安定の銀

不況に強い資産は貴金属である。
FRBの発表も為替でも安心できるニュースがないので、おばちゃんは不況に耐える有効な資産を考えていた。金はとっくに上がり過ぎている。が、貴金属は金だけではない。金があれば銀がある。

そうだ、銀は昔から非常に安定していて今でも手を出せる余地があるのではないか、、、と考えを巡らせているとリビングの壁に掛けた額縁に目が止まった。
おじちゃんのコイン・コレクションであった。

アメリカの1ドル銀貨のコレクションである。
渡米してから少しづつ集め始め40~60枚たまったのを帰国して記念に額に入れて飾ってあったのである。銀貨だ!そこでおばちゃんはピコンとひらめき、おじちゃんのコレクション額を外した。

黒のフェルトに並べたアイゼンハワーの1ドル。でっかい奴。メキシカンがよくベルトのバックルにもしていた。チャンピオンベルトみたいなのね。おじちゃんも持ってる。

ポカハンタスみたいなネイティブアメリカンが赤んぼを背負った赤銅色の1ドル。これだけは色が違うのだ。金?金ではないと思う?ずいぶん軽いから。Sacagawea2000年
それから硬貨の縁取りがあるジョージ・ワシントンの1972

試しにSacagaweaをEbayで調べてみると、、、なんと1枚1900ドル。おばちゃんは一気に舞い上がってしまった。Sacagaweaは8枚あるのだ!軽~くもう一軒、屋根が吹き替えられるではないか!

アイゼンハワーはどうだ。何せ一番でかくて重いのだから。1976年。Ebayでは1850ドル、楽天では45万という値がついている。これはとんだお宝を秘蔵していたものだ。20枚以上あるから総額でいくらになるのだろう?

そうだ、本職がいた!
K子ちゃんの旦那のDavidは趣味がコイン収集でWebも持っていたし、テキサスではコイン商で働いていたと言っていたではないか。今は沖縄なのでLineで質問を送ってみた。
返事が返ってこないので、待っている間ネットで情報を深堀することにした。

何やらMint マークとやらがあるらしい。DとかSとかMintマークなしとも。ふむふむ。Minted鋳造 Dはデンバー鋳造、Sはサンフランシスコで、マークなしはフィラデルフィアで鋳造されたものだという。
おじちゃんのアイゼンハワーを拡大鏡で見ると、首の付け根に確かに小さなDの文字もある。もう間違いなし、。

でもしかし、おじちゃんがこんなお宝を買えるほど小遣いを沢山やった覚えはないし、はて、本物だろうか?メッキだといつか言っていたような気もするし。

するとClad コインという解説が出てきた。1965年以降、米国で流通するコインはすべてCladコインだという。

えっ?


Clad つまり張り合わせ
数種類のメタルを張り合わせたもの。べニアか!!!!
べニア仕立てのコイン。本物の銀かどうかはコインを積み重ねてエッジを見てみるとよい、と解説にある。本物の銀の場合は白い。そうでない場合はべニアのような重ね合わせの層が見える。

おばちゃんの期待はここですっかりしぼんでしまった。おじちゃんに小遣いをやってなかったから高価な記念硬貨を買えっこないはず。
が、念のため20枚以上もあるアイゼンハワーを積み重ねて横から見てみた。
すべて茶色と鈍色の縞々だった。

ポカハンテスはどうだ。改めてみてみるとポカハンテスにはがあった。銀や金どころか錆のくる金属みたいだ。
見てくれはEbayのお宝コインとそっくり同じなんだけどなぁ~。

ダメ押しでDavidからくるLineの返事。
アイゼンハワーはごく普通のだよ。額面の価値があるけど。1971-1978年の場合はプレミアがいて10セントくらい高くなるかも。
―だって。ダぁ~~~。

おじちゃんがバイトから帰ってきたので、かくかくしかじかとコインの価値を知らせると、おじちゃんは、だからメッキだっていったろ?でも確か1枚だけ本物の銀貨が入っていたはずという。同僚がくれたんだという。同僚がタダでくれるものが高いわけがあるまい!

全部のコインをもう一度見てみたらエッジが白く光るクオーターがあった。調べてみると価値は5ドルから7ドル50セントの間らしい。馬鹿野郎!

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mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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