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父が結婚を許した理由

ジャーナリスト篠原氏が「ご夫妻はお二人とも真子さまの結婚には反対でした。」と先日の放送で話していた。意外そうな口ぶりだった。
おばちゃんは何をいまさらと思うのだが、篠原氏は男親だからひょっとして本当に分からないのかもしれない。

何故父はダメな男と分かっていながら結婚を許したのか?
娘としてこの世に生まれた人なら、たぶん半分くらいの人は理由を身をもって知っているはず。

おばちゃんは生まれた家が嫌だった。
封建色が残る地方の田舎で長男の父。従順で父に逆らうことがなかった母。跡取りの男の子を生まず女の子だけ生んで肩身の狭い思いをしていた母。横並びで同じような思考の親戚にご近所。閉鎖的な社会。

ことわざで「隣の牛が死んだ時が一番うれしい」などという言い回しがある。
うちの地方なら、隣の家が田んぼを売った時が一番うれしい。と思うだろう。

先祖代々の土地をよそ者に売って家の改築や必要費用に充てないといけなかった家。うちはうまくやっている。同じような環境で同じような親がいて同じような生活ぶりで、もし何かに先ずれば、人から後ろ指刺される土地である。そういう土地で、隣はしくじったとわかると非常な満足があるのである。

子供心にまぁなんと閉鎖的な土地か。跡継ぎの男に生まれずに本当にラッキーだった。この土地と家に縛り付けられると思うと絶望感しかなかった。むろん口にしたことはなかったが。

娘が家を出る方法は2つある。一つは自立。もう一つは結婚。

大学はできるだけ遠い都会を選んだ。
4年間遊学して卒業が迫ってくるとおばちゃんは慌てた。院に進んで時間を稼ぐか、留学するか、就職するか。真剣に悩みすぎて胃に穴が開いて吐血したくらいだ。

母に極楽とんぼと言われたおばちゃんは、ふわふわした夢だけは持っていたが、夢を実行に移す根性と現実性に欠けていた。んで、進路が3つとも全滅したのである。
都会で自立自活するほどの根性も技能のなかったおばちゃんはシオシオを生まれた実家に帰った。

近所世間の目がうるさいので各種学校に通いバイトをし、その場しのぎにいろんな面接を受けてみる。貿易会社に採用されたが、会社にはまた型から生まれてきた親戚のようなおばちゃんや母と同じ思考の金太郎アメが働いていたのである。

こんなはずではなかった。帰宅する駅の自動販売機でビールを買ってプシュっと飲まないとどこかに頭をぶつけそうだった。そこから煮詰まっていったのである。

隣に住んでいた従妹のむっちゃんは欲しいおもちゃがあるとテコでも動かなくなり、買ってくれないとその場で一枚づつ服を脱いでいった。慌てたおじちゃんの妻は不承不承に買うか、むっちゃんを横抱きに連れて帰るかしかなかった。

おばちゃんは生まれつき可愛げがなく、2番目の姉がいかにも娘らしくし父にねだるのを横目で見ながら、買って買ってと連呼して却下されるとふてくされて口を利かなくなるとか、戦略としては稚拙であった。

この土地で就職をしてもはやっぱり自分に合わない。再度都会に行くというおばちゃんと父は真っ向からぶつかり、おばちゃんは口を聞かなくなり部屋に閉じこもってカギを取り付けた。

何日か籠城すると、父はバールのようなものでドアをぶち破ってきた。おばちゃんは無抵抗主義に変更して、ひたすら虚無と絶望感を演出し、何か月かの冷たい攻防の結果、バイクで実家を脱出しておじちゃんのアパートに転げ込んだ。

父というものは娘を許すものである。それは娘として生まれてきたらわかる。例外はいるだろうが、うちの父は不承不承に最後は根負けするか、あきらめて好きにしろと言うかする人だとわかっていた。

