日本の安全神話はどこから生まれるか

ジャーナリストの桜井よしこ氏が10日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」
桜井氏は警備について

「基本的に要人の安全をどう確保するか。安全保障につながる問題だと思うんです」とし「私たちの国は安全だと定評があります。安全だという性善説に基づいて警備態勢を組んでいるわけです。だけれどもそうではないんだと」としー中略ーこういう態勢そのものを見直す時期なんだろうと私は思います」と提言していた。

 その上で「あまりにも安全だということを大前提にした国家的な緩みがあるんだろうと。私はそこにものすごい危機感を感じています」

その他メディアによれば、国民の声のほとんどが警察警備へのゆるみ、SPの不手際、警備の穴など批判である。おじちゃんとニュースや動画を見ていてこれらの批判になんだかなぁ、と思う。

日本が安全な国で危機意識が薄いというのは間違いない。その通りだと思う。だからこそ起こったのだと思う。


暗殺や銃撃などはテレビの中の話。現実で起きると想定していない社会だから起きてしまった。20年間要人襲撃のヒストリーがないようだ。
銃で襲撃・暗殺は「お話」だと思っているから、東京だろうが地方だろうが、襲撃防止の訓練を真剣に実施されていなかったのだろう。

これが海外からの賓客=お客さんだったらもう少し真剣に下準備をしていたかもしれない。日本人だけの身内で起こる身内の選挙だったから。

あなたの隣に銃を持った襲撃者がいたときはどのように行動するか?もしこんなテレビ番組が流れたら日本人のあなたは真剣に見るだろうか?

日本で銃を扱うのは警察、自衛隊、やくざである。
一般国民の自分は、犯罪にも無縁だし銃が自分の人生に登場することはないと思っている。

アメリカでは小学校で訓練があると思う。
住んでいた間は、もし外で「パン」と音が聞こえたら、しゃがめ。と頭の片隅にいつも警告が潜んでいた。

起業した後は壁に鏡を張り、ドアに背を向けている時も誰が入ってきたかわかるようにしていた。セキュリティカメラはビジネスにも自宅にもつけた。銃を持った強盗が入ってきたらどうするか、常にシュミレーションをしてた。


信号待ちはもちろんガスステーションで給油をするときも車のドアはロックする。道を歩くときはさりげなく後ろを観察してだれがいるか確認しておく。バッグは絶対体から離さない。長く住んでいれば意識せずにできるようになる。

社会も用心している。
銀行の窓口には金属の格子とアクリル板がはまっていたし、強盗に襲われてガードを置くようになった支店もある。
ベンダーマシンは絶対屋外にない。小銭だろうが自動販売機ごと盗まれる。自動ドアはほとんどない。銀行などは窓口時間外には自分のカードを入れないと入れない。

そういう危機を感じている社会の状況があって、警官は躊躇なく発砲するし、SPの警戒態勢はアクティブだ。一般国民にもテレビ番組ではお役に立つコーナーこんな時はどうするか:銃を持っている人がいるとき、寝ているときに泥棒が入ってきた時、。対処法などをレクチャーしてくれる。子供を守るために送り迎えは必須である。日本に帰国してきた時はおじちゃんとおばちゃんの背中には目があったよ。

そして、日本の人の無防備さに驚いた。
バッグをその辺に置く。電車でぐっすり寝る。車の中にショッピングしてきたばかりの物を見えるように置く。歩く時も建物に入る時も後ろを見ない。多量のキャッシュをお財布に入れている。高価なアクセサリーを身に着ける。

日本?いや日本人は危機管理が無い。SPは何をしていたと!憤懣を漏らすほとんどの日本人の背中は、がら空き。


日本の住居のドアはほとんど外開き
ドアの開閉のコントロールを外部の人が持つ。これは危険。テレビ番組で一般住宅のリギングが放映される。ソファの背がドアに向いている。ソファや椅子はドアに背を向けて設置しない。商品とお金が入った自動販売機はそこらじゅうの道端にある。窃盗の誘発をしている。

日本ではなくて、警察ではなくて、日本人全員が危機感を持っていない。
そういう背中がら空きの日本人が警察警備のミスを警備の緩みと糾弾する。
なんだかなぁ、とおじちゃんと目を見合わせるわけ。

山上容疑者の手製の銃の発射音はズドンと重い。
おばちゃんは初めて襲撃動画を見たとき銃声とは思わず、なにかが爆発したのかと思った。ハンドガンの銃声はもっと軽く乾いた高い音がする。だからズドンと重い音は爆発だろうか?そう思ったから、現場の警備もなんだろうと1秒くらい戸惑っても仕方がないと思う。

これがアメリカの事件なら、銃撃の現場はみんなしゃがんでいるだろう。安倍さんの場合は、日本人みんな突っ立っていた。その場を動いている人はあまりいない。現場の日本人でさえそれが銃撃だと理解していなかったのだ。警官も含めて。

SPと警官が2発目の前に安部氏に覆いかぶさって「命の盾」になるべきだったと言っている。

SPは「命の盾」になるべく訓練された職業の人である。
現役の総理大臣なら2人、引退した安倍元総理には一人ついていた。これも仕方がない制度である。現役か引退か役職の重みが違うから。現場のSPはやはり状況の理解に困難があったのだろう。

警官に「命の盾」になれというのは酷だ。
あの警備の警官があなたの夫や息子であったら、それでも命の盾になれというのだろうか?

