔ESLで一緒になったベネゼラ人の二人組の女の方が、もっと腹が立ったその時に、マシンガンをぶっ放してこの女どもをハチの巣にしてやりたいと心から憎んだから。

だって、Hear の過去形 Heard の発音がおかしい、違うWrong、まだ違う
One more time, say it again. HEARD say, HEARD Again!
と際限なく言わせたのだ。
途中から明らかにふたりでおばちゃん一人をいたぶるのを楽しんでいた。
だから許せなかったのだよ。

人種差別、人種区別、人種攻撃そんなものはどこにでもある。バカにされたら跳ね返す力をつけてやり返せ。代理教師が攻撃してくる理由は理解できる、だが楽しんで人を貶めるベネゼラ女たちは許せなかった。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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