世のなかには駄々をこねたことがない、駄々をこねる必要がなかった家庭もあるだろう。
こうなさるべき、。こうあるべき。必要なものはすべて最高の吟味されたものが用意されている家庭。駄々をこねる必要がなかった生活。

生まれてきた家は選べないが、先祖代々の重たい息が詰まる家が嫌いだったか?日本一古くて閉鎖的な家が嫌いという感情は止めようがない。嫌いなものは嫌い。それはしょうがないな。
娘が家を出るには結婚か自立である。どうやって家を出るか、何年も妹と考えたに違いない。

考えた結果はやはり結婚だった。
ところが見込んだ男はボロが出てきて最初は賛成だった両親も難色をしめし、反対しはじめ、苛ついて激高する父親。

生まれて初めての反抗とガンとして意見を変えない”駄々こね娘”に両親はびっくりっしたのではないか?やんごとない両親としては駄々をこねられた経験もない“駄々こねられ素人”であった。どうしてよいか途方にくれたに違いない。

ええ加減にせいやと横抱きにして連れて帰り、欲しかったら自分で働いて買ってみ!とたしなめ世の成り立ちを教えることもできない。親からして世間知らずの親だった。

初めての駄々こね娘と、駄々こねられ両親が真っ向からぶつかって両親があきらめたのである。
おおよそ推測はつく。娘は口を利かなくなる。食事を食べなくなる。自室にこもる。痩せる。

親に顔を見せるときはなるべくあらぬ空を見るとよいね。ため息をつきながら、どうでもいいわと言う。会話に参加せず興味を示さずひたすら空を見つめる。のろのろと動き、時々ぼーっと動かなくなる。日に日に消耗する娘を演じる。

どうせ、私なんか、と言い捨てて自室に駆け込む。こんな家に閉じ込められるなら死んだほうがましと号泣する。
父親がバールでドアをぶち破ってくるなら娘の勝ちである。

おばちゃんの場合は、実家の跡取り長女の婿殿が結婚式で「もう帰ってくんな」と柔らかい言葉で言ったので、これはもう帰れんなと思った、帰る気はなかったが。もちろん父の援助などは何もなかったので自立するしかなかった。

絶対に結婚させたくはなかった男だが、娘が駄々をこねてしょうがなく結婚はさせた。
おばちゃんが思うに、援助するなら、人を使うな。組織を使うな。自分でやってくれと思う。反対されたのだから、娘だって実家を当てにするな。

何のことはない、我々国民は国家を巻き込んだ家庭ドラマを見せられているのである。迷惑!

mikie@izu

海外在住何十年の後、伊豆の山に惹かれて古い家を買ってしまい、 埋もれていた庭を掘り起こして、還暦の素人が庭を造りながら語る 60年の発酵した経験と人生。

View Comments

  • 仰る通り、本当にM子さんの件は国民を巻き込んだ家庭ドラマ、リアリティショ-だと思います。家庭ドラマでも、サスペンスドラマで、謎だらけですよね。そして、毎年この家庭ドラマはリニューアルされて、Season1からSeason5とかずっと続いて更新中です。そして、この壮大な予算のスポンサーは我々国民です。見どころもありましたよね。KMが結婚会見で、「M子さまを愛しています」、「一時金は辞退します」、「私がお願いした事です」とか。。そしてそれが世界中に発信されて、悲劇の女王、日本国民はポニ-テ-ルぐらいで大騒ぎする人たちとか。。次の山は、弁護士試験の発表とビザでしょうね。

  • 記事のアップありがとうございます。

    私もおっしゃる通りだと思います。自立はしたいけれど、経験も覚悟も、認識も甘かったということでしょう。
    現実逃避から新しい現実が見え始めた頃かも知れません。でも、世の中の多くの人もさまざまなしがらみや限界の中で必死にもがいて生きているのですよね。

    家庭ドラマは距離をおいて観なければ心理的に巻き込まれます。
    4月も間近、新しい嵐の予感です。

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