小さな暮らし

ミニマリストになりたいとは思わないが気持ちはわかる。
自分の暮らしになるべく余分なものを纏いたくない。身一つでいたい。着るもの数着、コンピューターもタブレットもなし、携帯1台。ヤカンとマグカップが一つ。寝袋で寝るーーという極端な生活も目に入る物もないほどすがすがしい、、かもしれない。

そこまでいかなくても、家は小さいほうが好きだ。
田舎の実家はだだっ広くて建て増ししたので家族がどこにいるかわからない。母屋か、離れか、作業所かガレージか、はたまた畑か?こに2階住居部分を考慮に入れると範囲が広すぎて探せない。だから昔から2階建ての家が嫌い。住居は平屋がいい。

小さな平屋で身の回りのものはコタツの周りにあるのがいい。できれば家具メーカーさんにコタツに引き出しをいっぱいつけて欲しい。爪切りと耳かきとかゆみパッチ、目薬にヘアブラシなどサクサクと収納できる引き出しが欲しい。

人間をだめにするビーズクッションがあれば他にソファもいらない。
ビーズクッションは使うとヘタる。クッションの皮が伸びるというあなた、朗報です。ビーズクッション用に伸びない人工皮革のカバーがあるのだ。多少沈み込みとフィット感が薄れるが、ビロビロとだらしなく伸びきっていくことはない。

蔵書も陶器も帰国の時にほとんど処分したから今の本棚と食器棚に収まるだけであとの人生をやっていくことにする。
小さな家は小さなリビングで床面積も狭いからダイソンでくるくるするのもあっという間に終わる。猫がお砂を散らかしたらこまめにダイソンする。フローリング用の掃除ワックスシートをモップする。

先代のおばちゃんの残したモップとシートを見て日本人はなんて頭がいいんだろうと感激したね。シートの四隅を穴に押し込むだけでシートが固定できるなんで信じられなかったから。シートをセットするときはなんか楽しくないか?
ニャンコたちがお風呂のタイルを歩いた後でリビングのフロアに小梅ちゃんをスタンプしてしまったときは、モップでくるくるするのは嫌じゃない。さらにテレビで電動モップをみて感心してそれがリサイクルショップで売っていたので買ってしまった。

電動モップは、ウインウインと2枚のモップが反対方向に回転する。モップの柄は軽く支えるだけ。仕事をするワンコに綱をつけて散歩させている感じ。ご飯の後、誰がお茶碗を洗うかと一瞬の沈黙が落ちるとき、さりげなく立ち上がってダイソンでバキュームから電動モップでウインウインすると勝ったという気がする。床はきれいになるし。

自分たち二人の小さな家で自分たちで掃除をして修理をして庭の花を飾り、畑でとれたキュウリとナスを料理する。冷蔵庫だって70リッターの小さいものだ。ガロン入りの水も売ってないから日本では小さな冷蔵庫で十分じゃない。おじちゃんは四季それぞれにぎやかな日本のスーパーを覗くのが好きなのだ。

アイ子ちゃんはもう自分で掃除なんかしたくないと言う。
白人のテニスクラブのおばさんたちは、雑巾ってどうして使うの?って雑巾を絞って使うことも知らない人ばっかりなのよ。私は年を取ってそれなりの資産もできたから、掃除なんてもうしないわ。メイドサービスで掃除してもらうの。

コロナのせいでスーパーで買い物に行くよりアマゾンでみんな買うようになったので、時間が余るようになったそうだ。ゴルフの打ちっぱなしの練習を増やしたのと言っていた。運転するのも最低限になってきたと言う。

現役のころのおばちゃんは、朝出勤して寝に帰ってくるまで家は誰も住んでいない。家で食事をするのは定休日の夕ご飯だけだっただったからさして汚れもせず。平日はキッチンも使わないので お茶っ葉さえごみに出なかった。ケンモアのでかい冷蔵庫の中は水と調味料くらい。おおよそ生活しているというより出動して帰宅する基地みたいなものだった。
天井は高くSwiss Coffeeの真っ白な壁の家を愛してはいたけど、最後の十年はそこでしみじみ生活を営んだ記憶があまりない。

伊豆のちっちゃな家は好きだ。
床磨き溶剤を選んで、ウインウインしながら床をピカピカになったらささやかな満足感と幸せがある。ミニ洗濯機もなかなか楽しい。畑の大根を間引いて細い大根を炒め煮にしようか、漬物にしようかと考えるのが楽しい。コロナが収束してまた何か始めるとした吹っ飛んでしまうかもしれないささやかな生活である。

できればこの先も自分の力でできるだけの大きさで、小さな生活をしてゆきたい。

  • footer