破産者マップに思う

日本の破産者マップが数年前オンラインで初めて登場したときは発想に驚いた。
下世話な好奇心というのは誰にもあるので、無料サイトならきっと閲覧が殺到するだろうと思った。
破産者マップがYahooニュースのヘッドラインになり、アクセスが集中してサーバーが一時停止するなどしてから、勧告によりあっという間にサイトの運営自体が停止したので、それでまた衝撃だった。

世の良識ある人が目をひそめたのは、自分の地域のどんな人が破産したのか見てみたいという下卑た好奇心が人にあって、それがはしたなくも日の下に誘い出されてしまったこと。
破産者側にとっては「破産」という経済苦境の記録を暴かれて周囲の人や社会から偏見?の目で見られることになった、、という事件だと思う。

下種な好奇心は誰にもあるわけで、これはひとまずわきに置く。
おばちゃんが不思議に思うのは、日米で個人情報とパブリックレコードの判断と扱いが違うこと。


政府の広報に公告」する情報が「パブリック・レコード」であることは間違いない。それでいて公告の情報をコピーしてサイトに載せたら、載せられた破産者の個人情報を保護するために政府がサイトの閉鎖を勧告する。矛盾といっていいのではないか。
世に知らせるために「広報」が「公告」する。秘密であってたまるか。

日本における個人情報と公共の記録の定義を追求するのは面倒くさいので、手っ取り早くアメリカ社会で公開されてしまう個人情報を種類を載せてしまおう。
アメリカはアメリカじゃないか、というあなた、まずどのくらい違うのか見てみよう。

カウンティや州・政府などが直に検索サービスを提供している場合もあるし民間で複数の情報を一挙にまとめて出せる場合もある。すべて合法サービスである。無料もあるし手数料を取ることろもある。

アメリカでは破産や交通違反も犯罪歴も自宅の購入金額は秘密ではない。
まず最初の画像はカリフォルニア州のカウンティのパブリック・レコード検索サイト、2番目は民間の検索サイトである。
検索できる情報はカウンティでは犯罪歴、結婚・離婚、自宅財産、職歴

民間のサイトは過去に住んだ住所、関係する家族親族、ソーシャルメディア、交通違反記録、犯罪記録など、、。

特に交通違反と裁判記録を調べるときは、自治体カウンティの検索サイトから直接調べられるし正確。昔はタダだったが今では一度使用者登録してカード決済で払うようになっている。おばちゃんはビジネスを経営していたから、商売相手や従業員を雇うときには調べることもあった。アメリカではこれらの個人情報は秘密ではない。

友人の夫は過去に破産をしたことがあったが、広報に載るから社会的に秘密でないので調べれば出てくるのは当たり前のことなので、特に隠すこともなく聞かれれば言う。
ごまかしが少ない風通しがよい社会である。アメリカに住んでいる人間もこれらの情報が秘密であるべきとは思っていない。

破産記録が公になったから(公告の時点で公なのだが?)隣人や会社の同僚や取引先から差別を受けるかというと、
銀行?とっくに記録は持っている。クレジットヒストリーももちろんとれる。
破産?それがどうした。今は立ち直っているのだろう?という社会。

戦時中、アメリカの情報機関が日本とイタリアに潜入して情報収集にあたったがイタリアでは誰もがなんでもしゃべるのでどれが機密情報か分からず、日本では誰も何も言わないので情報が収集できなかったという笑い話だか実話かあったという。

アメリカでは子供が生まれればソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保障番号SSナンバー)をとって、教育、クレジット・ヒストリー、医療記録、犯罪記録などすべて紐づけられ記録されていくから何かを秘密にして隠しておくこと自体が難しい。

こういう社会から帰ってきて日本の破産者マップが個人情報の保護のため運営を停止させられたという事実に驚くし、この度また運営を開始した新・破産者マップはアメリカにサーバーを置いて、破産者が自分の個人情報をサイトから削除してほしいなら6万-12万ビットコインを支払え、というサービス内容なのでおばちゃんも日本社会はまた仰天である。

ニュースによればサービス停止を求めるためサイトを提供しているホストに通知するも、運営者の情報開示を拒否している。このサイトのサービスは現地の法律では規制されていないので(その通り)、情報を開示せよと要求する場合は裁判所命令を提示されたいと返答している。

おばちゃんにしてみれば、相手が裁判所命令を提示してほしいと言っているので、日本側が提示すればよい。サービスのホスト提供をしているだけなので、アメリカのビジネスは裁判所命令があれば従うだろう。ただのビジネスよ。日本側はしかるべき手続きを踏めばよいのだ。

この新・破産マップが機能するのは日本だからだろう。
アメリカなら、破産記録?それがどうした、リストから削るのに金を払え?公の記録に載っているのにマップからだけ削っても意味ねぇし。馬鹿じゃねぇ?
オレオレ詐欺もアメリカでは成立しないのだ、誰も金を払わないから。

経済的苦境にあった人が破産制度のおかげで仕切り直しのチャンスが与えられるのは幸いだ。いろんな理由があるにはせよ、金を貸したほうにはチャラにするという不利益を被る。200万円300万円の借金がチャラになるのにペナルティがあるのは当然。広報に公告というのはその一つ。

日本人の破産者の皆さん、こんなサイトに金を払わなければよい。
周囲に知られてつらい?過去についてあれこれ言われるなら、そんな環境から移住しよう。マップは掲載の個人を追跡していたりしないし。

400万円を人からたかって日本から脱出した人がいる。Yutub動画で何方かが反対者のおおよその数を概算したが、その数8000万人。8000万人から叩かれながらケロッとしている小室圭を見習おう。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
ブックマークする パーマリンク.

1件のコメント

  1. とても興味深いトピックスを有難うございました。アメリカではそんなに個人の情報がわかるんですね。。アメリカで住宅の売却価格の経緯がわかるというのは知っていましたが、破産や犯罪記録までわかるとは。私の住んでいるところでも住宅の売買価格の経緯は今では調べられますが、少し前まではできませんでした。その他の情報もアメリカのようにアクセスはできません。日本の破産者の情報が海外で出回っていると言うのは驚きで、しかも消すためにはお金を要求されるなんて、まるでMobのようですね。。恐ろしいです。

    アメリカでこれだけの情報を得る事が可能なら、物凄く話題になっていた、卒業したかどうかなんて本当は調べられるんでしょうね。それから、今のアパ-トの借りている名義は誰かとか、そんな事も。。でも、分かったとしても、それを第三者が晒してしまうことは別の法律にひっかかって、訴えられる可能性もあると言う事なんでしょうね。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  • footer