ナナちゃん

おばちゃんはアルフレッドを見た時、えぇっこのぶちゃいくがチャンピオンでナナちゃんのMating相手?グランドチャンピオンのアルフレッドはぶちゃいくだった。やぶにらみCrossed Eyeで顔がへちゃっていた。どっちかと言うとヨーダに似ていた。

おばちゃんはナナちゃんにどうしても家族が欲しくて獣医のエリザベスがブリーダーだったから、Matingを申し入れてみた。
エリザベスがナナちゃんをほめてキャットショーに出してはどうかと言ったくらいだったので、アルフレッドとMatingさせるのには異存がなかった。ま、いろいろ交渉の課程はあったが、。

アルフレッドはめっちゃ人懐っこかった。部屋に入った瞬間に足にまとわりついてゴロゴロと鳴いた。気がつかない間におばちゃんの床に置いたバッグにスプレーされていた。ナナちゃんがお泊りするので、ナナちゃんが好きなカリカリを持参したのに。

獣医のエリザベスの家は海辺の一軒家で2階のベランダはすべて金網で覆われていた。アルフレッドの住居スペースだった。去勢していない雄猫はスプレーをするので、雄猫専用の小屋が無いと家が一軒ダメになってしまう。水洗いできるベランダをアルフレッドの居住空間に当てたのだろう。主人と二人で金網を張ったのよ。5000ドルかかったわ。暖かいカリフォルニアといえども冬の戸外は結構寒い。アルフレッドちゃんは吹きっさらしで生活していたので毛がバサバサになっていた。

ナナちゃんはMatingのために2泊か、運がよければ1泊することになっていた。翌日エリザベスから連絡が来て、念のためもう一泊すると。3日目に引き取りに行くとエリザベスはたぶん大丈夫だと思う。うちのアルフレッドのSpermは優秀だから。出産まじかになったら無料で診察してあげる、と。ナナちゃんはその時0.8歳だった。

ナナちゃん出産する

出産予定日から10日くらい前、エリザベスは自宅まで診察に来てくれた。
Mating料のおまけの診察だから触診だけだけどお腹にいるのは多分3子、もしかすると4子だそうだ。おばちゃんは手元に2匹残すか、それとも3匹とも残そうかもうワクワクしてしまって出産予定日が待ち遠しくてならなかった。

おばちゃんは子供のころから猫を飼っていたので、何回か出産につき合ったことがある。おじちゃんは始めて。

ナナちゃんは夕方産気づいて用意した産室もハウスもバスケットも無視して洗面所の下で最初の子を産んだ。2子目は2時間かかってやっと生まれたが頭のすごく大きな子だった。
産道に引っ掛かっていたのかしら。3子目は産室で産んでくれたので、産室に毛布を掛けておばちゃんたちはリビングに退却した。

寝る前におじちゃんが産室の毛布をそっと持ち上げて中を覗くと、なんと4匹目の赤ちゃんがいた。
エリザベスはやっぱり正しかった。大きなオマケをもらったみたいで二人とも幸せに寝付いた。
おじちゃんは毎日飛んで帰ってきてナナちゃんの産室をそっと覗く。

最初と2番目に生まれたのがルディ、3番目と4番目の子が赤毛。子猫の脳みそって毛虫なみじゃないかと思う。な~んにも考えていなくてただ転げまわるモフモフの塊。おじちゃんの大好物。

子猫たちは問題もなくあっという間に育ちおじちゃんは子猫も登れるキャットタワーを自作して
ナナちゃん一家の運動会を見て幸せに浸っていた。生まれるのに時間がかかった2番目は

とりわけおっちょこちょいで頭がでかすぎて不細工。オマケで生まれた末子の赤毛は骨格は大きいものの痩せて便秘気味だった。おばちゃんは4匹のしっぽを持ち上げて覗くと1番目と3番目が女の子ではないかと思われた。おじちゃんもおばちゃんも女の子と男の子を残したい。

2人の知り合いから女の子を譲ってとお願いが来ていておばちゃんたちはどの子を残そうかと悩んだ。1番目の1ちゃんと4番目の4ちゃんはどうか?でもどうも男の子か女の子か確証がないので、一匹づつしっぽを持ち上げ写真を4匹分撮って印刷し、ニャ―にゃんの時からお世話になっている獣医のトムのところに写真を持ち込んだ。

トムが受付まで出てくるのを辛抱強く待ち、トムに写真を見せてどの子が女の子ですか?と聞いた。するとトムは4つの写真を指さしてboy, boy, boy, boyと言った。