日本の警官は不用意に銃を一発撃っても始末書なのだという。給料も手厚いというわけではないだろう。たった2秒の間に襲撃だと理解して、銃を抜いて応戦するか、とっさに命を投げ出して安倍元首相に覆いかぶさるか、そのような判断ができるとは思えない。

警官という職業を選んだお父さんや息子なのだ。

桜井よしこ氏は
ーあまりにも安全だということを大前提にした国家的な緩みがあるんだろうと。私はそこにものすごい危機感を感じていますー

そうか、。
銃声を聞いてもそれが銃声だとなかなかわからない無防備な日本社会と、交通違反で車を止めて、銃を腰だめにして近づく警官がいる国。犯人が銃を抜いたらすぐ撃つ警官。学校の生徒さえいつ襲撃されるかもしれないから教師に銃を持たせようとする国。自分と人を守ろうとする危機感は、危険な社会状況から生まれてくる。

ドアを外開きで建設する国で、国民は無防備でよいが警備体制だけは危機感を持たせようなんて可能なのだろうか?

日本でも暗殺史ができてしまった。不幸な事件だと思う。安部元首相の冥福を祈りたい。

mikie@izu について

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。
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1件のコメント

  1. 本当にびっくりしました。安倍元首相のご冥福をお祈りいたします。奥さまやお母さまがお気の毒です。もう少し早く引退されて、ご夫婦で世界一周旅行するとか楽しまれたらよかったのになとも思います。

    只、この事件は非常に不可解な部分が多すぎるとも思います。直近のコンサバキャンディーズで、山岡さんが匿名の警察OBからの情報でお話されていましたが、警備部長が出てこなかった事や、あまりにもずさんな警備などもおかしいと思います。それから、ネットで拾った情報では、あのような武器ではなかなか命中させるのは難しいらしい事、撃たれてから病院に運ばれるまで1時間もかかっている事もあります。あの現場にはいくつも病院があったらしいです。

    安倍さんが現役の頃、街頭演説で野次を飛ばした人が強制排除されたりとか、その街頭演説の都度かなりピリピリした感じではなかったでしょうか。既に首相の地位ではないので、突然警備がゆるくなったんでしょうか。山岡さんの情報によると、今回は奈良県警のSPが6人、阿部さんのSPが1人で、合計7人だったそうです。SPって、特別な訓練を受けているので、このような対応はあり得なかったはずですよね。。

    宗教の関係もテレビではその名前をあまり出さないらしいですね。フランスのルフィガロ(右派系)と言う新聞でも今回の件は大きく報道しているんですが、その中で、日本の大手メディアは宗教と政治の関係については非常に慎重に取り扱っており、まるで「卵殻の上を歩くように」(Les grands médias marchent sur des œufs) 報道すると言っています。

    この事件当時のその現場の写真を見ても驚きました。直ぐそばを自転車に乗ったおじさんがゆるゆる走っていたり、やじ馬が写真を撮っていたり。。普通は、このような事件があったら、音が聞こえたら、即座に走ってその場から離れ遠いところへ逃げないといけないですよね。この辺りは、平和ボケのように思いました。

  2. 性善説でいる限り、無理なんだと思います。
    それを貫く限り、日本人はお金だけでなく命や心の中の何かまで、知らないうちに搾取されてしまうのではないかと不安になりました。

    性悪説を唱えることが悪いことではありません。リスクマネジメントです。
    でも日本人は少なからず、相手の意図や行動を都合よく好意的に解釈するクセがあると思います。それはグローバリズム、多様性云々と叫ばれる現在の世の中では、無理があると思います。

  3. この事件に関して、ネットの新聞記事やブログやSNSの記事及び意見を読んだりしていたんですが、何か、神格化された扱いになっているように感じます。後、「海外では評判が高い」と言う話がどんどん広がっている事も気になります。事件については海外でとても大きいニュ-スになっていたのは事実ですが、それと評判が高いと言うのはまた別の事だと思います。このような形で亡くなられた方に弔電を送るのは普通の事で、必ずしも、とても評価されていたからと言う事にはならないでしょう。日本人で、特に高齢者の方々は英語ニュ-スを読む習慣がないようなので、その辺りは思い込みのように感じます。亡くなられたことはとてもショックで悲しいんですが、もう少し客観的に見ていく必要もあるのではないでしょうか。私は、天皇陛下の「拝察」しておられると言う表現は適切であったとも思います。

    それから話が少し戻りますが、奈良医大の会見内容と解剖の内容が少し違っているように感じます。例えば弾がどこから入って、どこから出たのか。私は医療については知識がないので、その解釈に間違いがあるかもしれませんが。。事件直後の措置も果たして適切だったんでしょうか。これについては、医大の医師は発言を控えているように見えます。

    https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2022/07/089874.shtml

  4. このYoutubeで、事件当時の事を細かく分析されています。お医者様で、アメリカに住んでいたこともあるそうです。①から⑤までありますが、コメント欄も凄いです。(もし、あまりこちらのブログではあまり相応しくない場合、削除してください。)

    https://www.youtube.com/watch?v=CPt0qAeXM4I&t=1440s

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