種の保存

清水港に行った次の日に冬タイヤに変え、そしたらさらに気温が下がってタイヤ・センターはタイヤ交換の順番待ちになったようだ。
木枯らしのような風が吹き止んで、日中は快晴で気持ちがいい。おじちゃんが御殿場のアウトレットに行きたいというので今朝は早起き。

フォーションのクロワッサンでランチ。
田舎で足りないのはおいしいパン屋さんだが、御殿場まで来るとさすがにフォーションは別格。持ち帰りもできるがクロワッサンはできるだけ焼き立てが食べたい。Shake Shackのハンバーガーはあきらめてクロワッサンとラテ。

サックサク。
オーブンにくっついていた底はカリカリ。底だけ集めて食べたいくらいカリカリのサクサク。多分本国には絶対ないであろう(フランスの人ごめんよ)クロワッサン・アンコ・バターも甘すぎず、ごっつあんです!幸せ。

ここのアウトレットは、ヨーロッパ・ブランドに比べてアメリカ・ブランドはなんだか精彩がいまいちだわ。西海岸のカジュアルで過ごしてきてしまったおじちゃんたちに、ヨーロッパブランドはまぶしくてちょっとハイソすぎ。およばれに行くのじゃなくて街でカジュアルなおしゃれがしたいだけなんだけど。

この色よ、この色の配色。色に惹かれてふらふらと入っていけばL.L.Beanだった。 体重150LBくらいのアメリカのおばちゃんが普段に着てるシャツやスエットやジャケット。中産階級。別に金持ちでもなく貧乏人でもなくオール・アメリカンタイプのアメリカン。アイオワやコロラドの道端で普通にきて歩いてる洋服。別にLLBeanのファンだったわけではないのだが。いかにもアメリカンの色とデザインにホームシックだったわ。

90年代の初めにLLBeanは店舗がなく通信販売だけで、雑貨屋のレジか入口に通信カタログが置いてあった。カタログの最後に注文票があるので、刺しゅうしてもらう名前を指定してトートバッグ大を注文したら、届いたトートはデブ猫でも2匹は入りそうなデカさで空っぽなのにやたら重かった。おじちゃんのシャツはMサイズのはずなのに両肩が落ちて手首で折り返さないといけないほど袖が長かった。

ちょうどLLBeanが日本に進出するというニュースを聞いたばかりだったので、カスタマーサービスに電話をかけてアジア・サイズはないのかと聞いたところ、うちのブランドでは特にサイズを変えるというのは考えていないという返事が返ってきたので、アメリカというのはアジアにとことん関心が無いのだと了解した。

案の定、馬鹿でかいサイズばっかりで日本人に受けず撤退して、アジア戦略を練り直して再上陸せねばならなかった。Foever21もサイズと志向を変えて再上陸したみたいだ。アメリカ人がアジアに無関心なのは今に始まったわけではないが、。

おなかも一杯なので近くの秩父宮記念公園に寄った。名残りの紅葉があると思って。
故秩父宮が戦時中お住まいになった宮家の御用邸跡だ。古い百姓家を移築されたのだとあるが、実際その農家は、屋根をふいたカヤの厚みは70~80センチもあり、ピシりと切りそろえられたカヤの切り口は百姓家と言うより古民家のどっしりとした威容がある。昔なら縁側があったところにガラス戸がはめ込まれて中に椅子のセットがあった。

縁側の外に見えるものは鄙びた田舎の風景である。庭はくねくねと家をめぐる回廊になっていて、小道をあゆむと防空壕があった。2つ。コンクリート作りの小さいものと後円墳のような盛り土の防空壕。

小さなコンクリートは使用人のものだろうか?大きい古墳のようなほうは秩父の宮ご夫妻が避難に使われたものだろうか?
おじちゃんはコンクリート製の箱のようなものが入り口で、地下道で古墳につながっているのではないかと言った。そうかもしれない。

うちの実家も裏の竹林に穴を掘って防空壕にしていたようだが、ただの穴ぐらだった。まあ、日本の皇統が絶えては困るわけだから直撃弾を受けても大丈夫な頑丈な施設だったに違いない。

千年以上血統を伝えてきたのである。
血がつながっていること。子孫を残すこと。血脈を絶やさぬこと、が至上の使命だったわけだし。

命を絶やさぬこと、、そこでおばちゃんはふと考えてしまった。
昭和の初期に血脈を守ること、血筋を絶やさぬこととは、防空壕を作って物理的にお守りすることだった。兄弟を作って血を絶やさぬようにすることだった。現在は2022年である。

戦後、皇族を減らしたせいと皇族典範のせいで男系男子が3人になってしまった。次々皇位継承者に子ができない場合とか、さらに同系女兄弟にも子孫が生まれないとか。女帝を立てても子が生まれない「まさか」「まさか」の事態が発生しないとも限らない。その時に何十代前に分かれた男系男子を皇室復帰させることだけが皇室の血筋を継いでゆく手立てになってしまうのだろうか?

保険はつけないのかねぇ?防空壕はないの?
男系男子の「種」を保存するとか。技術的に普及している技術であるし。万が一の事態を想定して、男系の「卵」も保存しておくとか。何せ日本で一番大事な「種」なので2重3重の保護や保険があっても不思議ではないから。そうじゃないか?


今この時点でどこかの厳重に警護された防空壕の中に冷凍の「皇統の種」が保存されていたとしてもおばちゃんは驚かないなぁ。On the Origin of Species 「種」は「しゅ」と読んでね。
20Mもあるヒノキ林に囲まれてひっそりと建つ故秩父宮亭を巡りながら思った。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. クロワッサンのあんこバタ-最高でしょうね。羨ましいです。。11月に箱根のホテルに泊まった時の朝食は、オムレツとかサラダとか普通の味だったんですが、パンだけは本当に素晴らしかったです。地元の美味しいパン屋さんと契約しているんでしょうか。。日本のパン屋さんのレベルは高いと思います。パリの有名どころのパン屋さんには、必ずと言っていいほど日本からの見習いの人たちとか職人さんがいるみたいです。物凄くきっちり真面目に働いているそうです。私はこちらであんこが食べたくなると、パリの虎屋さんで和菓子やどら焼きを買ったりします。小豆もビオで売っていたりするので自分で炊く事もありますが、食べきれずに冷凍しなければならないので面倒だったり。。でもお正月は虎屋にのし餅を注文したので、小豆も炊くかもしれません。

    LLBeanは。私はアメリカにいる頃にメ-ルオ-ダ-で買っていました。カタログを見るのが大好きでした。品質も結構良かったんですよね。雪が降った時に履く、靴の先がゴムで覆われたアヒルのような靴とか、可愛くて好きでした。LLBeanは日本でも前に売っていたような気がしますが。。

    皇室はこれからどうなるんでしょうね。私は、今まで果たしてすれ変わりが一切なかったのかな。。と思っている派です。何れにしても、これからの事は全て運命に任せて、なるようになれば良いと思います。色々な事を隠しまくって、挙句にはボデイダブルとかそういうのは見たくありません。海外の様にもう少しオ-プンにして、その存続を国民と一緒に考えるようにして欲しいです。

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