アリスおばちゃん

日本為政者の悲願:国民総番号・マイナンバーカードの普及は現在やっと34%だそうだ。
昭和の時代から政府は総番号制度を施行したくてたまらなかったが政府内部や政治家たちにもきっと反対者がいたに違いない。制度が整っても遅々として普及せず、やっと3割越え。

日本でお知り合いになった方たちとお話をするに、皆さんよっぽど自分の個人情報を政府に知られるのがお嫌なようである。マイナンバーなんか取ったら自分の資産を残らず国に知られるからイヤだと言っている。今の日本で自分の名義の銀行口座を行政府から隠しと通せると思えないのだが。もちろんおばちゃんたちはマイナンバーを超速でとって銀行口座を開いた。隠すものは何もないから。

名前や生年月日で名寄せするよりは、統一ナンバーで国民を管理するほうが圧倒的に便利である。だから、政府はどうしてもマイナンバーをすべての国民に割り当てたいわけだ。

実際にSocial Security Numberで管理されている米国でどうだといえば、SSナンバーを持っていないと米国では生活できない。SSナンバーカードはSSオフィスから発行される粗末なボール紙に印刷された9桁の番号だ。


この番号がないと、銀行口座も開けないしクレジットカードも取れないし、税金の申告も年金の支払いも保険もすべてこのナンバーが必要なんだわ。

就職にも納税にもこのナンバーに紐付けられているので、おばちゃんが従業員を雇うときはペイロールの会社に従業員のSSナンバーを知らせてペイロールは給料からSSタックスなんかを差っ引いていくわけだ。

SSナンバーで健康保険も病気のヒストリーや支払情報クレジット・スコアなどの信用情報も管理されている。銀行口座資産はSSナンバーで紐ついているわけだから、調査が入ればSSナンバーで照会を掛ければ口座が全部出る。便利なシステムだね。政府にとっては。

国民を管理できるようになったら次は企業を管理できればもっと便利ではないか?
あるのだわ企業にとってのSSナンバーが。
Employer ID Number EINという。Federal Tax IDと呼ぶこともある。
IRSが企業にユニークなナンバーを振る。

そのナンバーがあって初めて会社が会社の銀行口座を開け、企業として業務活動が可能になる。言い換えれば政府としてはEINで名寄せすれば企業の銀行口座の活動状態や納税状態がお見通し、つ~わけだ。

さあ、こっからパラレルワールド地球のパラレル合衆国の話である。
パラレル米国であるからEIN制度もおんなじである。おばちゃんと全く関係のないあるおばちゃんがいて、起業にあたってEINをとった。

オンラインでフォームを記入するだけで申請過程は非常に簡単。
クリックすれば、次のページで割り当てナンバーが記載されているのでページを印刷して銀行の窓口に見せれば会社の口座が開けるのだ。

アメリカの制度とかシステムは誰か天才が作ったかよくできていて感心するのだが、運用側にしばしば使えないポンコツがいたり、ブラックホールがあったりしていて不思議の国のアリスのように穴に落っこちてしまうことがある。

このアリスおばちゃんはセッカチでページをプリントするや否や、会社の設立手続きに走った。口座を開き、クレジットカードやペイロール業務の契約をしたりライセンスを取ったり。
で2週間後にIRSからEINの本通知を受け取った。

受け取ってびっくり!
パラレルワールドのアメリカもやっぱりすっとこどっこいだった。
オンラインで印刷したナンバーと末尾3桁が違うのである。
通知には「アンタはオンラインでナンバーをとったかもしれんが、それは間違い番号だから、今すぐ忘れ!これが正しい番号や。ちゃんとしまってけ!」と偉そうな文面が書いてあった。

何せ日本の2倍以上の人口であるし、たまたまEINの申請が同時にぶつかってしまうことがあるかもしれない。そんなシステム上の穴がきっとあったのだ。

どないせ~、ちゅうねん。認可とった処庁に訂正しまわれってか!アリスおばちゃんは腹を立てながら、銀行やらなんやらに訂正に回った。

ところが、である。
おばちゃんが選んだ銀行は、オンライン・バンキングもビジネス用のサービスも充実していて非常に使い勝手がよかった。使い勝手はよかったのだが、メガバンクで処理システムが何重かあるらしい。

訂正したはずのEINナンバーがペイロールになると旧の間違い番号で打ち出され、訂正すると治るのだがクオーター・リポートになるとまた戻って間違い番号になるとか。

モグラたたきのようにあっちでぶったたくと、こっちで訂正前の番号が出てくるのである。ああ、ここはアメリカ。

EINは時々間違うが、会社は何とか回り始めた。
スーパーのフードコートなどで、古い知り合いの同業者などと会うと、


先輩:どうよ?
アリス:いや~、どうもこうもタックスが高くないですかい?ワーカーズ・コンプが高いやおまへんか?
先輩:そやろ、俺らが働いてるのに指一本貸さなく癖に、タックスばっかりふんだくりやがって。
アリス:ほんなら先輩、いったいどないしたらよろしいでっか?
先輩:まあ、頑張りや。ダブルアカウントつ~ものもあるし。

ダブル・アカウント?
アリスおばちゃんの耳はピコんと立ち上がったのだが、あのことやろか?マーチャント・サービスのダブルアカウント?

おっさん、利口そうに見えたアホやんか。クレジットマシンがダブルアカウントやからと言って、EINがおんなじやったらアンクルサムには一発でお見通しやんけ。使えねえな。
と思ったのである。

アリスおばちゃんのクレジットマシンはもちろんシングル・アカウントで幻のダブルなんて見たことがなかった。そうこうするうちに契約したマーチャント・サービスは手数料が固定のはずなのに恥知らずにも半年ごとに上げてくる。この野郎、契約を切ったろと思っていると、ある日なまっちろい白人のお兄ちゃんのセールスがやってきて、うちは安いですよ~と言う。

マーチャント・サービスだった。
見積だけでもしませんか?手数料は固定で上がりませんという。それから左右を見て誰もいないのを確かめて、ダブル・アカウントもできます。と声を潜めてぼそっと言った。

何?ダブル・アカウント?
その瞬間アリスおばちゃんの頭の中では一瞬にしてビジネス・プランが走った。
おばちゃんのEINはどういうわけか2つある。一つのクレジットマシンで最初からダブル・アカウントがセットできる。まぁ、素敵!
メガバンクのほかに、別の銀行口座をセットすればいいのだ。バンカメなんかバカだからちょうどいいかも。

間違ったEINは間違っているので、間違ってもIRSは間違いEINで名寄せをするわけがあるまい。そんなEINはシステム・エラーか別の会社が出てくるだけである。

ハレル~ヤ!
アリスおばちゃんが落っこちた穴は、宝が埋まっていたのだ。
な~んちゃって。そんなことをしたら従業員もみんなわかっちゃうじゃん。おばちゃんとは全く無関係の別のパラレルワールドの話である

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. 海外在住の人にとって、マイナンバ-関係の事もあるんですが、基本、普通の銀行口座の開設ができない事が非常に不便です。非居住者口座って国内の振替なんかできないらしいですし。その人たちで、日本でアパ-ト収入のある人なんか、銀行口座が必要ですよね。海外で日本のブログを運営している人なども、その収入や費用が発生した場合、どうしているんでしょう。。日本で既に口座がある海外在住の人たちは、直ぐに解約をせまられているわけではないんでしょうが、そのお金を海外に送金するにも、マイナンバ-がないので送金できないようです。他の国で、非居住者の口座に対してこれ程厳しくしている国はあるのかな、と思ったりします。

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