おばちゃんは耳が信じられずその場で呆然として立ったまま、いやひと腹で全部男の子なんて何かの間違いに違いない。写真の見せ方が悪かったのよ。再度トムを捕まえた。
ドクター、よっく見て!
どの子が女の子?
トムはまたしても
boy, boy, boy, boyと指をさした。
アビーは男の子を生みやすいんだよ
と言った。おばちゃんの楽しき家族計画はガラガラと崩れていった。

ナナちゃんの4匹の息子たちのうち、長男の一ちゃんはグレンデールに、3ちゃんはLAにお婿に行った。おじちゃんが頭のおっきい久太郎がお気に入りで、オマケで生まれた八助はちょっとひ弱でいつも便秘気味だったので人様にもらっていただくより、手元に置こう。2匹も3匹も一緒じゃんと。家に残した。

久太郎

頭でっかちの久太郎は食べるのが大好き。もともと大きい頭でコロコロ太るととてもアビィに見えない。アビィの恥さらしみたいな体系になってきて毛色も姿もタヌキに近かった。キッチンでガサゴソ音がすると飛んできて、食べるものが出てくるかもとキッチンから離れなかった。よだれが多い子で、食べ物を期待しているときはいつも口元がうるうるしていた。

おばちゃんがサラダに入れるキュウリを輪切りにしていて、輪切りが一切れ床に落ちると、デブにしては俊敏に飛びつくので口が卑しくておばちゃんは恥ずかしかった。

この子は人懐っこくてバスルームも一緒に入ってきて洗面用ベイスンの上に乗るのがお気に入りだったが、ある時おばちゃんは、ピチャンと水音がするので変だな、水漏れかしらとあたりを見渡すと
なんと!驚いたことにベイスンの上の久太郎のよだれが床に落ちる音だった。

何故か久太郎は油症だった。小梅ちゃんが油っぽくて窓ガラスに手をつくと跡がついた。玄関先が見える窓ガラスには久太郎が鼻を押し付けて手をついた跡がハンコみたいに模様になっていた。
久太郎が走るとぷっくりお腹がよさよさと左右に揺れて、小熊が転げてくるようだった。
八ちゃんはお兄ちゃんの陰にいつも隠れて、自己主張せずおとなしく遊んでもらえるのを待っていた。

ナナちゃんと大きくなった息子たちは仲のいい親子とはいえなかった。ナナちゃんの遊び盛りの1歳前に子供を産ませてしまったし、おばちゃんたちは独立して仕事を始めてしまって朝出勤すると夜までかまってやることができなかったから。ナナと久太郎はあまり目を合わせない。
久太郎は自分の半分くらいの大きさのナナちゃんを怖がっていて、シャーと威嚇されるとおじちゃんの後ろに隠れるのだった。

突然死

九太郎は3歳になる前に突然死した。
9月の早朝5時に母のナナちゃんがものすごい悲鳴をあげおばちゃんたちは飛び起きてリビングに行くと、そこにはぱっちりと目を開いた九太郎が床に倒れており八助が倒れたお兄ちゃんに顔をかしげて静かに見ていた。ナナちゃんは二人に向かって聞いたことがないような威嚇をしていた。ナナちゃんが八助にとびかかろうとする。

おばちゃんたちは何が起こったのか分からない。九太郎の体はまだ暖かかったが息がなかった。もがいた様子もなければ吐いた形跡もなくただ、ぱったりと倒れて死んでいた。久太郎は太りすぎだったけど、健康診断でも何も引っ掛かる数値は無くもうすぐ3歳になるはずだった。

八助は攻撃して来るナナちゃんに怯えて逃げた。
ナナちゃんは久太郎を殺したのは八助と思い込んでいるように八助の姿が見えるたびにヒスるので別室に隔離した。

ナナちゃん以上におばちゃんたちもショックだった。トムのクリニックの緊急番号に電話を入れ起こったこと状況を話すと、久太郎の死は心臓が原因だろうと言った。
ナナちゃんが狂ったように残った息子に飛びかかろうとするんです。ナナもきっと怖ろしい思いをしたんでしょう。

久太郎が死んでも仕事にはいかねばならない。おばちゃんたちは九太郎をベッドに寝かせ仕事に行った。隣のパン屋でコーヒーを買う時ジャネットに息子の一人が亡くなったのよ、と泣き崩れてしまった。昼休みに家に帰って久太郎をトムのクリニックに連れて行って、久太郎も真っ白な骨になって帰ってきた。ニャーにゃんのUrn骨壺は小さすぎるので、九太郎も入るようにネットで泣きながら大きなUrn骨壺を探した。

  • footer